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2021年8月

2021年8月31日 (火)

現代コーカサスの音楽文化とその概要

ツイッターにお知らせしましたが、ブログにも書いておきます。
コーカサス音楽の記事を書きました。ゼアミブログと放送原稿を元に、阪大の久岡加枝さんの注釈入り。

ご注文は以下で可能です。(一般書店には置いていません)
http://www.yuken-jp.com/publish/economy_society.html

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2021年8月30日 (月)

Ocoraのクロアチア メジムリエ民謡から

ゼアミdeワールド274回目の放送、日曜夜10時にありました。1日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。オコラのクロアチアは既に廃盤だと思いますが、YouTubeは見当たりませんでした。今回改めて聞き直して、特に後半のダルマチアが非常に素晴らしい内容だったことを確認しました。最近のオコラはいまいちの盤が多いだけに当時は凄かったなと思います。メジムリエ地方の放送でかけた2曲も、現在も親しまれているほどの有名曲のようでした。2本目のMedimurski Lepi Deckiを聞いて、タンブリッツァは僅か2本でもしっかり音が聞こえることにもびっくり。

クロアチアの音楽の5回目です。今回はオコラのクロアチアと、フォークウェイズのユーゴスラヴィアの古い2枚のアナログ音源から抜粋して行くと予告していましたが、オコラ盤だけで重要音源が多く1回分になりましたので、フォークウェイズの方は次回に回します。

フランスの民族音楽の名門レーベルOcoraの「Musiques d`autrefois 過去の音楽」ですが、97年リリースでちょうどユーゴ紛争の最中でしたから、ここで聞かれる音楽は、いずれ聞くことは難しくなるのではと言う意味合いで、「過去の音楽」と言うタイトルになっていたように思います。その後、ここで演奏されている伝統音楽がどの位残っているかが気になるところです。ダルマチアのクラパのように発展していった音楽もあります。音源は1958~93年にかけてクロアチア国営放送が各地で行ったフィールドレコーディングです。

8曲目までが北部と北西部の音楽で、1曲目はメジムリエでの1958年の録音です。女性の独唱による愛の歌で、ハンガリー風な歌唱です。2曲目もメジムリエ地方の音楽で、タンブリッツァ合奏の1980年録音です。2曲続けてどうぞ。

<1 Cveti Mi Fijolica 1分27秒>
Cveti mi fijolica

<2 Medimurski Lepi Decki 56秒>
Nives Hažić - Međimurski lepi dečki (Lijepom našom, Prelog 2019)

東部クロアチアの音楽は、前回かけたようなスラヴォニアのポリフォニックな合唱に始まり、合唱とタンブリッツァ楽団の13曲目Sokacko Koloまで5曲入っています。Sokacko Koloは、部分的にルーマニアの有名な「ひばり」にも似ているように思います。古いタイプの婚礼の合唱曲Svatovacと、その後を継いだベチャラツ、その後にSokacko Koloまで3曲続けておかけします。戯歌(ざれうた)の類のベチャラツは、ボスニアに同名の歌唱伝統がありましたが、別物のようです。

<9 Svatovac 1分12秒>
<12 Becarac 2分17秒>
<13 Sokacko Kolo 3分3秒>

中央クロアチアは首都ザグレブの周辺ですから、タンブリッツァの明るい曲調がメインかと思いきや、4月23のキリスト教の祝日「ゲオルギオスの日」に歌われるトゥロポリエ地方の女声合唱と、男女の交唱Glasnicsと言う60年代後半の珍しい音源が入っています。2曲続けてどうぞ。

<15 I Ovo Se Klajna Zeleni Juraj Kirales 46秒>
<16 Glasnics 1分>

南部クロアチアのアドリア海沿岸ダルマチア地方は、後背地の内陸部と、沿岸と島嶼部に分けて入っています。後背地の方は8曲ありまして、クラパに至る様々な合唱伝統が辿れるように思います。その中から、リカ地方で1986年に録音されたOj Odi Brate Da Ga Zapivamoと言う曲をおかけしておきます。クラパに似た歌唱です。

<23 Oj Odi Brate Da Ga Zapivamo 1分44秒>

27、28曲目のキイェヴォ地方の男声合唱も、クルクと繋がるようなフリーキーな音ですが、クラパに繋がって行く部分も見えるように思います。

<27 Nema Pisme Nit 49秒>
<28 Pitaju Me Odakle Si Mali 51秒>

ダルマチア地方後背地の次は沿岸と島嶼部で、最初の29曲目は前に別な音源でかけたクルク島のソペラ二重奏のPotancuです。やはり不思議な音楽です。こちらは1968年の録音です。

<29 Potancu 1分24秒>

クルクとイストリアで4曲入っていますが、イストリアの方は32曲目のLabinski Tanacをおかけしておきます。前に他の音源で聞いた曲です。ソペラの二重奏ですが、イストリアの場合は、どこかヨーロッパの古楽に繋がるものを感じます。1973年の録音です。

<32 Labinski Tanac 1分59秒>

クルクとイストリア以外の島嶼部の音源はスサク島などの曲がありますが、段々とクラパに近い穏やかな南国的な音に変わっていきます。終わりの38、39曲目は中央ダルマチアのクラパが入っています。1983年の録音で、2000年代に入ってからのクラパ・ツァンビなどの歌唱と、一味違う感じです。この2曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<38 Svet Ivane 6 Moga Trogira 2分11秒>
<39 Civit Mi Je U Gori 1分49秒>

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2021年8月27日 (金)

ドブロヴニクのリンジョ

ドブロヴニクの曲ですが、昨日の女性独唱だけでなく、ラドの演奏していたKolo Poskočica - Linđoもそうでした。ラドのCDではリンドと聞こえましたが、リンジョと言うのが近い発音になると思います。コロ・ポスコチッツァとリンジョは同義だと思いますが、どうでしょうか? コロはバルカン各地のホラやオロと繋がる舞曲なのが名前からも分かります。ダルマチアと言えばイタリア風な曲が多いですが、この曲はギリシア周辺のホロ直系の古風な趣があります。何より細長いケメンチェに似たlijericaと畳みかけるような演奏が、トルコ北東部のカラデニズ・ケメンチェにそっくり。リンジョはヘルツェゴヴィナ南部でも盛んなようです。ヴェネツィア共和国と対立していたドブロヴニクのラグーサ共和国では、イタリア風は取り入れなかったのでしょうか。2本目がラドの演奏です。3本目はチェリストが入ってのドブロヴニクのリンジョ、4本目はヘルツェゴヴィナのリンジョ、5本目はボスニアのコロのようですが、少しイスラム色が感じられます。

DUBROVAČKA POSKOČICA LINĐO

<14 Kolo Poskočica - Linđo 1分25秒>

Cultural Heritage - Lindjo

KUD Jedinstvo | Hercegovački linđo @ Spaladium Arena 4/12/2009

Kolo vodi najljepša djevojka - Kapov Han kod Čajniča - Irfan & Reva Bend (22.8.2021.)

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2021年8月26日 (木)

イストリアとドブロヴニクの音源

クロアチアの音楽で一番の驚きは、クルク島の音楽ですが、すぐ近くのイストリア半島もクルクの音楽に近いようで、似て非なる部分があって、それが大変に面白いです。アルバトロス盤には短いですが、2曲入っていました。ドブロヴニクの近くのムリュ島のノンサッチ音源もありましたので、一緒に上げておきます。(以下放送原稿を再度)

アルバトロス盤から、前々回のクルク島の音楽の回で「コラク・イ・ポタンツ Korak I Potancu」と言う曲をかけましたが、近くのイストリア半島の曲が2曲ありますので、今回かけておきます。「バルン:イストリアのダンス」と「ポルカ:イストリア・ポルカ・ダンス」の2曲です。最初がダブルリードの管楽器、次はドローン無しのバグパイプによる演奏です。クルクと違って、イストリアのダンスは、古楽の視点からも聞けそうな曲です。

<10 バルン:イストリアのダンス Balun 51秒>

<11 ポルカ:イストリア・ポルカ・ダンス Polka 1分11秒>

ノンサッチ盤には、他で聞けないドブロヴニクの向かいのムリュ島の音源もあります。ドブロヴニクの旧市街は「アドリア海の真珠」とも謳われ、世界遺産に登録されています。クルクやイストリアはダルマチアの北の端、ドブロヴニクは南の端に位置し、ドブロヴニクの辺りにあったラグーサ共和国はヴェネツィア共和国のライバルだった都市共和国です。女性の独唱で地味ですが、古い様式の珍しい音源ですので2曲続けておかけします。詩節の終わりの終止音が2度の音(ドが主音ならレ)になるのがクロアチア民謡の特徴なのがよく分かります。曲名は「苦しみのことは忘れて歌いましょう」と「リンゴの実は美しい」です。

<6 Pjevanti Cu Necu Stat U Muku 3分1秒>

<14 Lijepa Ti Je Od Jabuke Vocka 2分53秒>

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2021年8月25日 (水)

Lakson ラコダルマシュ

アルバトロスの「ユーゴスラヴィアの音楽」で冒頭を飾っているLaksonと言う曲は、とてもハンガリー的、と言うかハンガリー音楽そのものと言う感じで、この盤を手にした人は、クロアチアの音楽はみんなこんな感じなのかと勘違いしてしまうかもと思いました。ラクソンと言うのはハンガリー語の「結婚式で」の意味のラコダルモンから来ているという事で、個人的に思い出したのは1977年に来日公演もあった「エチェル村の結婚式」です。当時TV放映もされ、77年にビクターから国内発売されていたLPには、谷本一之さんの素晴らしい解説が付いていました。この辺りから民族音楽へ本格的に目が向いたので、とても思い出深い言葉です。「エチェル村の結婚式」は、ハンガリー語で Ecseri lakodalmas(エチェリ・ラコダルマシュ)です。またハンガリーに回ってきたら(来年の前半には)取り上げる予定ですが、一本上げておきます。今回初めて見る1952年の貴重映像です。(以下放送原稿を再度)

このアルバトロス盤の1曲目は「ラクソン:結婚式の音楽 Lakson」と言うハンガリー風の曲です。個人的に哀調を帯びたハンガリー音楽は大好きなもので、つい選んでしまいます(笑) ヴァイオリンをヘゲデと呼んだり、4弦の木の棒ではじくベースをガルドンと呼んだりするところは、いかにもハンガリー式ですが、演奏者はクロアチア人らしいです。もう一つの楽器は小型のツィンバロムです。曲名のラクソンも、ハンガリー語の「結婚式で」の意味のラコダルモンが訛ったものとのことです。モルヴェと言うハンガリー国境に近い町での録音で、この盤のジャケットにもなっています。

<1 ラクソン:結婚式の音楽 Lakson 1分19秒>

Ecseri lakodalmas (1952) - Állami Népi Együttes

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2021年8月23日 (月)

スラヴォニアの民謡

ゼアミdeワールド273回目の放送、日曜夜10時にありました。25日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。感染拡大のため何度目かのスタジオ閉鎖になりまして、またしばらく宅録の予定です。クロアチアの音楽の4回目です。前回に続いてクロアチア国立民族合唱舞踊団“ラド”の音源から始めたいと思います。今日の動画はスラヴォニアの3曲のみです。よく見るとAjd' Na LivoとHajd Na Levoは綴りもそっくりです。同じ曲の節違いでしょうか?

ラドのCDはたくさん出ていますが、手持ちの2枚にはセルビアに近いクロアチア東部のスラヴォニア地方の音楽は2曲だけで、これは東部で戦火が激しかったのと無関係ではないのかも知れません。その2曲はまた来週取り上げる予定です、と予告しておりました。ラドの1枚物(Lado / Iz Hrvatske Narodne Glazbene Riznice 2)に入っている2曲では明るい調子の歌声が聞けてほっとしました。最初の曲はいかにもスラヴ系の合唱と言う感じです。次の曲はタンブリッツァ・アンサンブルの伴奏が入ります。トルコのサズやタンブールの流れを汲むタンブリッツァは、音域によってソプラノを担当するビセルニツァ、その下のブラッチ、アルト音域のブガリヤ、テノール音域は何とチェロと呼ばれ、バス音域はベルデで、この5つから成ります。タンブリッツァの合奏の音はマンドリン・オーケストラにも似ています。

<12 Tri Jetrve Žito Žele 2分17秒>
Vranovci Bukovlje - Tri jetrve žito žele

Tri Jetrve Žito Žele

<13 Ajd' Na Livo 2分28秒>

KUD Kresimir Bad-Cannstatt - Ajd na ljevo, Ajd na desno

この1枚物の方にはダルマチアの曲も5曲入っておりまして、さっきのスラヴォニアに続いて入っているのは、Kolo Poskočica - Linđoと言うコロで、バルカン各地のホラやオロと繋がる舞曲なのが名前からも分かります。ダルマチアと言えばイタリア風な曲が多いですが、この曲はギリシア周辺のホロの直系の古風な趣があります。

<14 Kolo Poskočica - Linđo 1分25秒>

次の曲も地方名はジュズナ・ダルマチアとありますが、こちらはアコーディオンが入ってイタリア風にも聞こえます。

<15 Vrtajica I Dva Passa 1分26秒>

前回うっかりSenjicu Senjalaと言うハンガリー風な曲を2回かけてしまいました。同じく2枚組と1枚物の両方に入っているのが、トゥロポリエ地方のDevojka, Devojkaと言う曲で、とても親しみ易い曲ですので、ラドの最後にこの曲をかけたいと思います。この曲辺り、中央クロアチア音楽の典型的なイメージがあります。デーヴァイカとはロシア語ならジェーヴァチカで、「女の子」の意味です。

<23 Devojka, Devojka 1分50秒>

東北部のスラヴォニアの曲は他の盤にも入っておりまして、ユーゴ紛争前の録音のノンサッチ盤とアルバトロス盤にもあります。ノンサッチの方は「左へ、右へ」と言う曲で、これも明るく聞いたことのある曲でした。

<5 Hajd Na Levo 1分28秒>

アルバトロス盤のスラヴォニアの曲は「コロ・ロゴヴァツ・イ・スヴァトベナ・プラトニヤ:スラヴォニア地方の2曲のコロ・ダンス Kolo Logovac I Svatbena Pratnja」とありまして、サミッツァの独奏によるコロです。

<15 コロ・ロゴヴァツ・イ・スヴァトベナ・プラトニヤ:スラヴォニア地方の2曲のコロ・ダンス Kolo Logovac I Svatbena Pratnja 1分34秒>

このアルバトロス盤の1曲目は「ラクソン:結婚式の音楽 Lakson」と言うハンガリー風の曲です。個人的に哀調を帯びたハンガリー音楽は大好きなもので、つい選んでしまいます(笑) ヴァイオリンをヘゲデと呼んだり、4弦の木の棒ではじくベースをガルドンと呼んだりするところは、いかにもハンガリー式ですが、演奏者はクロアチア人らしいです。もう一つの楽器は小型のツィンバロムです。曲名のラクソンも、ハンガリー語の「結婚式で」の意味のラコダルモンが訛ったものとのことです。モルヴェと言うハンガリー国境に近い町での録音で、この盤のジャケットにもなっています。

<1 ラクソン:結婚式の音楽 Lakson 1分19秒>

このアルバトロス盤から、前々回のクルク島の音楽の回で「コラク・イ・ポタンツ Korak I Potancu」と言う曲をかけましたが、近くのイストリア半島の曲が2曲ありますので、今回かけておきます。「バルン:イストリアのダンス」と「ポルカ:イストリア・ポルカ・ダンス」の2曲です。最初がダブルリードの管楽器、次はドローン無しのバグパイプによる演奏です。クルクと違って、イストリアのダンスは、古楽の視点からも聞けそうな曲です。

<10 バルン:イストリアのダンス Balun 51秒>
<11 ポルカ:イストリア・ポルカ・ダンス Polka 1分11秒>

ノンサッチ盤には、他で聞けないドブロヴニクの向かいのムリュ島の音源もあります。ドブロヴニクの旧市街は「アドリア海の真珠」とも謳われ、世界遺産に登録されています。クルクやイストリアはダルマチアの北の端、ドブロヴニクは南の端に位置し、ドブロヴニクの辺りにあったラグーサ共和国はヴェネツィア共和国のライバルだった都市共和国です。女性の独唱で地味ですが、古い様式の珍しい音源ですので2曲続けておかけします。詩節の終わりの終止音が2度の音(ドが主音ならレ)になるのがクロアチア民謡の特徴なのがよく分かります。曲名は「苦しみのことは忘れて歌いましょう」と「リンゴの実は美しい」です。この2曲を聞きながら今回はお別れです。次回はオコラのクロアチア、フォークウェイズのユーゴスラヴィアの古い2枚のアナログ音源から抜粋する予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<6 Pjevanti Cu Necu Stat U Muku 3分1秒>
<14 Lijepa Ti Je Od Jabuke Vocka 2分53秒>

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2021年8月20日 (金)

ラドのステージ

まだクロアチア国立民族合唱舞踊団“ラド”の生映像を上げていませんでした。先日のSenjicu Senjala(センジツ・センジャーラ)もありましたので、1本目に。ハンガリーに近いポドラヴィナ地方民謡メドレーのようです。最初に演奏されているのが、この曲です。クロアチア民族衣装のファッションショーのような華やかなステージは、目が覚めるように美しかったのをよく覚えています。2本目は合唱中心でスラヴ民族の歌シリーズ。最初のフルヴァツカと言うのが、クロアチアのことです。続いてロシア、ブルガリア、ウクライナ、ポーランド、スロヴァキアの民謡も歌っています。それぞれの言葉で歌っているのでしょうか? ロシアは聞き取れますが、他は自身がありません。10分頃のウクライナの歌は、ロシアのピャトニツキーの舞台で2000年頃に見ました。楽しい曲です。
トルコのサズの流れを汲むタンブリッツァは、音域によってソプラノを担当するビセルニツァ、その下のブラッチ、アルト音域のブガリヤ、テノール音域は何とチェロと呼ばれ、バス音域はベルデで、この5つから成ります。タンブリッツァの合奏の音はマンドリン・オーケストラにも似ています。小型ギターのような弦楽器も出てきますが、これはタンブリッツァの音域で作られたギターでしょうか。

Podravino moja mila 1 dio LADO

Lado, Pjesme slavenskih širina 1

Prigorski plesovi

Plesovi iz Slavonije - FA SKUD-a "Ivan Goran Kovačić", Zagreb, 18.6.2016.

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2021年8月19日 (木)

ゴルスキ・コタルのアルペン風音楽

先日の放送でかけた曲の全ては無理なので、今日明日かいつまんでピックアップしてみます。Lado / Iz kajkavskih krajeva vol. 3 i 4の2枚目の15、16曲目がアルペン音楽に似ていると指摘していました。スロヴェニアに近いゴルスキ・コタル地方の曲でしたが、15曲目は雪山賛歌に似ていますし、16曲目はアルペン音楽そのもののようです。スロヴェニアの音楽がチロルと近く感じるので、当然といえば当然でしょうか。音楽では全く陸地と異質なクルク島も、このゴルスキ・コタル地方に含まれるというのが意外です。
ラドは1949年にザグレブで結成されたクロアチアのフォークダンスアンサンブルで、優れた歌手でもあるアンサンブルの36人のダンサーと、15人のミュージシャンが約40の異なる楽器を演奏します。このゴルスキ・コタル地方の曲も、元歌があって彼らがアレンジしたのか知りたいところですが、Od kad si dekle ti domaの曲そのものの情報は見当たらずでした。動画は先日の2枚組からと、Od kad si dekle ti domaはラドでライブ映像がないので、他のグループの演奏を入れておきました。最初に入れましたので、まずこのグループの映像が出てきます。

<2-16 Gorski kotar: Od kad si dekle ti doma 1分46秒>
Zagorski mušketiri Od kod si dekle ti doma

Od Kad Si Dekle Ti Doma

<2-15 Gorski kotar: Dekle je na gajnku stala 1分43秒>
Dekle Je Na Gajnku Stala

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2021年8月18日 (水)

ラドのSenjicu Senjala

モデルナの副反応が10日経って来まして結構しんどいので、今日は手短に。先日の放送でSenjicu senjalaと言う、クロアチア北部のハンガリー国境に近いポドラヴィナ郡の民謡を、うっかり2回かけてしまいました。2回目はエンディングでした。2枚組と1枚ものの両方に入っていて、選曲の時、見落としていました。哀調を帯びたハンガリー音楽は大好きなもので、つい選んでしまいます(笑)ハンガリー色の濃い音楽ですが、演奏しているのはクロアチア人のようです。印象的な曲ですが、ラドのライブ映像はなさそうです。

Senjicu Senjala

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2021年8月16日 (月)

ヘレン・メリルとラド

ゼアミdeワールド272回目の放送、日曜夜10時にありました。18日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。ヘレン・メリル「イェレーナ」のキリエ以外のラドの演奏は、また後日。2本目はイェレーナの2曲目、両親の故郷クルク島を追想する曲、Imagining Krkです。

クロアチアの音楽の3回目です。今回はクロアチア国立民族合唱舞踊団“ラド”のCDからご紹介します。2014年の来日公演を高松に見に行きまして、その際に会場で買ったクロアチア盤の2枚組と1枚物からの抜粋です。アドリア海沿岸のダルマチアの辺りはイタリア~ヴェネツィア風、スロヴェニアに近い北西部はチロル風、ハンガリーに近い北部はハンガリー的な音楽が聞ける、非常に地方色がはっきり分かれる国だと思います。ラドはダルマチア辺りの音楽は余りやってないようですが、その他の地域は地図入りでCDに紹介されています。

ちょうど今週の予定をそのように考えていたところ、M大の黒田先生からジャズ歌手のヘレン・メリルの2000年のアルバム「イェレーナ」と言う盤を教わりまして、何というシンクロ!と思いました。ヘレン・メリルは両親の出身地が先週の放送で特集したクルク島で、戦場になった故郷の惨禍を悼む思いと自画像を重ねたこの盤は、クルクのソペラをスティーヴ・レイシーがソプラノサックスで模していたり、アルバムの冒頭にはラドの合唱団と民族楽団の演奏する、カトリックのミサの最初か2曲目に歌われるキリエ(キリエ・エレイソン=主よ 憐れみたまえ)にドラムを被せた演奏が入っていたり、ジャズをベースにしながら随所に祖国への思いをオーバーラップさせた作品になっています。何よりもアルバムタイトルの「イェレーナ」は、ヘレン・メリルの本名です。クロアチア名のフルネームはイェレナ・アナ・ミルチェティッチです。まず、そのラドのキリエからおかけします。

<1 Jelena Ana Milcetic a.k.a. Helen Merrill ~Lado Folk Dance And Music Ensemble / Kirje 3分15秒>

Imagining Kirk

この後はラドのクロアチア盤の2枚組と1枚物から抜粋します。2枚組のタイトルはLado / Iz kajkavskih krajeva vol. 3 i 4です。1枚目の1曲目は北部のハンガリー国境に近いポドラヴィナ郡の民謡です。ハンガリー色の濃い音楽です。

<1-1 Podravina: Senjicu senjala 4分14秒>

次は首都ザグレブのポルカを一曲おかけしておきます。こういう明るい調子がクロアチア音楽の典型なのではと思います。クロアチアの民族楽器で最も有名な小型サズのようなタンブリッツァとヴァイオリンなどのアンサンブル演奏です。

<1-13 Zagrebacko prigorje: Prigorska polka 1分29秒>

次はクロアチア最北部に位置し、ハンガリー・スロヴェニアと接しており、オーストリアにも近いメジムリェ郡の曲はかなり多くて、9曲入っています。聞けば聞くほどハンガリー音楽にそっくりです。18~20曲目まで続けておかけします。

<1-18 Medimurje: Lepe nase senokose 1分25秒>
<1-19 Medimurje: Zaigrajte meni 1分37秒>
<1-20 Medimurje: Regica 1分40秒>

2枚目の15曲目から数曲、スロヴェニアに近いゴルスキ・コタルの音楽は、アルプスやオーストリアのチロル地方の音楽にも似ていますが、音楽では全く陸地と異質なクルク島も、このゴルスキ・コタル地方に含まれます。15曲目は雪山賛歌に似ていますし、16曲目はアルペン音楽そのもののようです。

<2-15 Gorski kotar: Dekle je na gajnku stala 1分43秒>
<2-16 Gorski kotar: Od kad si dekle ti doma 1分46秒>

2枚目のポクプリエとトゥロポリエの音楽は、明るいポルカ調の曲が多く、こういう中央クロアチアの音楽が典型的なタイプかと思いますが、その中でトゥロポリエの哀歌調の女性の合唱が耳に残りました。

<2-11 Turopolje: Ej, mila majko 1分25秒>

1枚物のLado / Iz Hrvatske Narodne Glazbene Riznice 2の方からも2曲選びましたが、やはりハンガリーに近いメジムリェとポドラヴィナのハンガリー風な歌でした。このハンガリー風の2曲を聞きながら今回はお別れです。ラドのCDはたくさん出ていますが、手持ちの2枚にはセルビアに近いクロアチア東部のスラヴォニア地方の音楽は2曲だけでした。これは東部で戦火が激しかったのと無関係ではないのかも知れません。その2曲はまた来週取り上げる予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Štiri Snehe 1分38秒>
<17 Senjicu Senjala 4分15秒>

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2021年8月13日 (金)

ソペラの音源 ノンサッチ、アルバトロス、フォークウェイズ

Diaphonic(類音素)と言うのがどういうことか明確に分からないままですが、今日はノンサッチとアルバトロスのクルクの音源と、フォークウェイズのクルクのアナログ音源のソペラがまだでしたので、上げておきます。Wedding, Bridal Marchは、時間が足らず放送でかけられなかった曲です。正にこの音楽がDiaphonicです。5本目はリゾート地としてのクルク島の紹介映像ですが、この中に一瞬ソペラが出て来ます。6本目はソペラ二重奏でのベートーヴェンの第九の歓喜のメロディ。ソペラで吹くとこうなります(笑)(以下放送原稿を再度)

音源はアメリカのフォークウェイズのLP時代の音源で1枚ありますが、ノンサッチ・エクスプローラーのシリーズの「ユーゴスラヴィアのヴィレッジ・ミュージック」とアルバトロス盤にも数曲入っていますので、まずそちらからおかけします。ノンサッチの方は、11曲目の「私は赤いバラを摘み…」と言う曲です。半音階的な狭い音域の旋律と、2度の不協和音に独特な響きがあります。後半はソピレと言う大小2本のダブルリード管楽器に変わりますが、歌の旋律関係を転回し、短7度になっています。ドを中心に考えると2度はドとレ、短7度はドとシ♭になります。

<11 Village Music of Yugoslavia ~Otrgnem Rozicu Ruman Cvet: Potancu 2分23秒>

何でこういう現代音楽のような伝統音楽がイタリアの近くに存在するのか、不思議と言う他ありません。古代のバルカン半島西部にいたイリュリアに囲まれる形でアドリア海北東部に住んでいた先住民のLiburnia以来のものでしょうか? イストリア半島周辺の音源はアルバトロスの「ユーゴスラヴィアの音楽」には2曲ありまして、クルク島の笛の音源がありますので、おかけしておきます。楽器名はソペラとありますが、ノンサッチ盤と同じ笛ではないかと思います。この笛はクルク島とツリクヴェニツァ周辺のダルマチア国境地帯のみで演奏されると解説にあります。今日の3枚とも60~70年代の、まだユーゴスラヴィアが一つの国だった頃の音源です。現在もこういう伝統が残っているのかは、不明です。2本のソペラは曲の途中では6度か7度の不協和音で動きますが、終止の際はオクターヴに落ち着きます。

<9 Folk Music of Yugoslavia ~コラク・イ・ポタンツ Korak I Potancu 1分25秒>

教会に入ってから歌われるのが、グラゴル・ミサと晩課と続唱だと思いますが、その前に演奏される結婚式の音楽を聞きながら今回はお別れです。教会に入る直前と思われるWedding, Songs/Instrumental Dance Musicを先に、その前に演奏されるWedding, Bridal Marchを後におかけします。ソペラのデュエットです。こんな不思議な音楽での結婚式は、想像が付きません。

<13 Wedding, Songs/Instrumental Dance Music 2分11秒>

<10 Wedding, Bridal March 3分32秒>

Krk Island (cover music)

L.van Beethoven: ODE TO JOY in Istrian scale (Croatia); ODA RADOSTI u istarskoj ljestvici

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2021年8月12日 (木)

イストリア~Ojkanje~クラパ

クルク島のすぐ西側のイストリア半島の音楽も独特で、音階はイストリア音階と呼ばれるようです。1本目の1分半くらいからダンスが出てきますが、そこで吹かれているソペラらしき笛の音がやはりクルクのソペラに似ていて、後半には2本のデュエットが入っています。クルクのソペラは、指孔の間隔が全音ではなく半音だそうです。グラゴル・ミサの後半も半音階進行が多いのが大きな特徴でした。笛の調子はずれにも聞こえる音と、女性の四重唱もクルクの歌に似ているのでは。
2本目はダルマチアの内陸部のOjkanjeの歌唱伝統を収録しています。ポリフォニックで大きく声を揺らすのが特徴的。 地方で言えば、Velebit, Lika, Kordun, Karlovacになります。3本目はクラパの現地録音のようです。こんな美声で歌う男性が多いのはやはり凄いです。こうしてユネスコの3本を並べてみると、クルクとクラパは全く異質なようで、何か繋がる部分も見えて来る気がします。特にOjkanjeを間に挟むことで。

Two-part singing and playing in the Istrian scale

Ojkanje singing

Klapa multipart singing of Dalmatia, southern Croatia

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2021年8月11日 (水)

グラゴル・ミサ

今週の放送での白眉、クルク島のグラゴル・ミサをクローズアップしてみます。後に続くVesper Sequenceが、終始ハーモニーの美しい曲なだけに、より際立ちます。何故こう言う途中から不協和音になる音楽が生まれたのか、不思議と言う他ないです。しかし、忘れられない独特な美しさがあるのも確か。こういう歌唱が、声色も含め今も完全に伝承されているのでしょうか。ダブルリードの笛ソペラと違って、なかなか難しい様にも思います。米Folkwaysのこの録音は1961年ですから、かなり前です。3本目はヤナーチェクのグラゴル・ミサです。演奏はマッケラス指揮チェコ・フィルです。曲は昔から知っていますが、この機会にちゃんと聞いてみようかと思います。
ウィキペディアに以下の興味深い記述がありました。特に、クロアチア文化の中心でグラゴル文字で多様な文学作品が創られ、の箇所。「1000年以上、島はダルマチア語の方言ヴェグリオットの中心地であった。島は伝統的にクロアチア文化の中心であった。グラゴル文字で多様な文学作品が創られ、その一部は島に保存されている。クルクには中世の司教座があり、重要な貴族フランコパン家に支配された。クルクは中世からヴェネツィア共和国の支配下にあり、1797年のカンポ・フォルミオ条約以後はイストリアとともにオーストリア帝国領となった。第一次世界大戦後、島はイタリアに併合され、第二次世界大戦後にユーゴスラビア社会主義連邦共和国の一部となった。」(以下放送原稿を再度)

この盤は2,3分までの小曲が9曲続いた後に、B面に当たる後半は結婚式の音楽が続き、その終わりに教会スラヴ語の典礼文に曲付けされたグラゴル・ミサの抜粋と、カトリックの晩課(夕べの祈り)が入っています。グラゴル・ミサと言えば、チェコ(モラヴィア)の作曲家ヤナーチェクの作品が有名ですが関係はありません。この2曲はノーカットで全部入れたいので、先に続けておかけします。どちらも男女の交唱のスタイルですが、グラゴル・ミサは協和音の部分に始まり、段々と不協和音の部分が出てきます。これが大変に興味深いです。グラゴル・ミサが9分弱、晩課Vesper Sequenceは4分です。Sequenceは英語のシークエンスの意味ではなく、教会音楽のラテン語の用語、セクエンツァ(続唱)のことではと思います。

<14 The Diaphonic Music of the Island Krk, Yugoslavia ~Extract from a Glagolithic Mass 8分48秒>

<15 The Diaphonic Music of the Island Krk, Yugoslavia ~Vesper Sequence 4分5秒>

Janáček - Glagolitic Mass (Score)

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2021年8月 9日 (月)

クルク島の伝統音楽

ゼアミdeワールド271回目の放送、日曜夜10時にありました。11日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。動画はフォークウェイズ盤の1曲目と、アルバム全曲もありましたのでグラゴル・ミサの所に入れておきます。他の音源はまた後日。

クロアチアの音楽の2回目です。先週かけましたクロアチア南部のアドリア海沿岸のダルマチア地方の男声合唱、クラパ歌謡はイタリア風で極めて美しい和声的な音楽でしたが、ダルマチアの北部のスロヴェニアやイタリア北東部に近い島嶼部には、クラパとは全く対照的な不協和音の多い不思議な音楽があります。私の知る限りでは、世界の不思議音楽の5本指に入る感じです。場所はアドリア海沿岸北部のイストリア半島に近いクルク島が中心で、この島はリゾート地としても有名なようです。
音源はアメリカのフォークウェイズのLP時代の音源で1枚ありますが、ノンサッチ・エクスプローラーのシリーズの「ユーゴスラヴィアのヴィレッジ・ミュージック」とアルバトロス盤にも数曲入っていますので、まずそちらからおかけします。ノンサッチの方は、11曲目の「私は赤いバラを摘み…」と言う曲です。半音階的な狭い音域の旋律と、2度の不協和音に独特な響きがあります。後半はソピレと言う大小2本のダブルリード管楽器に変わりますが、歌の旋律関係を転回し、短7度になっています。ドを中心に考えると2度はドとレ、短7度はドとシ♭になります。

<11 Village Music of Yugoslavia ~Otrgnem Rozicu Ruman Cvet: Potancu 2分23秒>

何でこういう現代音楽のような伝統音楽がイタリアの近くに存在するのか、不思議と言う他ありません。古代のバルカン半島西部にいたイリュリアに囲まれる形でアドリア海北東部に住んでいた先住民のLiburnia以来のものでしょうか? イストリア半島周辺の音源はアルバトロスの「ユーゴスラヴィアの音楽」には2曲ありまして、クルク島の笛の音源がありますので、おかけしておきます。楽器名はソペラとありますが、ノンサッチ盤と同じ笛ではないかと思います。この笛はクルク島とツリクヴェニツァ周辺のダルマチア国境地帯のみで演奏されると解説にあります。今日の3枚とも60~70年代の、まだユーゴスラヴィアが一つの国だった頃の音源です。現在もこういう伝統が残っているのかは、不明です。2本のソペラは曲の途中では6度か7度の不協和音で動きますが、終止の際はオクターヴに落ち着きます。

<9 Folk Music of Yugoslavia ~コラク・イ・ポタンツ Korak I Potancu 1分25秒>

クルク島のまとまった音源は、おそらくフォークウェイズのLP時代のThe Diaphonic Music of the Island Krk, Yugoslaviaだけだと思います。スミソニアン・フォークウェイズの自社レーベル音源中心にDL販売かカスタムCDRで購入可で、アップルミュージックのストリーミングでも聞けますし、解説はPDFで読めます。Folkwaysのお宝音源の山には、LPか10インチのアナログ盤のリリースのみで、Smithsonian FolkwaysからCD化されなかった音源も沢山ありまして、クルク島の1975年リリースのこの盤もその一枚です。70年代に日本コロムビアから一部LPで出ていましたが、クルクはなかったのではと思います。ストリーミングで入手しましたので、その中からおかけします。Diaphonicと言うのは類音素と訳が出てきます。音程が近いという意味なのか、またゼアミブログの方でも探ってみたいと思います。

1曲目は混声の合唱ですが、この近い音程の不思議な合唱で始まります。「ドブリンジは白い街」と言うドブリンジを紹介するような歌ですが、独特な音楽からは厳粛な雰囲気を感じます。

<1 The Diaphonic Music of the Island Krk, Yugoslavia ~Dobrinj Je Bili Grad 1分11秒>
Dobrinj je bili grad

この盤は2,3分までの小曲が9曲続いた後に、B面に当たる後半は結婚式の音楽が続き、その終わりに教会スラヴ語の典礼文に曲付けされたグラゴル・ミサの抜粋と、カトリックの晩課(夕べの祈り)が入っています。グラゴル・ミサと言えば、チェコ(モラヴィア)のヤナーチェクの作品が有名ですが関係はありません。この2曲はノーカットで全部入れたいので、先に続けておかけします。どちらも男女の交唱のスタイルですが、グラゴル・ミサは協和音の部分に始まり、段々と不協和音の部分が出てきます。これが大変に興味深いです。グラゴル・ミサが9分弱、晩課Vesper Sequenceは4分です。Sequenceは英語のシークエンスの意味ではなく、教会音楽のラテン語の用語、セクエンツァ(続唱)のことではと思います。

<14 The Diaphonic Music of the Island Krk, Yugoslavia ~Extract from a Glagolithic Mass 8分48秒>
Music of the Island of Krk, Yugoslavia [Full Album]

<15 The Diaphonic Music of the Island Krk, Yugoslavia ~Vesper Sequence 4分5秒>

教会に入ってから歌われるのが、グラゴル・ミサと晩課と続唱だと思いますが、その前に演奏される結婚式の音楽を聞きながら今回はお別れです。教会に入る直前と思われるWedding, Songs/Instrumental Dance Musicを先に、時間があればその前に演奏されるWedding, Bridal Marchを後におかけします。ソペラのデュエットです。こんな不思議な音楽での結婚式は、想像が付きません。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<13 Wedding, Songs/Instrumental Dance Music 2分11秒>
<10 Wedding, Bridal March 3分32秒>

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2021年8月 6日 (金)

クラパ・イェルサの2曲

クラパ・イェルサでは最初と最後の2曲に特に惹かれました。ARC盤ではŠpiro Jurićの鮮烈な熱唱を聞けるクラパ・ツァンビの影に隠れがちなように思いますが、クラパ本来のカトリックの教会の合唱のカラーを色濃く残しているのは、クラパ・イェルサのように思います。放送では曲順は逆でしたが、Sutra će te ponitはクラパ・ツァンビの演奏もありましたので、一緒に入れておきました。Špiro Jurićが抜けた後のようです。O, jablane moj visokiの方は、女性のクラパグループの歌唱もありましたので、4本目に入れておきます。クラパ・イェルサは、2本ともARC盤が出た頃のライブ映像です。(以下放送原稿を再度)

クラパ・イェルサの最後の曲である19曲目のSutra će te ponitは、亡くなった父親と翌日の葬儀について息子が歌うという内容で、言葉が分かれば、ピアソラのアディオス・ノニーノのような泣ける曲かも知れません。音楽的にはカトリックよりも正教会風に聞こえます。

<19 Klapa Jelsa / Sutra će te ponit 4分21秒>

klapa cambi-sutra ce te ponit

クラパ・イェルサの方は、クラパのルーツであるカトリックの合唱音楽のカラーが強い曲や歌唱スタイルが多いように思いました。このグループの最初の歌である2曲目のO, jablane moj visokiは、愛についての歌で、イェルサのポプラの木の伐採に触発されているとのことで、グループ名の由来の曲かも知れません。

<2 Klapa Jelsa / O, jablane moj visoki 2分17秒>

O jablane moj visoki - klapa Teranke - FDK 2019 Z

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2021年8月 5日 (木)

クラパ・ツァンビとŠpiro Jurić

クラパ・ツァンビの魅力は、何といってもトップ・テナーのあの輝かしい歌声だと思いますが、月曜と昨日のリパ・モヤの動画のコメントに、彼の名前はŠpiro Jurić(シュピロ・ユリッチ)らしいとありました。しかし、現在はクラパ・ツァンビにはいないようで、Vokalisti Saloneと言うグループで歌っているようです。あの声がないと、リパ・モヤも全く映えないと思います。最近のクラパ・ツァンビの動画を幾つか見ましたが、ポップ・アレンジが強くなった路線も出て来ているようで、そのタイプは見る気も起きず(笑) 月曜と昨日のリパ・モヤの動画は2000年で、彼の歌唱が入った原盤のクロアチアDallas盤が出たのが2004年、そのライセンスで英ARCの盤「クロアチアの歌 ダルマチア海岸のクラパ歌謡」Songs Of Croatia: Klapa Singing From The Dalmatian Coastが出ています。放送でかけたのと同じ他の4曲の動画はありました。クラパ・イェルサは明日に。(以下放送原稿を再度)

この「クロアチアの歌 ダルマチア海岸のクラパ歌謡」と言う盤は、クラパ・ツァンビともう一つのグループのクラパ・イェルサの歌唱が一曲ずつ入れ替わりで入っています。まず奇数番号に入っているクラパ・ツァンビの歌唱を数曲続けたいと思います。
5曲目Temperaは「愛のない世界がいかに灰色かについての歌」と言う解説がありました。

<5 Klapa Cambi / Tempera 2分11秒>

9曲目Sve ću preživitは「貧困と不幸を乗り越えることはできても、愛の喪失を乗り越えることができない男の物語。」と解説にありました。「あなたは何故ここにいない?」の意味のシュトテネーマの文句で終わる曲で、どうしてもヤドランカさんの歌を思い出してしまいますが、ダルマチアの歌はどこまでも明るい曲調なのが対照的です。

<9 Klapa Cambi / Sve ću preživit 3分>

11曲目のDobri Judiは、「女性に拒絶された後、男性は友人を頼って歌の快適さを見つけ、傷ついた心を癒す」と言う内容で、これも実にダンディな歌です。

<11 Klapa Cambi / Dobri Judi 3分8秒>

では最後に再びクラパ・ツァンビのこの盤の最後の歌唱で、20曲目のDobro Jutro Tugoを時間まで聞きながら今回はお別れです。「ずっと前に他の男と逃げてきた、忘れられない愛人に出会う男について」と言う意味深な解説がありました。

<20 Klapa Cambi / Dobro Jutro Tugo 3分>

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2021年8月 4日 (水)

2CELLOSのリパ・モヤ

旧ユーゴ出身の2CELLOSと、クロアチアの歌手Oliver Dragojevicが共演し、リパ・モヤを演奏している映像がありました。改めてこの曲が彼の地でどういう位置にある歌か気になります。スーパーチェロデュオとして人気の2CELLOSは、ルカ・スーリッチ(Luka Šulić)がスロヴェニア出身、ステファン・ハウザー(Stjepan Hauser)はクロアチア出身です。
月曜にリパ・モヤのおそらく最も有名な歌唱と思われるクラパ・ツァンビの歌唱を上げました。前後して旧マイ・チェロの画像をFBに上げたので、クラパ・ツァンビの動画を入れた270回目の放送原稿を見た方がFBでは少なかったかも知れませんので、再度2本目に入れておきます。クラパ歌謡とこの歌については、月曜の投稿をご覧下さい。

Oliver Dragojevic & 2CELLOS - Lipa Moja

Lipa moja - klapa Cambi - Proglašenje pobjednika FDK 2000

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2021年8月 2日 (月)

Klapa CambiのLipa Moja

ゼアミdeワールド270回目の放送、日曜夜10時にありました。4日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。クラパ・ツァンビのリパ・モヤ以外は、また水曜以降に。今日の動画は大分前に貼ったことのある一本です。

今回からクロアチアの音楽に移ります。まずはクロアチア南部のアドリア海沿岸のダルマチア地方の男声合唱、クラパ歌謡です。イタリア風でダンディな明るい合唱が多く、これが本当に南スラヴ系のクロアチアの歌か?と不思議に思う程にイタリア的です。
私が最初にクラパ歌謡を聞いたのが、2005年頃の北中さんのNHKFMワールドミュージックタイムでした。特にクラパ・ツァンビのリパ・モヤと言う、美しく格好いい曲に非常に驚いて、チェック漏れしていたイギリスARCの盤「クロアチアの歌 ダルマチア海岸のクラパ歌謡」Songs Of Croatia: Klapa Singing From The Dalmatian Coastを急いで入れた記憶があります。
リパ・モヤは「時の流れと女性の美しさについての歌」と言うことですが、英訳歌詞を読むと、かなりストレートなラヴソングと言う印象でした。グループ名を最初クラパ・カンビと読んでいましたが、クラパ・ツァンビの方がより近いと思います。このARC盤は現在は廃盤のようで、ストリーミングでも原盤のクロアチアDallasの盤と思われる写真が出てきます。

<1 Klapa Cambi / Lipa Moja 3分44秒>
Lipa moja - klapa Cambi - Proglašenje pobjednika FDK 2000

クラパ(クロアチア語: Klapa)は、クロアチア南部沿海部のダルマチア地方で伝統的に行われているア・カペラ(無伴奏)の男声合唱で、第1テナー、第2テナー、バリトン、バスで構成され、2012年にユネスコ無形文化財にも登録されています。低音のバス・パートから、裏声のファルセット・パートまで入れると、そのダイナミックスの幅は女声合唱の比ではないと思います。クラパの歌では主に、愛と女性の美しさ、葡萄とワイン、故郷と海について歌われています。最近は女性のグループも出来ているようですが、そうなると歌詞も気になります。なおクラパとは”友人の集まり”という意味合いのようです。

クラパのルーツは、アドリア海沿岸にも広まったカトリックの教会の合唱に辿れるようです。アドリア海に面したダルマチア辺りは、7世紀末から1797年まで1000年以上に亘り歴史上最も長く続いた国、ヴェネツィア共和国があった場所で、そこで話されていた西ロマンス語系のヴェネト語や、標準イタリア語と同系統の南ロマンス語系のダルマチア語と共に、カトリックの信仰と北イタリア風な合唱がスラヴ人の間にも広まったのではと思います。ダルマチア語は、クロアチアのダルマチア海岸とモンテネグロのコトル南部で使用され、19世紀末に最後の話者が亡くなり、現在では死語になっています。

この「クロアチアの歌 ダルマチア海岸のクラパ歌謡」と言う盤は、クラパ・ツァンビともう一つのグループのクラパ・イェルサの歌唱が一曲ずつ入れ替わりで入っています。まず奇数番号に入っているクラパ・ツァンビの歌唱を数曲続けたいと思います。

5曲目Temperaは「愛のない世界がいかに灰色かについての歌」と言う解説がありました。

<5 Klapa Cambi / Tempera 2分11秒>

9曲目Sve ću preživitは「貧困と不幸を乗り越えることはできても、愛の喪失を乗り越えることができない男の物語。」と解説にありました。「あなたは何故ここにいない?」の意味のシュトテネーマの文句で終わる曲で、どうしてもヤドランカさんの歌を思い出してしまいますが、ダルマチアの歌はどこまでも明るい曲調なのが対照的です。

<9 Klapa Cambi / Sve ću preživit 3分>

11曲目のDobri Judiは、「女性に拒絶された後、男性は友人を頼って歌の快適さを見つけ、傷ついた心を癒す」と言う内容で、これも実にダンディな歌です。

<11 Klapa Cambi / Dobri Judi 3分8秒>

クラパ・イェルサの方は、クラパのルーツであるカトリックの合唱音楽のカラーが強い曲や歌唱スタイルが多いように思いました。このグループの最初の歌である2曲目のO, jablane moj visokiは、愛についての歌で、イェルサのポプラの木の伐採に触発されているとのことで、グループ名の由来の曲かも知れません。

<2 Klapa Jelsa / O, jablane moj visoki 2分17秒>

クラパ・イェルサの最後の曲である19曲目のSutra će te ponitは、亡くなった父親と翌日の葬儀について息子が歌うという内容で、言葉が分かれば、ピアソラのアディオス・ノニーノのような泣ける曲かも知れません。音楽的にはカトリックよりも正教会風にも聞こえます。

<19 Klapa Jelsa / Sutra će te ponit 4分21秒>

では最後に再びクラパ・ツァンビのこの盤の最後の歌唱で、20曲目のDobro Jutro Tugoを時間まで聞きながら今回はお別れです。「ずっと前に他の男と逃げてきた、忘れられない愛人に出会う男について」と言う意味深な解説がありました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<20 Klapa Cambi / Dobro Jutro Tugo 3分>

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