« 2020年11月 | トップページ | 2021年1月 »

2020年12月

2020年12月30日 (水)

トラキアのディオニュソス信仰由来の火踊り

ディオニュソス信仰由来の火踊りのYouTube、ありました。火踊りで波乱の一年を締め括ることが出来ます。不幸を追い払う踊りと言うことですから、相応しい一本かと思います。来年は少しでも感染状況が良い方向に向かいますことを祈って。(厄祓いの火祭りと言う面では、信州・野沢温泉の道祖神祭りを思い出します)ブログは年内は今日が最後になります。新年は遅くても7日から書けると思いますが、私の番組の初放送は6日からですので、ツイッターの収録速報も6日からになります。ZeAmiとCafeトークトークの営業も今日30日からお休みで、新年は4日から始めます。それでは、皆さま良いお年をお迎え下さい。(以下放送原稿を再度)

ブルガリアの南に位置するトラキアの音源は、キング盤に2曲、アルバトロス盤に3曲入っていまして、コスティのグループの現在の居住地はマケドニアのテッサロニキの近くのようです。彼らはオスマン帝国時代はブルガリア南東部のトラキア地方のコスティにいたトラキア系ギリシア人のグループで、アルバトロスの方に彼らのディオニュソス信仰に由来すると言う火踊りの珍しい録音「小さなコンスタンティン ~アナステナーリア祭礼より」がありますので、時間まで聞きながら今回はお別れです。時間が余りましたら、14曲目の「修道士のコロス(合唱)」までおかけします。この仮面劇もディオニュソス信仰の痕跡を残しているそうです。
ディオニュソスと言うと、どうしてもニーチェを思い出してしまいます。ディオニュソス信仰は、ギリシアがキリスト教化する以前からの伝統ですが、現在はギリシア正教の教義に置き換えられ、聖コンスタンティンと聖エレナの聖画イコンの前で踊り、ため息や啜り泣き、唸り声や呻き声と共に、宗教的法悦に達していくという祭りです。火の上を裸足で踊り回っても何故か火傷はせず、その理由は医学的に説明がつかないそうです。

<12 Folk Music Of Northern Greece ~Little Constantine 2分37秒>
O Mikrokonstantinos

| | コメント (0)

2020年12月29日 (火)

エピルスのクラリネットとミロロイ

北ギリシアのエピルスの音楽と言えば、どうしてもクラリネットに耳が向かいます。それ位特徴的だと思います。バルカン各地やルーマニアには、鳥や動物の鳴き声から、吸血鬼を追い払う曲、葬儀の際の嘆きや慟哭まで、生々しく表現する管楽器の音楽がありますが、エピルスのクラリネットもその延長のように聞こえます。地霊を感じさせる音と言えるのでは。同じ音源はなさそうなので、似た感じの動画とドキュメンタリーを貼っておきました。アルバトロスの方には、明らかにアルバニアの音楽と共通する多声音楽もありますので、またアルバニアに回って来たら再度取り上げます。(以下放送原稿を再度)

ギリシアの次はブルガリアに入る予定ですので、トラキアを終わりに持ってくることにして、北ギリシアでは西に位置するエピルスの音楽ですが、印象としては北のアルバニアの音楽との繋がりを感じます。エピルスと言えば何と言ってもクラリネットの音色が独特で、エーゲ海の音楽とは違って寒い場所の音色に聞こえます。バルカンやユダヤのクレズマーのクラリネットと少し似ていると思います。ギリシアではクラリネットの前にフルート(おそらくフロゲラ)を吹いていて、その後でクラリネットに持ち変える奏者が多いようです。ベースとリズムを担当するラウートは全土に共通していますが、旋律楽器は島嶼部ではリラかヴァイオリンが好まれ、本土ではクラリネットがもてはやされる傾向があるようです。
挽歌あるいは哀歌のミロロイと言う笛の即興的な独奏が、キングとアルバトロスの両方に入っていますので、続けておかけします。キングの方はいかにもエピルス風なクラリネットの音色ですが、アルバトロスの方は、まるで日本の尺八のようにも聞こえます。それもそのはず、ここで吹かれているのはツァマラと言う80センチくらいの金属製の笛で、発音原理が似ているためと思われますが、東欧のカヴァルに近く聞こえる楽器です。

<11 Dirge :ギリシア北西部・エビルスの哀悼歌 3分7秒>
<2 Folk Music Of Northern Greece ~Lament 4分47秒>

greek grief song 03

Documentary: Greek Polyphonic & Folk Music of Epirus

| | コメント (0)

2020年12月28日 (月)

黒海南東岸ポントス、エピルス、トラキアのディオニュソス信仰 他

ゼアミdeワールド240回目の放送、日曜夜10時にありました。30日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はポントスの映像だけ上げておきます。1本目はキング盤と同じ音源です。オマルはバグパイプではなく、カラデニズ・ケメンチェでの演奏です。

ギリシアの21回目になります。今回はキングのワールドルーツミュージックライブラリー盤を中心に、アルバトロスのエピルスの音源も入れてギリシア北部のエピルス、マケドニア、トラキアと、黒海南部のポントスの音源でギリシア・シリーズを締めくくる予定です。
まず絶対外したくない黒海南部のポントスの音源ですが、場所としてはトルコ領内になります。ポントスとはギリシア語で「海」を意味し、ここでは黒海を指しています。トルコ北東部、黒海南岸のトラブゾン辺りから、最大版図ではクリミア半島にかけて存在した紀元前のポントス王国以来ギリシア人が住んでいて、オスマン帝国滅亡後の1923年のギリシアとトルコの住民交換で多数はギリシアに移住させられましたが、まだ一部ポントスに住み続けていて、1965年の時点で、トラブゾンなどの各県に合計4千人余りのギリシア語ポントス方言話者が記録されているそうです。キング盤の音源がギリシアに移住したポントス人か、トルコに残っているポントス人かは不明ですが、ギリシアでもまだまだ伝統を保っているようです。

ポントスの音楽では、何と言っても細長いカラデニズ・ケメンチェ(黒海のケメンチェの意)の鋭い音色が特徴的で、キング盤に入っているセラニツァ・ダンスは2+2+3の7拍子の速く激しい踊りを伴い、動画で見るとまた強烈なインパクトがあります。またゼアミブログで取り上げます。

<18 Seranitsa :黒海岸のギリシア人居住地区ポントス地方のガラッサリのダンス 2分37秒>
Seranitsa (Pontos)

SERANITSA ΣΕΡΑΝΙΤΣΑ

1曲戻って17曲目にはポントスのバグパイプ演奏が入っています。2+2+2+3の9拍子のオマルという比較的ゆったりと回るダンスの音楽です。大型の太鼓ダウルの伴奏が付きます。

<17 Omal :黒海岸のギリシア人居住地区ポントス地方のガラッサリのダンス 2分44秒>
Πόντος - Ομάλ, Ούτσαϊ

ギリシアの次はブルガリアに入る予定ですので、トラキアを終わりに持ってくることにして、北ギリシアでは西に位置するエピルスの音楽ですが、印象としては北のアルバニアの音楽との繋がりを感じます。エピルスと言えば何と言ってもクラリネットの音色が独特で、エーゲ海の音楽とは違って寒い場所の音色に聞こえます。バルカンやユダヤのクレズマーのクラリネットと少し似ていると思います。ギリシアではクラリネットの前にフルート(おそらくフロゲラ)を吹いていて、その後でクラリネットに持ち帰る奏者が多いようです。ベースとリズムを担当するラウートは全土に共通していますが、旋律楽器は島嶼部ではリラかヴァイオリンが好まれ、本土ではクラリネットがもてはやされる傾向があるようです。
挽歌あるいは哀歌のミロロイと言う笛の即興的な独奏が、キングとアルバトロスの両方に入っていますので、続けておかけします。キングの方はいかにもエピルス風なクラリネットの音色ですが、アルバトロスの方は、まるで日本の尺八のようにも聞こえます。それもそのはず、ここで吹かれているのはツァマラと言う80センチくらいの金属製の笛で、発音原理が似ているためと思われますが、東欧のカヴァルに近く聞こえる楽器です。

<11 Dirge :ギリシア北西部・エビルスの哀悼歌 3分7秒>

<2 Folk Music Of Northern Greece ~Lament 4分47秒>

同じくアルバトロスのギリシア北部の音楽の3曲目には、エピルスらしいクラリネットのソロが続いた後で、前回かけられなかった本土のツァミコスという舞曲が出てきますが、枠太鼓デフィのオリエンタルなリズムを伴っています。北と南がブレンドした印象の曲です。

<3 Folk Music Of Northern Greece ~Pastoral Melody オ・スカロス 3分15秒>

中北部のマケドニアと言えば、古代のアレクサンダー大王以来のギリシア人の土地と言うイメージがありますが、旧ユーゴ側の北マケドニア共和国の言葉は南スラヴ系のマケドニア語で、ギリシア側マケドニアとは全く別の民族です。ギリシア側マケドニアの曲はキング盤に3曲、アルバトロス盤に3曲入っています。今回はキングの方から西マケドニアのシルトスをおかけします。通常のシルトスは2拍子ですが、マケドニアのシルトスは3+2+2の7拍子で、変拍子では旧ユーゴ側のマケドニアと共通しています。

<16 If Mountains Could Lower Down :西マケドニアのシルトス・ダンス 3分8秒>

ブルガリアの南に位置するトラキアの音源は、キング盤に2曲、アルバトロス盤に3曲入っていまして、現在の居住地はマケドニアのテッサロニキの近くのようです。彼らはオスマン帝国時代はブルガリア南東部のトラキア地方のコスティにいたトラキア系ギリシア人のグループで、アルバトロスの方に彼らのディオニュソス信仰に由来すると言う火踊りの珍しい録音「小さなコンスタンティン ~アナステナーリア祭礼より」がありますので、時間まで聞きながら今回はお別れです。時間が余りましたら、14曲目の「修道士のコロス(合唱)」までおかけします。この仮面劇もディオニュソス信仰の痕跡を残しているそうです。
ディオニュソスと言うと、どうしてもニーチェを思い出してしまいますが、ディオニュソス信仰は、ギリシアがキリスト教化する以前からの伝統ですが、現在はギリシア正教の教義に置き換えられ、聖コンスタンティンと聖エレナの聖画イコンの前で踊り、ため息や啜り泣き、唸り声や呻き声と共に、宗教的法悦に達していくという祭りです。火の上を裸足で踊り回っても何故か火傷はせず、その理由は医学的に説明がつかないそうです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。
この番組の新年の初放送は、6日の再放送枠からになります。
それでは皆さまよいお年をお迎えください。

<12 Folk Music Of Northern Greece ~Little Constantine 2分37秒>
<14 Folk Music Of Northern Greece ~Monk's Dance 2分13秒>

| | コメント (0)

2020年12月25日 (金)

ペロポネソスの話

3+2+2の特徴的な7拍子の舞曲カラマティアノスは、本土のいたるところで見ることが出来るようです。3拍子の最初がちょっと長くなっているとイメージすれば分かり易いでしょうか。カラマティアノスの動画は、1本目がダラブッカでのリズム解析、2本目はブズーキでの演奏です。キング盤に入っていたのは、中央部の南に突き出たペロポネソス半島の音源でした。
ペロポネソスと言えば、オリンピア、スパルタ、コリントなど、オリンピックや新約聖書関係の名所が点在している半島です。中央部のアルカディアは、桃源郷のイメージで見られることのある地方です。その南に位置するスパルタは、スパルタ教育の名で後世に残っていますが、ペルシア戦争の後で起こった紀元前5世紀のペロポネソス戦争の際は、スパルタ中心のペロポネソス同盟が、アテネ中心のエーゲ海の諸ポリスのデロス同盟と対立し、30年近く戦争が繰り広げられスパルタ側が勝利。アテネ敗戦の責任を問われ、名高い「ソクラテスの弁明」を行った後、哲学者ソクラテスはドクニンジンで毒殺されました。対話篇「ソクラテスの弁明」を著した弟子プラトンの死後、ギリシア全体が疲弊していくのを見兼ねてか、プラトンの弟子のアリストテレスは故郷マケドニアに帰り、アレクサンダー大王の家庭教師になります。カイロネイアの戦いでギリシアとの戦争に勝ち、アレクサンダー大王以降のマケドニアの大帝国樹立~ヘレニズムの時代に入ります。哲学の役割の大きさと、ペロポネソスが歴史の転換点になったことを物語るエピソードです。

Introduction to Greek Kalamatianos

GREEK KALAMATIANOS (feat. MAKIS MAVROPOULOS)


| | コメント (0)

2020年12月24日 (木)

テッサリアのクリストス・ダンスとクリスマス・キャロル

テッサリアについては、場所が明確に把握できてなかった唯一の地方で、エピルスの東、マケドニアの南と言う位置が今回はっきりしました。しかし、テッサリアの名前は大分前に澁澤龍彦か誰かの本で読んだ記憶がありまして、記憶を辿ると、古代ギリシアの神話世界の「テッサリアの巫女」の逸話を通してだったように思います。詳細はここでは省きますが、テッサリアの巫女の血の儀式に、バルカン各地の吸血鬼伝説の萌芽が見られるようです。それででしょうか、ギリシアの穀倉地帯と知っても、何か魑魅魍魎の跳梁跋扈するような場所のイメージがあります。
放送でかけたクリストス・ダンスもありましたが、クリスマス・キャロルもありましたので、併せて上げておきます。キング盤では、本土南部ルーメリ地方のツァミコスという4+2の6拍子の舞曲と少し似た6拍子ながら、拍の分割が2+2+2になっていて、後半は2+2+2+2の8拍子に変わりました。クリスマス・キャロルは、ちょうどクリスマスですので入れましたが、一般的なクリスマスのイメージとは異なるオリエンタル調です。3本目はテッサリアの色々な音楽が出てきますが、ビザンツ教会の歌らしき曲も出てきました。

Greek Traditional Dances From Thessaly, Greece (Kleistos Argitheas and Berati)

Christmas Carols of Thessaly

Music of Thessaly, Hellas

| | コメント (0)

2020年12月23日 (水)

ギリシアの羊飼いの笛

素朴な牧笛の旋律が、ビザンツ聖歌の精妙なオクトエコスから来ていて、伴奏のラウートはドローンを刻んでいるのを確認して、非常に驚きました。10月頃オコラのビザンツ聖歌を耳を皿のようにして聞き直したので、すぐ分かりました。レベティカでも、オスマン・トルコから帰還したスミルナ派はエキゾチックな中東音楽風ですが、ギリシア本土のヴァンヴァカーリスなどのピレウス派は、ビザンツの古い歌の流れを汲んでいるそうです。そうなると気になるのは、イスラム化以前の中世トルコで、どんなビザンツ音楽が流れたのかと言うことですが、それを探るのはフリストドゥーロス・ハラリスの音源位しかないでしょうか。今日はキング盤と同じ音源のYouTubeがありました。(以下放送原稿を再度)

キング盤で最も興味深い曲の一つが、次の9曲目の縦笛フロゲラとラウートの演奏で、羊飼いが伝えていた音楽になります。こういう伝統的なギリシア音楽は、ビザンティンの教会音楽に極めて近く、羊が草を食んでいる退屈な時間をつぶすために生まれた音楽ですが、平均律では割り切れない、ビザンツ聖歌のあの精妙なオクトエコスの音律を残しているそうです。ラウートは、正にドローンの音を刻んでいます。

<9 Shepherd's Flute Tune :ギリシア本土の即興曲 2分36秒>
Shepherd's Flute Tune - Dimitris Tsimbissis

| | コメント (0)

2020年12月21日 (月)

ナクソス島、ペロポネソス、テッサリア、コルフ島 等

ゼアミdeワールド239回目の放送、日曜夜10時にありました。23日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今回はナクソス島のバロスのみ上げておきます。バロスの旋律は幾つかあるようで、ギリシア民謡研究家で歌手のドムナ・サミウの映像もありました。ドムナ・サミウの音源もありましたが、長くなるので番組ではかけられませんでした。今日の一本は、キング盤と同曲異演です。写真はナクソス市にある神殿です。

ギリシアの20回目になります。エーゲ海の島ごとの音楽は、ドデカネス諸島とクレタ、キプロスが一通り終わったので、今回はギリシア本土に近いキクラデス諸島から始め、ギリシア本土中央部に移りたいと思います。
キクラデスの音源は、知っている範囲ではキングのワールドミュージックライブラリー150枚の一枚、「神々の宴~ギリシアの民族音楽」のみで、しかも島の名前がはっきり分かるのはナクソス島のみです。ナクソス島も、レーベルのナクソスや、リヒャルト・シュトラウスの歌劇「ナクソス島のアリアドネ」で一般に知られている位だと思いますが、ギリシア神話では、幼いゼウスがキクラデス諸島最高峰のナクソス島のザス山の洞穴で育てられたという話や、ホメロスは、女神の聖なる島として文学的に『ディア』と記した等の逸話があるように、神話で知られている島です。
そのナクソス島のカップルダンス、バロスという曲がキング盤に入っていますので、この曲からおかけします。

<6 Balos :キクラデス諸島のカップル・ダンス 3分3秒>
Balos (Mi Matzore)

キクラデス諸島の音源は、一曲戻って5曲目のシルトスと2曲だけです。キクラデスは、サントリーニ島やヴィーナスで有名なミロス島など、観光地としては有名ですが、民謡的な音楽は余り残ってないのかも知れません。

<5 The Gardener :キクラデス諸島のシルトス・ダンス 3分7秒>

小アジア(トルコ)のエーゲ海側から帰還したギリシア人が伝えていたハサピコの音源も入っていますので、次におかけします。ユダヤのクレズマーに似た独特な雰囲気は、そのままこの音源にも感じられます。

<8 Hassapikos :カト・パギアナの小アジア出身のギリシア人に伝わる男性ダンス 3分35秒>

このキング盤で最も興味深い曲の一つが、次の9曲目の縦笛フロゲラとラウートの演奏で、羊飼いが伝えていた音楽になります。こういう伝統的なギリシア音楽は、ビザンティンの教会音楽に極めて近く、羊が草を食んでいる退屈な時間をつぶすために生まれた音楽ですが、平均律では割り切れない、ビザンツ聖歌のあの精妙なオクトエコスの音律を残しているそうです。ラウートは、正にドローンの音を刻んでいます。

<9 Shepherd's Flute Tune :ギリシア本土の即興曲 2分36秒>

ギリシア北西部のエピルス地方と中北部のマケドニア、北東部のトラキアは、それぞれアルバニア、旧ユーゴ側のマケドニア、ブルガリアの音楽に近い感じになってきますが、中央部の南に突き出たペロポネソス半島の音源が一曲あります。ペロポネソスと言えば、オリンピア、スパルタ、コリントなど、オリンピックや新約聖書関係の名所が点在している半島です。
3+2+2の特徴的な7拍子の舞曲カラマティアノスは、本土のいたるところで見ることが出来るようですが、クラリネットの特徴的な音色は北ギリシア風にも聞こえます。

<14 I Am Withering Away :ギリシア本土のペロポネソスのカラマティアノス・ダンス 2分52秒>

ギリシア本土の中央部に位置するテッサリアの音源が、この盤の終わり2曲で入っていまして、今回はかけられませんでしたが、本土南部ルーメリ地方のツァミコスという4+2の6拍子の舞曲がありまして、それと少し似た6拍子ながら拍の分割が2+2+2になっているテッサリアのクリストス・ダンスの音源をおかけします。後半は2+2+2+2の8拍子に変わります。

<20 When You Go Abroad :中央部テッサリアのクリストス・ダンス 4分>

では最後に、ギリシア北西部のアルバニアや南イタリアに近いコルフ島(あるいはケルキラ島)のセレナードを聞きながら今回はお別れです。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の出身地レフカダ島の北に位置する島で、ギリシア北部のエピルスに近い訳ですが、北ギリシアと言うより、地中海の南国ムード溢れる曲調です。次回はキング盤を中心にアルバトロス盤も入れてギリシア北部のエピルス、マケドニア、トラキアと、黒海南部のポントスの音源でギリシア・シリーズを締める予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 Serenade Medley :コルフ島のカンタダ 2分56秒>

| | コメント (0)

2020年12月18日 (金)

キプロスの舞踊 ロス・ダリ・クインテット

思った通り、キプロスの音楽は舞踊の映像が中心で、今の所ですが伝統楽器を前面に出した演奏は見当たらない感じです。踊り、音楽、衣装、人々の顔立ち等、全てが周辺の色々な要素の混血のように見えます。1本目の最初に出てくるのは、映画「ヴェニスに死す」で白塗りの辻楽師が弾いていた例の曲(おそらくナポリターナ)そっくりの曲で、Tatsiaと表記があります。「旅する旋律」と言う話を聞いたことがありますが、この曲もラクス・アジザも、どこからかキプロスに伝わって、出所が分からなくなって、後者は「アナトリアのラヴ・ソング」としてキプロスの楽師に知られるようになったのかも知れません。その後のゼイベキコの2+2+2+3の9拍子はそのままですが、次のスースタは、おそらくクレタかロードス起源だと思いますが、元のとは大分違ってきているように聞こえます。2本目でも例のナポリターナ風が5分頃に少し出てきます。色々な曲がメドレーで演奏されることが多いようです。3本目はクレタに戻りますが、ネットワーク盤の頃のメンバーが入ったロス・ダリ&ラビリンスの演奏です。こんなに間近の演奏を見られるのは嬉しい限りです。

HoneywellIncentives Cyprus Traditional Dance (Tatsia- Zeimbekiko- Sousta)

Ciprus táncai - Summerfest 2016

11th Music Summer Event: Ross Daly Quintet 23.09.

| | コメント (0)

2020年12月17日 (木)

アルバトロスのキプロス

昼間ばたばたしていて書けなかったので、遅い時間のアップです。キプロスの音源のYouTubeがありました。と言うことは、原文検索すれば他のアルバトロス盤もあるかも知れません。キプロスの盤では、「アジゼ:オユン・ハワス」の解説が、アナトリアのラヴ・ソングとなっていて、これは明らかにエジプトの大作曲家アブデルワハブが書いたラクス・アジザなので、フィールドワーカーがラクス・アジザを知らなかったとしか思えないのですが。演奏はともかくそれが残念です。マロン派もタイトルに入っているのに、音源は入ってないようです。(以下放送原稿を再度)

キプロスはギリシアとは別の国ですが、ギリシア系とトルコ系の住民が同居する東地中海の島国として知られています。キプロスの音源は数枚あったと思いますが、現在手元にあるのがアルバトロス盤のみですので、こちらからギリシア系とトルコ系の曲をそれぞれ2曲ずつおかけしますが、その前にキプロスの政治状況は現在以下のようになっていますので、ウィキペディアから引いておきます。

1974年以来、南北に分断されており、島の北部約37%を、国際的にはトルコ共和国のみが承認する「独立国家」であるトルコ系住民による北キプロス・トルコ共和国が占めている。一方のキプロス共和国は国際連合加盟国193か国のうち、トルコを除く192か国が国家承認をしている。公用語はトルコ語とギリシャ語である。

まずギリシア系の方ですが、1曲目のト・マエリと言う曲は、短剣を持って芸術的に踊る男性の踊りとのことですが、映画「ヴェニスに死す」で白塗りの辻楽師が弾いていた曲(おそらくナポリターナ)にそっくりに聞こえました。

<1 ト・マエリ 2分29秒>
To Mahèri / II coltello / The Knife

ギリシア系の音源は12曲ありますが、この後の比較の意味でも、ギリシアの踊りで最古のもので、最もよく知られているキプロスのシルトスをおかけしておきます。伝承によれば、このダンスはアテネの王テセウスが、クノッソス宮殿の迷宮から苦労して出てきたことを表しているそうです。

<4 シルトス 2分28秒>
Syrtòs

結婚祝いのパーティーで録音されたと言うトルコ系の一曲目「カザンジュ(いかけ屋のダンス) 」は、ロシア民謡のカチューシャに似て聞こえましたが、いかがでしょうか。他国の有名曲に酷似した曲がこの盤では幾つか聞こえてきました。

<13 カザンジュ(いかけ屋のダンス) 1分6秒>
Kazancu

トルコ系の2曲目「アジゼ:オユン・ハワス」ですが、解説にはアナトリアのラヴ・ソングとありますが、これはもう明らかにエジプトの大作曲家アブデルワハブが書いたラクス・アジザそのもので、ベリーダンスでも盛んに踊られ、アラブ音楽では5本指に入るほどポピュラーな曲だと思います。ウードを初めて手にした97年頃、弾いた記憶があります。

<14 アジゼ:オユン・ハワス 2分50秒>
Azize, Oyun Havasi

では最後にキプロスのギリシア系の音源から、三つのカルツィラマデス・ダンスのメドレーを時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 三つのカルツィラマデス・ダンスのメドレーa 1分30秒>
Kartsilamades

| | コメント (0)

2020年12月16日 (水)

ロス・ダリのペントザリス

東地中海の音楽を様々に融合させる名手、ロス・ダリのペントザリスがありました。リラを流麗に歌わせる演奏で、あの激しいタテノリの感じではありません。北インドのラーガの音楽のように、アーラープから始めて段々早くなるスタイルと言えるでしょうか。放送でかけたニキ・トラムバとのネットワーク盤と、92年に出たもう一枚のユーラシア(これもドイツのネットワーク盤)は、トルコ色が強く、クレタ音楽そのものは聞けない感じでした。最近も色々リリースがあったようですが、知っている範囲では2004年の希FM盤でクレタの音楽を正面から取り上げていました。(2本目がその音源です)プサランドニスや現地の演奏家程は激しくないですが、粗削りでない反面、凝った演奏を聞かせる人という印象です。剛のプサランドニス、柔のロス・ダリと言えるでしょうか。

ross daly pentozalis

Ross Daly - Music of Crete (Official Audio//"Μουσική της Κρήτης")

| | コメント (0)

2020年12月14日 (月)

ロス・ダリ~キプロス

ゼアミdeワールド238回目の放送、日曜夜10時にありました。16日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。4曲目だけは無さそうですが、6曲目はありました。もう一本はRoss Daly & Labyrinth, Niki Tramba / At The Cafe Amanの丸々音源です。おそらくCDは入手難になっているように思います。キプロスはまた後日。

ギリシアの19回目になります。エーゲ海の島ごとの音楽の3回目は、クレタの2回目とキプロスの音楽を取り上げます。クレタは割と注目度が高いようで、ツイッターでリアクションがありましたが、ギリシアのシリーズも結構長くなりまして、今年中に一応終えようと思いますので、まだクレタの音源はありますが、この辺で切り上げたいと思います。

まずは、アイルランド系でイギリス生まれでありながら、中東、中央アジア、インドの偉大な旋法音楽の伝統へ向かい、1975年以降はクレタ島を拠点に演奏と作曲の活動をしているロス・ダリの曲を2曲かけておきます。英語風に発音するとロス・デイリーになると思います。彼によると「私が神聖であると感じるものとの対話の言語」としての音楽を探し求めた結果、中東、中央アジア、インドの音楽に辿り着いたということですから、グルジェフの伝記映画「注目すべき人々との出会い」を地で行くようなエピソードだと思います。
彼も最初は西洋音楽(チェロ、クラシック・ギター)から始めたようですが、その後インド、アフガニスタンの音楽に移り、1975年にはクレタに渡り、この地のリラの名手コスタス・ムンダキスに師事。以後40年以上に亘ってクレタ音楽のリラ演奏を中心に、マルチインストゥルメンタリストとしても活躍している鬼才です。クレタでラビリンス(迷宮の意)と言う一種の東地中海音楽の音楽院を結成し、クレタ音楽を交えた東地中海の音楽を様々に組み合わせて演奏しています。そのままグループ名にもなっているラビリンスのメンバーは卒業生も多いのでしょうか。彼ら以外にもアテネ五輪の際には古楽界の大御所Jordi Savall、アゼルバイジャンのケマンチェ奏者Habil Aliyev、アフガニスタンのラバーブ奏者Mohammad Rahim Khushnawaz、イランのトンバク・トリオChemirani Trio、パレスチナのウード奏者Adel Selamehなど、各国の名だたる演奏家と共演しています。
独Network Medienから2,3枚アルバムがありまして、92年リリースのユーラシア:ロス・ダリ&ラビリンスのミトスと言う盤と、98年リリースの女性歌手Niki Trambaを迎えてのAt The Cafe Amanで、今回は後者から2曲おかけします。「レベティコの生まれた場所」の副題通り、どちらもレベティカ的な曲です。

<4 Ross Daly & Labyrinth, Niki Tramba / At The Cafe Aman ~Zoúla - Zoúla 6分28秒>

<6 Ross Daly & Labyrinth, Niki Tramba / At The Cafe Aman ~Ah Poú'Nai 'Kéinos O Kairós 4分28秒>
Daly Ross & Niki Trampa - At the Café Aman

ΝΙΚΗ ΤΡΑΜΠΑ / ROSS DALY & LABYRINTH - ΣΤΟ ΚΑΦΕ ΑΜΑΝ

キプロスはギリシアとは別の国ですが、ギリシア系とトルコ系の住民が同居する東地中海の島国として知られています。キプロスの音源は数枚あったと思いますが、現在手元にあるのがアルバトロス盤のみですので、こちらからギリシア系とトルコ系の曲をそれぞれ2曲ずつおかけしますが、その前にキプロスの政治状況は現在以下のようになっていますので、ウィキペディアから引いておきます。

1974年以来、南北に分断されており、島の北部約37%を、国際的にはトルコ共和国のみが承認する「独立国家」であるトルコ系住民による北キプロス・トルコ共和国が占めている。一方のキプロス共和国は国際連合加盟国193か国のうち、トルコを除く192か国が国家承認をしている。公用語はトルコ語とギリシャ語である。

まずギリシア系の方ですが、1曲目のト・マエリと言う曲は、短剣を持って芸術的に踊る男性の踊りとのことですが、映画「ヴェニスに死す」で白塗りの辻楽師が弾いていた曲(おそらくナポリターナ)にそっくりに聞こえました。

<1 ト・マエリ 2分29秒>

ギリシア系の音源は12曲ありますが、この後の比較の意味でも、ギリシアの踊りで最古のもので、最もよく知られているキプロスのシルトスをおかけしておきます。伝承によれば、このダンスはアテネの王テセウスが、クノッソス宮殿の迷宮から苦労して出てきたことを表しているそうです。

<4 シルトス 2分28秒>

結婚祝いのパーティーで録音されたと言うトルコ系の一曲目「カザンジュ(いかけ屋のダンス) 」は、ロシア民謡のカチューシャに似て聞こえましたが、いかがでしょうか。他国の有名曲に酷似した曲がこの盤では幾つか聞こえてきました。

<13 カザンジュ(いかけ屋のダンス) 1分6秒>

トルコ系の2曲目「アジゼ:オユン・ハワス」ですが、解説にはアナトリアのラヴ・ソングとありますが、これはもう明らかにエジプトの大作曲家アブデルワハブが書いたラクス・アジザそのもので、ベリーダンスでも盛んに踊られ、アラブ音楽では5本指に入るほどポピュラーな曲だと思います。ウードを初めて手にした97年頃、弾いた記憶があります。

<14 アジゼ:オユン・ハワス 2分50秒>

では最後にキプロスのギリシア系の音源から、三つのカルツィラマデス・ダンスのメドレーを時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 三つのカルツィラマデス・ダンスのメドレーa 1分30秒>

| | コメント (0)

2020年12月11日 (金)

クレタのΜαλεβιζιώτης

Μαλεβιζιώτης(マレヴィツィオティス・ダンス)は、6日の放送で2曲目にかけたダンス曲で、一昨日一本目に上げたプサランドニスの奔放な弓使いの曲もマレヴィツィオティスでした。再度3本目に並べて上げておきます。跳ねるようなステップの速いダンスで、ペントザリスと違って女性も踊るようです。2本目は昨日の催しでのマレヴィツィオティス。女性が入って踊っています。複雑なステップでもクレタ美人が踊ると優美に見えます。キング盤の「お前には口をきくまい」の歌詞の訳は以下の通りでした。意味深です。「お前にはもう口をきかないことにしたら、お前はもう自由だよ。だが俺の手に落ちるようなことがあれば、用心しろよ」

"Κρήτες" Μαλεβιζιώτης - Κουνάλης

Μαλεβιζιώτης - Κρήτες "Στα τραγούδια λέμε ΝΑΙ"

Psarantonis "Maleviziotis" dance

| | コメント (0)

2020年12月10日 (木)

ペントザリスとポントゾー

クレタのペントザリスについてみている内に、ブーツを履いた男性中心のアクロバティックで勇壮な踊りと言うことで、ハンガリーのポントゾーを思い出しました。言葉自体はそっくりですが、関係はあるのでしょうか。ホラがギリシアからバルカン中に広まったことを考えれば、あり得るのではと思います。ペントザリスとポントゾー、国を跨げばこの位の音の変化も多いことだろうと思います。偶数拍子なのに何故「5つのステップ」と言う謎がありましたが、これはクレタ島をオスマン帝国から解放するための5番目(ペンテ)の試み、またはステップ(ζάλος zalosはクレタ島のギリシャ語で「ステップ」を意味する)に由来しているそうです。また、言葉遊びで、ζάλη zaliはめまいを意味し、ダンスの名前は「ダンサーを5回以上めまいさせることができるもの」として理解することもできるそうです。私がポントゾーを初めてテレビで見たのは1977年とか言う話も交えて、前にもブログに書いたかも知れません。記事数が3000以上になると前に書いたことを大分忘れているようです(笑)

Πεντοζάλι - Κρήτες "Στα τραγούδια λέμε ΝΑΙ"

Baglas Táncegyüttes - Küküllő-menti szegényes és pontozó - 2016. december

| | コメント (0)

2020年12月 9日 (水)

最近のPsarantonis

クレタのキングとアルバトロスの音源はYouTubeにはなさそうなので、今週の探りどころは、プサランドニスの活動とペントザリスについて位です。クレタのリラでは、プサランドニスと並び称されるアイルランド系のロス・ダリ(あるいはロス・デイリー)の音源は、来週の放送で少し流します。90年代に出たドイツのNetwork Medien盤の時からそうですが、老齢のプサランドニスは、いよいよ哲人のような風格を増してきました。(アントナン・アルトーに似ているかも)Maleviziotisの奔放な弓使いは凄いとしか言いようがないです。

Psarantonis "Maleviziotis" dance

Psarantonis “Syrtos” dance

#mindpower – meet Psarantonis in Greece

| | コメント (0)

2020年12月 7日 (月)

クレタのペントザリス

ゼアミdeワールド237回目の放送、日曜夜10時にありました。9日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。やはりキングとアルバトロス盤のYouTubeは無さそうですので、プサランドニスのペントザリスのみ上げておきました。強靭なラウートの掻き鳴らしの上で暴れるリラを聞いた時、最初に思い出したのは、ジミヘンと言うよりヴェルヴェット・アンダーグラウンドでした。

ギリシアの18回目になります。エーゲ海の島ごとの音楽の2回目で、今回はギリシア最大の島、クレタ島の音楽です。ギリシア本土の南方に浮かぶクレタ島は、古代にミノア文明が栄え、クノッソス宮殿を初めとする多くの遺跡で知られます。今回もキングのワールドルーツミュージックライブラリー150枚の一枚、「神々の宴~ギリシアの民族音楽」から始めたいと思います。この盤にクレタの音源が2曲入っていますので、こちらから最初におかけします。
前回のカルパトスでも出てきたクレタ島起源で「5つのステップ」を意味する舞曲ペントザリスと、マレヴィツィティス・ダンスの2曲です。続けておかけします。

<3 When I Remember The Old Times :クレタ島のペントツァリス・ダンス 2分50秒>
<4 I Dont' Speak To You :クレタ島のマレヴィツィティス・ダンス 2分57秒>

ペントツァリスについては「5つのステップ」がどういうものか気になりますので、またゼアミブログでYouTubeを探す予定です。
ペントツァリスのおそらく現代的な発展形のような演奏をしているのが、クレタのリラ奏者プサランドニスで、90年代に出ていたドイツのNetwork Medienの盤が割と知られていましたが、現在売り切れで手元にないので、2007年リリースと思われるNogoという盤からPentozaliaとなっている曲をおかけします。通常のペントツァリスよりも強烈な畳みかけるようなラウートのかき鳴らしと太鼓のリズムに乗せて、リラが力強い独奏を聞かせています。「クレタのジミ・ヘンドリックス」の異名を取る人です。

<3 Psarantonis / Nogo(I Reckon) 6分44秒>
Psarantonis - Pentozalia (1998. Greece)

前回ドデカネス諸島の盤をかけたイタリアのアルバトロス30選には、クレタ島だけで一枚ありますので、後はこの盤からかけていきます。この盤では擦弦楽器はリラではなくヴァイオリンで、クレタのフィドラー(ヴァイオリニスト)に焦点を当てています。

まずは、クレタ舞踊のトレードマークのようなペントザリスですが、元々は戦いの踊りなので、確かに勇壮な側面が聞こえるように思います。段々早くなるのが大きな特徴で、アクロバティックな男性の踊りも挿まれるようです。4拍子系に聞こえますが、「5つのステップ」とはどういう事か、またゼアミブログの方で動画を交えて探ってみたいと思います。
この音源は18世紀のペントザリスの曲を、1930年前後生まれのクレタの3人の農夫が演奏しています。ヴァイオリン、ラウート、歌のトリオで、1977年の現地録音です。

<4 Folk Music of Crete / Pentozalis 4分24秒>

古代ギリシアに由来し、ドデカネス諸島を中心にエーゲ海一帯で結婚式に踊られる舞踊スースタは、シルトスに次いでギリシアで一般的な舞踊で、島ごとに独自のバージョンがあるそうです。演奏者は前のペントザリスと同じです。

<5 Folk Music of Crete / Sousta 3分37秒>

ペントザリスとスースタ、そして最も代表的なシルトスのいずれも偶数拍子で、元・戦いの踊りとか、結婚式の求愛の音楽の側面を知らないと、聞き分けるのは難しいように思います。
シルトスは、ギリシアの民俗舞踊のある種の複数の踊りを指す包括的な呼び名で、言葉の起源は「引きずる(様な踊り)」を指すシロ(syro)(ギリシア語: σύρω)とのことです。
この盤の冒頭を飾っているSirtosi Galouvianosを聞きながら今回はお別れです。先ほどのペントザリスを書いた18世紀のステファノス・トリアンダフィラーキス“キョーロス”の作曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Folk Music of Crete / Sirtosi Galouvianos 1分51秒>

| | コメント (0)

2020年12月 4日 (金)

ロードス島のスースタ

ロードスと聞くと十字軍の流れを汲む聖ヨハネ騎士団以前に、どうしても資生堂ロードスを思い出してしまう世代です(笑) そういえば、ギリシアと騎士団のイメージは、あの凛とした甘い香りに感じられたようにも思います。
西洋キリスト教世界の最東端でオスマン・トルコと対峙した聖ヨハネ騎士団ゆかりの島、ロードス島の音源はアルバトロス盤の3曲だけかと思ったら、今日の2本目の希FMのギリシアの楽器別シリーズにも音源がありました。この辺りではヴァイオリンをヴィオリと呼ぶようです。1本目がスースタの舞踊、3本目は同曲のリラによる演奏です。ドデカネス諸島を代表する舞踊スーストの中でも、特に知られているのがこの明るいスースタと言う曲です。
前に言いましたようにセファルディも住んでいたようですが、それもそのはず、ロードス島のユダヤ・コミュニティは、西暦1世紀にさかのぼる歴史を持ち、1557年に建設されたカハル・シャローム・シナゴーグはギリシア最古のシナゴーグであり、現在も旧市街のユダヤ人街にあるそうです。

Σούστα Ρόδου, Sousta of Rhodes

Roditiki Sousta - A Sousta Dance From Rhodes

Sousta Dance from Rhodes 42

| | コメント (0)

2020年12月 3日 (木)

Karpathos / The land and it's music

クレタとロードスの間の細長い島、カルパトスについては、最高の一本が見つかりました。伝統音楽の演奏が間近で見られること、婚礼の風景、伝統衣装と人々の表情も確認出来て、伝統音楽が現在も息づいているのが手に取るように分かります。9分過ぎに出てくる歌は、放送で最初にかけたキング盤1曲目のMonemvassia :カルパトス島の酒飲み歌です。モネムヴァシア・ワインを薦めるこの歌は、カルパトスでは南部にのみ見られ、祝いの宴は食事の後、この歌で始められ、即興で対唱歌を歌って、最後はダンスになるそうです。放送ではかけませんでしたが、ツァンブーナ(ギリシアのバグパイプ)も頻繁に出てきます。リラ、ラウート、ツァンブーナのトリオが一般的です。個人的な印象ですが、ラウートの掻き鳴らしは、まるで琵琶を掻き鳴らしているように見えて、視覚的にも大変刺激的です。20年余り前に売り切れて入手し損なったブダ盤に入っていた曲が何だったか、とても気になります。

Karpathos / The land and it's music

| | コメント (0)

2020年12月 2日 (水)

クラリネット、ヴァイオリン、ラウート他のギリシア音楽

これは島嶼部ではなくギリシア本土の音楽になると思いますが、雄弁なクラリネットと、リラの代わりにヴァイオリンが入り、ラウートと枠太鼓と言う編成で見事な演奏を聞かせます。同じメンバーでアカペラの歌も聞かせます。Κομπανία Βέρδη(コンパニア・ヴェルディ)で検索すると彼らのフェイスブックページが出てきました。クラリネットが入ると、どちらかと言えば北ギリシア風に聞こえ、アカペラの歌は地中海~バルカンのポリフォニーとビザンツが混じって感じられます。

 

♫ Το Αλάτι της Γης «Κομπανία Βέρδη - Πωγώνι, Δερόπολη» 29/11/2020

| | コメント (0)

« 2020年11月 | トップページ | 2021年1月 »