ポルムベスク / 望郷のバラード
ゼアミdeワールド303回目の放送、日曜夜10時にありました。6日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。Electrecord盤の方は、また水曜以降に。
前回は緊急ウクライナ特集でしたが、今回はルーマニアの音楽の方に戻りまして、15回目になります。
今回はポルンベスクのバラーダの特集です。日本では一般に『望郷のバラード』と呼ばれています。19世紀末に29歳の若さで薄幸の生涯を閉じたチプリアン・ポルムベスク(1854~1883)は、オーストリア・ハンガリー帝国に支配されていた母国ルーマニアの独立運動に参加して投獄されてしまいますが、獄中で故郷を偲び、恋人に思いを馳せながら書いたのが、このバラーダと言うヴァイオリンの名曲です。
日本の女流ヴァイオリニストの天満敦子さんが1992年に文化使節としてルーマニアを訪問した際、ポルムベスクのバラーダの楽譜を托されますが、日本で初演すると大評判になり、1993年発売のアルバム『望郷のバラード』はクラシックとしては異例の5万枚を超える大ヒットになりました。東欧革命前夜のルーマニアを舞台に、この曲をめぐる謎とヴァイオリニストの恋愛を描いた高樹のぶ子の小説『百年の預言』のヒロインは、天満さんをモデルとしています。
バラーダはヴァイオリンとオーケストラによる哀歌で、ルーマニアの愛国歌のような位置にある曲です。その哀切極まりない美しさは格別です。まずは天満さんの2003年の演奏でおかけします。
<11 天満敦子 ポルムベスク / 望郷のバラード 8分36秒>
天満敦子 / Ballad (C.Porumbescu)
バラーダは日本では天満敦子さんの演奏で知られていますが、曲自体の日本初演はルーマニアの女流ヴァイオリニスト、シルヴィア・マルコヴィッチにより、1980年5月10日、NHK教育TVの午後7時30分からのコンサートで行われています。実は私はこの番組を見ておりまして、更にTVから録音もしていて、42年間そのカセットテープを保存してあります。その録音をiPhoneから音出しすることも可能ですが、著作権問題に抵触するようですので控えておきます。
代わりに本場ルーマニアの演奏家の録音がありますので、そちらをおかけします。天満さんの演奏より長く、伴奏はピアノではなく本来のオーケストラです。音源はルーマニアElectrecordのA romanian prom concertと言う盤で、演奏はEmil Simion指揮のCluj-Napoca Philharmonic OrchestraとヴァイオリニストはStefan Ruhaです。録音は1977年とあります。
<Cluj-Napoca Philharmonic Orchestra, Emil Simion, Orchestra simfonică a Filarmonicii din Cluj-Napoca / Ballad for violin and orchestra 11分16秒>
バラーダのエレクトレコードの音源は、他に「チプリアン・ポルムベスク作品集」と言う盤がありましてバラーダも別音源かも知れませんが、現物が残ってないので、A romanian prom concertからポルムベスクのルーマニア狂詩曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。同じタイトルの曲はジョルジュ・エネスコにもありますが、全く別の曲です。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<6 Romanian Radiotelevision Orchestra, Paul Popescu, Orchestra simfonică a Radioteleviziunii Române / Romanian rhapsody for orchestra 11分43秒>
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