最長老イオン・マノレの歌とヴァイオリン
ゼアミdeワールド295回目の放送、日曜夜10時にありました。2日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。イオン・マノレの歌では、オコラ盤1曲目と並ぶくらい鮮烈なクラムドからの2枚目冒頭のSpune, Spune, Mos Batrîn...のみ今日は上げておきます。
ルーマニアの音楽の8回目になります。前回はオコラの「クレジャニ村のタラフ」から、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスの長老だったニコラエ・ネアクシュの歌とヴァイオリンが入ったトラックをかけました。2000年の初来日当時からタラフ・ドゥ・ハイドゥークスの代名詞のような人で、2001年のライブでは元気な姿を見れましたが、ライバルとも言われたイオン・マノレの後を追うように同じ2002年に78歳で亡くなっています。
今回はゼアミブログで予告しておりました通り、体調不良のため来日は叶わず2002年に82歳で亡くなった最長老のイオン・マノレ中心の演奏を、クラムド盤数枚中心に取り上げたいと思います。90年代の欧米では彼が出ているステージも多かったようですが、日本の聴衆は彼の姿を見ることなく終わってしまいました。高い張りのある声でヴァイオリンを弾き語っているのがイオン・マノレで、低く皺枯れた声で歌っているのがニコラエ・ネアクシュです。オコラの「クレジャニ村のタラフ」の1曲目は、イオン・マノレとツィンバロム弾き語りのカクリカの掛け合いが中心でした。
まずはクラムドからの1枚目、91年に出たMusique des Tziganes de Roumanieの6曲目、「クレジャニの愛の歌」の意味のDragoste De La Clejaniからどうぞ。
<6 Dragoste De La Clejani (Folk) 5分12秒>
9曲目のCîntec Batrînesc De Haïduk (Folk)ですが、ヴァイオリン弾き語りかどうか不明ですが、もしそうだとしたら、大変な超絶技巧だと思います。タイトルは「ハイドゥークのバラード」の意味です。ハイドゥークとは、弱きを助け強きをくじくバルカンの義賊のことです。
<9 Cîntec Batrînesc De Haïduk (Folk) 8分54秒>
94年に出たクラムドからの2枚目、Honourable Brigands, Magic Horses & The Evil Eye(名誉ある山賊=義賊、魔法の馬、邪眼)は、前にゲオルゲ・ファルカルのブルウをかけたように、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのメンバー別の演奏を楽しめる盤ですが、この盤もイオン・マノレの歌声で始まります。古い農民の歌のSpune, Spune, Mos Batrînですが、これも強烈なインパクトのある曲です。
<1 Spune, Spune, Mos Batrîn... 5分31秒>
4曲目のジプシーの踊り、Tiganeascaもイオン・マノレのヴァイオリンをフィーチャーしていますが、録音当時74歳とは思えない速弾きです。
<4 Tiganeasca 1分26秒>
では最後に再度オコラの「ワラキアのジプシー音楽 クレジャニ村のラウタリ」から、もう一曲のイオン・マノレ中心のCîntec Bãtrînesc: "Bogatul Si Sãracul"(古い歌:「金持ちと貧乏人」)を時間まで聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<4 Cîntec Bãtrînesc: "Bogatul Si Sãracul" 11分31秒>
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