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2021年5月 3日 (月)

アルバニアのポリフォニー

ゼアミdeワールド257回目の放送、日曜夜10時にありました。5日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。3曲目からは、また水曜以降に。

感染拡大のため、確か3度目のスタジオ閉鎖になりまして、久々の宅録をしばらくすることになりました。宅録ではフェイドイン・フェイドアウトが出来ないので、オープニング曲を、オコラの「ペルシアの音楽」の2曲目のダストガー・セガーに入れ替えております。

今回からバルカン半島南西部に位置し、アドリア海を挟んでイタリア南部の踵の部分と向かい合う国、アルバニアの音楽を聞いて行きたいと思います。
アルバニア人は、バルカン半島北西部にいたインド・ヨーロッパ語族の古代民族イリュリア人の子孫と言われ、かつては旧ユーゴ南部のモンテネグロ人もイリュリア人であったとされているようです。南スラブ人の南下によってモンテネグロはスラヴ化されましたが、アルバニア人は古代からの命脈を保っていると言われます。その証拠に、アルバニア語はインド・ヨーロッパ語族の中では独立した言語で、周辺のスラブ系、ギリシア系、ラテン系のいずれとも異なる言語です。

南イタリアのつま先部分のカラブリア地方などの、古代ギリシアの植民地だったマグナ・グラエキアと呼ばれていたギリシア系少数民族が今も住んでいる地方には、グリコ語などギリシア語の変種が残っていますが、同時にアルバニア系住民もいるのは、ほとんど知られてない事実でしょう。彼らは15世紀頃に南イタリアへ移住したアルベレシュと呼ばれるアルバニア人のグループで、音源もスイスVDE-GalloやフランスのBudaから出ていますので、また後日取り上げたいと思います。今回調べていて知ったことですが、アルバニア語の近縁言語は、ギリシアの中心である南部でもアアルヴァニティーと言うアルバニア系少数民族によって話されていたようです。

アルバニアと言うと、80年代以前の共産主義時代の鎖国とか、90年代に市場経済が導入された際に「ねずみ講」が蔓延して経済破綻状態になったなど、良い話を聞かない時期もありました。しかし、その古い民族伝統は少なくとも80年代までは伝統音楽に色濃く残っていて、ブルガリア、グルジア、コルシカ、サルディニアなどには、それぞれ個性的なポリフォニーがありますが、それらのいずれとも一味違うポリフォニーの伝統が残っています。強いて言えば、ローマ帝国以来ルーマニア中心にバルカン半島各地に残存するラテン系民族ヴラフ人の一派、アルーマニア人の歌に似ているように思います。1980年代の音源がフランスのシャンデュモンドやイネディなどからありましたが、アルーマニアの音源も同じくchant du mondeから出ていました。この盤もいずれ取り上げます。独裁者エンヴェル・ホッジャがアルバニアの鎖国状態を招きましたが、そのお陰で伝統音楽が豊かに保たれた部分はあるようです。
chant du monde盤は、南部のギーノカステルで5年に一度開催されているアルバニアの民族音楽祭の1983年のティラナ大衆文化研究所による録音です。ラブとトスクの両地方から1600人もの楽師が招聘されたそうです。

まずは、そのchant du monde盤から、ささやくような裏声の独特な発声と地声のドローンが不思議なハーモニーを作っている1曲目What Have Ianina's Eyes Seen?(ヤニナの目は何を見たか?)からどうぞ。

<1 What Have Ianina's Eyes Seen? 3分45秒>
Albanian Men's Group From Vlorë - What have Ianina's eyes seen

ヨーデルにも少し似た不思議な発声に耳が止まるのが、4曲目のSong for Odricanです。1曲目、4曲目共にヒストリカル・ソングとコメントがあります。

<4 Song for Odrican 3分13秒>
Men's Choir From Tosk - Song for Odrican

7曲目May You Live As Long As This Earth「あなたがこの世にある限り」という曲は、独裁者ホッジャへの賛歌で、共産主義を脱した現在ではおそらく聞けない曲だと思います。男性と女性が絶妙に入り混じって聞かせる一曲です。

<7 May You Live As Long As This Earth 4分29秒>

ジャケットにもある通り、楽器ではクラリネットが独特な旋律と音色を聞かせていて、これはギリシア北西部のエピルス地方でも聞けたクラリネットに余りにもそっくりです。カバと言うのは小編成の民族アンサンブルを指すようです。

<10 Kaba 3分23秒>

神秘的な女声合唱か男声合唱のどちらかをラストにかけようと思いますが、その前にこの盤の最後12曲目の、クラリネット中心の伴奏と女声合唱による見事なフィナーレの曲、Carter Leading The Caravanをフェイドアウトせずにおかけしておきたいと思います。

<12 Carter Leading The Caravan 4分18秒>

では最後に神秘的な女声合唱の方を聞きながら今回はお別れです。9曲目のSong Of Emigration(移民の歌)と言う曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Song Of Emigration 5分31秒>

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