Реве та стогне Дніпр широкий
ゼアミdeワールド302回目の放送、日曜夜10時にありました。30日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日のタイトルは「ドニエプルは轟き呻く」のウクライナ語表記です。同じキリル文字系ですが、iの文字があるのがロシア語と大きく違う点です。レベ・タ・ストーネ・ドニプル・シローキーとカタカナ表記するのが近いと思います。プラヤ盤で聞いたのは30年近く前ですが、今も鮮烈に覚えていた曲でした。名曲ですから、色々動画もあります。CDと同じ音源は無さそうですが、今日の一本目は近い感じです。ナターシャ・グジーさんも歌ってないか、後日探してみます。
ルーマニアの音楽の15回目として、フランスHarmonia Mundi系のQuintanaから1991年に出ていた「カルパチアの伝統音楽」を考えておりました。カルパチア山脈と言えば、ルーマニア、ウクライナ、スロヴァキア、ポーランドにまたがっていますが、この盤に入っているのは、ほとんどが西ウクライナの録音でした。
この盤の前に、痛ましい戦火が一日も早く終わることを願って、また亡くなった方々への鎮魂歌として、ウクライナの合唱などを先におかけしたいと思います。いずれもペレストロイカ後だからリリース出来た盤だと思います。
東スラヴ系のロシア、ウクライナ、ベラルーシの音楽をこの番組で取り上げたのは、5年程前になります。その時にもかけた音源ですが、フランスPlaya Soundから出ていたウクライニアン・ヴォイスから、「ドニエプルは轟き呻く」と言う合唱曲からおかけします。抑圧されたウクライナ人の悲しみを表現した19世紀の詩人シェフチェンコの詩に作曲されています。キエフの中心を流れる大河ドニエプルの轟く様が目に浮かぶような、とりわけ感動的な一曲です。
<8 Ukrainian Voices ~Le Large Dniepr Hurle Et Gemit 4分12秒>
Хор ім. Верьовки - Реве та стогне Дніпр широкий
Reve ta stohne Dnipr shyrokyy
同じ曲をソ連時代の赤軍合唱団も「ウクライナの詩」と言う曲名で歌っています。1960年のパリでのライヴ録音で、指揮はボリス・アレクサンドロフです。ソ連時代はグルジアのスリコ、アルメニアのつばめと同様に各国の名歌が歌われることがあったので、これはそのウクライナ版だと思います。こちらもドラマティックな悲愴美溢れる歌唱です。
<4 Les choeurs de l'armée Rouge a Paris ~Poème à l'Ukraine 5分44秒>
日本で活動しているバンドゥーラ弾き語りの女性歌手ナターシャ・グジーの歌は、5年前にはウクライナ民謡「バンドゥーラを手にすれば」をかけましたので、今回は同じく2002年の盤「セルツェ」から「我がキエフ」をおかけします。透き通った物悲しい歌声が余りに美しいです。バンドゥーラはウクライナの吟遊詩人が弾き語って来た小型ハープのような弦楽器です。
<1 Nataliya Gudziy 我がキエフ 4分5秒>
この後は、Quintanaの「カルパチアの伝統音楽」からおかけしますが、5年前にも取り上げた曲を今回も選んでいました。その時の解説を読み上げます。
ウクライナは広大なので、地方によって音楽もかなり違いますが、ハンガリーやルーマニアに近い西ウクライナの音楽は、これらの国の伝統音楽にかなり似通っています。フランスのQuintanaから出ていた「カルパチアの伝統音楽」から、結婚式のチャールダッシュのヴァイオリン演奏をおかけします。演奏者と曲目共にハンガリー語ですが、西ウクライナのブコヴィナ地方での録音のようです。
<5 カルパチア山脈の伝統音楽 ~Lakodalmi csardasok 4分24秒>
結婚式のチャールダッシュのヴァイオリン独奏以外のチャールダッシュやその前進の舞曲ヴェルブンコシュをかけてみたいと思いますが、その中からマジャール・ヴェルブンクという曲をどうぞ。
<15 Quintana「カルパチアの伝統音楽」 / Magyar Verbunk 2分4秒>
ヴェルブンクと言うのは、19世紀前半のハンガリー独立戦争の頃に募兵活動の中で生まれた男性の踊りで、これが基礎になってヴェルブンコシュが生まれ、更にそれが居酒屋(チャールダ)で洗練されてチャールダッシュが生まれたという経緯があります。ヴェルブンクにはヴェルブンコシュになる前の、男性の荒削りな踊りの印象が強く残っているように思います。
この盤にはユダヤの音楽も入っていましたので、次にマゼルトーフやホラなどのダンス曲をかけてみます。ハンガリー音楽のスタイルに乗せて、特徴的な哀感溢れるユダヤ・メロディがメドレーで出てきます。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<24 Quintana「カルパチアの伝統音楽」 / Mazeltof 2分37秒>
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