ツィンバロム奏者のパウル・スティンガ
パウル・スティンガは同姓同名のアコーディオン奏者がいるようです。YouTubeもそちらがほとんどで、ツィンバロム奏者の方は動画は見当たりません。1987年の音源があるという事は、年齢は70~80代ではと思いますので、動画はあってもおそらくほとんどないのではと思います。エレクトレコードの音源がありましたので、それは明日上げることにしまして、今日は放送でかけた中で特に注目の曲を入れておきます。久々に聞いてモルダヴィアの組曲を面白く聞きました。名前のスティンガの発音ですが、iかaの上に山型が付いたルーマニア文字ですので、ストゥンガと発音した方が近いと思います。(以下放送原稿を再度)
ルーマニア東北部のモルダヴィア地方のメドレーが2曲入っていますので、4,5曲目を続けておかけします。ジプシーブラスのファンファーレ・チョカリアや体操選手のコマネチの故郷としても有名な地方ですが、ゆったりしたドイナに続いて出てくるグラニセスティのホラは、ユダヤのクレズマー音楽にそっくりに聞こえます。モルダヴィアやすぐ東のベッサラビアに元々ユダヤの楽士が多かったからでしょうか。その後はリテニのスルバなどが続きます。モルダヴィア組曲の2曲目は、おそらく高地で吹かれる笛のドイナとBatutaと言う早い部分から成っています。
<4 Suite De Moldavie I 10分36秒>
<5 Suite De Moldavie II 2分48秒>
6曲目は「ビストリツァのプルタタ、スルバ」となっています。ビストリツァと言えば、ルーマニア中北部あるいはトランシルヴァニア北部の町で、ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」に登場しますが、予想を裏切って明るい曲調です(笑) プルタタと言えば、東欧のトラッドも取り入れた日本のインディーズバンド名にありました。ルーマニアの伝統音楽あるいは舞曲の一種のようですが、ここから取っていたかと思いました。
<6 Purtata De La Bistrica/Sirba 2分37秒>
地方ごとの組曲にはワラキア東部ムンテニアとルーマニア西部のバナートもありますが、時間的に入りませんので、全曲かけられるトランシルヴァニアの組曲を次におかけします。言うまでもなくドラキュラ伝説で有名なルーマニア北西部の地方です。現在はルーマニア領ですが、第一次世界大戦後のトリアノン条約まではハンガリー領だったので、今でもハンガリー系住民が多い山がちな地方です。また何回か後で取り上げますが、ムジカーシュの「トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」で聞けるジプシー音楽と似た部分があるように思います。
<11 Suite De Transylvanie 4分42秒>
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