« アルーマニアとサラカツァニ | トップページ | チョカリアとボチェッツ »

2021年12月13日 (月)

ゲオルゲ・ザンフィルのパンパイプ(Electrecord)

ゼアミdeワールド289回目の放送、日曜夜10時にありました。15日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。先日も上げた2本ですが、今日はオルテニアの踊り(ブルウ)のみです。

ルーマニアの3回目になります。何度かゼアミブログには書いたと思いますが、パンパイプの名人ゲオルゲ・ザンフィルのLPを1977年に聞いたことが、個人的にルーマニア音楽だけでなく民族音楽事始めだったので、ここでそのルーマニアElectrecord盤を入れておきたいと思います。フランス風に「ジョルジュ・ザンフィル」としてイージーリスニングに進出する前の録音です。LPのライナーノーツは、世界的な民族音楽学者だった故・小泉文夫氏が担当されています。タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのようにロマ(ジプシー)ではないようですが、ザンフィルも同じくラウタル(職業楽士)です。1970年に彼のタラフ(小さなバンド)を結成し、そのメンバーには当時の各楽器のトップソリストだったIon Drăgoi (violin), Ion Lăceanu (flutes), Dumitru Fărcaș (tarogato), Tony Iordache (cymbalum)などがいました。

1曲目がタラフ・ドゥ・ハイドゥークスがBrîu(ブルウ)と言うタイトルで入れていた曲と同じで、ルーマニア南部ワラキア西部のオルテニア地方の舞曲です。タラフのゲオルゲ・ファルカルは猛烈な速さで縦笛を吹いていました。タラフ・ドゥ・ハイドゥークス程は速く粗削りではないですが、東欧一と言われる速さを十分に実感できる演奏です。指で押さえて音程を変える縦笛よりも、一本ずつの管で音程を吹き分けるパンパイプの方が演奏は困難だろうと推測します。パンパイプはルーマニアではナイとも呼ばれます。

<1 Gheorghe Zamfir / The Sound of the Pan-pipe ~Braul oltenesc 2分24秒>
Gheorghe Zamfir - Briul Oltenesc.

前々回かけましたがタラフ・ドゥ・ハイドゥークスのBrîu(ブルウ)も再度かけておきます。クラムドのHonourable Brigands, Magic Horsesに入っていました。ゲオルゲ・ファルカルの吹いている縦笛は、fluteとしか書かれていませんが、小さめのサイズから見て、おそらくセルビアのフルーラと同系統なのではと思います。ゲオルゲ・ファルカルは2016年に62歳の若さで亡くなっています。

<14 Taraf de Haïdouks / Honourable Brigands, Magic Horses & The Evil Eye ~Brîu 2分4秒>
TARAF DE HAIDOUKS Live at Union Chapel (Briu)

LPの頃にB面の1曲目だった「ムンテニアとケンロングの踊り」を次におかけします。ワラキア西部がオルテニアで、首都ブカレストも含む東部はムンテニア地方と言います。これは推測ですが、ルーマニアの中心であるムンテニアよりも先にオルテニアを出してきた所に、ルーマニア民族音楽での比重があるようにも思いました。それは日本の民謡で中央から離れた東北に素晴らしい曲が多いのと似ているのかも知れません。

<7 Gheorghe Zamfir / The Sound of the Pan-pipe ~Hora din Muntenia si Campulung, oras de munte 2分46秒>

特に注目の曲を先にご紹介したいと思いますが、B面の終わりの方に入っていたのが、セルビア東部ヴラフ人の葬儀の音楽とイメージが重なるBocet(ボチェッツ)と言う曲です。会葬者の慟哭の声まで生々しく描写した音楽です。

<11 Gheorghe Zamfir / The Sound of the Pan-pipe ~Bocet 3分9秒>

LPの頃にB面のラストに入っていたのが、余りにも有名な「ひばり」です。ルーマニア・ロマのパンフルート名人アンゲルシュ・ディニクが19世紀に作ったとされる曲で、彼の孫グリゴラシュ・ディニクもヴァイオリンの名人芸(ワン・ボウ・スタッカート)で有名なホラ・スタッカートを作っています。

<12 Gheorghe Zamfir / The Sound of the Pan-pipe ~Ciocarlia 2分51秒>

メロディラインの独特な4曲目のHora ca la cavalを次におかけします。縦笛カヴァルの奏法を模した踊りの曲です。陰鬱なような少しユーモラスなような独特な雰囲気ですが、エリック・サティのピアノ曲グノシェンヌを思い出させる曲です。サティは1889年のパリ万博で聞いたルーマニア音楽からインスピレーションを受けてグノシェンヌを書いたと言われています。

<4 Gheorghe Zamfir / The Sound of the Pan-pipe ~Hora ca la caval 2分1秒>

8曲目のBalada lui Costea Pacurarulは、LPでは「森林警備隊のバラード」と言う邦題が付いていました。ドイナのスタイルで25管の特大型のナイの性能が最も発揮された曲で、農民の間にあったバラードを取り上げてパンパイプ(ナイ)の曲にしていると解説にあります。

<8 Gheorghe Zamfir / The Sound of the Pan-pipe ~Balada lui Costea Pacurarul 3分22秒>

5曲目の「魂に聞く」と邦題が付いているMult ma-ntreaba inimaと言う曲が、うちのカフェの常連の方のお気に入りでしたので、次におかけします。小泉文夫さんの解説には以下のようにありました。「一部に激しい気分の部分を含むが、一体に平和な祈りの溢れた曲。拍子のない自由リズムで、ドイナの技巧に特有のポルタメントや、ザンフィルの名人芸によって活かされた曲。」
もし時間が余りましたら、最後に速い農民の踊り、コレギャスカまで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<5 Gheorghe Zamfir / The Sound of the Pan-pipe ~Mult ma-ntreaba inima 2分55秒>
<9 Gheorghe Zamfir / The Sound of the Pan-pipe ~Coragheasca 2分6秒>

|

« アルーマニアとサラカツァニ | トップページ | チョカリアとボチェッツ »

ルーマニア」カテゴリの記事

ゼアミdeワールド」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« アルーマニアとサラカツァニ | トップページ | チョカリアとボチェッツ »