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2021年6月28日 (月)

セヴダリンカの名曲 Il' Je Vedro, Il' Oblačno?

ゼアミdeワールド265回目の放送、日曜夜10時にありました。30日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。前回途中までになったAlma Bandić の Il' Je Vedro, Il' Oblačno?からかけました。非常に印象的な曲です。他の曲は、また水曜以降に。

ボスニア・ヘルツェゴビナの音楽の2回目です。今回もユーゴ紛争のさなかにスミソニアンフォークウェイズから出たBosnia: Echoes From An Endangered Worldからご紹介します。93年に出たこの盤は、ボスニアのムスリムの音楽がユーゴ紛争前に現地録音されていて、演奏者の中には内戦で亡くなったと思われる「故人」の表記も見えます。イスラムのアザーンと神秘主義教団の儀礼ジクル、都市部の大衆音楽、山岳部の歌唱などが収録されています。

まずは前回途中で終わってしまった8曲目からおかけします。解説にexpressive sevdalinka(表現力豊かなセヴダリンカ)とあるように、ボスニアの叙情歌セヴダの類になりますが、ボスニアのラヴ・ソングと言えるジャンルがセヴダリンカと呼ばれています。タイトルのIl' Je Vedro, Il' Oblačno?は、「晴れ?それとも曇りかしら?」の意味です。女性歌手Alma Bandićの極めて美しい繊細な独唱です。

<8 Alma Bandić / Il' Je Vedro, Il' Oblačno? 3分2秒>

次に山岳部の歌唱でガンガとベチャラツと言う形式の3重唱が3曲入っていますので、続けておかけします。無伴奏の地声合唱と言う点では、ロシアやブルガリアなど、他のスラヴ系民族の本当の民謡に繋がるように思います。センテンスの最後の音程を上げる装飾法もそっくりです。最初が北ヘルツェゴヴィナの女性のガンガ、その次の2曲はサラエヴォ郊外のビイェラシュニツァ山の村落での男性のガンガと女性のベチャラツです。1984年のサラエボオリンピックでは、男子アルペン競技が開催された山です。ムスリムを含むと解説にあるので、当時は宗教の違いを越えて一緒に歌っていたようです。ガンガのような歌は組織化されない音として、都市部の人々が遠ざける傾向があるのに対し、田舎の住民はそれを彼らの最も表現力豊かな音楽の形だと考えているとのことです。ベチャラツの方は、幾分西欧の音楽の影響も入った新しいポリフォニー形式のようです。

<5 Rahima Sultanić, Mejra Sultanić & Habiba Sultanić / Ganga: Odkad Seke Nismo Zapjevale 2分54秒>
<6 Safet Elezović, Muhamed Elezović & Zejnil Masleša / Ganga: Sto Bećara U Srce Udara 1分25秒>
<7 Samka Čatić, Rahima Skuljić & Džemila Delić / Bećarac: Selo Moje Leži Pokraj Bara 1分39秒>

イスラムのアザーンと神秘主義教団の儀礼ジクルですが、音楽的にも美しい礼拝への召喚のアザーン(エザーン)から、おかけしておきます。イスラム世界に旅すると早朝に尖塔、ミナレットから聞こえてくるのがアザーンです。

<9 Kasim Mašić / Ezan (Call To Prayer) 4分58秒>

神秘主義教団の儀礼ジクルは、ウズベキスタンのブハラで興ったナクシュバンディー教団と、バグダッドで興ったカディーリー教団のジクルが抜粋で入っています。遠く離れた東欧のボスニアに、それぞれのタリーカ(教団)があることからして驚きです。時間の都合でナクシュバンディーの方だけおかけします。

<10 Naqshbandi Dervishes, Visoko / Naqshbandi Zikr (Excerpt) 3分19秒>

最後に都市部の大衆音楽になると思いますが、セヴダリンカの名女性歌手、エミナ・ゼチャイの対照的な2曲を聞きながら今回はお別れです。13曲目「トレベヴィチ山頂から山の精が叫ぶ」はアコーディオン中心の東欧風な伴奏、この盤のラストを飾る14曲目はサズの伴奏による「ムヨとニザマ」と言う恋愛叙事詩の歌唱です。ボスニア版「ロミオとジュリエット」あるいは「ライラとマジュヌーン」と言えそうです。Nizamaはペルシアの詩人ニザーミーに似ていますし、Emina Zečajと言う名前は、ユダヤ系に見えて仕方ないのですが(ミラ・ザカイと言う歌手がいたのを思い出しました)、また何か分かりましたらゼアミブログに書きます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<13 Emina Zečaj / Vila Viče Sa Vrh Trebevića 3分3秒>
<14 Emina Zečaj / Voljeli Se Mujo I Nizama 3分50秒>

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