天満さんのバラーダ
そして日本でバラーダを一躍有名にした天満敦子さんの2015年の映像もありました。1980年にシルヴィア・マルコヴィッチの演奏をTVで聞いてから15年ほど経っていたでしょうか。この曲を題材にした高樹のぶ子の小説『百年の預言』の噂を聞いてから、半分忘れかけていた曲を天満さんの演奏で再び耳にして、二人の演奏が繋がりました。その後、天満さん校訂の楽譜を手に入れたのは2004年くらいだったように思います。時折自分でも弾いてみますが、なかなか速い部分が覚えられないままです。
祖国ルーマニアの独立運動に参加して投獄され、獄中で故郷を偲び、恋人に思いを馳せながら書いたと言われる哀切極まりない緩徐部分は、ルーマニア音楽で言えば、ドイナに当たると思います。ルバートのかけ方は演奏者によって色々ですが、ドイナは本来フリーリズムの部分ですから、ルバートのかけ方にこそ味があると言えるでしょう。
2本目は一昨日、スラーをかけている速い部分が個性的と書いた演奏です。上げ弓でワボウスタッカート気味になったり、弓を浮かせた弱音部分のかすれるような音色の部分では、中東のケマンチェのような枯れた味わいを出したり(9分38秒辺り)、見どころの多い演奏です。
天満敦子ヴァイオリンコンサート 2015/ 望郷のバラード【ガトーフェスタ ハラダ エスポワールホール】
ポルムベスク:望郷のバラード - アンタル・シャライ
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