エチェル村の結婚式
ゼアミdeワールド319回目の放送、日曜夜10時にありました。27日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。シャンデュモンドの方は見当たりませんので、今日はフンガロトンの「セークの音楽」のみです。
今回からハンガリーの音楽に移ります。前回予告していた通り、仏Chant du mondeの「トランシルヴァニアの弦楽四重奏」の1曲目をまずおかけしてから、ハンガリーHungarotonの「エチェル村の結婚式」の「セークの音楽」と言う曲を続いておかけします。シャンデュモンド盤の1曲目は13分余りありますが、最後の1分半ほどの曲が、「エチェル村の結婚式」の「セークの音楽」の最後の曲と同じです。
演奏はハンガリー国立民族舞踊アンサンブルで、1977年にLPがビクターから出ていて手元にありますが、ほぼ同じ内容のCDが96年にフンガロトンから出ていて、その盤でおかけします。1978年頃に「エチェル村の結婚式」(ハンガリー語ではEcseri Lakodalmas エチェリ・ラコダルマシュ)の来日公演の舞台がTV放映されまして、その時TVから録ったカセットテープもまだ手元にあります。LP盤共々、当時夢中になって聞いた懐かしい音源です。LP解説はハンガリー音楽の専門家、谷本一之さんです。
前回も言いましたが、弦楽四重奏と言っても、西洋クラシックのヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロの編成ではなく、通常のヴァイオリンと3弦のヴァイオリンとヴィオラ、コントラバスがほとんどで、伴奏のヴァイオリンとヴィオラは変則調弦だと思います。駒も平たく3つの音が同時に鳴らせるようです。この曲ではヴァイオリン2本と3弦のヴィオラ、コントラバスと言う編成です。このシャンデュモンド盤も90年代のリリースですが、残念ながら現在は入手困難だと思います。
<1 Suite De Danses De Ceanu Mare 13分35秒>
「エチェル村の結婚式」の「セークの音楽」は、ルーマニアでは首都ブカレストに次ぐトランシルヴァニア地方の大都市コロジュヴァール(これはハンガリー語で、ルーマニア語ではクルジュ=ナポカ)に近いセーク村で、バルトークやコダーイと共に活動した民族音楽学者兼作曲家のラースロー・ライタが、1940年頃に収集したセーク民族舞曲のコレクションから、4曲選んで組曲風にまとめた曲です。セークは最も古く伝統的なハンガリー音楽が残る場所として知られていました。最後の曲がシャンデュモンド盤「トランシルヴァニアの弦楽四重奏」の1曲目のラストの曲と同じです。シャンデュモンド盤によると、曲名はHartagul(ハルツァグル)と出ていました。
<2 Gulyás- Széki Muzsika 6分48秒>
ハンガリー的な音楽と言えば、クラシックではモンティが書いたチャールダッシュやブラームスのハンガリー舞曲、サラサーテのツィゴイネルワイゼンなどがよく知られていますが、これらは全てヨーロッパ中に大流行した19世紀ハンガリーのチャールダッシュからの影響で書かれた曲です。次回も「エチェル村の結婚式」をベースに、それらクラシック曲も聞いて行く予定です。
では最後に「エチェル村の結婚式」から、「ビンの踊り」を聞きながら今回はお別れです。頭の上にビンを乗せて踊る結婚式の余興的な曲です。伴奏に羊飼いの縦笛フルヤの音も聞こえます。「セークの音楽」と同様にグヤーシュ編とありますが、音楽監督のラースロー・グヤーシュのことです。言うまでもなくグヤーシュと言えば、ハンガリー料理で最も有名なパプリカを使った真っ赤な煮込み料理でもあります。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<4 Gulyás- Üveges Tánc 2分38秒>
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