« 新内節「蘭蝶」 | トップページ | 新内流し »

2022年1月12日 (水)

ペルシアの歌と新内

「あと十分で死ぬと言う時に、何か二曲だけ音楽が聞けるとしたら、まず私が世界中で一番好きなイランの歌、その次に新内を聴きたい。」と言う故・小泉文夫氏のコメントで気になり続けていたのは、それぞれ具体的に誰かの歌唱のイメージがあったのではと言う点です。
イラン(ペルシア)なら、1978年の東京国立劇場でのファーテメ・パリサーが歌った艶美の極みのホマーユンか、晴朗なマーフールの歌唱が念頭にあったのかも知れません。ビクターJVCの「ペルシア絶唱」と言うCDのタイトルそのものの絶美の歌唱でした。両録音は、1980年に柘植元一氏のNHKFM「世界の民族音楽」で流れました。因みにゼアミブログでのHNと、ラヂバリでの私のパーソナリティ名「ほまーゆん」も、ここから取っています。パリサーでないとしたら、小泉さんの著書の中で触れられていたダシュティ旋法のデイラーマンかも知れません。揺蕩うような旋律が極めて美しい曲です。デイラーマンなら、おそらく往年の男性歌手バナーンの歌唱でしょう。
そして新内の方ですが、例の岡本文弥さんのテイチクの7枚シリーズ(2014年に再発されています)の故・江波戸昭先生の解説に「小泉さんが好きだった新内」についての一文がありましたので、更に気になるところです。このシリーズは文弥さん晩年の90代の録音でした。1996年に谷中のお宅まで私家版のカセットを頂きに伺ったことがありまして、奥様の宮染さんに応対して頂きました。奥の方に文弥さんもいらっしゃいましたが、96年は暑い夏で大変そうでした。カセットの録音はおそらく60、70年代くらいでしょうか。これら昔の録音は凛とした歌声で更に素晴らしいのですが、一般に市販されていないのが残念です。女流なら70、80年代頃に一番脂が乗っていただろう花園一声さんとか鶴賀須磨寿々さん辺り、小泉さんも生で聞く機会があったのではと思います。私も昔コロムビア盤を愛聴した女流新内語りのお二人です。花園一声さんは、昔「蘭蝶」のLPを手に入れましたが、これもCD化はされていません。
今日の動画は、富士松加賀太夫 (1856-1930) の歌う四谷の段で、文弥さんより更に上の世代の江戸時代末期生まれの名人の貴重な記録です。今の新内と、かなり節が違います。ペルシアの歌については、今日は動画は上げませんが、前にブログに色々書いていますので、宜しければカテゴリーから辿ってみて下さい。

Vintage Japanese Music-RANCHOU (imasara iumo) 蘭蝶(今更言うも過ぎし秋) 富士松加賀太夫

|

« 新内節「蘭蝶」 | トップページ | 新内流し »

純邦楽」カテゴリの記事

ペルシア音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 新内節「蘭蝶」 | トップページ | 新内流し »