エネスコのシャコンヌ
ゼアミdeワールド307回目の放送、日曜夜10時にありました。4日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。エネスコのこの演奏は晩年の録音ですから荒い部分もありますが、バッハの音楽の核心に到達していると言われます。テクニック的には今はもっと完璧な演奏がたくさんありますが、核心に迫る「何か」が欠けているのかも知れません。余談ですが、1983年頃よくバッハのシャコンヌを練習していて、大学オケの仲間からシャコンドーとあだ名されたことがありました(笑) 当時は全て暗譜していましたが、今ではもうさっぱり。しかし、大変思い出深い曲なので、また少しずつさらおうかと思っている所です。今日のYouTubeは、エネスコのシャコンヌのみです。
今回はルーマニアの音楽の19回目になります。前々回の放送の最後にエネスコのヴァイオリン独奏で、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ1番のフーガをかけましたが、フェイドアウトになっておりましたので、今回はこの曲と、一番有名なパルティータ2番のシャコンヌをノーカットでおかけしたいと思います。
ジョルジュ・エネスコは、作曲家としてはルーマニアの伝統音楽を常に重視していましたが、演奏家としてはフリッツ・クライスラーやジャック・ティボーと共に20世紀前半の三大ヴァイオリニストの一人とされています。1920年代半ばからはヴァイオリン教師としても知られ、門下生にはユーディ・メニューイン、アルテュール・グリュミオー、クリスチャン・フェラス、イヴリー・ギトリスなど錚々たる名手がいます。
バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」については、ヴァイオリニストとしておそらく最も早い時期から注目し、実演・録音ともに語り継がれる名演を残しています。1948年頃の全曲録音の2枚組から、ソナタ1番の2曲目のフーガをまずおかけします。1985年頃にアイダ・カヴァフィアンの生演奏で聞いてから、特に忘れられない曲の一つです。メシアンを得意にしていたアンサンブル・タッシの来日公演のアンコール演奏だったと思います。
<1-2 Violin Sonata No. 1 in G minor, BWV 1001: II. Fuga (Allegro) 5分12秒>
次に無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ2番のフィナーレを飾る、余りにも有名なシャコンヌです。14分近いこの曲はニ短調で荘重に始まり、感動的なアルペジオの部分を経て、明るい部分に移行し、オルガンのような重音も聞かせます。最後は再びニ短調に戻り枯淡の境地で曲を締めくくっています。
<2-5 Violin Partita No. 2 in D minor, BWV 1004: V. Ciaccona 14分7秒>
では最後に、室内オーケストラのための交響詩「自然の声」(Voix de la Nature)を時間まで聞きながら今回はお別れです。この曲は1931~39年に作曲されていますが、エネスコの遺作だそうです。こちらも若い頃に書かれたルーマニア狂詩曲とは打って変わって、枯淡の境地の印象です。
音源は1989年のルーマニア革命の翌年にルーマニアElectrecordから出たRecord for Rumaniaと言う盤です。この中から前々回にルーマニア狂詩曲第1番をかけましたが、ルーマニア狂詩曲第2番と、「自然の声」、「ルーマニアの詩」の4曲が入っています。演奏はティミショアラ・フィルハーモニー管弦楽団です。因みに「ルーマニアの詩」は男声合唱つきの交響組曲で、1889年の時に僅か8歳のエネスコが書いた作品1の処女作でした。ルーマニア狂詩曲は、二十歳の頃の作品です。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<3 Record for Rumania ~Voix de la Nature 8分35秒>
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