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2021年10月11日 (月)

「ジプシーのとき」と「アンダーグラウンド」

ゼアミdeワールド280回目の放送、日曜夜10時にありました。13日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画は「ジプシーのとき」のエデルレジのみです。

セルビアの音楽の2回目です。今回は旧ユーゴ音楽巡りの最初頃、4月位に予告していた映画「ジプシーのとき」と「アンダーグラウンド」のサントラを聞いておきたいと思います。この2つの映画の、監督はボスニア人のエミール・クストリツァ、音楽はセルビア人のゴラン・ブレゴヴィチで、二人ともボスニアの首都サラエヴォの生まれですが、音楽はセルビアで特に盛んなバルカン・ブラスに繋がっていくので、セルビアの時に回していました。セルビアやマケドニアでブラスが盛んなのは、明らかにオスマン帝国の軍楽隊の音楽に由来しています。

まずは、エミール・クストリッツァ監督の1988年の映画「ジプシーのとき」に出てきたバルカン・ロマの民謡「エデルレジ」ですが、この曲を最初に聞いたのは、1989年の現代音楽雑誌ミュージックトゥデイで映画「ジプシーのとき」を知って、サントラを手に入れた時でした。それから長い間、この映画の音楽を担当したゴラン・ブレゴヴィチの作曲と勘違いしていました。彼がリーダーだったボスニアのロック・バンドBijelo Dugmeが88年のアルバムでカバーしていましたが、原曲は春の訪れを祝うバルカン・ロマの民謡だったことを知ったのは、ずっと後でした。この郷愁を誘う名旋律は最高で、ずっと忘れられない一曲なのに、32年経った今でも映画を見れてないのが残念です。色々な歌手がカバーしていますが、何より映画に出てくるマケドニアの歌手Vaska Jankovskaの天使のような歌声が、やっぱり一番です。火が水上に灯され、春の訪れを祝う灯篭流しのようなシーンは、映画を見てなくても、この旋律と共にずっと記憶に残っています。

<1 Le Temps Des Gitans & Kuduz / Ederlezi (Scena Durdevdana Na Rijeci) 4分59秒>
Ederlezi: Time of the Gypsies - Goran Bregović, Emir Kusturica

先ほど解説を入れましたが、ゴラン・ブレゴヴィチがリーダーだったボスニアのロック・バンドBijelo Dugmeが88年のアルバムでカバーしていた音源もありますので、併せておかけしておきます。

<Bijelo Dugme / Ciribiribela ~DJurdjevdan je a ja nisam s onom koju volim 3分54秒>
Đurđevdan Je A Ja Nisam S Onom Koju Volim

ベオグラードを舞台に、第二次世界大戦からユーゴ内戦まで、ユーゴスラビアの激動の歴史を描いた映画「アンダーグラウンド」も、同じく監督エミール・クストリツァ、音楽ゴラン・ブレゴヴィチの黄金コンビでユーゴ内戦の最中の1995年に制作され、欧米中心に大ヒットしましたが、日本でもバルカン・ブラス・ブームに火を付けました。当時はタラフ・ドゥ・ハイドゥークスも初来日するし、2000年前後の東欧ジプシー音楽界隈の盛り上がりは凄いものがありました。

自動小銃カラシニコフがサントラの一曲目を飾っていますが、ルーマニアの有名な曲「ひばり」の旋律が途中で出てくるのが、最初聞いた時から不思議に思いました。すさまじいブラス・サウンドを聞かせるのは、スロボタン・サリイェヴィッチのオルケスタルです。

<1 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Kalasnjikov 3分22秒>

Mesecina / Moonlightと言う曲も大変に印象的で、主人公の3人が肩を組んで歌っている曲です。

<3 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Mesecina / Moonlight 3分59秒>

スロボタン・サリイェヴィッチと並ぶほどのグループに、ボバン・マルコヴィチのオルケスタルがいます。彼らだけの演奏がこの盤の最後にShevaと言うタイトルで入っていますが、これは明らかにルーマニアの有名な曲「ひばり」そのものです。泥沼の戦争を描いた映画ですが、この曲で始まる映画の冒頭から、やぶれかぶれのコメディの側面も持っていることを表現しているように思います。
ボバン・マルコヴィチは、その後のバルカン・ブラス・ブームで一番多くCDが出ているグループだと思います。また次回以降いくつかご紹介したいと思います。

<11 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Sheva 1分23秒>

では最後に9曲目に戻ってスロボタン・サリイェヴィッチとボバン・マルコヴィチの両オルケスタルが共演したUnderground Cocecを聞きながら今回はお別れです。チョチェクとは、旧ユーゴに入ってから何度か出て来ましたが、バルカン半島で19世紀頃興った音楽のジャンル、およびダンスで、主にロマ(ジプシー)により演奏されるロマ音楽の一種です。このサントラには派手なブラスだけでなく、間にカーボベルデの名歌手セザリア・エヴォラのやるせない歌やブルガリアン・ヴォイスなども入っていますが、また次回何曲かかけようかと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Underground (Motion Picture Soundtrack) ~Underground Cocec 4分25秒>

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