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2020年11月30日 (月)

カルパトスとロードスから

ゼアミdeワールド236回目の放送、日曜夜10時にありました。2日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。ペントザリスと言えばクレタでしょ?と言うことなのですが、カルパトスとロードスから始めました。動画にはキングとアルバトロスと同じ音源はないと思いますので、ペントザリスではなくスースタですが、カルパトスのリラとラウートの激しいデュオを一本上げておきました。こんなに両楽器がよく見える映像は、意外になさそうです。

sousta karpathos

ギリシアの17回目になります。今回からエーゲ海の島ごとを中心にギリシアの地方音楽に移ろうと思います。キングのワールドルーツミュージックライブラリー150枚の一枚、「神々の宴~ギリシアの民族音楽」をベースにする予定ですが、この盤はエーゲ海だけでなく北部のエピルス地方やマケドニア、トラキア、更には黒海沿岸のトルコ北東部のギリシア人居住地区のポントスまで、非常に広域の音楽が入っています。イタリアのアルバトロス30選には、クレタ島、ドデカネス諸島、キプロス、ギリシア北部の4枚がありますので、これらと組み合わせていく予定です。
まずはクレタ島とトルコの間に点在するドデカネス諸島の音楽から見ていきます。エーゲ海と言えば、青い海と高台の白い建物のサントリーニ島の風景を真っ先にイメージする人が多いかと思いますが、サントリーニ島はギリシア本土に近いキクラデス諸島の島で、キクラデス諸島の音源はキングの盤のシルトスとナクソス島のバロスの2曲位で、意外に少ないです。ドデカネス諸島は、その南東方向に位置する列島です。ドデカネスとはギリシア語で「12の島」を意味しますが、実際には主要12島のほか約150の小島が含まれます。
個人的にはエーゲ海の音楽では、クレタ島のリラとラウートの激しい掛け合いが最も好みですが、かなり似通った音楽がクレタと東のロードス島の間に位置するカルパトス島でも聞けますので、キング盤の最初の2曲を続けておかけします。

<1 Monemvassia :カルパトス島の酒飲み歌 2分29秒>
<2 Maritsa's Tune :カルパトス島のカト・コロス・ダンス 2分57秒>

カルパトスだけの音源が、フランスのブダからありましたが、20年ほど前に廃盤になってしまったようです。イタリアのアルバトロス30選のドデカネス諸島の盤にはカルパトスは5曲入っていますので、その中からクレタ島起源で「5つのステップ」を意味する舞曲ペントザリスと、パノ・コロスを続けておかけします。ヴァイオリンで代用されず擦弦楽器リラが活躍するところは、クレタ音楽と共通しています。ラウートのかき鳴らしもそっくりです。ラウートとは、フレットのあるウードのような弦楽器で、ウードとリュートの中間のような楽器です。

<11 ペントザリス 2分21秒>
<15 パノ・コロス 4分9秒>

トルコに近いロードス島の音源はアルバトロス盤に3曲入っています。ロードスと言うと、日本では男性化粧品のイメージが強いかも知れませんが、古代にはギリシアの文明が花開き、中世以降はイスラム世界に対してキリスト教世界の最前線に位置し、十字軍以降は聖ヨハネ騎士団ゆかりの島として知られています。前回言いましたようにセファルディも住んでいたようです。
ドデカネス諸島を代表する舞踊スーストの中でも、特に知られているのがこの明るいスースタと言う曲です。

<8 スースタ 3分18秒>

次の打弦楽器サントゥーリで独奏されるアマネス ケ・ジンベキコスと言う曲は、タイトルからギリシアのアマーンとトルコの8分の9拍子のゼイベクを連想させる曲で、ロードスだけでなくドデカネス全域でよく演奏されるそうです。

<9 アマネス ケ・ジンベキコス 2分31秒>

ドデカネス諸島には、他に「医学の父」ヒポクラテスの出生地であるコス島、使徒ヨハネが『ヨハネの黙示録』を記したとされるパトモス島などがありますが、このアルバトロス盤には他にコス島、シミ島、ニシロス島の音源が入っています。
コス島の音源は5曲も入っていて、この盤の冒頭を飾っているアンティマヒティコス シガノスを時間まで聞きながら今回はお別れです。通常結婚式で踊られる舞曲とのことです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 アンティマヒティコス シガノス 5分2秒>

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