ガイーダ(バグパイプ)・オーケストラ
ゼアミdeワールド245回目の放送、日曜夜10時にありました。3日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。JVCと同じ音源の動画は余り見当たらず、ソロのものだけ見つかりました。大編成は、代わりに333人の大オーケストラの演奏を入れておきます。
合唱が続きましたのでブルガリアの3回目は、バグパイプ・オーケストラの音源をご紹介します。ビクターJVCワールドサウンズの一枚「ガイーダ響鳴」という盤ですが、民族音楽を長年聞いてきて特に驚いた音源の一つです。最初の音が鳴った瞬間、何だこれは!と驚きの声を発してしまう程でした。演奏しているのは、ブルガリア南部ロドピ地方のカバガイーダのアンサンブルです。カバガイーダとは、一般のブルガリアのガイーダより一回り大きな「ガイーダの王者」と呼ばれるほどのバグパイプです。
複数の音が折り重なるポリフォニーと単旋律のモノフォニーはよく知られていると思いますが、このバグパイプ・オーケストラは微妙にピッチ(音高)の違う音が同時に鳴っているヘテロフォニーの一種と言えるのではと思います。すぐ思い出したのが、日本の木遣り歌や雅楽でした。CDの音では限界がありますが、実際に野外で聞くと、大気を振動させるような大音量で、ドローンは腹の底に響くような低音だそうです。
次々と旋律が変わる舞曲を含むメドレー形式の器楽曲をシュイタと呼びますが、1曲目の「大アンサンブルによるロドピのシュイタ」と、2曲目の「2台のカバガイーダの競演」を挟んで、3曲目の「シロカラカのシュイタ」までを続けてどうぞ。
<1 Rodopi Gaida Suita (Large Ensemble) 5分49秒>
<2 Kaba Gaida Contest 2分8秒>
<3 Shirokalaka Gaida Suita 4分37秒>
333 Bagpipes playing for the World Guinness Records - Sofia, Bulgaria
次の4曲目には、カバガイーダの独奏が入っています。ポサニーツァと言うロドピ地方の踊りの音楽を超絶技巧を交えて演奏しています。
<4 Rodopi Posadnitsa 2分31秒>
Rodopi Posadnitsa (kaba gaida solo)
6曲目の「羊よ」と言う曲では、女性の独唱を一本のカバガイーダが伴奏しています。追分のような細かい節回しに付いていくところは、日本の尺八伴奏の追分などの民謡を思い出させます。
<6 Ovnyolyo Vakal Ramatan 1分43秒>
一曲だけギリシアに戻って、ギリシアのバグパイプ、ツァンブーナの演奏を比較で入れておきます。ギリシア各地のバグパイプを特集したイギリスTopic Recordsの音源で、ギリシア・シリーズでかけようかと思って、かけられなかった曲です。'Tsiftetelli'のタイトル通り、レクと思われる枠太鼓がオリエンタルなリズムで囃し立てています。この盤には、ハサピコ、ペントザリス、スースタなどの有名な舞曲も入っています。
<6 'Tsiftetelli' 3分21秒>
では最後に5曲目に入っているベテランの長老たちのアンサンブルによるドスパットのシュイタを聞きながら今回はお別れです。ベテランらしい音の立った名演だと思います。ドスパットとは、ロドピ地方の町の名前です。これまでの曲を聞いてお分かりかと思いますが、全ての曲が同じ4つ、ないしは間の2つを抜いた上下2つの音の並びから始まっています。津軽三味線で曲の最初に3つの弦の同じ音を弾くように、これはバグパイプの調子を合わせるためでしょうか?
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<5 Dospat Gaida Suita 2分36秒>
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