« 「曇りの日曜日」とΣΑΝ ΑΠΟΚΛΗΡΟΣ ΓΥΡΙΖΩ | トップページ | ローザ・エスケナージとハリス・アレクシーウ »

2020年9月21日 (月)

カフェ・アマンの歌

ゼアミdeワールド226回目の放送、日曜夜10時にありました。23日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。エスケナージは別枠で出したいので、今日の動画はマギコだけにしておきます。

ギリシアの7回目になります。今回は「レベティカ・ソングのパノラマ」の第5集、「カフェ・アマンの歌」からご紹介します。「レベティカ・ソングのパノラマ」の3枚組シリーズは、2003年にギリシアFMから12セット出まして、いずれも元はミノスレコードの音源のようです。第5集だけ資料として残していましたが、他の11セットは全て売り切れで現在手元にはありません。因みに第1集からタイトルを列記しますと、アメリカのレベティカ、難民とレベティカ、女性たちとレベティカ、良き時代と気高き精神、カフェ・アマンの歌、レベティカとアウトローたち、過激派の歌、愛とレベティカ・ソング、レベティカの顔、富者と貧民、別れの歌、Learning about your countryとなっております。ギリシア語の表記のみで解説無しの簡素な作りですが、内容は凄い音源がこれでもかと集められています。確か同じ頃に独Trikontから、「レムベティカ~ギリシアのアンダーグラウンドの歌(2CD)【歴史的録音】」が出ましたが、内容的にはやはり現地盤には遠く及ばない感じでした。

まず、1枚目4曲目のマギコからおかけします。前にハリス・アレクシーウの歌唱でかけた曲ですが、この盤に入っているのは、リタ・アバツィの1930年代のおそらくオリジナル録音です。

<1-4 Ριτα Αμπατζη/Μαγκικο 3分11秒>

ΤΟ ΜΑΓΚΙΚΟ, 1938, ΡΙΤΑ ΑΜΠΑΤΖΗ


続く5曲目はローザ・エスケナージによるオリエンタルムード満点の曲です。彼女の曲は前々回に一曲かけただけですので、もう一度その解説を振り返り、その後3曲続けたいと思います。

YouTubeでハリス・アレクシーウと握手している写真を見たことがありまして、エスケナージは1890年生まれですが1980年までご存命だったので、アレクシーウが若い頃、直接のやりとりがあったようです。新旧のレベティカのディーヴァのツーショットは、とても感動的だと思いました。エスケナージの歌うレベティカは、曲によってトルコ的、そのままギリシア的、あるいはどこか微妙にユダヤ風だったり等々、色々な側面が垣間見えるように思います。エスケナージという名前からはアシュケナジー(東欧系ユダヤ)を連想しますが、イスタンブール生まれですから、やはりセファルディ(スペイン系ユダヤ)のようです。
1枚目だけでローザ・エスケナージの歌唱は5曲ありますが、まずは5曲目のスティン・ポリ・スト・メヴラ・ハーネと言う曲をどうぞ。

<1-5 Ροζα Εσκεναζη/Στην Πολη Στο Μεβλα Χανε 3分6秒>

もう一曲ローザ・エスケナージで10曲目のウードで華やかに始まるト・カナリニという曲ですが、彼女が歌うとどこかユダヤ風に聞こえる部分があるように思います。

<1-10 Ροζα Εσκεναζη/Το Καναρινι 3分14秒>

2枚目にもローザ・エスケナージの歌唱は6曲入っていますが、3曲目のディミトルーラという曲は、アレクシーウも歌っていて、よく知られた曲だと思います。

<2-3 Ροζα Εσκεναζη/Δημητρουλα 3分20秒>

2枚目4曲目には、ヴァシリス・ツィツァーニスのブズーキ伴奏で、彼と同時代に活躍した女性歌手ソティーリア・ベールが歌っています。オタン・ピニス・スティン・タヴェルナという曲で、訳すと「酒場で飲むとき」となると思います。

<2-4 Βασιλησ Τσιτσανησ-Σωτηρια Μπελλου/Οταν Πινεισ Στην Ταβερνα 3分15秒>

前回の放送とゼアミブログで、カフェやタヴェルナは主にスミルナ派の活動場所だったと解説を入れましたが、特にカフェ・アマンは、その中心的な場所として有名です。この「カフェ・アマンの歌」の3枚組には、スミルナ派に交じって、ヴァンヴァカーリスの音源もあります。よく見ると、1枚目が「カフェ・アマンの歌」、2枚目は「歌とアルコール」、3枚目は「アマネデスとタクシーミア」とありまして、ヴァンヴァカーリスの音源は3枚目に入っていました。Taqsim ZeibekoとArapという曲がありますので、2曲続けておかけします。ピレウス派のヴァンヴァカーリスでも、ブズーキのタクシームはカフェ・アマンで披露することがあった、と言うことでしょうか?  3枚目では歌、器楽共に、トルコ音楽色が強く、技巧をたっぷり披露する演奏になっています。

<3-6 Taqsim Zeibeko (Markos Vamvakaris) 3分9秒>

<3-11 Arap (Markos Vamvakaris) 3分19秒>

では、最後にローザ・エスケナージの歌唱でArapi Gazeli Usakを時間まで聞きながら今回はお別れです。トルコ音楽のウッシャーク旋法を踏襲したガゼルで、歌詞はギリシア語かと思いますが、これはほとんど完全にトルコ音楽の範囲に聞こえます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3-2 Arapi Gazeli Usak (Rosa Eskanazi) 3分27秒>

|

« 「曇りの日曜日」とΣΑΝ ΑΠΟΚΛΗΡΟΣ ΓΥΡΙΖΩ | トップページ | ローザ・エスケナージとハリス・アレクシーウ »

ギリシア」カテゴリの記事

ゼアミdeワールド」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「曇りの日曜日」とΣΑΝ ΑΠΟΚΛΗΡΟΣ ΓΥΡΙΖΩ | トップページ | ローザ・エスケナージとハリス・アレクシーウ »