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2021年4月12日 (月)

エスマの絶唱 So maki sum se rodila 他

ゼアミdeワールド254回目の放送、日曜夜10時にありました。14日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。ジプシー・カーペットの2曲以外は、また後日。

マケドニアの音楽の4回目になります。今回は前々回に続いてジプシー・クイーン、エスマ・レジェポヴァの他の音源から、特に素晴らしい2曲をおかけした後で、ゼアミブログの方で取り上げたジェレム・ジェレムと言う曲を、エスマとコチャニ・オルケスタルの音源でご紹介します。

2001年に来日も果した<ジプシーの女王>ことエスマ・レジェポヴァは、ヨーロッパ最大のロマ・コミュニティのあるマケドニアの首都スコピエ出身で、600曲以上の録音と1万本以上のライヴを行ってきたそうです。2007年にリリースされたドイツNetwork Medienの「ジプシー・カーペット」から、7,8曲目の「大きな苦しみに生まれて」と「我が黄金の50年」の2曲にとりわけ感銘を受けました。特に沁みた曲「大きな苦しみに生まれて」について、以下のように解説がありました。

マケドニアではよく知られた歌。エスマとシメオンが感動的なバラッドに改変。「私は大きな苦しみに生まれ、多くの心配と共にいる。死にたい。この苦しみを自分の墓石に刻みたい。山に登り、暗い渓谷に向かおう。そうすれば私の目は乾き、もう太陽を見ることはない。そして山を下り、カーネーションやフレッシュなバジルが茂る、花で満たされた庭園で横たわろう。」 シメオンとは、本作のプロデュースを手掛けたバックバンドのアコーディオン奏者シメオン・アタナソフのことです。

<7 Esma Redžepova / Gypsy Carpet ~So maki sum se rodila (Born with Hard Aches) 4分42秒>
So maki sum se rodila

「我が黄金の50年」の方は以下のように解説がありました。
エスマがその生涯を歌った自叙伝的な歌。「まだ若い時分にスコピエの家を離れた。神が私に与えた贈り物は、山脈と同じくらい大きな魂だ。スティーヴォと私は一緒に歌い、涙を流し、時には悩んだ。だけど私は喜んで彼ら全員にパンと少しの知識を与えた。すぐに数年が経った。まぶしい星のように私の子供たちは光り輝いたけど、今は散らばってしまった。私は黄金の50年を美しいネックレスと共に祝福する。一世紀の半分は半年のように過ぎて行った。それでもあなたたち全員に歌うことを好んでいる。もしあなたが私のホームタウンをどこかと尋ねたら、こう答える。スコピエ、愛するマケドニアの、と。」 スティーヴォとは、エスマの発掘者で後に伴侶になったスティーヴォ・テオドシエフスキのことです。バックバンドの名前はアンサンブル・テオドシエフスキになっています。

<8 Esma Redžepova / Gypsy Carpet ~Moite zlatni 50 (My Golden 50) 3分50秒>
Moite zlatni 50

エスマと言えば、この曲は忘れられない圧倒的な歌唱ということでゼアミブログに上げたDjelem Djelem ですが、Bonus Trackとしてジプシー・キャラヴァンと言うコンピレーションに入っていました。独Network Medienの「ジプシー・クイーン~Flammes du Coeurs」(2CD)にも入っていたように思いますが、記憶違いかも知れません。流浪の民の悲しみを感じさせる絶唱で、Žarko Jovanovićが1949年に書いたこのジェレム・ジェレムは、しばしば「ロマのアンセム」と言われます。

<Djelem Djelem (Bonus Track) 1分21秒>

同じDjelem Djelemが、バルカン・ブラスのグループ、コチャニ・オルケスタルのL'Orient Est Rouge(オリエントは赤い)と言う盤に入っていますので、併せておかけします。

<Kočani Orkestar / L'Orient Est Rouge ~Djelem, Djelem 4分5秒>

「ロマのアンセム」と言えば、エミール・クストリッツァ監督の1988年の映画「ジプシーのとき」に出てきたバルカン・ロマの民謡「エデルレジ」も、そう呼ばれていたように思います。音楽担当はゴラン・ブレゴヴィチでした。エデルレジとジェレム・ジェレムは、どちらも大好きな曲で、甲乙つけられません。これからの旧ユーゴ音楽巡りで何度か登場すると思いますが、セルビアに行く前に一度おかけしておきます。マケドニアの後は、アルバニア、コソボ、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、セルビア、ダルマチア、クロアチア、スロヴェニアの予定です。

<1 Le Temps Des Gitans & Kuduz / Ederlezi (Scena Durdevdana Na Rijeci) 4分59秒>

では最後に、先ほどの「私は大きな苦しみに生まれ」原題はSo maki sum se rodilaを、Struneと言うグループの演奏で聞きながら今回はお別れです。イギリスARCから出ていた「マケドニアの伝統音楽」に入っていた演奏です。エスマと違って、コブシを回さず、すっきりと歌っています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Strune / So maki sum se rodila (I was Born in Sadness) 4分23秒>

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