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2021年1月 7日 (木)

「春の海」自作自演、謡曲「高砂」、民謡、瞽女唄、新内

ゼアミdeワールド241回目の放送、水曜夜8時半にありました。今回の放送は6日のみです。
明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

お正月と言えば、どこに行っても宮城道雄の「春の海」が聞こえてきますが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組から4年連続でご紹介してきました。今年はさすがにまだかけてない音源は減ってきましたが、今回も宮城道雄の自作自演をまずおかけしたいと思います。尺八は初演を勤めた吉田晴風です。(放送では、瞽女唄まで入らないので、後半の再現部分をカットしフェイドアウトしました。分かった方は、「春の海」の通だと思います(笑))

<春の海 宮城道雄自作自演 6分25秒>
春の海 宮城道雄自作自演

今回の「春の海」は宮城道雄の自作自演だけにしておきまして、後は他の邦楽曲をご紹介します。
正月がテーマではありませんが、結婚式でよく歌われる世阿弥作のお能「高砂」の、高砂やこの浦船に帆を上げて、の部分と、四海波静かにて、千秋楽は民を撫で、の3か所は祝言の謡いとして非常に有名ですので、今回取り上げておきます。この番組を始めた時にお話ししましたが、謡曲を26年前に少し習ったことが大きな転機になりまして、25年前の開店時にゼアミと言う店名にしました。私が習っていた喜多流の往年の大名人・喜多実の独吟です。能の5流それぞれの小謡集も手元にありますが、今年はこちらをおかけしておきます。

<2 喜多流 祝言小謡集 喜多実  高砂 四海波静かにて 1分13秒>
<4 喜多流 祝言小謡集 喜多実  高砂 高砂やこの浦船に 1分27秒>
<30 喜多流 祝言小謡集 喜多実  高砂 千秋楽は民を撫で 30秒>
大島輝久_小謡「高砂や」

民謡でも何か正月らしい曲はないかなと探していましたが、個人的にとても好きな秋田民謡の喜代節を今回おかけしてみます。歌、三味線共に憂いのある美しい旋律ですが、祝言的な内容の民謡です。(川崎千恵子さんではないようですが、唄、三味線共に素晴らしく、踊りも見れます)

<16 秋田民謡 喜代節 川崎千恵子 3分18秒>
喜代節(秋田県民謡)

次は、江戸の浄瑠璃の一つ、新内の曲で「廓七草」という曲をおかけします。新内も謡曲の後で私が東京にいる頃に習っていた音曲で、ちょうど放送されるのが七草がゆの頃ですので、この曲を選びました。廓(遊里)で流行った新内らしい哀切な曲調は、最も有名な蘭蝶や明烏以来のもので、艶美な節回しは古賀メロディなど、昔のナツメロ演歌のルーツにもなっているようです。歌っているのは、新内志寿さんで、往年の名人・新内志賀大掾中心のカセット「新内名曲選 子宝三番叟、広重八景」に入っていました。おそらく90年前後の録音で、新内志寿さんはその後、三味線弾き語りで重森三果のお名前で活動されていたと思います。(「新内 廓七草」は見当たらないので、新内流しの二挺三味線を上げておきます。私も昔色々な所で弾きました)

<新内 廓七草 9分34秒>
新内流し.mp4

最後に民謡に戻りますが、新潟や日本海側中心に盲目の女性だけで組織を作り、唄をうたい歩いた芸能集団、瞽女(ごぜ)の杉本キクイさん他の三味線で、金毘羅船々です。四国では正月に参ることも多い金毘羅山の有名な民謡で、キングの「名人による日本の伝統芸」シリーズの瞽女編に三味線練習曲として入っています。長調と短調が入り混じるのが、面白いところです。

時間が余りましたら、同じくキングの「名人による日本の伝統芸」シリーズの瞽女編から祝い唄「春駒」までおかけします。春駒と言えば、今治の寿太鼓の定番曲としても知られていますが、瞽女の曲も正月にふさわしい祝言的な内容です。初春に訪れる養蚕祝言の門付芸で、高田瞽女は木製の春駒を手に持って唄うそうです。この曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 瞽女歌 杉本キクイ 金毘羅船々 1分35秒>
<6 瞽女歌 杉本キクイ 祝い唄 春駒 6分29秒 ~2,3分>
杉本キクエ - 金毘羅船々

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