カラシニコフ ひばり(Ciocarlia)
映画「アンダーグラウンド」は、最初に見てから25年ほど経ちますが、今もってメイン曲のカラシニコフに、何故ルーマニアの名曲「ひばり」が引用されていたのか謎のままです。そのことについて、どこにも解説を見かけた記憶がありません。あるいはカラシニコフは「ひばり」をヒントに書かれた曲なのでしょうか?
「ひばり」を私が最初に聞いたのは、1977年頃。1本目のゲオルゲ・ザンフィルのパンパイプの演奏で、エレクトレコード原盤のキングレコードのLPでした。当時、芥川也寸志さんと黒柳徹子さんがやっていた音楽番組で、イオン・カリストラッケと言う人(確かパンパイプ)の実演でも見ました。あの頃はTVで「ひばり」をやってても反応は静かなものだったと思います。それが、ロックコンサートと見紛うような2000年のタラフ・ドゥ・ハイドゥークスのステージでは、一番盛り上がったのが「ひばり」でした(笑)(以下放送原稿を再度)
Gheorghe Zamfir, Ciocarlia
ベオグラードを舞台に、第二次世界大戦からユーゴ内戦まで、ユーゴスラビアの激動の歴史を描いた映画「アンダーグラウンド」も、同じく監督エミール・クストリツァ、音楽ゴラン・ブレゴヴィチの黄金コンビでユーゴ内戦の最中の1995年に制作され、欧米中心に大ヒットしましたが、日本でもバルカン・ブラス・ブームに火を付けました。当時はタラフ・ドゥ・ハイドゥークスも初来日するし、2000年前後の東欧ジプシー音楽界隈の盛り上がりは凄いものがありました。
自動小銃カラシニコフがサントラの一曲目を飾っていますが、ルーマニアの有名な曲「ひばり」の旋律が途中で出てくるのが、最初聞いた時から不思議に思いました。すさまじいブラス・サウンドを聞かせるのは、スロボタン・サリイェヴィッチのオルケスタルです。
<1 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Kalasnjikov 3分22秒>
スロボタン・サリイェヴィッチと並ぶほどのグループに、ボバン・マルコヴィチのオルケスタルがいます。彼らだけの演奏がこの盤の最後にShevaと言うタイトルで入っていますが、これは明らかにルーマニアの有名曲「ひばり」そのものです。泥沼の戦争を描いた映画ですが、この曲で始まる映画の冒頭から、やぶれかぶれのコメディーの側面も持っていることを表現しているように思います。
<11 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Sheva 1分23秒>
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