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2020年12月 7日 (月)

クレタのペントザリス

ゼアミdeワールド237回目の放送、日曜夜10時にありました。9日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。やはりキングとアルバトロス盤のYouTubeは無さそうですので、プサランドニスのペントザリスのみ上げておきました。強靭なラウートの掻き鳴らしの上で暴れるリラを聞いた時、最初に思い出したのは、ジミヘンと言うよりヴェルヴェット・アンダーグラウンドでした。

ギリシアの18回目になります。エーゲ海の島ごとの音楽の2回目で、今回はギリシア最大の島、クレタ島の音楽です。ギリシア本土の南方に浮かぶクレタ島は、古代にミノア文明が栄え、クノッソス宮殿を初めとする多くの遺跡で知られます。今回もキングのワールドルーツミュージックライブラリー150枚の一枚、「神々の宴~ギリシアの民族音楽」から始めたいと思います。この盤にクレタの音源が2曲入っていますので、こちらから最初におかけします。
前回のカルパトスでも出てきたクレタ島起源で「5つのステップ」を意味する舞曲ペントザリスと、マレヴィツィティス・ダンスの2曲です。続けておかけします。

<3 When I Remember The Old Times :クレタ島のペントツァリス・ダンス 2分50秒>
<4 I Dont' Speak To You :クレタ島のマレヴィツィティス・ダンス 2分57秒>

ペントツァリスについては「5つのステップ」がどういうものか気になりますので、またゼアミブログでYouTubeを探す予定です。
ペントツァリスのおそらく現代的な発展形のような演奏をしているのが、クレタのリラ奏者プサランドニスで、90年代に出ていたドイツのNetwork Medienの盤が割と知られていましたが、現在売り切れで手元にないので、2007年リリースと思われるNogoという盤からPentozaliaとなっている曲をおかけします。通常のペントツァリスよりも強烈な畳みかけるようなラウートのかき鳴らしと太鼓のリズムに乗せて、リラが力強い独奏を聞かせています。「クレタのジミ・ヘンドリックス」の異名を取る人です。

<3 Psarantonis / Nogo(I Reckon) 6分44秒>
Psarantonis - Pentozalia (1998. Greece)

前回ドデカネス諸島の盤をかけたイタリアのアルバトロス30選には、クレタ島だけで一枚ありますので、後はこの盤からかけていきます。この盤では擦弦楽器はリラではなくヴァイオリンで、クレタのフィドラー(ヴァイオリニスト)に焦点を当てています。

まずは、クレタ舞踊のトレードマークのようなペントザリスですが、元々は戦いの踊りなので、確かに勇壮な側面が聞こえるように思います。段々早くなるのが大きな特徴で、アクロバティックな男性の踊りも挿まれるようです。4拍子系に聞こえますが、「5つのステップ」とはどういう事か、またゼアミブログの方で動画を交えて探ってみたいと思います。
この音源は18世紀のペントザリスの曲を、1930年前後生まれのクレタの3人の農夫が演奏しています。ヴァイオリン、ラウート、歌のトリオで、1977年の現地録音です。

<4 Folk Music of Crete / Pentozalis 4分24秒>

古代ギリシアに由来し、ドデカネス諸島を中心にエーゲ海一帯で結婚式に踊られる舞踊スースタは、シルトスに次いでギリシアで一般的な舞踊で、島ごとに独自のバージョンがあるそうです。演奏者は前のペントザリスと同じです。

<5 Folk Music of Crete / Sousta 3分37秒>

ペントザリスとスースタ、そして最も代表的なシルトスのいずれも偶数拍子で、元・戦いの踊りとか、結婚式の求愛の音楽の側面を知らないと、聞き分けるのは難しいように思います。
シルトスは、ギリシアの民俗舞踊のある種の複数の踊りを指す包括的な呼び名で、言葉の起源は「引きずる(様な踊り)」を指すシロ(syro)(ギリシア語: σύρω)とのことです。
この盤の冒頭を飾っているSirtosi Galouvianosを聞きながら今回はお別れです。先ほどのペントザリスを書いた18世紀のステファノス・トリアンダフィラーキス“キョーロス”の作曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Folk Music of Crete / Sirtosi Galouvianos 1分51秒>

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