エネスコのヴァイオリン・ソナタ第3番 コパチンスカヤ
ゼアミdeワールド309回目の放送、日曜夜10時にありました。18日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。エネスコの3番ですが、アミ・フラメールでは見当たらなかったので、モルドヴァのヴァイオリニスト、コパチンスカヤの全曲演奏で上げました。アミ・フラメール他のイディッシュはまた後日。
ルーマニアの音楽の21回目になります。ゼアミ26周年に当たる5/15の回は、スイスのVDE-Galloから出ている名盤「ルーマニアの農村音楽」の3枚組を予定していましたが、エネスコでもう一回!とリクエストがありましたので、前に予告していたエネスコのヴァイオリン・ソナタ第3番からおかけします。1926年に完成したこの曲には「ルーマニア民族音楽の性格によって」(dans le caractère populaire roumain)と言う副題が付いていて、エネスコの最高傑作の一つとの呼び声高い曲ですが、バルトークのヴァイオリン・ソナタ第2番から影響を受けたとされる難解な曲ですので、どうしようか迷っていました。エネスコの弟子の一人である、イダ・ヘンデルの得意のレパートリーだったそうです。エネスコ自身のヴァイオリンと、若くして亡くなった同郷の名手ディヌ・リパッティのピアノによる自作自演もあるそうですが、残念ながらどちらも未聴です。
手持ちのCD音源は、1989年にフランスのThesisから出たアミ・フラメールのヴァイオリンとジャン・クロード・ペネティエのピアノによる全曲演奏と、伊東信宏氏の「中東欧音楽の回路」付録CDのコパチンスカヤによる第1楽章のみですが、データで聞いた音源はAzoitei Remus & Eduard Stanのものもあります。アミ・フラメールは1985年にOcoraから出ていたイディッシュ民謡のCDでも演奏していまして、それで名前を覚えていて購入した盤でした。ジプシーのラウタルやユダヤの影響が濃厚なエネスコの曲と、イディッシュと言うのは、ベストマッチの感があります。後でそのオコラ盤からも一曲かけようかと思います。
アミ・フラメールはルイ・マル監督の映画「さよなら子供たち」の中で、お道化た調子でサン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」を弾いていたのを、たまたま見かけたこともありました。このテシス盤は、エネスコの他にチェコのヤナーチェクと、新ウィーン楽派のウェーベルンとシェーンベルクのヴァイオリン作品も演奏しています。
では第1楽章からおかけします。
<1 Pennetier - Flammer / Enesco 3e Sonate Op 25 1 10分19秒>
即興性が重視される面があるためか、違う曲かと思う程に聞こえますので、コパチンスカヤと、Azoitei Remus & Eduard Stanの演奏の第1楽章の最初だけ少しおかけしてみます。
<パトリツィア・コパチンスカヤ / エネスコ ヴァイオリン・ソナタ第3番 第1楽章>
Patricia Kopatchinskaja / Polina Leschenko - Enescu Violin Sonata no. 3 - live 2015
<1 Azoitei Remus & Eduard Stan / Enescu, G.: Violin Music, Vol. 2 1分程>
第2楽章も大変に素晴らしいのですが、最弱音から始まりまして、その部分で無音と判断されて放送事故になるかも知れませんので、外しまして、かなり民族色が濃く出ているフィナーレの第3楽章を次におかけします。第1楽章と第2楽章が10分余り、第3楽章は8分49秒です。
<3 Pennetier - Flammer / Enesco 3e Sonate Op 25 3 8分49秒>
では最後に、先ほどの1985年にOcoraから出ていたイディッシュ民謡のCDの1曲目Avremlを時間まで聞きながら今回はお別れです。編成は、Ami Flammerのヴァイオリン、Moshe Leiserのギターと歌、Gerard Barreauxのアコーディオンです。東欧系ユダヤ人のイディッシュ語の哀感溢れる歌を聞かせるCDは沢山ありますが、この盤はCDでは最も早い時期に出た一枚だったと思います。またポーランドの時に東欧系ユダヤの音楽は集中的に取り上げる予定です。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<1 Chansons Yiddish - Tendresses et Rage ~Avreml 3分43秒>
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