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2021年10月

2021年10月29日 (金)

ボバン・マルコヴィッチ・オルケスタルの今

来週から数回は一般のセルビアと、ヴラフ人、アルーマニア人の民族音楽の音源の方に移りますので、ロマのバルカン・ブラスを聞くのは一応今週までになるかと思います。ボバン・マルコヴィッチ・オルケスタルばかり取り上げましたが、グチャ(Guca)で毎夏開催されるブラスバンド・フェスティヴァルの音源を集めた独Network Medienのゴールデン・ブラス・サミットと言う2枚組コンピレーションもあったように、現地にはブラス・グループが五万といるそうです。しかし、この盤も売り切っていて、ストリーミングにも見当たりませんでした。ボバン・マルコヴィッチ・オルケスタルを見ながら終えることになりますが、昨日の「フレイレフとチョチェク」が耳に残っている内にと思いまして、一般的なチョチェクが分かる演奏、メッセチーナとカラシニコフを演奏している生映像、2021年のグチャのフェスティヴァルの1時間を越えるステージの3本を上げておきます。MESECINA I KALASNJIKOVとかBoban i Marko(息子)の「i」は、英語ならandで、これもロシア語(и)と同じです。

Boban Markovic - Mundo Cocek

BOBAN MARKO MARKOVIC MESECINA I KALASNJIKOV

Boban i Marko Markovic koncert Guca 2021

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2021年10月28日 (木)

フレイレフとチョチェク

Freylekhs - Cocek # 5と言う曲は、ほとんどクレズマー音楽のフレイレフ寄りに聞こえます。どこかにチョチェクの部分があるのか、もう少し耳を澄ませる必要を感じます。FreylekhだけでYouTube検索すると、それこそ無限に出てくると思いますので、Freylekhs - Cocek # 5と検索してたまたま出てきた動画が、ジューイッシュ・ウェディングの雰囲気を伝えていてなかなか良いので、こちらを一本目に入れました。Shtetl Neukölln & Tantshoysですが、ベルリン南東部のノイケルンのシュテトル(ユダヤ人集落あるいはコミュニティー)と言う意味のクレズマー・バンドのようです。日本では90年代のようには盛り上がってない感があるクレズマーですが、欧米のユダヤ社会では脈々と受け継がれているのでしょう。(以下放送原稿を再度)

Shtetl Neukölln & Tantshoys #5 - freylekhs

東欧系ユダヤのクレズマー音楽のグループの作品にボバンが客演している音源もありまして、フランク・ロンドン&クレズマー・ブラス・オールスターズ/Brotherhood of Brassと言う同じピラニアのドイツ盤ですが、これはリヴァイヴァル・クレズマーの中心的なグループ、クレズマティクスのトランぺッター、フランク・ロンドンとボバン・マルコヴィッチの両トランぺッターの夢の共演と思われます。祭礼音楽の一種である東欧系ユダヤのフレイレフとロマのチョチェクを合わせる試みでもあるようです。

<Frank London's Klezmer Brass Allstars / Brotherhood of Brass ~Freylekhs - Cocek # 5 (feat. Boban Markovic) 5分22秒>

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2021年10月27日 (水)

ハヴァ・ナギラ

90年代から雑誌やムックなど方々に、ハヴァ・ナギラはアハヴォ・ラボ旋法の典型、マイム・マイムはイエメン系ユダヤの古風な旋法の典型と書いてきましたが(この情報はディスコグラフィ作成で協力させて頂いた水野信男先生の著書を参考にしています)、久しぶりにハヴァ・ナギラを聞きました。この曲については、90年頃に聞いたロシアのメジクニーガ盤のモスクワ・シナゴーグの男声合唱のインパクトが強く、いまだにハシディックの髭をたくわえ黒ずくめの男性の歌声が念頭にあります。イスラエルの民族音楽にもなっていますが、その曲をセルビアのロマ楽師が演奏するというのは、この盤が出た頃は不思議な気もしました。フランク・ロンドンがレパートリーを持ち込んだのか、ユダヤとロマの楽師間でレパートリーの交換が元からあったのか、その辺に関心があります。バラライカ・アンサンブルとダンスの演奏を一本目に、2本目が2002年に出たライヴ・イン・ベオグラードのボバン・マルコヴィッチの音源です。日本のチャランポランタンもやっていたので、3本目に。(以下放送原稿を再度)

HAVA NAGILA DANCE

このライヴ・イン・ベオグラードには、ユダヤの名曲「ハヴァ・ナギラ」も入っています。東欧系ユダヤのハシディック・ソング由来の高揚感をどう表現しているかが聞きものです。

<Boban Marković Orkestar / Live in Belgrade ~Hava Naguila 3分33秒>

Hava Nagila - Japanese Style

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2021年10月25日 (月)

Boban Marković Orkestar

ゼアミdeワールド282回目の放送、日曜夜10時にありました。27日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。クレズマー絡みの曲は水曜以降に。

セルビアの音楽の4回目です。今回は映画「アンダーグラウンド」から注目されるようになったボバン・マルコヴィチ・オーケスターの何枚かの音源からご紹介します。グチャ村のブラス・コンテストで2000年度最優秀バンドに選出され、リーダーのボバンは上記コンテストで2001年に最優秀トランペッターに選出されています。

まずは独Piranhaから2002年に出たライヴ・イン・ベオグラードから、クストリッツァ監督、ボバン・マルコヴィッチ音楽のお馴染みの2曲、「アンダーグラウンド」からメセチナと「ジプシーのとき」からエデルレジを続けておかけします。

<Boban Marković Orkestar / Live in Belgrade ~Mesecina 4分59秒>

<Boban Marković Orkestar / Live in Belgrade ~Ederlezi 5分43秒>

このライヴ・イン・ベオグラードには、ユダヤの名曲「ハヴァ・ナギラ」も入っています。東欧系ユダヤのハシディック・ソング由来の高揚感をどう表現しているかが聞きものです。

<Boban Marković Orkestar / Live in Belgrade ~Hava Naguila 3分33秒>

東欧系ユダヤのクレズマー音楽のグループの作品にボバンが客演している音源もありまして、フランク・ロンドン&クレズマー・ブラス・オールスターズ/Brotherhood of Brassと言う同じピラニアのドイツ盤ですが、これはリヴァイヴァル・クレズマーの中心的なグループ、クレズマティクスのトランぺッター、フランク・ロンドンとボバン・マルコヴィッチの両トランぺッターの夢の共演と思われます。祭礼音楽の一種である東欧系ユダヤのフレイレフとロマのチョチェクを合わせる試みでもあるようです。

<Frank London's Klezmer Brass Allstars / Brotherhood of Brass ~Freylekhs - Cocek # 5 (feat. Boban Markovic) 5分22秒>

セルビア北部ヴォイヴォディナ出身のハンガリー系超絶ヴァイオリニスト、ライコー・フェリックスとの共演盤もありますが、時間が超過しますので、次回に回します。
では最後に2009年のDevlaから、タイトル曲のデヴラとマルーシュカを時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Boban I Marko Marković Orkestar / Devla ~Devla 3分23秒>
<Boban I Marko Marković Orkestar / Devla ~Maruska ~3分6秒>

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2021年10月22日 (金)

アンダーグラウンドのラストシーン

いよいよアンダーグラウンドのラストシーンです。一昨日の痛ましい場面の後、クロは懐かしい「地下室」にたどり着き、ドナウ河で溺死したと思われる息子ヨヴァンの「タタ!(お父ちゃん、のようなニュアンス?)」と呼ぶ声と共に、井戸の中に結婚式の姿のままのヨヴァンの幻影を見ます。いてもたってもいられず井戸に飛び込んでからは、クロの白日夢なのか溺れ死んでしまったのか分かりませんが、ドナウ河の中で懐かしい面々に再会。マルコ、ナタリア、更にはロマの楽師までいます。
ドナウ河に面した小さな半島の場面に変わり、高らかにシェヴァ(ひばり)の曲が始まります。牛が続々と泳いで陸に上がり(牛の泳ぎの上手さにびっくり!)、ヨヴァンとエレナの結婚式の続き?が行われています。第一章で死んだはずのクロの妻、マルコ、ナタリアも正装して宴にやって来ます。マルコの弟イヴァンもいます。おそらく彼岸での宴なのでしょう。泣けるシーンです。このシーンにカラシニコフを被せているYouTubeがありますが、これでは逆戻りです。映画はシェヴァ(ひばり)だけで高らかに全編を終えています。
字幕無しですが、2本目に映画全編を上げておきます。アンダーグラウンドは、セルビア語ではポド・ゼムリエ。ロシア語でも全く同じで、ゼムリアは北極海のノヴァヤゼムリャ(「新しい大地」の意味)のゼムリャですから、聞いたことのある方もいらっしゃると思います。

Underground - Finale

Underground (Podzemlje) [1995] / (Ceo Film)

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2021年10月21日 (木)

アンダーグラウンド 結婚式のシーン

伝説のラストシーンに行く前に、第二章の地上が冷戦時代の映像を探してみました。一つには、ウェディング・チョチェクがどこで使われていたかはっきり分からず、結婚式のシーンかなと思ったからで、やはりナタリアが戦車に上る有名なシーンでかかっていました。ここだけのYouTubeはなさそうです。
1本目の、地下世界で行われるクロの息子ヨヴァンとエレナの結婚式の直前のナタリアの怪我のシーンでかかっているのはアウセンシアの変奏曲のようなアンダーグラウンド・タンゴ(この後との繋ぎが分かり難く、完全版を見ればすっきり分かるのかも知れません)、結婚式のシーンの最初エレナが空中から入場する際にジプシー・バンドが演奏しているのは、有名なモンティのチャールダッシュです。これはサントラにはありませんでした。
2本目ではメッセチナが出てきますが、奇妙な三角関係の主役3人が並んだこの2回目のメッセチナを歌うシーンは最高で、後の悲劇を思うと、ここを見るだけでウルウル来てしまいます。ナタリアの演技と表情が最高。その後の酒に酔ってのご乱心はご愛嬌ということで(笑)

Underground - Kusturica

Underground Kusturica - Wedding scene

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2021年10月20日 (水)

アウセンシア=absence(不在)

月曜に上げたセザリア・エヴォラのポルトガル語(もしくはクレオール)と思われる曲名のアウセンシア(Ausencia)とは、英語ならabsence(不在)の意味でした。1本目はこの映画「アンダーグラウンド」で一番辛いシーンでしょう、映画の終わり間近でアウセンシアの旋律がブルガリアン・ヴォイスのVesna Jovanovicによって歌われていて、これが放送でもかけたサントラのWarの部分でした。
内戦の時代に入り、武器商人になっている兄マルコを問い詰め弟イヴァンが撲殺。すぐにイヴァンは教会の鐘に首を吊って縊死。ある部隊の指揮官になっていたマルコの旧友クロが武器商人二人の射殺の指令を出した後に、パスポートからマルコと妻ナタリアと知り、射殺後に火をつけられ燃え上がり回転する車椅子の亡骸を前にクロが嘆き悲しむシーンでこのWarの部分が流れます。正に「神の不在?」と思ってしまうような、辛いシーンです。同じくアウセンシアのヴァリエーションと思われるUnderground Tangoも、幾つかの苦悩のシーンで出てきました。
映画を見直すとカラシニコフは単に看板曲というだけで、一番重要な曲はメセチナとアウセンシアだと思います。2本目は先日のメセチナでタパンを叩き歌っていた男性がアコーディオン弾き語りでアウセンシアをしっとり聞かせます。作曲者ゴラン・ブレゴヴィッチがギターで伴奏。

Underground, 1995 Kusturica

Goran Bregović - Ausencia - LIVE

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2021年10月18日 (月)

Ausencia

ゼアミdeワールド281回目の放送、日曜夜10時にありました。20日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はキー・ソング、Ausenciaのみにしておきます。歌唱はセザリア・エヴォラです。どこで流れたか、久々にこの映画(170分)を見直してみました。ヴァリエーションの方は分かりましたが、セザリア・エヴォラの方は不明でした。完全版の方に出てくるのでしょうか。

セルビアの音楽の3回目です。前回ボバン・マルコヴィチなどバルカン・ブラスの音源をかけると予告していましたが、まずは映画「アンダーグラウンド」のサントラから、前回かけてなかったスロボタン・サリイェヴィッチの華々しいウェディング・チョチェクからどうぞ。

<6 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Wedding Cocec 3分32秒>

続いて2曲目に入っているカーボベルデの名歌手セザリア・エヴォラのAusenciaと言う歌ですが、黒人のモルナの歌手ですがファド歌手でもあるので、ポルトガル文化圏特有のサウダーヂ感溢れる、やるせない歌声を聞かせています。この歌はこのサントラの白眉の一つだと思います。

<2 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Ausencia 3分48秒>
Ausencia - Goran Bregovic

9曲目のUnderground Tangoと言う曲は、先ほどのAusenciaのヴァリエーションのように思いますが、諦念と哀愁美の溢れる美しい曲です。サントゥールかツィンバロムと思われる打弦楽器が物悲しい旋律を奏でています。

<9 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Underground Tango 5分11秒>

7曲目のWarと言う曲の後半にブルガリアン・ヴォイスのVesna Jovanovicが出てきます。戦時下の苦悩を表現したようなこの曲で歌われている旋律も、先ほどのAusenciaのヴァリエーションに聞こえます。

<7 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~War 6分37秒>

10曲目のThe Belly Button of the Worldで出てくるのはブルガリアの女性歌手Danjela Ratkova & Ljudmila Ratkovaの二重唱とありますが、デジタルビートをバックに先に聞こえて来るのはロシアかその他の正教の国の男声合唱のように聞こえます。タイトルは訳せば「世界のへそ」の意味ですが、色々な意味で謎の一曲です。

<10 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~The Belly Button of the World 5分40秒>

では最後に再度「アンダーグラウンド」のサントラ1曲目のカラシニコフを時間まで聞きながら今回はお別れです。何度も言いますが、ルーマニアの有名曲「ひばり」の旋律が途中で出てくるのが、最初聞いた時から不思議に思いました。すさまじいブラス・サウンドを聞かせるのは、スロボタン・サリイェヴィッチのオルケスタルです。次回はボバン・マルコヴィチの他の盤を特集する予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Kalasnjikov 3分22秒>

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2021年10月15日 (金)

Mesecina / Moonlight

カラシニコフはインパクトが強い看板曲ですが、映画「アンダーグラウンド」で何が一番かと言えば、方々でヴァリエーションが出てくるAusenciaも良いですが、やはりメセチナ(月光)です。主人公の3人が肩を組んで歌っている曲です。2回出てきますが、切なく忘れられないシーンです。アンダーグラウンド(地下室)から見たソンツェ(太陽)のような月。パワフルさだけでなく、辛く切なく、美しいバルカン・ブラスに聞き惚れます。動画はサントラもありますが、セルビアのグチャ(Guca)で毎夏開催されるブラスバンド・フェスティヴァルの2007年のライヴ映像を入れておきました。ギターを弾いているのが、ゴラン・ブレゴヴィッチです。前々から細長いユーフォニウムのようなバリトンは、憧れの金管。機会があれば吹いてみたいものです。あの楕円形のフォルムは目立ってます。

Goran Bregovic - Mesecina (Moonlight) - (LIVE) - (Guca 2007)

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2021年10月14日 (木)

ホラ・スタッカートとワン・ボウ・スタッカート

ルーマニア・ロマのパンフルート名人アンゲルシュ・ディニクが19世紀に作ったとされる「ひばり」の話が出たので、彼の孫グリゴラシュ・ディニクが作ったホラ・スタッカートについて少し見ておきます。ひばりが出たらホラ・スタッカートも取り上げないと片手落ちでしょう。(前にも何度か書いたかも知れません)
ひばり(Ciocârlia)はロマなどのラウタルの演奏以外に、ルーマニアの大作曲家エネスコ(ジョルジェ・エネスク)がルーマニア狂詩曲第1番に引用されて広く知られるようになったと思いますが、ホラ・スタッカートは往年の名ヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツの編曲でヴァイオリンのピースとしてよく知られています。ハイフェッツの編曲で特筆されるのは、一弓で多くは32個ほどの音をスタッカートで鳴らすワン・ボウ・スタッカートの指定があることで、アップ(上げ弓)でもダウン(下げ弓)でも出てくるので、ヴァイオリン奏者を悩ませるところかと思います。かくいう私も80年代から楽譜は持っていますが、ワン・ボウでうまく飛んだことはありません。この曲をチェロで弾いたのがアメリカの名手、故リン・ハーレルで、1984年頃TVで見て度肝を抜かれたものです。アップでもダウンでもニコニコしながら弾いていました。 
ホラ・スタッカートは現在のラウタル(ルーマニアの職業楽師)もよく弾いているようで、持っているルーマニアElectrecordのLPに入っていますが、ワン・ボウで弾いているかどうかは、音だけですので確認できていません。合奏の場合、ワン・ボウでは合わないのではと推測します。一方、ひばりですが、エネスコの曲以外ではクラシックの演奏家が弾いているのは、ほとんど聞いた記憶がありません。即興性が重視される曲なので、困難なのでしょうか。
1本目がハイフェッツの有名な動画。2本目は何とディニクの演奏ですが、ワン・ボウではなく1つずつ切って弾いています。3本目は往年の名女流ジネット・ヌヴーで、これもおそらくワン・ボウでしょう。4本目は現代の名手ジェームス・エーネス。さすが完璧なワン・ボウ・スタッカートを披露しています。リン・ハーレルもありました! 5本目です。

Jascha Heifetz plays Hora Staccato

Grigoras Dinicu - Recital

Ginette Neveu / Dinicu:Hora Staccato

Hora staccato Antonio Stradivari, 1713 'Baron d'Assgnies'

Hora Staccato: Lynn Harrell & Brooks Smith

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2021年10月13日 (水)

カラシニコフ ひばり(Ciocarlia)

映画「アンダーグラウンド」は、最初に見てから25年ほど経ちますが、今もってメイン曲のカラシニコフに、何故ルーマニアの名曲「ひばり」が引用されていたのか謎のままです。そのことについて、どこにも解説を見かけた記憶がありません。あるいはカラシニコフは「ひばり」をヒントに書かれた曲なのでしょうか? 
「ひばり」を私が最初に聞いたのは、1977年頃。1本目のゲオルゲ・ザンフィルのパンパイプの演奏で、エレクトレコード原盤のキングレコードのLPでした。当時、芥川也寸志さんと黒柳徹子さんがやっていた音楽番組で、イオン・カリストラッケと言う人(確かパンパイプ)の実演でも見ました。あの頃はTVで「ひばり」をやってても反応は静かなものだったと思います。それが、ロックコンサートと見紛うような2000年のタラフ・ドゥ・ハイドゥークスのステージでは、一番盛り上がったのが「ひばり」でした(笑)(以下放送原稿を再度)

Gheorghe Zamfir, Ciocarlia

ベオグラードを舞台に、第二次世界大戦からユーゴ内戦まで、ユーゴスラビアの激動の歴史を描いた映画「アンダーグラウンド」も、同じく監督エミール・クストリツァ、音楽ゴラン・ブレゴヴィチの黄金コンビでユーゴ内戦の最中の1995年に制作され、欧米中心に大ヒットしましたが、日本でもバルカン・ブラス・ブームに火を付けました。当時はタラフ・ドゥ・ハイドゥークスも初来日するし、2000年前後の東欧ジプシー音楽界隈の盛り上がりは凄いものがありました。

自動小銃カラシニコフがサントラの一曲目を飾っていますが、ルーマニアの有名な曲「ひばり」の旋律が途中で出てくるのが、最初聞いた時から不思議に思いました。すさまじいブラス・サウンドを聞かせるのは、スロボタン・サリイェヴィッチのオルケスタルです。

<1 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Kalasnjikov 3分22秒>

スロボタン・サリイェヴィッチと並ぶほどのグループに、ボバン・マルコヴィチのオルケスタルがいます。彼らだけの演奏がこの盤の最後にShevaと言うタイトルで入っていますが、これは明らかにルーマニアの有名曲「ひばり」そのものです。泥沼の戦争を描いた映画ですが、この曲で始まる映画の冒頭から、やぶれかぶれのコメディーの側面も持っていることを表現しているように思います。

<11 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Sheva 1分23秒>

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2021年10月11日 (月)

「ジプシーのとき」と「アンダーグラウンド」

ゼアミdeワールド280回目の放送、日曜夜10時にありました。13日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画は「ジプシーのとき」のエデルレジのみです。

セルビアの音楽の2回目です。今回は旧ユーゴ音楽巡りの最初頃、4月位に予告していた映画「ジプシーのとき」と「アンダーグラウンド」のサントラを聞いておきたいと思います。この2つの映画の、監督はボスニア人のエミール・クストリツァ、音楽はセルビア人のゴラン・ブレゴヴィチで、二人ともボスニアの首都サラエヴォの生まれですが、音楽はセルビアで特に盛んなバルカン・ブラスに繋がっていくので、セルビアの時に回していました。セルビアやマケドニアでブラスが盛んなのは、明らかにオスマン帝国の軍楽隊の音楽に由来しています。

まずは、エミール・クストリッツァ監督の1988年の映画「ジプシーのとき」に出てきたバルカン・ロマの民謡「エデルレジ」ですが、この曲を最初に聞いたのは、1989年の現代音楽雑誌ミュージックトゥデイで映画「ジプシーのとき」を知って、サントラを手に入れた時でした。それから長い間、この映画の音楽を担当したゴラン・ブレゴヴィチの作曲と勘違いしていました。彼がリーダーだったボスニアのロック・バンドBijelo Dugmeが88年のアルバムでカバーしていましたが、原曲は春の訪れを祝うバルカン・ロマの民謡だったことを知ったのは、ずっと後でした。この郷愁を誘う名旋律は最高で、ずっと忘れられない一曲なのに、32年経った今でも映画を見れてないのが残念です。色々な歌手がカバーしていますが、何より映画に出てくるマケドニアの歌手Vaska Jankovskaの天使のような歌声が、やっぱり一番です。火が水上に灯され、春の訪れを祝う灯篭流しのようなシーンは、映画を見てなくても、この旋律と共にずっと記憶に残っています。

<1 Le Temps Des Gitans & Kuduz / Ederlezi (Scena Durdevdana Na Rijeci) 4分59秒>
Ederlezi: Time of the Gypsies - Goran Bregović, Emir Kusturica

先ほど解説を入れましたが、ゴラン・ブレゴヴィチがリーダーだったボスニアのロック・バンドBijelo Dugmeが88年のアルバムでカバーしていた音源もありますので、併せておかけしておきます。

<Bijelo Dugme / Ciribiribela ~DJurdjevdan je a ja nisam s onom koju volim 3分54秒>
Đurđevdan Je A Ja Nisam S Onom Koju Volim

ベオグラードを舞台に、第二次世界大戦からユーゴ内戦まで、ユーゴスラビアの激動の歴史を描いた映画「アンダーグラウンド」も、同じく監督エミール・クストリツァ、音楽ゴラン・ブレゴヴィチの黄金コンビでユーゴ内戦の最中の1995年に制作され、欧米中心に大ヒットしましたが、日本でもバルカン・ブラス・ブームに火を付けました。当時はタラフ・ドゥ・ハイドゥークスも初来日するし、2000年前後の東欧ジプシー音楽界隈の盛り上がりは凄いものがありました。

自動小銃カラシニコフがサントラの一曲目を飾っていますが、ルーマニアの有名な曲「ひばり」の旋律が途中で出てくるのが、最初聞いた時から不思議に思いました。すさまじいブラス・サウンドを聞かせるのは、スロボタン・サリイェヴィッチのオルケスタルです。

<1 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Kalasnjikov 3分22秒>

Mesecina / Moonlightと言う曲も大変に印象的で、主人公の3人が肩を組んで歌っている曲です。

<3 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Mesecina / Moonlight 3分59秒>

スロボタン・サリイェヴィッチと並ぶほどのグループに、ボバン・マルコヴィチのオルケスタルがいます。彼らだけの演奏がこの盤の最後にShevaと言うタイトルで入っていますが、これは明らかにルーマニアの有名な曲「ひばり」そのものです。泥沼の戦争を描いた映画ですが、この曲で始まる映画の冒頭から、やぶれかぶれのコメディの側面も持っていることを表現しているように思います。
ボバン・マルコヴィチは、その後のバルカン・ブラス・ブームで一番多くCDが出ているグループだと思います。また次回以降いくつかご紹介したいと思います。

<11 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Sheva 1分23秒>

では最後に9曲目に戻ってスロボタン・サリイェヴィッチとボバン・マルコヴィチの両オルケスタルが共演したUnderground Cocecを聞きながら今回はお別れです。チョチェクとは、旧ユーゴに入ってから何度か出て来ましたが、バルカン半島で19世紀頃興った音楽のジャンル、およびダンスで、主にロマ(ジプシー)により演奏されるロマ音楽の一種です。このサントラには派手なブラスだけでなく、間にカーボベルデの名歌手セザリア・エヴォラのやるせない歌やブルガリアン・ヴォイスなども入っていますが、また次回何曲かかけようかと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Underground Cocec 4分25秒>

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2021年10月 8日 (金)

ヴラフ人のオロ

ヴラフ人とアルーマニア人の音楽については、オコラとシャンデュモンドの2枚で取り上げますが、今回のブダ盤にも1曲ありました。ローマ帝国が滅んで以降、彼らはバルカンで当初はラテン語を話していたのでしょうか? ヴラフの人々が出てくる動画もありました。(以下放送原稿を再度)

この盤は他にクロアチアが2曲、クロアチア東部スラヴォニアが2曲、ダルマチアが2曲、コソヴォが2曲、ボスニア・ヘルツェゴヴィナが1曲、モンテネグロが1曲、マケドニアが2曲、その他少数民族音源としてワラキア(またはヴラフ)人のコロと、ジプシーの踊りの2曲があります。90年代当時ではあり得ないほど優れたユーゴスラヴィア伝統音楽のコンピレーションですので、この機会にめぼしい音源をかけて、今回はこの盤で終えようと思います。何回か後でフランスOcoraのヴラフ(ワラキア)人とフランスChant du mondeのアルーマニア人の音源を予定していますので、同じロマンス語系統のワラキア(またはヴラフ)人のオロを聞きながら今回はお別れです。
ローマ帝国の後、バルカン半島に残ったラテン系の「飛び地」と言えば、ルーマニアが一番知られていますが、それ以外にもバルカン各地に残ったラテン系の言葉を話す少数の民族がいて、ヴラフ(ワラキア)人とアルーマニア人は特に有名です。クロアチア西部のイストリアにもIstro-roumainと言うグループがいるそうで、それは今回調べていて初めて知りました。

Џаконче - влашко оро (Dzakonce - vlasko oro)

Mokranjci u kolo Vlasko kolo

<20 Oro vlasko "Chant valaque" (Minorités nationales) 2分10秒>

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2021年10月 7日 (木)

ヴォイヴォディナ

大分前にチェロによるバッハのシャコンヌの名演をアップしたImre Kalmanさんを思い出しまして、ドナウ川の北に位置するセルビア北部のヴォイヴォディナ自治州と言えば、ハンガリー系が多い印象がありました。実際は26を超える少数民族が居住しており、6つの公用語が存在するそうです。列記しますとセルビア人、マジャル人、スロバキア人、クロアチア人、ユーゴスラビア人、モンテネグロ人、ルーマニア人、ロマ、ブニェヴァツ人、パンノニア・ルシン人、マケドニア人、ウクライナ人、ムスリム人、ドイツ人、スロベニア人、ショカツ人、アルバニア人、ブルガリア人、チェコ人、ロシア人、ゴーラ人、ボシュニャク人、ヴラフ人となっています。セルビア人が65%、マジャール(ハンガリー)人が14%で多数ではあります。ブニェヴァツ人、パンノニア・ルシン人、ショカツ人、ゴーラ人のように聞きなれない民族もいました。ルシンはウクライナ系少数民族で、他はセルビアには属さない南スラヴ系の小集団のようです。

放送でかけたヴォイヴォディナ地方の「バナートの踊り」と言う曲ですが、バナートとはルーマニアのトランシルヴァニア西部とセルビア、ハンガリーにまたがる歴史的な地方名で、音楽の印象としてはタンブリッツァかサミッツァの明るい音色があるため、南スラヴ系のカラーを強く感じます。2本目は同じく「バナートの踊り」で検索して出てきましたが、ハンガリー系の名前が見える通り、同じバナートの踊りでもハンガリー色が強い音楽です。クラシックのヒストリカル録音で有名なこのジャケットのシリーズに、こんな録音があるのを知って驚きました。確かAuvidis Silexからバナートの音源が出ていまして、どちらだったか気になりましたが、この盤も手元に残っていません。

<13 Danse du Banat (Voïvodine) 3分17秒>

Danse du Banat

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2021年10月 6日 (水)

セルビアのコロ

ブダ盤のセルビアのコロとフルーラ(縦笛)の演奏ですが、どちらも隣のルーマニアのホラに似ているという事は、ユダヤのクレズマーにも当然似て聞こえてきます。その理由としては、増2度音程のエキゾチックな音階がまずあると思います。タラフ・ドゥ・ハイドゥークスに代表されるルーマニア南部ワラキア地方のロマ音楽もごく近くに感じますが、ワラキアのロマ音楽とクレズマーは、それ程近く感じないのは不思議と言えば不思議です。ワラキアではクラリネットがほとんど使われないのもあるかも知れません。それとおそらくダンスが異なることにあるでしょうか。このブダのユーゴスラヴィアの音源、2005-01-01リリースと出てきますが、そんなに最近ではなく、もっと前のような気がします。ブダのHPではリストから消えていて、おそらく廃盤と思われます。

<11 Kolos (Serbie) 6分34秒>

<12 Frula "Flûte" (Serbie) 3分6秒>

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2021年10月 4日 (月)

Buda盤でスロヴェニアからセルビアへ

ゼアミdeワールド279回目の放送、日曜夜10時にありました。6日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はスロヴェニアの4曲のみです。このジャケットはユネスコ世界遺産のプリトヴィツェ湖群国立公園でした。放送後思い出しました。

スロヴェニアの音楽の4回目です、と言いたいところでしたが、オコラ盤は切れていてデータでも見当たらないので、フランスBudaのユーゴスラヴィアのスロヴェニア音源4曲をおかけした後、セルビアに向かいたいと思います。3月の末にマケドニアから旧ユーゴスラヴィアに入りましたので、既に半年経ちましたが、遂にセルビアで旧ユーゴの音楽巡りの締め括りです。カルスト地形と滝が写ったブダ盤のジャケットを見て、そう言えば90年代にあった音源だと思い出しました。まだユーゴ内戦の最中だったと思います。カルストと言うのは、元々スロヴェニアの地方名でもあります。現物は既に手元になくストリーミングからかけるため、詳細は不明です。CDの原題はMusique du monde : Musiques de Yougoslavieです。

スロヴェニアの音源は4曲ありまして、曲名の仏訳を訳すと1曲目が「若い女の子の窓の下」、2曲目は「お通夜の歌」のようですが、お通夜とは思えない明るく爽やかな旋律です。

<1 Sous les fenêtres des jeunes filles (Slovénie) 2分21秒>

<2 Chant pour la veillée des morts (Slovénie) 2分10秒>

スロヴェニア南東部のベラ・クライナ地方の音源が別枠で2曲あります。この地方は高級ワインで有名です。コロと女性の叙情的な歌の2曲です。

<7 Kolo de Metlika (Bela Krajina) 2分23秒>

<8 Pastirce mlado (Bela Krajina) 2分40秒>

セルビアの音源は2曲ありまして、舞曲のコロとフルーラ(おそらく縦笛)の演奏ですが、どちらも隣のルーマニアのホラに似ていて、ルーマニア南部ワラキア地方のロマ音楽がごく近くに感じます。

<11 Kolos (Serbie) 6分34秒>
<12 Frula "Flûte" (Serbie) 3分6秒>

次の13曲目はセルビア北部のヴォイヴォディナ地方の「バナートの踊り」と言う曲ですが、ハンガリー系住民が多いことで知られるこの地方は、ハンガリー平原の延長にあり、バナートとはルーマニア西部とセルビア、ハンガリーにまたがる歴史的な地方名です。

<13 Danse du Banat (Voïvodine) 3分17秒>

この盤は他にクロアチアが2曲、クロアチア東部スラヴォニアが2曲、ダルマチアが2曲、コソヴォが2曲、ボスニア・ヘルツェゴヴィナが1曲、モンテネグロが1曲、マケドニアが2曲、その他少数民族音源としてワラキア(またはヴラフ)人のコロと、ジプシーの踊りの2曲があります。90年代当時ではあり得ないほど優れたユーゴスラヴィア伝統音楽のコンピレーションですので、この機会にめぼしい音源をかけて、今回はこの盤で終えようと思います。何回か後でフランスOcoraのヴラフ(ワラキア)人とフランスChant du mondeのアルーマニア人の音源を予定していますので、同じロマンス語系統のワラキア(またはヴラフ)人のオロを聞きながら今回はお別れです。
ローマ帝国の後、バルカン半島に残ったラテン系の「飛び地」と言えば、ルーマニアが一番知られていますが、それ以外にもバルカン各地に残ったラテン系の言葉を話す少数の民族がいて、ヴラフ(ワラキア)人とアルーマニア人は特に有名です。クロアチア西部のイストリアにもIstro-roumainと言うグループがいるそうで、それは今回調べていて初めて知りました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<20 Oro vlasko "Chant valaque" (Minorités nationales) 2分10秒>

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2021年10月 1日 (金)

独墺のツィター

ツィターについてもスロヴェニアのYouTubeは見当たらないので、オーストリアか南ドイツの映像だと思いますが、数本上げておきます。今回初めて楽器の実物を間近で見るように思います。ギターの棹状のフレットが手前にあり、奥がベース音の開放弦多数と言う風に見えます。大正琴を弾くように左手でフレットを押さえて、右手親指で旋律を弾き、右手の他の4指で和音とベース音を鳴らしているようです。フレットはギターよりも深いようで、かなりヴィブラートがかかっています。1本目は、この楽器を一躍有名にした映画「第三の男」のテーマ曲で、4本目がそのツィター奏者アントン・カラスの演奏と映画のワンシーン。

Zither "Der Dritte Mann" virtuos! / The Harry Lime Theme at it's best.

VALSE LENTO * Langsamer Walzer (F. Mühlhölzl) Klaus Waldburg * Konzert-Zither

Droadkastn-Landler von Hans Berger (Zither)

Anton Karas - Der Dritte Mann (The Third Man) (HQ Audio)

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