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2021年5月

2021年5月31日 (月)

コソヴォの音楽

ゼアミdeワールド261回目の放送、日曜夜10時にありました。2日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は最初の2曲のみです。Lulzoj Fusha Lulzoj Maliは色々動画もありましたので、また水曜以降に。

今回は旧ユーゴのコソヴォに移ります。コソヴォは、北東をセルビア、南東を北マケドニア、南西をアルバニア、北西をモンテネグロに囲まれています。ユーゴスラビア解体の過程でコソボ紛争を経て独立しましたが、コソボを自国領土の一部とみなすセルビア及びその友好国からは独立を承認されていないという国です。人口の92%はアルバニア人です。

コソヴォの音源を探してみました。丸まる一枚というのはなかったのですが、何曲かコンピレーション等に入っていました。まずは前回アルバニアの最後にかけた仏Arionから2002年に出ていたシェマリ・ブリシャ&スカロス楽団のHapi Syteと言う盤からです。イタリアで活動するコソヴォ人歌手とバルカン半島の研究者達が演じるアルバニア伝統音楽と言う内容でした。アルバニア音楽の西アジア的な風合いを強く感じさせる演奏になっています。12曲目はコソヴォの歌で「野原と山々に花が咲く」(移住の歌)です。

<12 Lulzoj Fusha Lulzoj Mali (Les champs et les montagnes s'épanouissent) 6分54秒>

この盤のラストを飾っている13曲目「私はジャニネへ向かう」は、南アルバニアのフリーリズムの3声の叙事詩的なポリフォニーになっていて見事な演奏ですので、コソヴォではありませんが、かけておきます。

<13 Mora Rrugen Per Janine (J'ai pris la route pour Janine) 6分13秒>

もう一枚は、マケドニアの6回目でかけたズルナとダウルの盤に2曲、コソヴォの曲がありました。英Topic Recordsから出ている「マケドニアと近隣諸国のジプシー音楽」と言うCDですが、サックス以前から伝統的に行われていたダブルリードのズルナと大太鼓ダウルという、この地域に普く見られる組み合わせで演じられる結婚式の音楽が収録されています。

<GYPSY MUSIC FROM MACEDONIA & NEIGHBOURING COUNTRIES ~Kalandxój (Kosovo) 4分27秒>
<GYPSY MUSIC FROM MACEDONIA & NEIGHBOURING COUNTRIES ~Burrërisht (Kosovo) 1分33秒>

トルコの音楽巡りの際に、Voice of the Turtle / Music of the Spanish Jews of Turkeyと言うタイタニックのセファルディ音楽の盤を取り上げましたが、このシリーズには「ブルガリアとユーゴスラヴィア編」もありまして、バルカン巡りのどこかに入れてようと思っていました。コソヴォの後に少し余りましたので、今回入れておきます。
15世紀のレコンキスタで、スペインのユダヤ教徒はイスラム教徒と共に追放され、北アフリカやバルカン半島など多くは旧オスマン帝国内に離散しました。スペイン系ユダヤ人は、セファルディとも呼ばれます。
211回目の放送でもかけた曲ですが、Voice of the Turtleの第3集ブルガリアと旧ユーゴスラヴィアのバルカン編から、La Sirenaという曲をおかけします。バルカンのセファルディーの間に広まったよく知られている叙情歌です。
211回目でも解説を入れましたが、セイレーンとは「サイレン」の語源ですが、ギリシア神話では、海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破に遭わせる、上半身が人間の美しい女性で、下半身は鳥の姿の海の怪物を指しますが、Voice of the Turtleの対訳歌詞では「もし海がミルクで出来ていて、私が漁師だったら、私は愛の言葉で不幸を釣るだろう」と匂わせる所で終わっています。この歌のルーツはボスニアのサライェヴォにあるそうです。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<14 La Sirena 4分34秒>

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2021年5月28日 (金)

Hapi syte e zeza

3声のポリフォニックなロマンスHapi syte e zezaは、有名な歌のようで色々な歌手の生映像がありました。南アルバニアの3+2+3の8拍子の「君の黒い瞳を開いて!」と言う曲です。8拍子でも4拍子系ではなく、拍の分割が風変りです。アリオン盤のシェマリ・ブリシャ(あるいはヘマリ・ブリシャ?)はイタリアで活動するコソヴォ人歌手でしたが、他の歌い手はアルバニア本国でしょうか?(1本目のSelami Kolonjaは、シェマリ・ブリシャにエモーショナルな歌い方と見た目がそっくり)
昨日のロマノ・ディヴェスの記事の訂正になりますが、まずタイトルのロマノがロマになっていました。大変失礼致しました。ディヴェスとはロマ語で「日」の意味でしたから、「ロマの日」と言う意味になるようです。ですので演奏していたのは別団体でしょうか。結局アル・スール盤のロマノ・ディヴェスの生映像は、やはりなさそうです。

Selami Kolonja - Hapi syte e zeza | Live at Maqina

Elina Duni Quartet: Nenocke & Hapi syte e zes

Hapi Syte e Zeze

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2021年5月27日 (木)

ロマ・ディヴェスのライブ映像

アルバニアのロマ・グループ、ロマノ・ディヴェスのライブ映像を見たいと思って探してみましたが、ヴァイオリンが入ったメンバーでの映像のみのようでした。彼らのアル・スール盤が出たのは、もう25年も前ですので(ちょうどゼアミを始めた年でした)、同じメンバーで変わらずやっているかどうかも分かりません。96年当時の編成はクラリネット、アコーディオン、ベース、ダラブッカ中心でしたが、ライブではクラリネットが見えません。1本目のイタリアでのライブと思われる映像では、ダラブッカの音は聞こえますが、弦楽器が中心になっています。2本目は明らかにヴァイオリン奏者がメインで、モンティのチャールダッシュを弾いています。ロマではないイタリア人作曲家のモンティが書いた曲が、チャールダッシュで一番有名になっているというのも、考えてみれば不思議です。この2本が本当にアル・スール盤と同じロマノ・ディヴェスかどうかは不明です。25年も経っているので、すっかりメンバーチェンジしているのかも知れません。静止画像でジェレム・ジェレムなどを演奏しているのは、彼らだと思いますが、やはり生映像を見たいので今回は外します。3本目は昨日入れられなかったアル・スール盤の2曲目です。

Santino Spinelli - Romano Dives

Romano Dives @ Milano

Chaj Zibede

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2021年5月26日 (水)

ロマノ・ディヴェスの2つのジリ

ハンガリーの農村ジプシー音楽でのケレマスキ・ジリとメセラキ・ジリの違いは、リズミカルな前者と、ゆったりとしたラメント(哀歌)の後者と言うことだったと思います。この話を聞いたのは、1977年の谷本一之氏のNHK世界の民族音楽だったと思いますが、この用語でのネット情報はほとんど皆無に近いようです。カタカナ表記の違いかも知れません。ダバ、ディビなどと男性が口で裏打ちリズムを取るケレマスキ・ジリは、90年代のこの界隈の音楽でよく耳にしました。結局アルバニア・ロマのグループ、ロマノ・ディヴェスの2曲に付いての違いはよく分からずのままですが、2本ともYouTubeはありました。ジリは歌の意味なので、ここではジャンル分けではなく単に曲名でしょうか。(以下放送原稿を再度)

2枚目はアルバニアのロマ音楽になりまして、Rromano Dives(ロマノ・ディヴェス)のChaj Zibedeと言う1996年に仏Al Surから出ていた盤です。アル・スール自体90年代の内に活動休止してしまいましたが、まだ在庫が残っていました。ロマノ・ディヴェスはアルバニアのベテラン・ロマ・グループで、2000年ころの話ですが、ヨーロッパではツアーが組まれるほど有名だそうです。クラリネット、アコーディオン、ベース、ダラブッカ中心で、女性ヴォーカルの入る1曲目とタイトル曲の2曲目が特に素晴らしいので、続けて聞きながら今回はお別れです。1曲目のE Semesqiri Giliと9曲目のE Ivanesqi Giliが、ハンガリーのジプシー音楽でのケレマスキ・ジリ(踊り歌)とメセラキ・ジリの対比を思い起こさせる名前で気になりましたので、9曲目についてはゼアミブログの方で触れたいと思います。ジリと言うのは、ロマ(ジプシー)語で「歌」の意味です。次回から、旧ユーゴのコソヴォに移ります。

<1 E Semesqiri Gili 5分43秒>

<9 E Ivanesqi Gili 2分1秒>


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2021年5月24日 (月)

シェマリ・ブリシャ&スカロス / Hapi Syte

ゼアミdeワールド260回目の放送、日曜夜10時にありました。26日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。ロマノ・ディヴェスは水曜以降に。

260回目の放送になりました。アルバニアの音楽の4回目になります。今回は2枚の音源をご紹介したいと思います。
1枚目は、仏Arionから2002年に出ていたシェマリ・ブリシャ&スカロス楽団のHapi Syteと言う盤で、イタリアで活動するコソヴォ人歌手とバルカン半島の研究者達が演じるアルバニア伝統音楽と言う内容でした。アルバニア本国ではなく旧ユーゴ側のコソヴォ出身で、イタリアを拠点にしているというのがユニークです。と言っても、先週かけたようなイタリア南部のアルバニア系アルベレシュの音楽のようにイタリア化している訳ではなく、アルバニア音楽の西アジア的な風合いを強く感じさせる演奏になっています。
 

まずは、1曲目の「南アルバニア、ラブ地方の哀歌」と英訳のあるKaba Isbeからおかけします。クラリネットの雄弁さに耳が釘付けになります。

<1 Kaba Isbe (Lamentation Labe) 3分12秒>

2曲目は南アルバニアの3+2+3の8拍子の3声のポリフォニー「君の黒い瞳を開いて!」と言う曲です。8拍子でも4拍子系ではなく、拍の分割が風変りです。

<2 Hapi Syte E Zeze (Ouvre tes yeux noirs !) 5分6秒>

5曲目に飛んで、北アルバニアの婚礼の歌「娘は成長した」は、オリエンタル・ムード溢れる一曲です。

<5 U Rrit Vasha (La fille a grandi) 2分52秒>

9曲目は、中央アルバニアの歌(ロマンス)で「僕らが愛し合った6か月」と言う曲です。旋律の美しい曲です。この盤から12曲目と13曲目も予定していましたが、時間の都合でコソヴォの音楽を取り上げる際に回します。

<9 Ka Nje Muaj Giysem Viti (Il y a six mois que nous nous aimons) 3分37秒>

2枚目はアルバニアのロマ音楽になりまして、Rromano Dives(ロマノ・ディヴェス)のChaj Zibedeと言う1996年に仏Al Surから出ていた盤です。アル・スール自体90年代の内に活動休止してしまいましたが、まだ在庫が残っていました。ロマノ・ディヴェスはアルバニアのベテラン・ロマ・グループで、2000年ころの話ですがヨーロッパではツアーが組まれるほど有名だそうです。クラリネット、アコーディオン、ベース、ダラブッカ中心で、女性ヴォーカルの入る1曲目とタイトル曲の2曲目が特に素晴らしいので、続けて聞きながら今回はお別れです。1曲目のE Semesqiri Giliと9曲目のE Ivanesqi Giliが、ハンガリーのジプシー音楽でのケレマスキ・ジリ(踊り歌)とメセラキ・ジリの対比を思い起こさせる名前で気になりましたので、9曲目についてはゼアミブログの方で触れたいと思います。ジリと言うのは、ロマ(ジプシー)語で「歌」の意味です。次回から、旧ユーゴのコソヴォに移ります。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 E Semesqiri Gili 5分43秒>
<2 Chaj Zibede 4分2秒>

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2021年5月20日 (木)

南イタリアのアルベレシュ、グリコ語とマグナ・グレキア

アルバニアは7割はイスラム教徒と言うことは、これまで書いていませんでしたが、それは音楽自体に余り関係ない様に思ったからでした。ホッジャの時代の「無神国家」を経たからでしょうか、現在は穏健で世俗的ムスリムがほとんどという事です。しかし、名前にははっきり分かる形で残っています。1本目のヴァイオリニストのDervishiや、クラリネット奏者のIbrahimは、明らかにイスラム系の名前です。昨日取り上げた「アカペラのヴォーカル・ポリフォニー」を意味するAjriを、ヴァイオリン、クラリネット、アコーディオンで演奏しています。アルベレシュのようなので、イタリア在住でしょう。予備知識なしで聞けば、美しいヨーロピアンなトリオ演奏です。2本目は、昨日「90年代にLyrichordの音源で初めて聞いた」と書いたItalian-Albanian singerのSilvana Licursiです。実に味のある歌です。
3本目は、アルベレシュの近くに住んでいるギリシア系のグリコ人のグリコ語のサンプル。ギリシア系の画家エル・グレコと言う表記なら分かり易いですが、「グリコ」と書かれると過剰反応するのは日本人だからでしょう(笑) タランテラ系の音楽が盛んで、古代のマグナ・グレキア以来、南イタリアに住んでいるギリシア系がこの音楽に果たしたウェイトは大きいのではと思ったりもしますが、その辺りの調査はまたイタリアに回ってきたらという事にします。4本目はマグナ・グレキアの音楽祭でしょうか? ほとんど100分オール、タランテラです。

Ajri i Pirukes

Trio "Bukuria"
Besa Dervishi, Violin
Ibrahim Gunbardhi, Clarinet
Thomas Krizsan, Accordion

VERY OLD ORIGINAL ALBANIAN SONG (Before the Turkish occupation of Albania)

Griko language

Magna Grecia - Greek songs from South Italy - Grecia Salentino

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2021年5月19日 (水)

南イタリアのアルバニア人のポリフォニー Ajri kavalleres

何度か書きましたが、南イタリアにアルバニア系少数民族がいることを知ったのは、90年代にアメリカのLyrichordの盤を通してだったと思いますが、スイスVDE-Galloの2011年の盤ではリリコード盤のフォーク調の歌謡ではなく、南イタリアのカラブリア地方へ移住したアルベレシュと呼ばれるアルバニア系少数民族の民謡そのものが入っていて、驚きを新たにしました。
放送で言ったことの繰り返しになりますが、南イタリアの舞曲タランテラや、いかにも南イタリア風な曲調の中に、幾つかの声楽パートがポリフォニックに動く曲が何曲かあります。イタリアも各地に様々なポリフォニーがありますので、その影響もあるようには思いますが、アルバニアのポリフォニーとの類似性も垣間見える古風な面も残しているように思います。いずれもAjriと言う言葉が付いていて、その原型と思われるAjretは、アカペラのヴォーカル・ポリフォニーを指しています。仏訳はAirですので、歌とかアリアのような意味合いになりそうです。
Ajriは全部で7曲ありまして、最もアルバニア寄りに聞こえる1、2、21、22曲目の4曲を続けておかけしました。1曲目のAjri kavalleres はアルベレシュの民族衣装を確認できる静止画像付きもありました。仏訳はAir des cavaliersでしたから、「騎士の歌」と訳せるでしょうか。

Albanians of Calabria - Ajri kavalleres (Air des cavaliers)

Ajri kavalleres (Air des cavaliers)

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2021年5月17日 (月)

アルバニアの木遣り風等 南イタリアのアルバニア系

ゼアミdeワールド259回目の放送、日曜夜10時にありました。19日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画はオコラの音源のみです。このおじさんの横顔のジャケットを見たのは、つい最近のような気もしますが、リリースされて23年も経っていることに驚愕しました。

アルバニアの音楽の3回目になります。まずは前回冒頭だけで終わりましたオコラの盤「アルバニア南部ラベ地方の嘆き歌と愛の歌」の1曲目から始めたいと思います。ささやくように朗誦されるポリフォニーの歌と弱音の技には独特な美しさがあると思います。

<1 Atje te ura ne lume 4分55秒>

11曲目は日本の木遣りに似て聞こえました。

<11 Atje te lisi ne brinje 2分22秒>

13曲目も日本の民謡に似た音階です。

<13 Po vjen lumi trubull-o 2分1秒>

アルバニアのポリフォニーは、もう一枚フランスのArionから出ていたようで、こちらはCDは見たことがありませんが、ストリーミングでは聞けますので、一曲入れておきます。オコラ盤と同じでライナーノーツを確認できないので、詳細は不明です。ゼアミブログで「鳩の声」と形容した横隔膜をひくつかせるような音を出しているパートは、ファルセットのメロディ、二人のドローンと合わせて4声を構成しますが、ここでは「鳩の声」という感じには聞こえません。むしろこういう風に聞こえることの方が多いようです。

<11 95 vjetorë 1分51秒>

何曲かアルバニアのポリフォニーを聞いたところで、南イタリアへ移住したアルベレシュと呼ばれるアルバニア系少数民族のスイスVDE-Galloの音源を比較で聞いてみたいと思います。南イタリアの舞曲タランテラや、いかにも南イタリア風な曲調の中に、幾つかの声楽パートがポリフォニックに動く曲が何曲かあります。イタリアも各地に様々なポリフォニーがありますので、その影響もあるようには思いますが、アルバニアのポリフォニーとの類似性も垣間見える古風な面も残しているように思います。いずれもAjriと言う言葉が付いていて、その原型と思われるAjretは、アカペラのヴォーカル・ポリフォニーを指しています。仏訳はAirですので、歌とかアリアのような意味合いになりそうです。Ajriは全部で7曲ありますが、最もアルバニア寄りに聞こえる1、2、21、22曲目の4曲を続けておかけします。

<1 Ajri kavalleres (Air des cavaliers) 1分47秒>
<2 Ajri muskatjelit (Air du moscatello) 1分43秒>
<21 Ajri i kangariqit (Air du piment) 2分30秒>
<22 Ajri i kallames (Air de la moisson) 2分13秒>

では最後に、南イタリアと言えば真っ先に思い浮かべる舞曲のタランテラを聞きながら今回はお別れです。Tarentelle chantée en arbëresh (No. 1)というタイトルで、これはアルベレシュ語で歌われるタランテラの意味でしょう。急速な8分の6拍子の明るい曲調は、全く南イタリアの音楽と同じです。時間が余りましたら、Tarentelle d'Acquaformosa (No. 2)と言うタランテラもおかけしますが、こちらでは旋律を奏でるバグパイプよりもタンバリンが前面に出て来ます。おそらく中東起源と思われる枠太鼓の一種、タンバリンが西洋で特に盛んに用いられるのは、タランテラや南仏プロヴァンスの音楽においてだと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<18 Tarentelle d'Acquaformosa (No. 2) 3分5秒>

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2021年5月14日 (金)

アルバニア南部ラベ地方の嘆き歌と愛の歌

アルバニアに戻ります。初回のシャンデュモンド盤でもそうでしたが、アルバニア音楽の場合、女声が入るとポリフォニーが多彩さと深みを増すように聞こえました。特に8曲目の二重唱は出色だと思います。どういう風に歌っているのか、映像で確認してみたいものです。と思って探したら、合唱ですがありました! その動画を一本目に。放送で言いましたが、オコラ盤はイネディ盤より数段録音がいいように思いますから、息遣いまでよく分かります。弱音の時の表現力は世界屈指では。どれが嘆き歌と愛の歌なのかは、現物が手元に残ってないので残念ながら分かりませんでした。

U plake mike u plake

<8 U plake mike, u plake 4分28秒>

<6 Moj bonjakja pa mama 3分5秒>

<7 Rashe e pashe nje enderre 2分53秒>

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2021年5月13日 (木)

シャヒーディーのセガー

シャヒーディー追悼特集という事で、もう一日だけペルシア音楽で行きます。シャヒーディーのダストガー・セガーの演奏は、CALTEX盤とオコラ盤で違っています。私の放送のオープニングにかけているのはオコラの方ですが、YouTubeはなさそうでした。今日はシャヒーディーのライブ映像と、おそらくカルテックスと同じ音源のイラン盤のスタジオ録音を上げておきます。オコラの方はホセイン・テヘラーニのトンバク独奏から入ってきますが、今日の映像のセガーではトンバクがエスマイリーに変わっていて、器楽合奏と同時にピシュリーズ奏法で入っています。
オコラの方のパーソネルは、アブドルワハブ・シャヒーディー(ウード、歌)、ジャリール・シャーナズ(タール)、アスガール・バハーリー(ケマンチェ)、ファラマルズ・パイヴァール(サントゥール)、ハッサン・ナヒッド(ネイ)、ホセイン・テヘラーニ(トンバク)と言う、信じられないような超豪華な布陣でした。録音は1970年頃と思われますが、LPの頃からありましたし、89年頃オコラで最初にCD化されたのがこの盤でした。当時はペルシア音楽と言えば、パイヴァールしかほとんど知られてないような時期でした。90年代までは手に入り易かったので、当時ペルシア音楽に関心を持たれていた方は、お持ちの方が多いかと思います。CALTEXのセガーのライブ映像は、イラン革命前ですから女性の演奏家もいますし、彼女らが持っている胴のくびれた擦弦楽器ゲイチャクや、ロバーブ(左端)かと思われる珍しい楽器も見えます。しかし何よりも、シャヒーディーの歌声の美しさを特筆すべきでしょう。

Abdolvahab Shahidi - Afsaneh Shod

Segah

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2021年5月12日 (水)

シャヒーディー追悼 イネディのアルバニア

5年間いつも私の番組のオープニングに流しているオコラの盤「ペルシアの音楽」の中心人物、ウード弾き語りの名人アブドゥルワハブ・シャヒーディー氏が99歳で亡くなったと知りまして、大きく心をかき乱されております。25年前にゼアミを始めた時に、オコラやアメリカ西海岸のレーベルの盤を大クローズアップしました。パリサーの名盤もありました。覚えておいでの古いお客様もいらっしゃるかと思います。ナーゼリーさんが2006年に来日した際にインタビューしましたが、「古い古典音楽は退屈で」とコメントしていました。もしかしてシャヒーディーやパイヴァールの世代?と思いましたが、ぐっと質問をこらえました(笑) シャヒーディーの蕭蕭とした歌声は最高で、個人的には一番好きなペルシア音楽家です。いずれも現在は廃盤などで入手不可なのが残念です。ご冥福をお祈りいたします。今晩は久々に巨匠の演奏に耳を傾けます。

Zendegi - Ostad Abdolvahab Shahidi

かと言ってペルシア音楽に戻る訳にもいかないので(笑)、アルバニアで続けます。今日はイネディ盤からかけた残りの2曲です。95年に出ていた「アルバニア ラブ地方のポリフォニー」からです。(以下放送原稿を再度)

日本の民謡のような音階の4曲目をおかけしますが、低音が不思議な囃子のような音型を入れています。

<4 Aman Trendafil, Aman Borzilok! 3分35秒>

横隔膜をひくつかせるような唱法は、ラストの17曲目ではっきり確認できます。(放送ではマイクの音が抜けていました)

<17 Dy Vajza - Te Dyja Labë. 2分49秒>

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2021年5月10日 (月)

What Have Ianina's Eyes Seen?

ゼアミdeワールド258回目の放送、日曜夜10時にありました。12日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。イネディ17曲目の解説「横隔膜をひくつかせるような唱法は、ラストの17曲目ではっきり確認できます。」の部分が、マイクの音が入っておりませんでした。大変失礼致しました。今日はWhat Have Ianina's Eyes Seen?の聞き比べのみにしておきます。

アルバニアの音楽の2回目になります。今回はフランスのIneditから95年に出ていた「アルバニア ラブ地方のポリフォニー」と、98年にフランスのOcoraから出た「アルバニア南部ラベ地方の嘆き歌と愛の歌」の2枚からご紹介します。
アルバニアの北部では単声の古めかしい音楽がありますが、対照的に南部では多彩なポリフォニーが聞けます。イネディ盤は、南部のラブ地方のギーノカステルで結成されたセミ・プロの合唱団による演奏で、同じラブ地方の音源は98年のオコラ盤や、同じ頃に仏daquiから出たVranisht / kenge polifonike labeがありました。イネディ盤以外はいずれも売り切れですが、オコラ盤はストリーミングにありましたので、イネディ盤と比較してみたいと思います。

まずは先週chant du monde盤の1曲目のWhat Have Ianina's Eyes Seen?(ヤニナの目は何を見たか?)と言う曲を最初にかけましたが、今回の2枚にも入っていますので、まずイネディ盤、続いてオコラ盤をおかけします。ささやくような裏声の独特な発声と地声のドローンが不思議なハーモニーを作っている曲です。3枚ともに入っているので、非常に有名な民謡と思われます。他は重複する曲は無しでした。アルバニア語の原題はJanines c'i pane syteです。

<13 Albanie - Polyphonies Vocales Du Pays Lab ~Janines Ç’i Panë Syte. 2分35秒>

<2 Albania: Labë Country - Complaints and Love Songs ~Janines c'i pane syte 2分44秒>

オコラ盤につけたコメントが以下の通りです。「何とも不思議な響きを持つアルバニア・ポリフォニーの中でも、典型的なアカペラ男声4部合唱(メロディー2部、ドローン2部)を聞かせる地方。ヴラニシュトとラパルダの2村の住民による演奏で、オコラの各国放送音源シリーズの一枚。ヴラニシュト村の録音(ビリヤードのジャケット)は仏daquiから一枚ありました。」このように書いていました。
 

売り切れで資料もないので今回かけられませんが、ダクイ(あるいはダキ)盤につけたコメントは以下の通りです。これも出てから25年近く経ったことにも驚きです。「驚異のポリフォニーを聞かせるアルバニアの男声合唱グループ。ワイルドな地声と囁くような声を多用するのは典型的な特徴ですが、声部によっては横隔膜をひくつかせるような(胸を叩いているような)発声があって、これは他(のアルバニア合唱)ではあまり聞きません。野性的なのに幽玄、やっぱりはまると深い合唱芸術でしょう。グルジアものと聞き較べてみたい逸品です。ビリヤードの風景のジャケットもなかなか洒落ています。ライヴ録音」このように書いていました。

日本の民謡のような音階の4曲目をおかけしますが、低音が不思議な囃子のような音型を入れています。

<4 Aman Trendafil, Aman Borzilok! 3分35秒>

横隔膜をひくつかせるような唱法は、ラストの17曲目ではっきり確認できます。

<17 Dy Vajza - Te Dyja Labë. 2分49秒>

オコラ盤はイネディ盤より数段録音がいいように思います。男声4部合唱とコメントしていましたが、6~8曲目の中には女性も入っているのではと思います。現物が手元に残ってないので分かりませんが、もしこの音域を男性が歌っているとしたら、二重に驚きです。男女のデュエットと思われる8曲目と、合唱の6曲目、7曲目を続けてどうぞ。

<8 U plake mike, u plake 4分28秒>
<6 Moj bonjakja pa mama 3分5秒>
<7 Rashe e pashe nje enderre 2分53秒>

では最後に、ささやくように朗誦されるオコラ盤の1曲目を聞きながら今回はお別れです。本当に独特な美しさがあると思います。次回は南イタリアへ移住したアルベレシュと呼ばれるアルバニア人のスイスVDE-Galloの音源と、今回のオコラ盤を比較して聞いてみたいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Atje te ura ne lume 4分55秒>

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2021年5月 7日 (金)

鳩の声

今の所の見つかったアルバニア男声合唱の映像ですが、2本目は去年コロナ禍の中、ドイツで開催された催しの映像のようです。9月は比較的落ち着いていたので出来たのでしょうか。1本目はもっと古そうな映像です。オスマン帝国の侵略を受け、剣を持って立ち向かう村人の姿を描いた曲で、曲調とはイメージが違って壮絶な詩の内容です。この2本で比べる限りでは、伝統の継承の心配をする程ではないのでしょうが、鳩のような不思議な声と、ファルセット気味の旋律も、古い演奏の方がやはり優れているように聞こえます。4パートの内、旋律は右一人、真ん中2人はドローン、左が鳩の声でしょうか? 1本目のコメントに「ギリシャ軍が非武装の民間人を殺害した1914年のホルモヴァ(テペレナ)の虐殺についての歌」とありましたが、英訳歌詞の中では刀を抜いて抵抗しているように見えました。

Flaka Mbuloi Fshane (Albanian folk music with English subtitles)

Albanian Iso-Polyphonic Song performed by a talented quartet. The song's theme is an Ottoman invasion causing the destruction of a village. English Subtitles are provided throughout the song.

Vlora of independence (iso-polyphony) from Albania @ Festival FK:K IVn

The chorus "Vlora of independence" from Albania was presented at "Festival FK:K IV" in Nuremberg & Bamberg in September 2020. Before the chorus started Franz KAfkA presented the movie "Washed by the moon" directed by Dan Shutt.

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2021年5月 6日 (木)

Carter Leading The CaravanとSong Of Emigration

今日は放送で流した残りの2曲を上げておきます。弦楽器のトレモロ音をバックに、クラリネット中心の伴奏と女声合唱によるフィナーレの曲、Carter Leading The Caravanは、特に印象的な曲です。放送では僅かしかかけられなかった神秘的な女声合唱の9曲目、Song Of Emigration(移民の歌)もノーカットで。
気になるのは、鎖国が解けて自由主義経済になり、欧米の音楽も入ってくるようになって、こういう伝統音楽がそのまま変化せず残っているのだろうか、と言う点です。日本も鎖国をしていた江戸時代に民謡や伝統音楽が豊かに醸成され洗練されたと思いますから、1983年のアルバニアの録音も、今では奇跡の記録になってなければ良いのですが。また後日、出来るだけ新しい動画も探ってみたいと思っています。

Women's choir from Permet - Carter leading the caravan

Song of emigration

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2021年5月 5日 (水)

ホッジャ賛歌とカバ

何枚かアルバニアの音源を聞き直して、やはりle chant du monde(「世界の歌」の意)のAlbania: Vocal And Instrumental Polyphonicsは、色々な合唱のタイプや器楽も入ったバランスの取れた一枚だったと思います。このクリーム色のジャケットの絶品揃いの民族音楽シリーズは、入手不可になって20年近く経つので、ストリーミングには見当たりませんし、PCに読み込ませてもジャケット写真も出てこないようです。今日はホッジャ賛歌と器楽アンサンブルのカバを上げておきます。カバと題する曲は、実は2曲ありまして、次の11曲目はKaba preceding a danceと言う題で入っています。放送ではかけられませんでしたが、こちらも3本目に上げておきます。(以下放送原稿を再度)

7曲目May You Live As Long As This Earth「あなたがこの世にある限り」という曲は、独裁者ホッジャへの賛歌で、共産主義を脱した現在ではおそらく聞けない曲だと思います。男性と女性が絶妙に入り混じって聞かせる一曲です。

<7 May You Live As Long As This Earth 4分29秒>
Choir From Gjirokaster - May you live as long as this earth

ジャケットにもある通り、楽器ではクラリネットが独特な旋律と音色を聞かせていて、これはギリシア北西部のエピルス地方でも聞けたクラリネットに余りにもそっくりです。カバと言うのは小編成の民族アンサンブルを指すようです。

<10 Kaba 3分23秒>
Kaba

Kaba

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2021年5月 3日 (月)

アルバニアのポリフォニー

ゼアミdeワールド257回目の放送、日曜夜10時にありました。5日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。3曲目からは、また水曜以降に。

感染拡大のため、確か3度目のスタジオ閉鎖になりまして、久々の宅録をしばらくすることになりました。宅録ではフェイドイン・フェイドアウトが出来ないので、オープニング曲を、オコラの「ペルシアの音楽」の2曲目のダストガー・セガーに入れ替えております。

今回からバルカン半島南西部に位置し、アドリア海を挟んでイタリア南部の踵の部分と向かい合う国、アルバニアの音楽を聞いて行きたいと思います。
アルバニア人は、バルカン半島北西部にいたインド・ヨーロッパ語族の古代民族イリュリア人の子孫と言われ、かつては旧ユーゴ南部のモンテネグロ人もイリュリア人であったとされているようです。南スラブ人の南下によってモンテネグロはスラヴ化されましたが、アルバニア人は古代からの命脈を保っていると言われます。その証拠に、アルバニア語はインド・ヨーロッパ語族の中では独立した言語で、周辺のスラブ系、ギリシア系、ラテン系のいずれとも異なる言語です。

南イタリアのつま先部分のカラブリア地方などの、古代ギリシアの植民地だったマグナ・グラエキアと呼ばれていたギリシア系少数民族が今も住んでいる地方には、グリコ語などギリシア語の変種が残っていますが、同時にアルバニア系住民もいるのは、ほとんど知られてない事実でしょう。彼らは15世紀頃に南イタリアへ移住したアルベレシュと呼ばれるアルバニア人のグループで、音源もスイスVDE-GalloやフランスのBudaから出ていますので、また後日取り上げたいと思います。今回調べていて知ったことですが、アルバニア語の近縁言語は、ギリシアの中心である南部でもアアルヴァニティーと言うアルバニア系少数民族によって話されていたようです。

アルバニアと言うと、80年代以前の共産主義時代の鎖国とか、90年代に市場経済が導入された際に「ねずみ講」が蔓延して経済破綻状態になったなど、良い話を聞かない時期もありました。しかし、その古い民族伝統は少なくとも80年代までは伝統音楽に色濃く残っていて、ブルガリア、グルジア、コルシカ、サルディニアなどには、それぞれ個性的なポリフォニーがありますが、それらのいずれとも一味違うポリフォニーの伝統が残っています。強いて言えば、ローマ帝国以来ルーマニア中心にバルカン半島各地に残存するラテン系民族ヴラフ人の一派、アルーマニア人の歌に似ているように思います。1980年代の音源がフランスのシャンデュモンドやイネディなどからありましたが、アルーマニアの音源も同じくchant du mondeから出ていました。この盤もいずれ取り上げます。独裁者エンヴェル・ホッジャがアルバニアの鎖国状態を招きましたが、そのお陰で伝統音楽が豊かに保たれた部分はあるようです。
chant du monde盤は、南部のギーノカステルで5年に一度開催されているアルバニアの民族音楽祭の1983年のティラナ大衆文化研究所による録音です。ラブとトスクの両地方から1600人もの楽師が招聘されたそうです。

まずは、そのchant du monde盤から、ささやくような裏声の独特な発声と地声のドローンが不思議なハーモニーを作っている1曲目What Have Ianina's Eyes Seen?(ヤニナの目は何を見たか?)からどうぞ。

<1 What Have Ianina's Eyes Seen? 3分45秒>
Albanian Men's Group From Vlorë - What have Ianina's eyes seen

ヨーデルにも少し似た不思議な発声に耳が止まるのが、4曲目のSong for Odricanです。1曲目、4曲目共にヒストリカル・ソングとコメントがあります。

<4 Song for Odrican 3分13秒>
Men's Choir From Tosk - Song for Odrican

7曲目May You Live As Long As This Earth「あなたがこの世にある限り」という曲は、独裁者ホッジャへの賛歌で、共産主義を脱した現在ではおそらく聞けない曲だと思います。男性と女性が絶妙に入り混じって聞かせる一曲です。

<7 May You Live As Long As This Earth 4分29秒>

ジャケットにもある通り、楽器ではクラリネットが独特な旋律と音色を聞かせていて、これはギリシア北西部のエピルス地方でも聞けたクラリネットに余りにもそっくりです。カバと言うのは小編成の民族アンサンブルを指すようです。

<10 Kaba 3分23秒>

神秘的な女声合唱か男声合唱のどちらかをラストにかけようと思いますが、その前にこの盤の最後12曲目の、クラリネット中心の伴奏と女声合唱による見事なフィナーレの曲、Carter Leading The Caravanをフェイドアウトせずにおかけしておきたいと思います。

<12 Carter Leading The Caravan 4分18秒>

では最後に神秘的な女声合唱の方を聞きながら今回はお別れです。9曲目のSong Of Emigration(移民の歌)と言う曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Song Of Emigration 5分31秒>

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