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2021年6月21日 (月)

おお、リューバフ、リューバフ

ゼアミdeワールド264回目の放送、日曜夜10時にありました。23日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は「おお、リューバフ、リューバフ」のみですが、プラヤと同じ音源は見当たらないので、他の女性歌手と弦楽カルテットの演奏を上げておきました。ロシア語でリューボフは「愛」なので、ボスニア語のリューバフも同じ意味だと思います。この曲、民謡なのかセヴダに入るのか、どちらでしょうか。リズムのノリはホラを感じます。

今回から何回かボスニア・ヘルツェゴビナの音楽を聞いて行きたいと思います。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナのヘルツェゴヴィナですが、現在のボスニア・ヘルツェゴビナ南部の歴史的名称で、15世紀にこの地域を支配したスチェパン・ヴクチッチの称号である「聖サヴァ公」にちなんだものといわれ、「公」を意味するドイツ語のヘルツォーク (Herzog) やハンガリー語のヘルツェグ (herc(z)eg) に由来する名称とのことです。
この国はボシュニャク人とクロアチア人が主体のボスニア・ヘルツェゴビナ連邦と、セルビア人中心のスルプスカ共和国の二つの構成体からなる連邦国家で、首都は1984年の冬季オリンピックが開かれたサラエボです。住民はボシュニャク人が48%、クロアチア人が14%、セルビア人が37%などで、ボシュニャク人の多くはイスラム教徒、クロアチア人の多くはローマ・カトリック教徒、セルビア人の多くはセルビア正教徒です。

まず255回目の放送で取り上げたプラヤサウンドのChants & Danses De Yougoslavie (Yugoslavian Songs & Dances)から「おお、リューバフ、リューバフ」と言うボスニアの歌をおかけします。叙情的な美しい曲で、初めて聞いて30年程経ちますが、ずっと記憶に残っていた歌です。

<3 Ensemble "Rakija" / Oh Ljubav, Ljubav (Bosnia) 4分12秒>
BEBA SELIMOVIC ... Ah, ljubav, ljubav (TV SA - uzivo***)

Nafas Ensemble in concert, Oh Ljubav Ljubav (Traditional Balkan song)

同じEnsemble "Rakija"の演奏で、このプラヤ盤にボスニアの曲が後2曲ありますので、続けておかけします。軽快なBosno Mojaと、少しクレズマーにも似たDa Zna Zoraです。

<15 Ensemble "Rakija" / Bosno Moja (Bosnia) 3分18秒>

<19 Ensemble "Rakija" / Da Zna Zora (Bosnia) 1分50秒>

次に、ユーゴ紛争のさなかにスミソニアンフォークウェイズから出たBosnia: Echoes From An Endangered Worldからご紹介します。93年に出たこの盤は、ボスニアのムスリムの音楽がユーゴ紛争前に現地録音されていて、演奏者の中には内戦で亡くなったと思われる「故人」の表記も見えます。イスラムのアザーンと神秘主義教団の儀礼ジクル、都市部の大衆音楽、山岳部の歌唱などが収録されていますが、今回は前半からおかけしておきます。

まずは1曲目のKad Ja Podjoh Na Benbašuと言う曲ですが、「私がBenbašuに行った時」と言う意味の美しい叙情歌で、サラエヴォの人々がアンセムを選ぶなら、この曲に違いないという程の曲のようです。

<1 Nada Mamula / Kad Ja Podjoh Na Benbašu 4分14秒>

2曲目のDunjaluče Golem Ti Siという曲は、トルコ系の弦楽器サズの伴奏で、サズ奏者の名前にSelimの名が見える通り、ムスリムの音楽家と思いますが、歌い手、サズ奏者共に物故者になっています。

<2 Himzo Polovina & Selim Salihović / Dunjaluče Golem Ti Si 3分14秒>

4曲目のヴァイオリンとトルコ系の擦弦楽器シャルギャの弾き語りをしているのも、ムスリム系の音楽家のようですが、こちらは世俗的でエロティックな歌のようです。

<4 Izudin Osojkić & Osman Bikić / Alaj Volim Orati 4分22秒>

8曲目は、解説にexpressive sevdalinka(表現力豊かなセヴダリンカ)とあるように、ボスニアの叙情歌セヴダの類のようです。タイトルのIl' Je Vedro, Il' Oblačno?は、「晴れ?それとも曇りかしら?」の意味です。女性歌手Alma Bandićの極めて美しい繊細な独唱です。この曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<8 Alma Bandić / Il' Je Vedro, Il' Oblačno? 3分2秒>

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