ナクソス島、ペロポネソス、テッサリア、コルフ島 等
ゼアミdeワールド239回目の放送、日曜夜10時にありました。23日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今回はナクソス島のバロスのみ上げておきます。バロスの旋律は幾つかあるようで、ギリシア民謡研究家で歌手のドムナ・サミウの映像もありました。ドムナ・サミウの音源もありましたが、長くなるので番組ではかけられませんでした。今日の一本は、キング盤と同曲異演です。写真はナクソス市にある神殿です。
ギリシアの20回目になります。エーゲ海の島ごとの音楽は、ドデカネス諸島とクレタ、キプロスが一通り終わったので、今回はギリシア本土に近いキクラデス諸島から始め、ギリシア本土中央部に移りたいと思います。
キクラデスの音源は、知っている範囲ではキングのワールドミュージックライブラリー150枚の一枚、「神々の宴~ギリシアの民族音楽」のみで、しかも島の名前がはっきり分かるのはナクソス島のみです。ナクソス島も、レーベルのナクソスや、リヒャルト・シュトラウスの歌劇「ナクソス島のアリアドネ」で一般に知られている位だと思いますが、ギリシア神話では、幼いゼウスがキクラデス諸島最高峰のナクソス島のザス山の洞穴で育てられたという話や、ホメロスは、女神の聖なる島として文学的に『ディア』と記した等の逸話があるように、神話で知られている島です。
そのナクソス島のカップルダンス、バロスという曲がキング盤に入っていますので、この曲からおかけします。
<6 Balos :キクラデス諸島のカップル・ダンス 3分3秒>
Balos (Mi Matzore)
キクラデス諸島の音源は、一曲戻って5曲目のシルトスと2曲だけです。キクラデスは、サントリーニ島やヴィーナスで有名なミロス島など、観光地としては有名ですが、民謡的な音楽は余り残ってないのかも知れません。
<5 The Gardener :キクラデス諸島のシルトス・ダンス 3分7秒>
小アジア(トルコ)のエーゲ海側から帰還したギリシア人が伝えていたハサピコの音源も入っていますので、次におかけします。ユダヤのクレズマーに似た独特な雰囲気は、そのままこの音源にも感じられます。
<8 Hassapikos :カト・パギアナの小アジア出身のギリシア人に伝わる男性ダンス 3分35秒>
このキング盤で最も興味深い曲の一つが、次の9曲目の縦笛フロゲラとラウートの演奏で、羊飼いが伝えていた音楽になります。こういう伝統的なギリシア音楽は、ビザンティンの教会音楽に極めて近く、羊が草を食んでいる退屈な時間をつぶすために生まれた音楽ですが、平均律では割り切れない、ビザンツ聖歌のあの精妙なオクトエコスの音律を残しているそうです。ラウートは、正にドローンの音を刻んでいます。
<9 Shepherd's Flute Tune :ギリシア本土の即興曲 2分36秒>
ギリシア北西部のエピルス地方と中北部のマケドニア、北東部のトラキアは、それぞれアルバニア、旧ユーゴ側のマケドニア、ブルガリアの音楽に近い感じになってきますが、中央部の南に突き出たペロポネソス半島の音源が一曲あります。ペロポネソスと言えば、オリンピア、スパルタ、コリントなど、オリンピックや新約聖書関係の名所が点在している半島です。
3+2+2の特徴的な7拍子の舞曲カラマティアノスは、本土のいたるところで見ることが出来るようですが、クラリネットの特徴的な音色は北ギリシア風にも聞こえます。
<14 I Am Withering Away :ギリシア本土のペロポネソスのカラマティアノス・ダンス 2分52秒>
ギリシア本土の中央部に位置するテッサリアの音源が、この盤の終わり2曲で入っていまして、今回はかけられませんでしたが、本土南部ルーメリ地方のツァミコスという4+2の6拍子の舞曲がありまして、それと少し似た6拍子ながら拍の分割が2+2+2になっているテッサリアのクリストス・ダンスの音源をおかけします。後半は2+2+2+2の8拍子に変わります。
<20 When You Go Abroad :中央部テッサリアのクリストス・ダンス 4分>
では最後に、ギリシア北西部のアルバニアや南イタリアに近いコルフ島(あるいはケルキラ島)のセレナードを聞きながら今回はお別れです。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の出身地レフカダ島の北に位置する島で、ギリシア北部のエピルスに近い訳ですが、北ギリシアと言うより、地中海の南国ムード溢れる曲調です。次回はキング盤を中心にアルバトロス盤も入れてギリシア北部のエピルス、マケドニア、トラキアと、黒海南部のポントスの音源でギリシア・シリーズを締める予定です。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<7 Serenade Medley :コルフ島のカンタダ 2分56秒>
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