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2022年2月14日 (月)

小さなつぼみ Mugur, mugurel

ゼアミdeワールド297回目の放送、日曜夜10時にありました。5日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は古老たちの歌う「小さなつぼみ」だけにしておきます。「タラフの果てしなき冒険」のDVDに入っている2002年ロンドン、ユニオン・チャペルでのコンサートの映像です。タラフのステージを初めて見て、早22年。今タラフで一曲と言われれば、この歌です。

ルーマニアの音楽の10回目になります。タラフはまだまだライブ音源や2015年に出て入れられてなかった「恋人たち、博打打ちとパラシュート・スカート (Of Lovers, Gamblers and Parachute Skirts)」などもありますが、きりがないので今回でタラフ・ドゥ・ハイドゥークスの音楽のご紹介は終わりにします。最後に長老達の残した哀愁の歌声を2曲聞いて、その後はタラフ・ドゥ・ハイドゥークスがクラシック名曲に取り組んだ2007年の仮面舞踏会から数曲取り上げます。

「小さなつぼみ」は忘れられない哀愁の名歌で、個人的に懐かしく思い出すのは、賑やかな曲よりも、こういう曲です。2004年頃の来日公演ではネアクシュより少し下の長老二人、パシャランとイリエ・ヨルガが歌っていましたが、2001年に出たバンド・オブ・ジプシーズの音源で最初に歌っているのは、ニコラエ・ネアクシュのようです。2002年ロンドン、ユニオン・チャペルでのコンサート音源でもネアクシュが最初に歌いだしているようですが、彼はこのツアーの直後に亡くなっているので、これは最晩年の歌声のようです。

<12 Band of Gypsies ~小さなつぼみ 4分58秒>
Taraf de Haidouks - Mugur, mugurel

チャウシェスクの圧政時代の苦しみを振り返る「独裁者のバラード」は、映画「ラッチョ・ドローム」の真ん中辺りに出て来ました。名物の糸弾きヴァイオリンから始まるニコラエ・ネアクシュのこの曲の弾き語りは、他のドキュメンタリーでも流れたように思います。皺枯れ声のバラードの味わい深さは言うまでもなく、ゆったりの部分でのヴァイオリンの左手の細かい装飾は、タラフのヴァイオリン名手カリウやコスティカも真似できないのではとさえ思います。

<3 Musique des Tziganes de Roumanie ~Balada Conducatorolui (Folk) 4分20秒>

2007年の仮面舞踏会に移りますが、まずはハンガリーの大作曲家バルトークのルーマニア民族舞曲です。原曲はピアノ独奏曲の「ルーマニアの6つの民族舞曲」ですが、1977年に初めてこの曲をフランスのピアニスト、ミシェル・ベロフのLPで聞いたことがルーマニア音楽や民族音楽全般に目が向くきっかけになったので、個人的に非常に思い入れの深い曲です。またピアノ曲の方も何回か先でかけたいと思います。この名曲をタラフがどう料理しているかが聞きものです。

<7 Maškaradă ~Romanian Folk Dances 7分34秒>

仮面舞踏会からもう一曲は、ハチャトゥリアンのレズギンカをおかけします。コーカサスの音楽の時に度々取り上げた舞曲です。コーカサスの舞曲をタラフが演奏するとは、リリース当時非常に驚いて耳を皿のようにして聞いた演奏です(笑) バレエ曲「ガイーヌ」の中で「剣の舞」に次いで有名な曲で、猛烈に速い8分の6拍子が特徴的です。

<2 Maškaradă ~Lezghinka 2分35秒>

では最後に仮面舞踏会から、アルバムタイトルと同じハチャトゥリアンの仮面舞踏会のワルツを時間まで聞きながら今回はお別れです。クラシックを余り知らない人でも、フィギュアスケートの浅田真央選手が演目に使っていたので、聞き覚えがある方は多いと思います。この盤のリリースは2007年ですから、タラフの方が早かったようです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 Maškaradă ~Walz From Masquerade 3分37秒>

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