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2022年7月

2022年7月29日 (金)

1952年の「エチェル村の結婚式」

この1952年の「エチェル村の結婚式」の映像は、大分前に(10年以上?)ブログに上げたような気がしますが、私の番組はまだ始まってなかった頃ですので、再度上げておきます。77年の録音と比べても、70年代のダンスハウス(タンツハーズ)運動前夜の熱い熱い、シーンの熱さ自体を強く感じます。当時でカラー映像と言うのは尋常な力の入り方ではありません。演奏は粗削りなところもあるように思いますが、大変に素晴らしいです。この曲はLPラストのタイトル曲「エチェル村の結婚式」です。
来週再来週は、おんまく、お盆と週末ごとに大きな催しが続き、夜10時の放送を聞き逃す方も多いかと思いますので、今年はお盆の音楽をかけない代わりに、片方の週末は5年前の「エチェル村の結婚式」の時の再放送のような形にしたいと思います。2本目は今週のラストにかけた「ビンの踊り」です。頭の上にビンを乗せて踊る結婚式の余興的な曲で、伴奏に羊飼いの縦笛フルヤの音も聞こえます。

Ecseri lakodalmas (1952) - Állami Népi Együttes

Bottle Dance

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2022年7月28日 (木)

Chant du mondeの「トランシルヴァニアの弦楽四重奏」の1曲目

Chant du mondeの「トランシルヴァニアの弦楽四重奏」の1曲目「ケアヌ・マーレのダンス組曲」も、2本組のYouTubeが見つかりました。英文解説には以下のように書いてありまして、シャンデュモンドとは出てきませんが、間違いなく同じ音源です。2本目の最後の1分半ほどの曲が、「エチェル村の結婚式」の「セークの音楽」の最後の曲と同じHartagul(ハルツァグル)です。
"Danțuri din Ceanu Mare" performed by Șandorică Ciurcui, Iuliu Gheți, & Tănase Gheți. Romanian traditional folk song from Transylvanian Plain, Cluj area. © Fabris, 2009 (以下放送原稿を再度)

前回も言いましたが、弦楽四重奏と言っても、西洋クラシックのヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロの編成ではなく、通常のヴァイオリンと3弦のヴァイオリンとヴィオラ、コントラバスがほとんどで、伴奏のヴァイオリンとヴィオラは変則調弦だと思います。駒も平たく3つの音が同時に鳴らせるようです。この曲ではヴァイオリン2本と3弦のヴィオラ、コントラバスと言う編成です。このシャンデュモンド盤も90年代のリリースですが、残念ながら現在は入手困難だと思います。
 

<1 Suite De Danses De Ceanu Mare 13分35秒>

Danțuri din Ceanu Mare - part I - / Dances from Ceaunu Mare village - part I

Danțuri din Ceanu Mare - part II - / Dances from Ceaunu Mare village = part II

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2022年7月27日 (水)

ハルツァグル

シャンデュモンドの「トランシルヴァニアの弦楽四重奏」1曲目と、「エチェル村の結婚式」の「セークの音楽」の両方で終曲になっていたHartagulで調べてみました。トランシルヴァニアのハンガリー音楽では、浮き立つリズムで知られるようで、これは確かに現場で聞いていたら踊らずにいられない程かも知れません。同じ旋律であれば良かったのですが、幾つか見た限りでは同じ旋律はなさそうです。シャンデュモンド盤が出たのは「エチェル村の結婚式」の10年余り後位ですから、演奏に当たって参考に(あるいは耳コピ)したのかも知れません。1本目のBudaの「トランシルヴァニアの弦楽四重奏」も、旋律は少し違いますが、ノリはそっくりです。

Deux mélodies de danse hartagul

Două hărțaguri de danț / Two hartagul dance melodies

Hartagul

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2022年7月25日 (月)

エチェル村の結婚式

ゼアミdeワールド319回目の放送、日曜夜10時にありました。27日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。シャンデュモンドの方は見当たりませんので、今日はフンガロトンの「セークの音楽」のみです。

今回からハンガリーの音楽に移ります。前回予告していた通り、仏Chant du mondeの「トランシルヴァニアの弦楽四重奏」の1曲目をまずおかけしてから、ハンガリーHungarotonの「エチェル村の結婚式」の「セークの音楽」と言う曲を続いておかけします。シャンデュモンド盤の1曲目は13分余りありますが、最後の1分半ほどの曲が、「エチェル村の結婚式」の「セークの音楽」の最後の曲と同じです。
演奏はハンガリー国立民族舞踊アンサンブルで、1977年にLPがビクターから出ていて手元にありますが、ほぼ同じ内容のCDが96年にフンガロトンから出ていて、その盤でおかけします。1978年頃に「エチェル村の結婚式」(ハンガリー語ではEcseri Lakodalmas エチェリ・ラコダルマシュ)の来日公演の舞台がTV放映されまして、その時TVから録ったカセットテープもまだ手元にあります。LP盤共々、当時夢中になって聞いた懐かしい音源です。LP解説はハンガリー音楽の専門家、谷本一之さんです。

前回も言いましたが、弦楽四重奏と言っても、西洋クラシックのヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロの編成ではなく、通常のヴァイオリンと3弦のヴァイオリンとヴィオラ、コントラバスがほとんどで、伴奏のヴァイオリンとヴィオラは変則調弦だと思います。駒も平たく3つの音が同時に鳴らせるようです。この曲ではヴァイオリン2本と3弦のヴィオラ、コントラバスと言う編成です。このシャンデュモンド盤も90年代のリリースですが、残念ながら現在は入手困難だと思います。 

<1 Suite De Danses De Ceanu Mare 13分35秒>

「エチェル村の結婚式」の「セークの音楽」は、ルーマニアでは首都ブカレストに次ぐトランシルヴァニア地方の大都市コロジュヴァール(これはハンガリー語で、ルーマニア語ではクルジュ=ナポカ)に近いセーク村で、バルトークやコダーイと共に活動した民族音楽学者兼作曲家のラースロー・ライタが、1940年頃に収集したセーク民族舞曲のコレクションから、4曲選んで組曲風にまとめた曲です。セークは最も古く伝統的なハンガリー音楽が残る場所として知られていました。最後の曲がシャンデュモンド盤「トランシルヴァニアの弦楽四重奏」の1曲目のラストの曲と同じです。シャンデュモンド盤によると、曲名はHartagul(ハルツァグル)と出ていました。

<2 Gulyás- Széki Muzsika 6分48秒>

ハンガリー的な音楽と言えば、クラシックではモンティが書いたチャールダッシュやブラームスのハンガリー舞曲、サラサーテのツィゴイネルワイゼンなどがよく知られていますが、これらは全てヨーロッパ中に大流行した19世紀ハンガリーのチャールダッシュからの影響で書かれた曲です。次回も「エチェル村の結婚式」をベースに、それらクラシック曲も聞いて行く予定です。
では最後に「エチェル村の結婚式」から、「ビンの踊り」を聞きながら今回はお別れです。頭の上にビンを乗せて踊る結婚式の余興的な曲です。伴奏に羊飼いの縦笛フルヤの音も聞こえます。「セークの音楽」と同様にグヤーシュ編とありますが、音楽監督のラースロー・グヤーシュのことです。言うまでもなくグヤーシュと言えば、ハンガリー料理で最も有名なパプリカを使った真っ赤な煮込み料理でもあります。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 Gulyás- Üveges Tánc 2分38秒>

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2022年7月22日 (金)

カッコウは胡桃の上で鳴く

Ocoraの「トランシルヴァニアの真の伝統(La Vraie Tradition de Transylvanie)」から、番組ではかけなかった2曲を入れておきますが、その前に、先日色々検索していて偶然見つけたSofia Vicoveanca - „Cântă cucu-n vârf de nuc (Blestem morţii)”と言う映像のインパクトが余りに大きかったので、こちらを一本目に入れました。Cântă cucu-n vârf de nucを訳せば、今日のタイトルになると思います。この女性歌手Sofia Vicoveancaの出で立ちと鬼気迫るような歌唱を聞いて、さすがドラキュラ伝説の国と思いました。これもドイナの一種だと思いますが、こんな恐い歌唱は初めて聞きました。2本目は打って変わって明るめの曲ですが、余りの歌の上手さにまた驚きました。
3,4本目がLa Vraie Tradition de Transylvanieの10、11曲目です。Sava Negreanの歌は淡々としていて、西ヨーロッパの歌と聞き紛うような独唱です。

Sofia Vicoveanca - „Cântă cucu-n vârf de nuc (Blestem morţii)”

Sofia Vicoveanca - Cand eram la mama fata

Roumanie La Vraie Tradition de Transylvanie

Roumanie La Vraie Tradition de Transylvanie

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2022年7月21日 (木)

Hora Lunga(ホラ・ルンガ)について

Ocoraから1989年に出た「トランシルヴァニアの真の伝統」(La Vraie Tradition de Transylvanie)については、古い音源だからでしょうか、放送ではかけなかった2曲が見つかっただけで、他は見当たりませんでした。オコラの古い音源は、そう言えばYouTubeではほとんど見かけません。この盤は「真の伝統」と言う名の通り、最も泥臭い音楽が集められています。録音場所はマラムレシュが目立つようですが、少し南のクルージュの音源もあります。曲名から見てルーマニア系がほとんどのようです。
ムジカーシュの「トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」に出ていたロマ・フィドラーのゲオルゲ・コヴァチらしきフィドラーによるJoc Batrinescも、ないのは残念ですが、もっと残念なのは不思議な装飾の入る女性と男性の独唱2曲です。(Cinta, Cuce,Cind Ti-Id DuceとIn Virfutu Nuculuiで、その間に声とのダブルトーンになっている縦笛ティリンカの吹奏Din Zori De Zi Si Joc Bárbatescもありました)
このタイプの独唱はバルトークによってHora Lungaと記述され、マラムレシュではCintec cu noduriと呼ばれるそうです。ルーマニア語ではCîntec lung(長い歌)とシンプルに訳されるように、ここでのホラは踊りのホラではなく、Hora Lungaの元々の意味は「長い演説」とも訳せるようです。演説と言うより「歌」とか「口説」のようなニュアンスなのでしょう。現代の演奏では、リズミカルな部分に入る前の、即興的な装飾の多い無拍の独奏の前奏部分に当たられているようにも見受けられます。今日の2本目もおそらくそういう感じです。
このホラ・ルンガこそが、1912年から1913年に、ルーマニアのトランシルバニア北部のマラムレシュ郡とサトゥマーレ郡でバルトークによって発見されたとされる「歌の節」です。 バルトークは、アルジェリア中部(おそらくビスクラ)、ウクライナ、ペルシアで同様の音楽を聴いたようですが、その後の調査で、西はアルバニア(おそらくポリフォニーの唱法の一つとして)とアルジェリア、東はインド(カヤールなどの歌の装飾技巧ガマカでしょうか)、チベット(仮面劇では)、中国西部(ウイグルか回族?)、カンボジアまで同様の音楽が見つかったとのことです。( )の中は、筆者が思い当たる各国の音楽伝統です。ペルシア音楽の場合、タハリール唱法を含むアーヴァーズの部分を指すのだろうと思いますが、当時ペルシアまで足を延ばすことは出来たのでしょうか? それはおそらく西洋の音楽にはない、コブシのような装飾技巧と微妙な間合いを合わせたようなもので、モンゴルならオルティンドー、日本で言えば追分辺りでしょう。
今日の1本目は、バルトークが発見した重要な音楽概念「ホラ・ルンガ」を受け継いだ、現代のハンガリーで生まれたクラシック作品です。バルトークからは教わってないようですが、コダーイからは教わっていたジェルジ・リゲティ(1923-2006)のヴィオラ独奏曲「ホラ・ルンガ」です。上記の「不思議な装飾」は感じられないように思いますが、微分音が頻繁に出てきます。

György Ligeti: Sonata for Viola solo, I. Hora Lunga / Péter Bársony LIVE (Manuscript-Video)

Fratii Petreus - Hora lunga ciobaneasca

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2022年7月20日 (水)

タラゴト(民族クラリネット)独奏とアナ・ホッスの歌声

このアナ・ホッスの楽団のタラゴトの音は、温かく素朴かつエキゾチックで凄く好きな音色です。クレズマー・クラリネットにも当然似ていますが、どこかが違っていて、それが気になります。2本目は少しサニエ・ク・ズルガライに似て聞こえるのが不思議です。音階は全く違うのに、歌詞の韻律とホラのリズム、装飾を含め音型が似ているように思います。この盤も廉価盤が出ていたので、映像に出ているのは、そのジャケットです。(以下放送原稿を再度)

ARCの「Ana Hossu & Friends / トランシルヴァニアの歌と踊り」からは2曲選んでみました。マラムレシュのベリンツァのタラゴトの独奏と「バイウトの丘」と言うアナ・ホッスと楽団の演奏です。

<3 Joc de-nceput din Berinta (Dance from Berinta) 1分31秒>

<22 Dealu' de la Baiut (The hills of Baiut) 2分>

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2022年7月18日 (月)

Erdélyi népzeneのチャンゴーから

ゼアミdeワールド318回目の放送、日曜夜10時にありました。20日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。Adda盤はリリースが1989年で大分前ですから、YouTubeにAddaのジャケットでは見当たらないようですが、Fonti Musicali(Adda傘下のレーベル)で上がっていました。類似の内容の編集盤は、特に2000年代に入ってからハンガリーから色々出ていますが、チャンゴーの音源から始まるアッダ盤は貴重だと思います。

ルーマニアの音楽の30回目になります。予告していた通り今回で一応ルーマニアのシリーズを終える予定です。トランシルヴァニアの音源4枚が手元にありますが、ハンガリー系の音楽が多いので、次のハンガリーへの橋渡し的な内容にもなります。

音源は仏Chant du mondeの「トランシルヴァニアの弦楽四重奏」、仏Ocoraの「トランシルヴァニアの真の伝統(La Vraie Tradition de Transylvanie)」、仏Addaの「トランシルヴァニア(ハンガリー語でエルデーイ)のフォーク・ミュージック」、英ARCの「Ana Hossu & Friends / トランシルヴァニアの歌と踊り」の4枚です。

アッダのErdélyi népzeneと言う盤ですが、この盤の正式なタイトルは、Traditions of the Hungarian minorities of Romaniaです。まず1曲目のモルダヴィアのチャンゴーの独唱をおかけします。Fabian Evaの歌唱で、ルーマニア東部モルダヴィアのハンガリー系少数民族チャンゴーの哀歌です。モルダヴィアですから場所は違いますが、ハンガリー系と言うことで一緒に入っているようです。インパクトの強い極めて印象的な歌唱です。

<1 Fabian Eva / Moldvai csángó keserves 2分2秒>

もう一曲モルダヴィアのチャンゴーらしき音源が入っていまして、打楽器が派手に活躍するMoldvai táncdallamと言う曲です。ハンガリーのトラッド・グループ、テーカの演奏です。

<9 Teka / Moldvai táncdallam 2分50秒>

このアッダ盤はハンガリーのトラッド・アーティストのコンピレーションと見ていい内容ですので、またハンガリーで取り上げるかも知れません。
ARCの「Ana Hossu & Friends / トランシルヴァニアの歌と踊り」からは2曲選んでみました。マラムレシュのベリンツァのタラゴトの独奏と「バイウトの丘」と言うアナ・ホッスと楽団の演奏です。

<3 Joc de-nceput din Berinta (Dance from Berinta) 1分31秒>
<22 Dealu' de la Baiut (The hills of Baiut) 2分>

Ocoraから1989年に出た「トランシルヴァニアの真の伝統」は、地味な音源ではありますが、「真の伝統」と言う名の通り、最も泥臭い音楽が集められています。録音場所はマラムレシュが目立つようですが、クルージュの音源もあります。曲名から見てルーマニア系がほとんどのようです。
1曲目のJoc Batrinescの演奏者はIon Covaci, Neculai Covaci, Gheorghe Covaciとありますので、前に取り上げたムジカーシュの「トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」に出ていたロマ・フィドラーのゲオルゲ・コヴァチではと思います。ハンニバル盤だけではなかったという事で、これは貴重な録音だと思います。

<1 Joc Batrinesc 2分3秒>

続いて不思議な装飾の入る女性と男性の独唱2曲が注目の音源ですが、その間に声とのダブルトーンになっている縦笛ティリンカの吹奏が入ります。このタイプの独唱はバルトークによってHora Lungaと記述され、マラムレシュではCintec cu noduriと呼ばれるそうです。3曲続けてどうぞ。

<2 Cinta, Cuce,Cind Ti-Id Duce 2分19秒>
<3 Din Zori De Zi Si Joc Bárbatesc 1分51秒>
<4 In Virfutu Nucului 2分4秒>

では最後に「トランシルヴァニアの弦楽四重奏」から、4曲目のSuite De Danses De La Vallee Du Chioarを時間まで聞きながら今回はお別れです。弦楽四重奏と言っても、西洋クラシックのヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロの編成ではなく、通常のヴァイオリンと3弦ヴァイオリンとヴィオラ、コントラバスがほとんどで、伴奏のヴァイオリンとヴィオラは変則調弦だと思います。 
1曲目は、ハンガリーで取り上げる予定のHungarotonの「エチェル村の結婚式」と同じ曲がありますので併せてかけたいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 Suite De Danses De La Vallee Du Chioar 9分50秒>

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2022年7月15日 (金)

Shir HanodedとHava Naghila

今日はShir HanodedとHava Naghilaの、これは!と思った映像のみ上げておきます。エステル・オファリームのシール・ハノデッドと、ハシディックなノリが分かるハヴァ・ナギラです。
ハヴァ・ナギラは「屋根の上のヴァイオリン弾き」の結婚式のボトル・ダンスのシーンを思い出すような演奏です。本当は90年頃のメジクニーガ盤のような男声合唱が良いのですが、見当たりません。
シール・ハノデッド (Song of the Wanderer)と言えば、まず真っ先にイスラエルの女性歌手エステル・オファリームを思い出しますが、この曲をルーマニアの少年少女合唱団が歌っていたので「お!」と思った次第です(笑) そう言えばクラシックのソプラノ歌手ネタニア・ダヴラツも歌っていたと、後で思い出しました。Hayu Leylotと並ぶエステル・オファリームの美しい名唱だと思います。エステル・オファリームは、シリア系ユダヤ人の歌手で、映画「栄光への脱出(Exodus)」に端役で出ています。ルーマニア少年少女合唱団の映像は、91年の「美しく青きドナウ」とシューベルトの鱒くらいでしたから、今回は外しました。

Esther Ofarim - Shir hanoded (live, 1972)

Hava Nagila - Hebrew Folk Song - Best Version

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2022年7月14日 (木)

Romanian Children Chorusの歌うヘブライ・ソング

ルーマニアの少年少女合唱団と言えば、70年代の終わり頃にLPを持っていましたし、今回かけたようなヘブライ・ソングは、91年から5年余り通った教文館ヘブライ語講座でヘブライ語で歌った曲がほとんどですので、二重に懐かしい思いがあります。ただその愛聴したLPは30年ほど行方不明のままで、ElectrecordのVoces Primaveraeと言うグループと同じかどうか確認が取れていません。そのLPにヘブライ・ソングがなかったことは確かです。Voces Primaverae(春の声)と言う曲はあったと思いますし、「ドナウ川のさざ波」とかのクラシック名曲がほとんどだったように思います。ヘブライ語講座ではShir Hanodedだけは歌わなかったのも確かです。動画ではシール(歌)がAhirとなっていて、綴りが間違っています。(以下放送原稿を再度)

最後にルーマニアElectrecordからの変わり種の一枚ですが、Voces Primaveraeと言う少年少女合唱団の「イスラエルとルーマニアの歌」と言う盤から、1曲目のエヴェヌ・シャローム・アレイヘム、4曲目のOsse Shalom Bimromav(ヌリート・ヒルシュ作曲)、エステル・オファリームやネタニア・ダヴラツがよく歌っていた11曲目のShir Hanoded(「さすらい人の歌」のような意)、19曲目のハヴァ・ナギラを聞きながら今回はお別れです。Shir Hanoded以外は、東欧の音楽の要素が濃厚に入ったアシュケナジームの宗教的フォークソングと言えると思います。ピカソの「青の時代」の、ユダヤ教のラビらしき男性と少年のジャケットが印象的です。ブコヴィナのハシディック・ニグンにルーツがあるとされているハヴァ・ナギラは、アハヴォ・ラボ旋法の典型としてよく取り上げられる曲です。
ルーマニアの曲は、この合唱団の創立者でリーダーのクラウディウ・ネグレスクの5曲位で、他の14曲はヌリート・ヒルシュの書いたヘブライ・ソングや、ユダヤのヘブライ語の伝承歌がほとんどで、そちらの方が明らかに目立っている盤です。

<1 Evenu Shalom Alehem 1分9秒>

<4 Osse Shalom Bimromav 6分42秒>

<11 Shir Hanoded 3分31秒>

<19 Hava Naghila 3分40秒>

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2022年7月13日 (水)

西ルーマニアの民族舞踊団 Doina Timisului

ドイナ・ティミシュルイは老舗グループという事で、かなり映像がありました。2本目のように、ハンガリーのダンスや衣装(特に男性の帽子とブーツ)とそっくりのものもあります。女性の掛け声まで似ています。ハンガリーに隣接するビホル県なので、当然と言えば当然ですが、どこかルーマニアらしさも若干残っているように思います。ビホル県の人口構成はルーマニア人 - 67.40%、ハンガリー人 - 25.91%、ロマが5%他だそうです。ARC盤のブルウ2本も、ありました。(以下放送原稿を再度)

Ansamblul Folcloric "Doina Timișului" - Dansuri tradiționale din Banat

Doina Timisului - Dans de Bihor

次は同じ英ARCから2003年に出たドイナ・ティミシュルイ(Doina Timisului)の「ルーマニアの伝統音楽」と言う盤です。1959年結成の民族アンサンブルで、グループ名の通りルーマニア西部のティミショアラを拠点にしているようです。民族クラリネットのタラゴト、5弦ギターのブラチ、コブサ、ヴァイオリン、アコーディオン、コントラバスという編成で、ブカレスト辺りのグループより鄙びた趣きがあります。何よりもタラゴトの音色が西ルーマニア色を醸し出しています。当然ブカレスト辺りとレパートリーも違っているようですが、比較のために、これまでに何度も登場している帯踊りブルウをおかけします。ブルウは何曲もありますが、7、8曲目を続けてどうぞ。

<7 Braul carpenilor 1分13秒>

<8 Braul lui Murgu 1分20秒>

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2022年7月11日 (月)

Maria BuzaとTaraful Ciuleandraから

ゼアミdeワールド317回目の放送、日曜夜10時にありました。13日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画はMaria BuzaとTaraful Ciuleandraのみです。2本目は再発時のジャケットのようです。

ルーマニアの音楽の29回目になります。後2回、駆け足で7枚ほどの音源を取り上げる予定です。今回がワラキアと西ルーマニア、次回はトランシルヴァニアで、その次はハンガリーに向かいます。

まず最初は女性歌手Maria BuzaとTaraful Ciuleandraの「ワラキアのジプシー音楽」と言う盤です。2001年に英ARCから出た盤で、このレーベルによくある現地盤のライセンスリリースではないようです。当時はタラフ・ドゥ・ハイドゥークスが既にヨーロッパで大人気だった頃で、日本にも2回目の来日をしたタイミングです。スルバかどうか不明ですが、速いテンポの伴奏の上で、悠然と長い旋律を歌っている1曲目のPiatra, piatraと、最近何度も登場している4曲目のLume, lumeの2曲を続けておかけします。都市部のジプシーの酒飲み歌で、「はかないこの世」の訳があった通り、人生のはかなさを歌った歌です。

<1 Piatra, piatra 6分3秒>

<4 Lume, lume 4分37秒>

次は同じ英ARCから2003年に出たドイナ・ティミシュルイ(Doina Timisului)の「ルーマニアの伝統音楽」と言う盤です。1959年結成の民族アンサンブルで、グループ名の通りルーマニア西部のティミショアラを拠点にしているようです。民族クラリネットのタラゴト、5弦ギターのブラチ、コブサ、ヴァイオリン、アコーディオン、コントラバスという編成で、ブカレスト辺りのグループより鄙びた趣きがあります。何よりもタラゴトの音色が西ルーマニア色を醸し出しています。当然ブカレスト辺りとレパートリーも違っているようですが、比較のために、これまでに何度も登場している帯踊りブルウをおかけします。ブルウは何曲もありますが、7、8曲目を続けてどうぞ。

<7 Braul carpenilor 1分13秒>
<8 Braul lui Murgu 1分20秒>

最後にルーマニアElectrecordからの変わり種の一枚ですが、Voces Primaveraeと言う少年少女合唱団の「イスラエルとルーマニアの歌」と言う盤から、1曲目のエヴェヌ・シャローム・アレイヘム、4曲目のOsse Shalom Bimromav(ヌリート・ヒルシュ作曲)、エステル・オファリームやネタニア・ダヴラツがよく歌っていた11曲目のShir Hanoded(「さすらい人の歌」のような意)、19曲目のハヴァ・ナギラを聞きながら今回はお別れです。Shir Hanoded以外は、東欧の音楽の要素が濃厚に入ったアシュケナジームの宗教的フォークソングと言えると思います。ピカソの「青の時代」の、ユダヤ教のラビらしき男性と少年のジャケットが印象的です。ブコヴィナのハシディック・ニグンにルーツがあるとされているハヴァ・ナギラは、アハヴォ・ラボ旋法の典型としてよく取り上げられる曲です。
ルーマニアの曲は、この合唱団の創立者でリーダーのクラウディウ・ネグレスクの5曲位で、他の14曲はヌリート・ヒルシュの書いたヘブライ・ソングや、ユダヤのヘブライ語の伝承歌がほとんどで、そちらの方が明らかに目立っている盤です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Evenu Shalom Alehem 1分9秒>
<4 Osse Shalom Bimromav 6分42秒>
<11 Shir Hanoded 3分31秒>
<19 Hava Naghila 3分40秒>

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2022年7月 8日 (金)

マリア・タナセの生映像

何とマリア・タナセの生映像が2本見つかりました! どちらも晩年と思われますが、素晴らしいことこの上無しの歌唱です。指揮者無しで彼女の歌を中心に自然にまとまるという印象です。ゴルジ関連の歌2曲ですが、1本目のMarioara de la Gorjは、今日の3本目の放送でかけたLung ii drumul Gorjuluiと同じ曲だと思います。その後の2本も放送でかけた曲です。オリエンテ・ムジークのマリア・タナセのシリーズは確か3枚はあったと思うので、ストリーミングでかけていくことも可能ですが、ルーマニアのシリーズも長くなっていますので、第1集だけにしておきます。(以下放送原稿を再度)

Maria Tanase - Marioara de la Gorj

Maria Tănase - Hăulita din Gorj (Sala Palatului, 1962)

10曲目はワラキア西部オルテニアのゴルジ地方のスルバで、タイトルは「ゴルジへの長い道のり」と訳せると思います。スルバらしい3連符は目立ちませんが、一拍を3つに刻んでいるパートが確かにあります。

<10 Lung II Drumul Gorjului 3分25秒>

11曲目はスイングする3拍子のリズムですが、ワラキアの中心ムンテニアの民謡で、この意表を突くような西欧的なリズムのために、かえって印象的に聞こえます。

<11 Pe Deal Pe La Cornatel 2分14秒>

では最後に、15曲目のCat II Maramuresulを時間まで聞きながら今回はお別れです。北ルーマニアのマラムレシュの古い民謡で、どこかハンガリーのチャールダッシュに似た旋律と雰囲気です。

<15 Cat II Maramuresul 4分>

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2022年7月 7日 (木)

La malediction d`amour

このmaledictionと言うフランス語ですが、「呪文」くらいの意味かと思ったら、「呪い」と取らないと合わないことが、以下の歌詞を読んで分かりました。なかなか和訳が難しいので、ライナーノーツの英文のまま入れます。ドイナになら、うまく嵌る内容だと思います。
We are told how a terrible curse will be cast upon anyone who betrays love: he will acquire the squirming of the snake, the gait of the beetle, only the dust of the land and many other undesirable things.
歌詞で実際どういう風に語られているかは、フランス語からの翻訳が必要です。解説によると「このルーマニア人の魂の宝石は、マリア・タナセが掘り起こさなければ、永遠に忘れ去られていただろう」ということですが、何故フランス語で歌われているのでしょうか。ルーマニア語版もあれば聞いてみたいものです。(以下放送原稿を再度)

5曲目のLa malediction d`amourは、トランシルヴァニアの愛の歌で、マリア・タナセの最もポピュラーな歌の一つです。ドイナのスタイルだと思いますが、フランス語で歌われています。タイトルは「愛の呪い」と訳せるかと思います。この第一集のアルバム・タイトルにもなっています。「愛を裏切るもの」の顛末を淡々と語っています。

<5 La malediction d`amour 3分24秒>

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2022年7月 6日 (水)

マリア・タナセのルメ・ルメ

戦前のルーマニアを代表する大歌手マリア・タナセは、「ルーマニアの美空ひばり」と形容されることもありました。国民的歌手と言う点では似ているのかも知れませんが、美空ひばりは日本の民謡を歌うことはあっても、日本中を訪ねて消滅しかけている各地の歌を掘り起こすことまではしてなかったのではと思います。(小唄・端唄など花柳界の音曲では名唱を聞かせていました。新内にも関わっていたと聞いたことがあります。)
一方、マリア・タナセは常にルーマニア各地の民謡に重心をおいていたそうですから、何度も取り上げたサニエ・ク・ズルガライを献呈されながら歌わなかったのも、そこに秘密がありそうです。サニエ・ク・ズルガライは、民謡調ではあっても、ユダヤ系の作曲家によって作曲された歌でしたから。
最近何度も色々な演奏家で出てきたルメ・ルメも、マリア・タナセが歌っています。彼女が掘り起こしたのかどうかは不明ですが、この録音を聞いてファンファーレ・チョカリアやアナトール・シュテファネットも演奏したのかも知れません。(以下放送原稿を再度)

3曲目は最近ファンファーレ・チョカリアとアナトール・シュテファネットの演奏でかけたルメ・ルメです。都市部のジプシーの酒飲み歌だそうで、曲名の訳は「この世、この世」になります。「はかないこの世」の訳があった通り、人生のはかなさを歌った歌です。

<3 Lume, Lume 4分28秒>

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2022年7月 4日 (月)

Maria Tanaseの歌声

ゼアミdeワールド316回目の放送、日曜夜10時にありました。6日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は2曲目まで入れました。

ルーマニアの音楽の28回目になります。まだ手元にルーマニアの音源は7枚ほどありますが、ルーマニアのシリーズもかなり長くなっていますので、かいつまんで数回にする予定です。

今回は往年の名女性歌手マリア・タナセの独Oriente Musikからの1枚目、Maria Tanase / Malédiction d'Amourからおかけします。以下簡単にプロフィールをご紹介します。

マリア・タナセは1913年生まれで、前にVDE音源をかけたコンスタンティン・ブライロイウの民族音楽協会と関係したことで、母国のフォーク・ソング探究も志すようになり、ルーマニアで戦前からジプシー音楽や各地方に伝わる民謡を取り上げ、同国を代表する大歌手となった。1930年代当時〈東のパリ〉と呼ばれた華やかな首都ブカレストで、失われつつあるルーマニアの古謡を歌って一躍有名になり、トルコやブルガリアなど周辺国だけでなく、パリやニューヨークでも公演。またその美貌から映画や舞台でも活躍した。戦後は芸能活動と平行して音楽学校でも教えるようになったが、惜しくも1963年に癌のため49歳の若さで亡くなった。その死は国をあげて惜しまれたという。

オリエンテ・ムジーク盤は彼女が50年代に残した全盛期の録音を集成していて、その第一集が手元にありますので、早速1曲目からおかけします。ルンカ・ルンカ(牧場、牧場)と言う曲は、ムンテニア地方のカルパチア山脈近くの典型的な愛の歌で、才能あるローカル・ヴァイオリニストによって磨かれてきた曲とのことです。

<1 Lunca, Lunca 3分26秒>

2曲目はモルダヴィア地方の酒飲み歌で、黒海沿岸ドブロジャ地方のジャンパラーレのリズムです。

<2 Bun II Vinul Ghiurghiuliu 3分40秒>

3曲目は最近ファンファーレ・チョカリアとアナトール・シュテファネットの演奏でかけたルメ・ルメです。都市部のジプシーの酒飲み歌だそうで、曲名の訳は「この世、この世」になります。「はかないこの世」の訳があった通り、人生のはかなさを歌った歌です。

<3 Lume, Lume 4分28秒>

5曲目のLa malediction d`amourは、トランシルヴァニアの愛の歌で、マリア・タナセの最もポピュラーな歌の一つです。ドイナのスタイルだと思いますが、フランス語で歌われています。タイトルは「愛の呪い」と訳せるかと思います。この第一集のアルバム・タイトルにもなっています。「愛を裏切るもの」の顛末を淡々と語っています。

<5 La malediction d`amour 3分24秒>

10曲目はゴルジ地方のスルバで、タイトルは「ゴルジへの長い道のり」と訳せると思います。スルバらしい3連符は目立ちませんが、一拍を3つに刻んでいるパートが確かにあります。

<10 Lung II Drumul Gorjului 3分25秒>

11曲目はスイングする3拍子のリズムですが、ワラキアの中心ムンテニアの民謡で、この意表を突くような西欧的なリズムのために、かえって印象的に聞こえます。

<11 Pe Deal Pe La Cornatel 2分14秒>

では最後に、15曲目のCat II Maramuresulを時間まで聞きながら今回はお別れです。北ルーマニアのマラムレシュの古い民謡で、どこかハンガリーのチャールダッシュに似た旋律と雰囲気です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<15 Cat II Maramuresul 4分>

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2022年7月 1日 (金)

ベッサラビアのアイデンティティ

アナトール・シュテファネットの動画は色々ありましたが、1987年のラウタリの楽団での演奏と、最近の即興演奏、彼の曲を演奏していると思しき若い演奏家の合奏演奏などを上げておきます。まだチャウシェスク政権時代の1987年の1本目では、3分30秒頃から若い頃のシュテファネットの変形ヴィオラの独奏が出てきます。5弦の変形大型ヴィオラのアルペジーナかと思いましたが、よく見ると4弦でした。各楽器にソロが移って行く、典型的な昔ながらのラウタリの演奏風景です。もしかしたら今では珍しいのかも知れません。
去年アップされている2本目は帯踊りブルウのようですが、全編即興の塊と言う印象です。こういう方向性は最近の流行りなのでしょうか。3本目はユニット名がGodalkanje Transylvaniaで、曲名がIncalcitaと言うことでしょうか。Anatol Stefanetと明記されています。4本目はアナトール・シュテファネットは関係がないようですが、前に取り上げたカルシュルを後半で演奏しています。この2本には同じメンバーが何人かいるようです。3,4本目を見て、ラウタルではないと思われる民間の若手奏者が、ラウタルの芸を継承しようと奮闘しているように見えました。いずれも一ヴァイオリン弾きとして、大変面白く見ました。そして5本目は「ベッサラビアのアイデンティティ」と題されたTVRの秀逸なドキュメンタリー。これを今日のお題としました。シュテファネットの演奏風景も豊富にあります。

LAUTARII 1987 - Nicolae Botgros, Ion Nenita, Anatol Stefanet, Valeriu Hanganu, Ion Buldumea

Trigon - Brâu (Moldova)

Godalkanje Transylvania - Incalcita (Anatol Stefanet)

Calusul Oltenesc

Identitate Basarabia - Anatol Stefanet

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