ビスクラのアラブの旋律とトランシルヴァニアの音楽
バルトークの44のヴァイオリンの二重奏曲集で特に注目の曲は、後半に出てくるアラブの旋律と終曲のエルデーイ(「トランシルヴァニア」のハンガリー語名)の踊り、マラマロシュ(マラムレシュ)の踊り、ルテニアのコロメイカ辺りだと思います。アルジェリアのビスクラで採集された旋律の特徴は、エキゾチックでエネルギッシュな増2度音程のメロディと、打楽器を模した第2ヴァイオリンのリズムですが、増2度音程はエルデーイの踊りでも出てきます。その類似については、バルトーク自身が指摘していました。この音程間隔は東欧系ユダヤのアハヴォ・ラボ旋法にもありまして、そのルーツはと言えば、中東のペルシアやアラブに遡るのかも知れません。コロメイカとは、ウクライナ西部に住むグツウール人の踊りです。ウクライナ全域にまで共通するスタイルが広まっているとのバルトークの見解ですが、中部や東部の方まであったか、また機会があれば調べてみたいと思います。
上記4曲の動画は色々ありましたが、スロヴァキア出身の女流ヴァイオリニストMargareta Benkovaが多重演奏したものが、曲の特徴がよく分かって一番いいと思いました。彼女はシュロモ・ミンツやイダ・ヘンデルに教わったこともあるそうです!
私の番組では、ギリシアからバルカン半島を北上中で、ようやくルーマニアに辿り着いたところです。この後ヨーロッパ全域を回って、スペインから再び北アフリカのイスラム世界に入るのは、早くて2,3年後だと思います。長いと5年後でしょうか。アルジェリアのビスクラ辺りの音源をかけるのも、その際になります。
Bartók - ARABIAN SONG / Margaréta Benková (2020)
Bartók - TRANSYLVANIAN DANCE (Ardeliana) / Margaréta Benková (2020)
Béla Bartók (1881-1945) : Dancing Song No.32 (Tanzlied/Máramarosi Tánc), 44 Duos for 2 Violins, Sz.98
Bartók - RUTHENIAN KOLOMEJKA / Margaréta Benková (2020)
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