デルフィの讃歌
ゼアミdeワールド233回目の放送、日曜夜10時にありました。11日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画は肝になる曲「デルフィの讃歌」だけにしておきます。デルフィの讃歌の第1と第2は、紀元前138年と紀元前128年に書かれた最も古い西洋の音楽と言われています。放送でかけた音源では第2でしたが、ここでは第1になっています。旋律は同じものです。アップルミュージックでは曲の表示が入れ替わっていることが時々あるので、YouTubeが正しいのでしょうか。この旋律はパニアグヮの方にはなかったと思います。
ギリシアの14回目になります。今回はビザンティン世俗音楽シリーズで有名なフリストドゥーロス・ハラリスの演奏をメインに、古代ギリシアの音楽の音源2枚からご紹介したいと思いますが、まずは前回グレゴリオ・パニアグヮとアトリウム・ムジケーの演奏でかけられなかった3曲からご紹介します。タイトルを見るだけで興味深い、06:太陽神への讃歌、11:セイキロスの墓碑銘の2曲からどうぞ。
<6 Hymne Au Soleil 1分58秒>
<11 Epitaphe de Seikilos 1分54秒>
この盤は曲によってはスペイン語で語っている部分もありますが、9曲目のパピルス・ミシガンという曲は古代ギリシア語で語るように歌っています。アメリカのミシガン州に関係があるパピルスのようです。解読された場所がミシガンということでしょうか?
<9 Papyrus Michigan 4分8秒>
前回も言いましたが、古代ギリシアの時代にもちろん五線譜はありませんので、パピルスや大理石に残された音楽の断片から想像力豊かに展開している音楽と言えると思います。12平均律的には外れて聞こえる音もありますので、ピタゴラス音律の観点から聞いても面白いと思います。古代の音楽は、洋の東西を問わず、どこか遠くで繋がっているのかと思うくらい、日本の一部の伝統音楽や復元された縄文音楽などとも共通する響きがあるように思います。
そんな古代音楽風な印象の強いパニアグアの演奏と比較すると、フリストドゥーロス・ハラリスの古代ギリシアの音楽の方は、結構ビザンティン音楽寄りの伴奏が付いているように思います。この盤は売り切れで資料が手元に残ってないので、アップルミュージックから音出ししておりまして、解説は参照できておりません。
ギリシア悲劇の三大詩人の一人、エウリピデスの代表作「オレステス」の最初の合唱という曲が2曲目にありますので、こちらからおかけします。
<2 Music of Ancient Greece ~First Chorus from the €œOrestes†Tragedy of Euripides 3分37秒>
ハラリス盤にはパニアグア盤と共通の曲もありまして、第1と第2の「デルフィの讃歌」は、パニアグア盤の方では「デルフォイのアポロン讃歌」となっていた曲と同じパピルスなどの資料から復元された曲かと思います。3曲目に入っている第2のデルフィの讃歌を次におかけします。この曲はハルモニア・ムンディ・フランスからリリースされパニアグア盤と並んで話題になった「旧約聖書の音楽」と似た哀歌風な音調にも聞こえまして、どちらの旋法が先にあったのか分かりませんが、似通って聞こえる部分もあります。西洋文明の2大源泉であるヘレニズムとヘブライズムが重なってイメージされる曲です。
<3 Second Delphic Hymn 6分19秒>
First Delphic Hymn - Christodoulos Halaris (Music of Ancient Greece)
最初にパニアグア盤でかけました「太陽神への讃歌」と「セイキロスの墓碑銘」や、先週かけた「ミューズへの讃歌」も、ハラリス盤にも入っていますので、「セイキロスの墓碑銘」「ミューズへの讃歌」「太陽神への讃歌」の順におかけします。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。もし入れば「太陽神への讃歌」を時間までおかけします。「ミューズ(ムーサ)への讃歌」については、「英語のmusicの語源はゼウスの娘、女神ムーサに由来していて、ムーサは創造神であり、知の守護神でした。」と、前回コメントを入れました。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<7 Epitaph of Sikelos 2分14秒>
<9 Hymn to the Muse 2分33秒>
<8 Hymn to the Sun 5分36秒>
| 固定リンク
「ギリシア」カテゴリの記事
- アルーマニアとサラカツァニ(2021.12.10)
- エピルスの多声歌(2021.01.15)
- 明るいミロロイとドイナ風のクラリネット(2021.01.14)
- ルメリアの音楽(2021.01.13)
- アル・スールのChristos Zotos & Skaros / Continental Greek Music(2021.01.11)
「ゼアミdeワールド」カテゴリの記事
- ギオラ・ファイドマンのHappy Nigun(2023.10.02)
- Francois Lilienfeld und Galizianer / Dayne Oygn(2023.09.25)
- Zahava Seewald & Psamim(2023.09.18)
- バハラフからバカラックへ(2023.09.11)
- クレズマー後半のズマーあるいはゼメル(歌)(2023.09.04)
コメント