80年前の葬送歌ボチェッツ
スイスのVDE-Galloから出ている名盤「ルーマニアの農村音楽」の3枚組は、15年くらい前の段階でCDでは入手困難だったと思います。このレーベルはクラシックがメインで、今も色々出ているようですが、最近も民族音楽方面の新譜が出ているのか不明です。以前の音源は、今回のようにほとんどがストリーミングやYouTubeで聞けるようです。「ルーマニアの農村音楽」の場合ですが、ジャケットは90年代とは異なっています。
LPサイズの解説を読みながら聞いていると色々発見のある盤ですが、トランシルヴァニア編で一番驚いたのは12曲目と32曲目に入っているボチェッツが、ゲオルゲ・ザンフィルのパンパイプ演奏で聞いたような「セルビア東部ヴラフ人の葬儀の音楽とイメージが重なるBocet(ボチェッツ)は、会葬者の慟哭の声まで生々しく描写した音楽」ではなく、意外なまでに淡々と歌われていることでした。トランシルヴァニアと、ザンフィルの拠点のワラキアでは音楽も違うとは思いますが、ザンフィルが彼なりの修飾を施した(ドラマ仕立てのような)演奏をしていたのか、80年の間に徐々に変わっていたのか、どちらでしょうか。
トランシルヴァニア編の2曲の後に、ザンフィルの演奏を入れておきます。ワラキアのオルテニア編とモルダヴィア編にもボチェッツがありますので、またそれぞれで取り上げる予定です。
<12 Bocet: "La sot" (I) 1分35秒>
<32 Bocet: "La sot" (II) 1分13秒>
Bocet
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