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2020年12月29日 (火)

エピルスのクラリネットとミロロイ

北ギリシアのエピルスの音楽と言えば、どうしてもクラリネットに耳が向かいます。それ位特徴的だと思います。バルカン各地やルーマニアには、鳥や動物の鳴き声から、吸血鬼を追い払う曲、葬儀の際の嘆きや慟哭まで、生々しく表現する管楽器の音楽がありますが、エピルスのクラリネットもその延長のように聞こえます。地霊を感じさせる音と言えるのでは。同じ音源はなさそうなので、似た感じの動画とドキュメンタリーを貼っておきました。アルバトロスの方には、明らかにアルバニアの音楽と共通する多声音楽もありますので、またアルバニアに回って来たら再度取り上げます。(以下放送原稿を再度)

ギリシアの次はブルガリアに入る予定ですので、トラキアを終わりに持ってくることにして、北ギリシアでは西に位置するエピルスの音楽ですが、印象としては北のアルバニアの音楽との繋がりを感じます。エピルスと言えば何と言ってもクラリネットの音色が独特で、エーゲ海の音楽とは違って寒い場所の音色に聞こえます。バルカンやユダヤのクレズマーのクラリネットと少し似ていると思います。ギリシアではクラリネットの前にフルート(おそらくフロゲラ)を吹いていて、その後でクラリネットに持ち変える奏者が多いようです。ベースとリズムを担当するラウートは全土に共通していますが、旋律楽器は島嶼部ではリラかヴァイオリンが好まれ、本土ではクラリネットがもてはやされる傾向があるようです。
挽歌あるいは哀歌のミロロイと言う笛の即興的な独奏が、キングとアルバトロスの両方に入っていますので、続けておかけします。キングの方はいかにもエピルス風なクラリネットの音色ですが、アルバトロスの方は、まるで日本の尺八のようにも聞こえます。それもそのはず、ここで吹かれているのはツァマラと言う80センチくらいの金属製の笛で、発音原理が似ているためと思われますが、東欧のカヴァルに近く聞こえる楽器です。

<11 Dirge :ギリシア北西部・エビルスの哀悼歌 3分7秒>
<2 Folk Music Of Northern Greece ~Lament 4分47秒>

greek grief song 03

Documentary: Greek Polyphonic & Folk Music of Epirus

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