アル・スールのChristos Zotos & Skaros / Continental Greek Music
ゼアミdeワールド242回目の放送、日曜夜10時にありました。13日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画はエピルスの方だけにしておきます。ルメリアは水曜以降に。
ラヂバリスタジオが感染拡大防止のため、今週からしばらく使用不可になります。また宅録する予定です。音質は落ちると思いますが、ご了承ください。
ギリシアのシリーズは一応昨年末で終える予定でしたが、久々に取り出したギリシア北部エピルス地方の一枚がとても面白かったので、是非おかけしておきたいと思いました。ですので、ギリシアのシリーズも22回になります。キングやアルバトロス盤のエピルスの曲とは一味違う演奏になっています。
それはフランスのAl Surから1993年に出ていた「ギリシア本土の音楽 エピルスとルメリア」という盤で、アル・スールは90年代の内に活動停止してしまいましたが、中東~地中海世界の音楽の名盤が数多くありました。ラウート弾き語りを聞かせるエピルス出身のクリストス・ゾトスを中心に、彼の弟子の女性ラウート奏者イオアンナ・アンゲルー、クルド系のヴァイオリン奏者バルザン・ヤッシン、クラリネットの名手ジル・トレントの4人編成です。ギターとウードとレバノンのブズクの重厚感と躍動感の全てを備えたようなラウートの音色が特に素晴らしく、ラウートのリズムとクラリネットが描く北ギリシアの旋律は、曲によってどこか演歌的だったり、特にクラリネットはやっぱりユダヤのクレズマーに似ていたり、バルカンは北ギリシアから始まるという印象を強めながらも、部分的には地中海的な明るさも感じられたり、色々な側面が聞こえて実に興味深いです。ラウートの独奏の素晴らしさも、伴奏に徹していた他の盤にはなかったものです。解説が簡素ですので各曲の詳細は不明ですが、まずはエピルスの方から、5,6曲目のEpire-I KleftesとEpire - Kondula Lemoniaを続けてどうぞ。
<5 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Epire-I Kleftes 5分15秒>
I kleftes
<6 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Epire - Kondula Lemonia 4分4秒>
Kondula lemonia
ルメリアの方に行く前に、前にかけられなかったエピルスと北ギリシアのアルバトロス盤の5曲目をおかけしておきます。ギリシアにはまず見られない多声音楽で、かつビザンツの流れを汲むギリシアの民謡では稀なペンタトニック(5音音階)になっていて、多声合唱の盛んなアルバニアに近いことが歌からも分かります。
<5 Folk Music Of Northern Greece ~Song From Pogoniani 1分37秒>
アル・スール盤に戻ります。まずルメリアという地名ですが、位置を確認しますと、ギリシア本土のエピルスをおそらく含めて、テッサリア、マケドニア、トラキアまでを指すようですが、オスマン帝国統治下の南バルカン地域の「ローマ人の土地」を意味するトルコ語の名称ですので、実際は現在のギリシア中央部とトルコのヨーロッパ部分、ブルガリア、北マケドニア共和国などかなり広域になるようです。この盤の後半はルメリアの曲が集められていますが、その中から10,11曲目を続けておかけします。10曲目はルーマニア風な旋律と、演歌っぽいリズムが組み合わさった面白い曲です。11曲目もどこかで聞いたような懐かし気な旋律とリズムに聞こえて仕方ありません。
<10 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Roumelie - Poulia Mou Diavatarika 5分2秒>
<11 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Itia 4分15秒>
ストレートにクレズマーに似ているインストの1曲目をかけられなかったのが残念ですが、最後に7曲目のエピルスのミロロイを聞きながら今回はお別れです。何と言ってもクリストス・ゾトスの芸を聞くのが主眼ですから。ミロロイとは挽歌あるいは哀歌と言うことでしたが、明るく演歌っぽい曲調でラウートの技巧を聞かせる独奏です。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<7 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Epire - Miroloï [Lamentations] 5分11秒>
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