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2020年11月

2020年11月30日 (月)

カルパトスとロードスから

ゼアミdeワールド236回目の放送、日曜夜10時にありました。2日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。ペントザリスと言えばクレタでしょ?と言うことなのですが、カルパトスとロードスから始めました。動画にはキングとアルバトロスと同じ音源はないと思いますので、ペントザリスではなくスースタですが、カルパトスのリラとラウートの激しいデュオを一本上げておきました。こんなに両楽器がよく見える映像は、意外になさそうです。

sousta karpathos

ギリシアの17回目になります。今回からエーゲ海の島ごとを中心にギリシアの地方音楽に移ろうと思います。キングのワールドルーツミュージックライブラリー150枚の一枚、「神々の宴~ギリシアの民族音楽」をベースにする予定ですが、この盤はエーゲ海だけでなく北部のエピルス地方やマケドニア、トラキア、更には黒海沿岸のトルコ北東部のギリシア人居住地区のポントスまで、非常に広域の音楽が入っています。イタリアのアルバトロス30選には、クレタ島、ドデカネス諸島、キプロス、ギリシア北部の4枚がありますので、これらと組み合わせていく予定です。
まずはクレタ島とトルコの間に点在するドデカネス諸島の音楽から見ていきます。エーゲ海と言えば、青い海と高台の白い建物のサントリーニ島の風景を真っ先にイメージする人が多いかと思いますが、サントリーニ島はギリシア本土に近いキクラデス諸島の島で、キクラデス諸島の音源はキングの盤のシルトスとナクソス島のバロスの2曲位で、意外に少ないです。ドデカネス諸島は、その南東方向に位置する列島です。ドデカネスとはギリシア語で「12の島」を意味しますが、実際には主要12島のほか約150の小島が含まれます。
個人的にはエーゲ海の音楽では、クレタ島のリラとラウートの激しい掛け合いが最も好みですが、かなり似通った音楽がクレタと東のロードス島の間に位置するカルパトス島でも聞けますので、キング盤の最初の2曲を続けておかけします。

<1 Monemvassia :カルパトス島の酒飲み歌 2分29秒>
<2 Maritsa's Tune :カルパトス島のカト・コロス・ダンス 2分57秒>

カルパトスだけの音源が、フランスのブダからありましたが、20年ほど前に廃盤になってしまったようです。イタリアのアルバトロス30選のドデカネス諸島の盤にはカルパトスは5曲入っていますので、その中からクレタ島起源で「5つのステップ」を意味する舞曲ペントザリスと、パノ・コロスを続けておかけします。ヴァイオリンで代用されず擦弦楽器リラが活躍するところは、クレタ音楽と共通しています。ラウートのかき鳴らしもそっくりです。ラウートとは、フレットのあるウードのような弦楽器で、ウードとリュートの中間のような楽器です。

<11 ペントザリス 2分21秒>
<15 パノ・コロス 4分9秒>

トルコに近いロードス島の音源はアルバトロス盤に3曲入っています。ロードスと言うと、日本では男性化粧品のイメージが強いかも知れませんが、古代にはギリシアの文明が花開き、中世以降はイスラム世界に対してキリスト教世界の最前線に位置し、十字軍以降は聖ヨハネ騎士団ゆかりの島として知られています。前回言いましたようにセファルディも住んでいたようです。
ドデカネス諸島を代表する舞踊スーストの中でも、特に知られているのがこの明るいスースタと言う曲です。

<8 スースタ 3分18秒>

次の打弦楽器サントゥーリで独奏されるアマネス ケ・ジンベキコスと言う曲は、タイトルからギリシアのアマーンとトルコの8分の9拍子のゼイベクを連想させる曲で、ロードスだけでなくドデカネス全域でよく演奏されるそうです。

<9 アマネス ケ・ジンベキコス 2分31秒>

ドデカネス諸島には、他に「医学の父」ヒポクラテスの出生地であるコス島、使徒ヨハネが『ヨハネの黙示録』を記したとされるパトモス島などがありますが、このアルバトロス盤には他にコス島、シミ島、ニシロス島の音源が入っています。
コス島の音源は5曲も入っていて、この盤の冒頭を飾っているアンティマヒティコス シガノスを時間まで聞きながら今回はお別れです。通常結婚式で踊られる舞曲とのことです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 アンティマヒティコス シガノス 5分2秒>

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2020年11月27日 (金)

ナニ・ナニ

ナニ・ナニもサヴィナ・ヤナトゥの生映像がありました。セファルディの歌の哀切さと、オスマン的な微細な音の動きが重なって聞き取れます。エキゾチックなヒジャーズ旋法はユダヤの歌にもぴったり。伴奏しているカーヌーンのような楽器は、ギリシアのカノナキだと思います。残った一曲、モレニカのライブ映像はなさそうです。(以下放送原稿を再度)

オスマン帝国に住んでいたセファルディの子守歌で、エキゾチックなヒジャーズ旋法の曲です。妻が子供を寝かしつけながら、愛人のところから帰ってきた夫をなじっている部分があるとのことです。

Savina Yannatou - Nani Nani

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2020年11月26日 (木)

サヴィナ・ヤナトゥ&サロニカの春のライブ映像

今日はサヴィナ・ヤナトゥ&サロニカの春の生映像を3本、Los Bilbilicos、Tres Hermanicas Eran、Una Matica de Rudaの順です。放送での解説文を再度添えておきます。今回調べていてロス・ビルビリコスがペルシアのBolbolから来ていたというのが、個人的には一番の収穫でした。うかつにも今まで気付いてなかったので。この曲のイメージが変わりました。

Savina Yannatou - Los Bilbilicos

ロス・ビルビリコスという曲は、ペルシア語のBolbolに似た綴りにピンとくる人もいらっしゃるのではと思いますが、ナイチンゲール(小夜鳴鳥)のことで、Global Villageから2枚セファルディの歌のCDを出していたジュディ・フランケルの解説では、この歌をギリシアのロードス島出身のセファルディの婦人の歌で聞いたとありました。一聴で忘れられない印象を覚えるセファルディらしい歌です。

Savina Yannatou - Tres Hermanicas Eran

セファルディの歌の名盤であるホアキン・ディアスやジュディ・フランケルのCDにも入っていたトレ・ゼルマニカス・エラン(三姉妹、あるいは3人の妹)という曲は、ジュディ・フランケルはスペインで聞いたそうですが、やはり歌詞の中にギリシアのロードス島が出て来ます。これも非常に美しい曲ですが、ジュディ・フランケルの方と旋律が異なっていますので、二人の音源を続けてかけてみます。歌詞はどちらもイサーク・レヴィの「ユダヤ・スペインの歌」から取られています。

Savina Yannatou - UNA MATICA DE RUDA (Sephardi song - 12th c. Spain)

ウナ・マティカ・デ・ルーダ(ヘンルーダの一株)は、有名な婚礼のロマンセで、ロマンセというのは、セファルディの歌では物語り歌を指し、叙事詩、バラッドなどの四行詩を同じ旋律を繰り返しながら歌うジャンルです。ヘンルーダとは芸香(うんこう)のことで、セファルディの言い伝えでは新婚夫婦に吉をもたらすものとされています。

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2020年11月25日 (水)

2つのTres Hermanicas

トレ・ゼルマニカス・エランですが、2つの旋律を聞いたことがあります。サヴィナ・ヤナトゥとホアキン・ディアスは同じ、ジュディ・フランケルは違うメロディです。どちらも美しい曲ですが、なぜ二つあるのでしょうか。他のセファルディの歌にもこういう例があったと思います。下の方にジュディ・フランケルのライナーにあった英訳を入れました。一人の娘が道に迷うと、何故父はロードスに送ったのでしょうか。ロードスがどういう所だったのかが気になります。2本目はジュディ・フランケル、3本目はホアキン・ディアスの演奏です。(以下放送原稿を再度)

セファルディの歌の名盤であるホアキン・ディアスやジュディ・フランケルのCDにも入っていたトレ・ゼルマニカス・エラン(三姉妹、あるいは3人の妹)という曲は、ジュディ・フランケルはスペインで聞いたそうですが、やはり歌詞の中にギリシアのロードス島が出て来ます。これも非常に美しい曲ですが、ジュディ・フランケルの方と旋律が異なっていますので、二人の音源を続けてかけてみます。歌詞はどちらもイサーク・レヴィの「ユダヤ・スペインの歌」から取られています。

<5 Savina Yannatou / Primavera En Salonico ~Tres Hermanicas Eran 3分42秒>
Σαβίνα Γιαννάτου - Tres Hermanicas Eran Τρείς αδελ | Official Audio Release

<2 Judy Frankel / Sephardic Songs of Love and Hope ~Tres Hermanicas 4分50秒>
Tres Hermanicas

Tres hermanicas eran

There were three little sisters.
Whites of pink, Ay, branches of rose.
There were three little sisters, there are three little sisters.
Two of them were married, one of them went astray.
Her father, with shame, sent her to Rhodes.
In the middle of the way, he built her a castle with small stones and with little pebbles all around it.
A man found out and he went to sea.
Swimming and sailing he reached the castle.
Let down your tresses so I can climb up.
She let down her tresses and he climbed up.
She brought out food for him and he asked her for water.
There was no water in the house. She went out to the fountain.
In the middle of the road the girl fell asleep.
The nobleman passed that way. He gave her three kisses.
One on each cheek and one on her heart.
If may beloved finds out, I deserve to die.
Don`t destroy yourself, may darling, for I am your beloved.

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2020年11月23日 (月)

サヴィナ・ヤナトゥと「サロニカの春」

ゼアミdeワールド235回目の放送、日曜夜10時にありました。25日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画はロス・ビルビリコスのみにしておきます。

ギリシアの16回目になります。前回サロニカ(テッサロニキ)のセファルディの歌のDavid Saltielの盤を取り上げて、重要なセファルディの音源を思い出しまして、ここで取り上げないとこの後は良い機会がないと思いましたので、もう一回ギリシアのセファルディ音源をご紹介します。
前にハジダキスの曲をかけた女性歌手サヴィナ・ヤナトゥの「サロニカの春」Ανοιξη στη Σαλονίκη ( Anixi Sti Salonici 1995年)というギリシアLyraの盤で、テッサロニキ(サロニカ)で歌われていたセファルディムの伝承曲を研究していたテッサロニキ大学のクセノフォン・ココリス教授の委嘱により、セファルディ音楽の復元プロジェクトに取り組み、1995年にリリース。この時のレコーディングメンバーによりプリマヴェーラ・エン・サルニコ(サロニカの春) Primavera En Salonico が結成されています。後にサヴィナ・ヤナトゥとサロニカの春で、ユダヤの音楽に限らず、主に東地中海各地の歌を集めた素晴らしい注目作が何枚も続けてリリースされました。
サヴィナ・ヤナトゥ自身はスペイン系ユダヤ人(セファルディ)ではないと思いますが、セファルディの歌の非常に美しい旋律と節回しを、リリカルな歌声で見事に表現しています。セファルディの歌が特に注目を浴び始めたのは、1492年のスペインからの追放から500周年に当たる1992年前後だったと思います。この頃セファルディの歌のCDリリースが相次ぎ、サヴィナ・ヤナトゥの盤もそれから間もない時期でした。1996年のゼアミ開店当時かなり売れていた盤で、まだカタログ販売のみでHPを作っていない頃でしたので、その後入荷が不安定になったこの盤はHPには載せていませんでした。
セファルディの歌の中でも特に有名な曲が5曲程ありますので、間に短く解説を入れながら続けておかけします。

3曲目のロス・ビルビリコスという曲は、ペルシア語のBolbolに似た綴りにピンとくる人もいらっしゃるのではと思いますが、ナイチンゲール(小夜鳴鳥)のことで、Global Villageから2枚セファルディの歌のCDを出していたジュディ・フランケルの解説では、この歌をギリシアのロードス島出身のセファルディの婦人の歌で聞いたとありました。一聴で忘れられない印象を覚えるセファルディらしい歌です。

<3 Savina Yannatou / Primavera En Salonico ~Los Bilbilicos 4分11秒>
Σαβίνα Γιαννάτου - Los Bilbilicos - Τα Aηδονάκια | Official Audio Release

前回時間が余ればかけようと思っていたLa llamada de la morenaという曲は、一般にMorenicaというタイトルで良く知られているセファルディ民謡で、サヴィナ・ヤナトゥの盤にも入っていますので、おかけしておきます。モレニカとはDark Beautyの意味だそうです。

<4 Savina Yannatou / Primavera En Salonico ~Morenica 3分>

セファルディの歌の名盤であるホアキン・ディアスやジュディ・フランケルのCDにも入っていたトレ・ゼルマニカス・エラン(三姉妹、あるいは3人の妹)という曲は、ジュディ・フランケルはスペインで聞いたそうですが、やはり歌詞の中にギリシアのロードス島が出て来ます。これも非常に美しい曲ですが、ジュディ・フランケルの方と旋律が異なっていますので、二人の音源を続けてかけてみます。歌詞はどちらもイサーク・レヴィの「ユダヤ・スペインの歌」から取られています。

<5 Savina Yannatou / Primavera En Salonico ~Tres Hermanicas Eran 3分42秒>
<2 Judy Frankel / Sephardic Songs of Love and Hope ~Tres Hermanicas 4分50秒>

ウナ・マティカ・デ・ルーダ(ヘンルーダの一株)は、有名な婚礼のロマンセで、ロマンセというのは、セファルディの歌では物語り歌を指し、叙事詩、バラッドなどの四行詩を同じ旋律を繰り返しながら歌うジャンルです。ヘンルーダとは芸香(うんこう)のことで、セファルディの言い伝えでは新婚夫婦に吉をもたらすものとされています。

<8 Savina Yannatou / Primavera En Salonico ~Una Matica de Ruda 2分52秒>

オスマン帝国に住んでいたセファルディの子守歌で、エキゾチックなヒジャーズ旋法の曲です。妻が子供を寝かしつけながら、愛人のところから帰ってきた夫をなじっている部分があるとのことです。
もし時間が余りましたら、テッサロニキに伝わる古いセファルディの歌、ジャコも聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<11 Savina Yannatou / Primavera En Salonico ~Nani Nani 4分31秒>

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2020年11月20日 (金)

サロニカ(テッサロニキ)のセファルディとセイレーン

David Saltielについては、オリエンテ・ムジーク盤の英文ライナーを丹念に読むしかないのでしょうが、余りに字が小さいもので追いついていません(笑) この人の歌唱とバックの演奏は、とてもオスマン音楽色を強く感じます。なお、放送では「6月頃にビエンベニーダ・ベルタ・アグアド他の歌唱でかけた曲」と言ってしまいましたが、正しくはInedit盤のもう一人の女性歌手Loretta《Dora》Gerassiでした。低音で唸る声が、何ともこの曲にピッタリでした。この曲はジュディ・フランケルの盤ではEn la Mar (海の中で)となっていました。これもしっくりくるタイトルです。今日の2本目はそのLoretta《Dora》Gerassiの歌唱で、左の大柄な女性がロレッタさんです。(以下放送原稿を再度)

ギリシア北東部のサロニカ(テッサロニキ)のセファルディの歌ですが、ドイツのOriente MusikからDavid Saltielの盤が98年に出ていますので、こちらからLa serenaをおかけします。6月頃にビエンベニーダ・ベルタ・アグアド(正しくはLoretta《Dora》Gerassi)とVoice of the Turtleの歌唱でかけた曲です。
アテネが古代ギリシアを象徴する街なのに対して、中世の東ローマ帝国時代のギリシアを象徴する街で、初期キリスト教とビザンチン様式の建造物が点在するテッサロニキは、首都アテネに次いでギリシアで2番目に大きな都市です。使徒パウロが書いたとされる、新約聖書の「テサロニケの信徒への手紙」にその名が見えるように、キリスト教の拡大の中心として重要で、古くからユダヤ人のコミュニティーがありました。テッサロニキは近世以降セファルディ系ユダヤ人の最大の中心となり、「バルカンのエルサレム」と言う愛称が町に付けられていた程だそうです。
La serena(セイレーン)とは「サイレン」の語源ですが、ホメロスのオデュッセイアやギリシア神話では、海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破に遭わせる、上半身が人間の美しい女性で、下半身は鳥の姿の海の怪物を指しますが、Voice of the Turtleの対訳歌詞では「もし海がミルクで出来ていて、私が漁師だったら、私は愛の言葉で不幸を釣るだろう」と、匂わせる所で終わっていました。この歌のルーツはボスニアのサライェヴォにあるそうですが、ここではギリシアのセファルディがセイレーンを歌ったと言うことで、最もルーツの地に近いということになるでしょうか。他の歌唱では短調でしたが、ここでは部分的に長調の旋律になっていて、オスマン風な伴奏が付いています。

<2 David Saltiel / Canciones Judeo Espanoles de Tesalonica ~La serena 7分11秒>
David Saltiel - La Serena

La serena..wmv

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2020年11月19日 (木)

Aurora Morenoの歌声

アウロラ・モレーノのアイナダマールを初めて見たのは、1990年に白夜書房から出た「エスニック・ディスク・ガイド ぱお600」でした。その前にヨーロピアン・トラディショナル・コレクションの1枚としてキングレコードから出て、その盤が手元にあります。原盤はスペインのTecnosagaから出ていて、98年にスペインのSeveralから再発され、この盤はゼアミでも入れたことがあります。何しろ出たのが30年も前ですから期待していませんでしたが、当時の動画もありました。最近も活動されているかどうかと、プロフィールについてもなかなか分からないのが残念です。ヤ・ファティンのギリシア歌謡っぽいという形容は上記のキング盤の解説で読んだコメントで、30年間ずっと記憶に残っていました。個人的にはこの盤で一番好きな曲です。動画の方は1989年の生映像です。(以下放送原稿を再度)

ギリシアのセファルディ(スペイン系ユダヤ人)の歌ですが、ギリシア北東部のサロニカ(テッサロニキ)のセファルディの音源がありますが、その前にスペイン(あるいはモロッコのセファルディ)の女性歌手ですが、アウロラ・モレーノが1990年にリリースしたセファルディ・アルバムにギリシアっぽい曲がありますので、ここでかけておきたいと思います。ヤ・ファティン(若者)という曲で、後半のナツメロのような部分は、往年のギリシア歌謡を聞くような感じがあります。

<6 Aurora Moreno / Aynadamar ~Ya Fatin 3分55秒>
Ya Fatin

Aurora Moreno - Live at Folkfestival Bonn 1989

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2020年11月18日 (水)

ヴァンゲリスの受難曲

ヴァンゲリス&イレーネ・パパスの「ラプソディー」のこの曲には、いかにもエーゲ海らしい風景を思い描いていましたが、受難の曲だったことは今回調べて初めて知り、驚きました。イレーネ・パパスも、映画「ナバロンの要塞」に出ていたギリシア美人というイメージのみでしたが、今年で94歳だったことも初めて知りました。まぁアンソニー・クインと共演する位ですから。(以下放送原稿を再度)

映画「ブレードランナー」のサントラなどで有名なギリシアのシンセサイザー奏者ヴァンゲリスが、ギリシアの名女優兼歌手のイレーネ・パパスと組んで1986年にリリースしたアルバム「ラプソディー」から、O! Gliki Mou Earという曲です。ギリシア正教の音楽やギリシア民謡を素材に自身のルーツに迫った大作で、"Oh, My Sweet Springtime"「ああ、私の甘い春」と訳せるこの曲は、明るい曲調からは想像が付き難いですが、亡くなった息子イエスの亡骸を見た聖母マリアの嘆きであり、イースターの前の金曜日によく歌われるそうです。ヴァンゲリスの本名はエヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウとのことです。

<2 Vangelis / Rhapsodies ~O! Gliki Mou Ear 8分42秒>
Vangelis Papathanasio & Irene Papas O Gliki Mou Ear


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2020年11月16日 (月)

不断に流れる雲

ゼアミdeワールド234回目の放送、日曜夜10時にありました。18日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画はアリストファネスの『雲』のみにしておきます。ヴァンゲリスとイレーネ・パパスは水曜に、セファルディの2枚は木金の予定です。

ギリシアの15回目になります。次回からエーゲ海の島ごとの地方音楽に移ろうと思いますが、その前に今回はこれまで漏れていた音源から拾って行きたいと思います。まずはパニアグアの古代ギリシアの音源から、謎めいたタイトルの曲がずっと気になっていましたので、この一曲だけかけておきます。アエナオイ・ネフェライ(不断に流れる雲)という曲ですが、ソクラテスに仮託する形でソフィストを風刺した古代アテナイの喜劇詩人、風刺詩人アリストファネスの代表作『雲』に関する曲と思われます。

<10 Aenaoi Nefelai(アエナオイ・ネフェライ(不断に流れる雲)) 1分28秒>
Ancient Greek Music - Aristophanes: Aenaoi Nefelai (from comedy The Clouds)

次は映画「ブレードランナー」のサントラなどで有名なギリシアのシンセサイザー奏者ヴァンゲリスが、ギリシアの名女優兼歌手のイレーネ・パパスと組んで1986年にリリースしたアルバム「ラプソディー」から、O! Gliki Mou Earという曲です。ギリシア正教の音楽やギリシア民謡を素材に自身のルーツに迫った大作で、"Oh, My Sweet Springtime"「ああ、私の甘い春」と訳せるこの曲は、明るい曲調からは想像が付き難いですが、亡くなった息子イエスの亡骸を見た聖母マリアの嘆きであり、イースターの前の金曜日によく歌われるそうです。ヴァンゲリスの本名はエヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウとのことです。

<2 Vangelis / Rhapsodies ~O! Gliki Mou Ear 8分42秒>

次はギリシアのセファルディ(スペイン系ユダヤ人)の歌ですが、ギリシア北東部のサロニカ(テッサロニキ)のセファルディの音源がありますが、その前にスペイン(あるいはモロッコのセファルディ)の女性歌手ですが、アウロラ・モレーノが1990年にリリースしたセファルディ・アルバムにギリシアっぽい曲がありますので、ここでかけておきたいと思います。ヤ・ファティン(若者)という曲で、後半のナツメロのような部分は、往年のギリシア歌謡を聞くような感じがあります。

<6 Aurora Moreno / Aynadamar ~Ya Fatin 3分55秒>

ギリシア北東部のサロニカ(テッサロニキ)のセファルディの歌ですが、ドイツのOriente MusikからDavid Saltielの盤が98年に出ていますので、こちらからLa serenaをおかけします。6月頃にビエンベニーダ・ベルタ・アグアドとVoice of the Turtleの歌唱でかけた曲です。
アテネが古代ギリシアを象徴する街なのに対して、中世の東ローマ帝国時代のギリシアを象徴する街で、初期キリスト教とビザンチン様式の建造物が点在するテッサロニキは、首都アテネに次いでギリシアで2番目に大きな都市です。使徒パウロが書いたとされる、新約聖書の「テサロニケの信徒への手紙」にその名が見えるように、キリスト教の拡大の中心として重要で、古くからユダヤ人のコミュニティーがありました。テッサロニキは近世以降セファルディ系ユダヤ人の最大の中心となり、「バルカンのエルサレム」と言う愛称が町に付けられていた程だそうです。
La serena(セイレーン)とは「サイレン」の語源ですが、ホメロスのオデュッセイアやギリシア神話では、海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破に遭わせる、上半身が人間の美しい女性で、下半身は鳥の姿の海の怪物を指しますが、Voice of the Turtleの対訳歌詞では「もし海がミルクで出来ていて、私が漁師だったら、私は愛の言葉で不幸を釣るだろう」と、匂わせる所で終わっていました。この歌のルーツはボスニアのサライェヴォにあるそうですが、ここではギリシアのセファルディがセイレーンを歌ったと言うことで、最もルーツの地に近いということになるでしょうか。他の歌唱では短調でしたが、ここでは部分的に長調の旋律になっていて、オスマン風な伴奏が付いています。

<2 David Saltiel / Canciones Judeo Espanoles de Tesalonica ~La serena 7分11秒>

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

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2020年11月13日 (金)

フリストドゥーロス・ハラリスの古代ギリシアの音楽

今日は丸々ハラリスの古代ギリシアの音楽です。この人の演奏は、どうしても90年に聞いたオラータのビザンティン世俗音楽に近く聞こえてしまうところがありますが、そんな中でエウリピデスのオレステスと、先日のデルフィの讃歌2番は、秀逸な演奏だと思いました。CD丸々上がっている動画もありますが、個別に4本上げておきました。(以下放送原稿を再度)

古代音楽風な印象の強いパニアグアの演奏と比較すると、フリストドゥーロス・ハラリスの古代ギリシアの音楽の方は、結構ビザンティン音楽寄りの伴奏が付いているように思います。この盤は売り切れで資料が手元に残ってないので、アップルミュージックから音出ししておりまして、解説は参照できておりません。
ギリシア悲劇の三大詩人の一人、エウリピデスの代表作「オレステス」の最初の合唱という曲が2曲目にありますので、こちらからおかけします。

<2 Music of Ancient Greece ~First Chorus from the €œOrestes†Tragedy of Euripides 3分37秒>
Music of Ancient Greece- Orestes Tragedy-Eurypides - Halaris

パニアグア盤でかけました「太陽神への讃歌」と「セイキロスの墓碑銘」や、先週かけた「ミューズへの讃歌」も、ハラリス盤にも入っていますので、「セイキロスの墓碑銘」「ミューズへの讃歌」「太陽神への讃歌」の順におかけします。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。もし入れば「太陽神への讃歌」を時間までおかけします。「ミューズ(ムーサ)への讃歌」については、「英語のmusicの語源はゼウスの娘、女神ムーサに由来していて、ムーサは創造神であり、知の守護神でした。」と、前回コメントを入れました。

<7 Epitaph of Sikelos 2分14秒>
Music of Ancient Greece - Epitaph of Sikelos - by Halaris

<9 Hymn to the Muse 2分33秒>
Hymn to the Muse

<8 Hymn to the Sun 5分36秒>
Hymn to the Sun

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2020年11月12日 (木)

古代ギリシアの竪琴リラと、オスマン・トルコのヤイリ・タンブール

少し前に目に留まった動画ですが、古代ギリシアの竪琴リラの弾き語りを、主にオスマン・トルコの音楽で用いられる擦弦楽器ヤイリ・タンブールが伴奏する映像がありました。これは珍しい組み合わせで、音楽は少しインド音楽風にも聞こえます。ヘレニズムの時代には、インドまで視野に入っていたので、あり得る組み合わせかも知れません。この動画をアップしているのは、Seikilo Music and Moreとありますから、昨日のヘレニズム時代のセイキロスの曲との出会いから始まったのではと思われます。ヤイリ・タンブール奏者のTolis Preponisは、ヴァイオリンも弾くようです。見てみたいものですが、すぐには見つからずでした。

Aroma - Ancient Greek lyre and Yayli Tambur - Thanasis Kleopas

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2020年11月11日 (水)

セイキロスの墓碑銘

パニアグヮ、ハラリスの両方の古代ギリシアの音楽の演奏に入っていた「セイキロスの墓碑銘」と言う曲ですが、今日の動画の解説によると、この詩が刻まれた大理石の石碑は、1883年トルコのアイディン近郊で発見されたそうです。この曲は紀元前200年から紀元後100年の間に作られたとみられ、この時期はヘレニズムの時代で、セイキロスは当時活躍した叙情詩人とのこと。彼の妻、エウテルペーに捧げられています。(詩の後、エピタフに、Σείκιλος-Ευτέρπη「セイキロスからエウテルペーへ」と書いています) この曲は古代ギリシア語の表記を使用していて、ピッチ(音の高さ)は音節の上に文字として書かれ、音符の長さは記号で示されています。通常は竪琴で伴奏されたようです。パニアグヮ、ハラリス以外に沢山の演奏が出て来ています。ハラリスはこの曲だけでは見当たらないようですが、パニアグヮの方はありましたので、3本目に入れました。

Seikilos epitaph (Σεικίλου Σκόλιον): Ancient Greek Music (100 A.D.) / Gabriel Garrido


Seikilos Epitaph ( the earliest complete tune ) Greek 200BC


Epitaphe de Seikilos

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2020年11月 9日 (月)

デルフィの讃歌

ゼアミdeワールド233回目の放送、日曜夜10時にありました。11日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画は肝になる曲「デルフィの讃歌」だけにしておきます。デルフィの讃歌の第1と第2は、紀元前138年と紀元前128年に書かれた最も古い西洋の音楽と言われています。放送でかけた音源では第2でしたが、ここでは第1になっています。旋律は同じものです。アップルミュージックでは曲の表示が入れ替わっていることが時々あるので、YouTubeが正しいのでしょうか。この旋律はパニアグヮの方にはなかったと思います。

ギリシアの14回目になります。今回はビザンティン世俗音楽シリーズで有名なフリストドゥーロス・ハラリスの演奏をメインに、古代ギリシアの音楽の音源2枚からご紹介したいと思いますが、まずは前回グレゴリオ・パニアグヮとアトリウム・ムジケーの演奏でかけられなかった3曲からご紹介します。タイトルを見るだけで興味深い、06:太陽神への讃歌、11:セイキロスの墓碑銘の2曲からどうぞ。

<6 Hymne Au Soleil 1分58秒>
<11 Epitaphe de Seikilos 1分54秒>

この盤は曲によってはスペイン語で語っている部分もありますが、9曲目のパピルス・ミシガンという曲は古代ギリシア語で語るように歌っています。アメリカのミシガン州に関係があるパピルスのようです。解読された場所がミシガンということでしょうか?

<9 Papyrus Michigan 4分8秒>

前回も言いましたが、古代ギリシアの時代にもちろん五線譜はありませんので、パピルスや大理石に残された音楽の断片から想像力豊かに展開している音楽と言えると思います。12平均律的には外れて聞こえる音もありますので、ピタゴラス音律の観点から聞いても面白いと思います。古代の音楽は、洋の東西を問わず、どこか遠くで繋がっているのかと思うくらい、日本の一部の伝統音楽や復元された縄文音楽などとも共通する響きがあるように思います。

そんな古代音楽風な印象の強いパニアグアの演奏と比較すると、フリストドゥーロス・ハラリスの古代ギリシアの音楽の方は、結構ビザンティン音楽寄りの伴奏が付いているように思います。この盤は売り切れで資料が手元に残ってないので、アップルミュージックから音出ししておりまして、解説は参照できておりません。
ギリシア悲劇の三大詩人の一人、エウリピデスの代表作「オレステス」の最初の合唱という曲が2曲目にありますので、こちらからおかけします。

<2 Music of Ancient Greece ~First Chorus from the €œOrestes†Tragedy of Euripides 3分37秒>

ハラリス盤にはパニアグア盤と共通の曲もありまして、第1と第2の「デルフィの讃歌」は、パニアグア盤の方では「デルフォイのアポロン讃歌」となっていた曲と同じパピルスなどの資料から復元された曲かと思います。3曲目に入っている第2のデルフィの讃歌を次におかけします。この曲はハルモニア・ムンディ・フランスからリリースされパニアグア盤と並んで話題になった「旧約聖書の音楽」と似た哀歌風な音調にも聞こえまして、どちらの旋法が先にあったのか分かりませんが、似通って聞こえる部分もあります。西洋文明の2大源泉であるヘレニズムとヘブライズムが重なってイメージされる曲です。

<3 Second Delphic Hymn 6分19秒>

First Delphic Hymn - Christodoulos Halaris (Music of Ancient Greece)


最初にパニアグア盤でかけました「太陽神への讃歌」と「セイキロスの墓碑銘」や、先週かけた「ミューズへの讃歌」も、ハラリス盤にも入っていますので、「セイキロスの墓碑銘」「ミューズへの讃歌」「太陽神への讃歌」の順におかけします。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。もし入れば「太陽神への讃歌」を時間までおかけします。「ミューズ(ムーサ)への讃歌」については、「英語のmusicの語源はゼウスの娘、女神ムーサに由来していて、ムーサは創造神であり、知の守護神でした。」と、前回コメントを入れました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 Epitaph of Sikelos 2分14秒>
<9 Hymn to the Muse 2分33秒>
<8 Hymn to the Sun 5分36秒>

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2020年11月 6日 (金)

ソ、ソ、ソクラテスからプラトン、ピタゴラスまで

今日のタイトルでぴんと来る人は、一定の年代以上でしょう(笑) ニーチェではなくピタゴラスですが。昨日「アリストテレスの精神」を見たら、次々出てきました(笑) そういう仕掛けになっているのでしょうか。しかし、ソクラテス以前の神秘主義教団の祖、ピタゴラスまで登場するとは! 数学者、哲学者のピタゴラスは、一般にはピタゴラスの定理とピタゴラスイッチで知られているだけかも知れませんが、音律に付いても有名で、アリストテレスの形而上学でも言及されています。このシリーズは、FMレコーズが軽・伝統音楽家の紹介とギリシア観光促進の一環で作ったのかも知れません。曲によってかなりポップなアレンジも入りますが、素材はパピルスから蘇った古代の旋律も入っているのは確か。動画はピタゴラスの精神を一番に持ってきました。ウィキペディアによると「ピタゴラスが組織した教団は秘密主義で、内部情報を外部に漏らすことを厳しく禁じ、違反者は船から海に突き落として死刑にした。そのため教団内部の研究記録や、ピタゴラス本人の著作物は後世に一点も伝わっていない。」そうです。

Ancient Greek Music Vol.4 - The Spirit Of Pythagoras


Ancient Greek Music Vol.2 | Spirit Of Socrates


Ancient greek music (Vol.3//Plato//Official Audio)

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2020年11月 5日 (木)

アリストテレスの精神

古代ギリシアの音楽は、先週のグレゴリオ・パニアグヮと、次回予定のフリストドゥーロス・ハラリスの音源がありましたが、ギリシア伝統音楽の名盤を多く出しているギリシアの名門レーベルFM Recordsからの動画に、古代ギリシアの哲学者アリストテレスと、古代ギリシアの哲学者たちの精神と題する2本のYouTubeがありました。あのFM Recordsですから見過ごせません。CDも出ていたのかも知れませんが、見た記憶がありません。曲は放送でかけた2つの音源と共通するパピルスや大理石の資料からの復元曲もありますが、アリストテレスの方では、アレクシーウやタンブーリ・ジェミル・ベイの演奏でかけたマンタレーナのような、オスマン時代の曲も混じっています。全ての音源に共通する古代の響きが感じられるのは、「デルフィの讃歌」だけかも知れません。
放送でかけた2つの音源を聞いていて、サティのジムノペディを思い出す部分もありました。『ジムノペディ』は、青少年を大勢集めて全裸にして踊らせて、古代ギリシアのアポロンやバッカスなどの神々をたたえる「ギュムノパイディア」(古代ギリシア語: Γυμνοπαιδίαι)という祭典に由来しているというイメージがあったからだと思いますが、これはYouTube上では手掛かりのある動画の捜索が難しそうです。

Ancient Greek Music Vol.1 | Spirit Of Aristotle


The Spirit Of Ancient Greek Philosophers

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2020年11月 4日 (水)

Gregorio Paniaguaのその後

古代ギリシアの音楽や、アラブ・アンダルシア音楽など注目の音楽をいち早く手掛け、古楽アンサンブルのアトリウム・ムジケーは1980年代前半で解散してしまいました。グレゴリオ・パニアグヮの弟のエドゥアルド・パニアグァを筆頭に、ソロ活動に向かっていきました。エドゥアルドは一連のPneumaの盤で、古楽~民族音楽界に名を残し、ウィキペディアも彼のものはありましたが、奇才と謳われた兄のグレゴリオ・パニアグヮはウィキペディアも本国スペインですら見当たらないというのは、どういうことでしょうか。今日の動画のような奇抜な方向に向かったという話は、もう30年ほど前に聞いたように思います。エドゥアルド・パニアグァが今年で68歳ですから、兄は70は越えているはず。因みに、私が80年代前半に初めて聞いたアトリウム・ムジケーの演奏は、2本目の臀上の音楽でした。

Gregorio Paniagua - Batiscafo (Full Album / Álbum completo)


Atrium Musicae Dir Gregorio Paniagua 01 Introitus, Obstinato I Organa, Codex Gluteo

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2020年11月 2日 (月)

古代ギリシアの音楽

ゼアミdeワールド232回目の放送、日曜夜10時にありました。4日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。パニアグヮの動画は、個別の曲では余り見当たらないので、丸ごと全て入っている一本を上げておきます。

Musique de la Grèce antique


ギリシアの13回目になります。古代ギリシアの音楽の音源2枚からご紹介したいと思いますが、今回の音源は、スペイン古楽界の鬼才グレゴリオ・パニアグヮとアトリウム・ムジケーの1978年の演奏、もう一枚は、前回のビザンティン世俗音楽シリーズで有名なギリシアのフリストドゥーロス・ハラリスの演奏です。ハラリスの方は、次回になると思います。

ヨーロッパ文化を特徴づけている哲学、科学、芸術は古代ギリシアに起源を持っていて、音楽もまた然りです。英語のmusicの語源はゼウスの娘、女神ムーサに由来していて、ムーサは創造神であり、知の守護神でした。

古代ギリシアの時代にもちろん五線譜はありませんので、パピルスや大理石に残された音楽の断片から想像力豊かに展開している音楽と言えると思います。12平均律的には外れて聞こえる音もありますので、ピタゴラス音律の観点から聞いても面白いと思います。パニアグヮの演奏は、優秀録音でも有名で、マドリード郊外に持つ彼の工房で、36種類もの古代ギリシアの楽器を復元して録音しています。ハルモニア・ムンディ・フランスの大ヒットアルバムの一つです。

36種の中から注目の使用楽器を上げると、
1.エピゴネイオン:40弦をもつ、古代ギリシャ最大の撥弦楽器。ひざの上に横向きに乗せ指ではじいて演奏する。
5.プサルテリオン ここではプレクトロン(義甲)を用いず、指のみで弾くハープ形の弦楽器を広くさす。
7.テュンパノン:打楽器。両側に皮膜を張った円筒形の本体をもつ。ふつうディオニュソス祭祀のときに女性によって演奏された。
9.キタラ:古代ギリシャを代表する撥弦楽器。アマチュアの弾くリラにくらべ、キタラは職業音楽家の楽器とされ、共鳴胴も幅広く、音色もいっそう充実している。7弦が基本。調和、節度というアポロン的理想を表現する楽器とされる。
10.キュンバ:シンバル。ディオニュソスの祭祀で用いられる。
13.アウロス:もっとも代表的な管楽器。ふつう2本の管が一体を成し、それぞれにダブル・リードと4~15の指穴をもつ。鋭い音色によって、熱狂的なディオニュソスの世界を表現する。ディスクでは各種のアウロスが使い分けられている。(現代の縦笛にアウロスの名前が残っています)
16.セイストロン:シストルム。柄のついた馬蹄形の金属枠を振り、そこにはめこまれた金属片を打ち鳴らす。古代エジプトに由来し、多くの種類がある。
19.シリンクス:パンの笛。長さの異なる閉管の縦笛を高さの順に並べたもの。
21.パンドゥーラ:3本の弦をもつ、長柄のリュート。トリコルドンとも呼ばれる。(グルジアに残る)
26.カノン:ピタゴラスが発明したといわれる、単弦の楽器。音程比の測定に利用された。モノコルド。
28.フォルミンクス:吟遊詩人によって演奏された、原始的なリラ。最古の弦楽器といわれる。
32.ヒュドラウロス:水力オルガン。クテシボイスまたはアルキメデスの発明といわれる。パンの笛に水圧で風を送ったもの。
33.リラ(リュラ):キタラの単純化された楽器。演奏もずっと容易である。ふつう4弦か7弦。(ライアーの原型?)

まずは、3曲目まで続けておかけします。
01:序奏-[オレステーヌ]のスタシモン  02:コントラポリノポリスの器楽曲断片  03:デルフォイのアポロン讃歌第1 と続きます。

<1 Anakrousis - Orestes Stasimo 3分7秒>
<2 Fragments Instrumentaux de Contrapollinopolis 1分2秒>
<3 Premier Hymne Delphique À Apollon 4分54秒>

先ほど「英語のmusicの語源はゼウスの娘、女神ムーサに由来していて、ムーサは創造神であり、知の守護神でした。」とコメントを入れましたので、7曲目の「ミューズ(ムーサ)への讃歌」もおかけしておきます。

<7 Hymne À la Muse 1分>

他にタイトルを見るだけで興味深いのが、06:太陽神への讃歌、11:セイキロスの墓碑銘、16:オクシュリンコスのキリスト教聖歌、17:ホメロスの讃歌、18:パピルス・ゼノン、カイロ断片、辺りです。キリスト教が興るのは紀元後ですから、大体は紀元前を想定していると思われる中で、16曲目は新しい歌になると思います。

<16 Hymne Chrétienne D'Oxyrhynchus 1分32秒>

次は、英雄叙事詩のイリアスとオデュッセイアで有名な「ホメロスの讃歌」というタイトルの17曲目ですが、ホメロスのテキストから歌っているかどうかは要調査です。オデュッセイアのウィキペディアには以下のようにありました。紀元前8世紀の吟遊詩人ホメロスの弾き語りを彷彿とさせる解説です。
ホメロスの叙事詩には、朗誦の開始において「ムーサへの祈り」の句が入っている。これは話を始める契機としての重要な宣言であり、自然なかたちで詩のなかに織り込まれている。『オデュッセイア』では、最初の行は次のようになっている。「Ἄνδρα μοι ἔννεπε, Μοῦσα, πολύτροπον, ὃς μάλα πολλὰ」原文の語順どおりに訳すと、「あの男のことを わたしに 語ってください ムーサよ 数多くの苦難を経験した「あの男」を…」
因みに、『オデュッセイア』の第6歌には、ナウシカのモデル、スケリア島(現在のケルキラ島(コルフ島))の王女ナウシカアーが登場し、第12歌では前にセファルディの歌でも引用しましたが「セイレーンの懺悔」で一般に知られるようになった?ファム・ファタールの典型、セイレーン(サイレンの語源)が登場します。

<17 Homero Hymnus 30秒>

次は「パピルス・ゼノン、カイロ断片」です。ヘレニズムの時代にはエジプトもギリシア語の世界だったことを思い出させるタイトルです。

<18 Papyrus Zenon. Cairo Fragment 51秒>

では最後に21曲目の「デルフォイのアポロンの讃歌第2」を聞きながら今回はお別れです。スペイン語と古代ギリシア語の混じった女性の語りに、静謐な古代風の調べが続きます。北インドのタブラのような打楽器の音が聞こえますが、古代ギリシアの打楽器のどれかが似た音なのだろうと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<21 Deuxième Hymne Delphique À Apollon 7分15秒>

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