マリア・タナセのルメ・ルメ
戦前のルーマニアを代表する大歌手マリア・タナセは、「ルーマニアの美空ひばり」と形容されることもありました。国民的歌手と言う点では似ているのかも知れませんが、美空ひばりは日本の民謡を歌うことはあっても、日本中を訪ねて消滅しかけている各地の歌を掘り起こすことまではしてなかったのではと思います。(小唄・端唄など花柳界の音曲では名唱を聞かせていました。新内にも関わっていたと聞いたことがあります。)
一方、マリア・タナセは常にルーマニア各地の民謡に重心をおいていたそうですから、何度も取り上げたサニエ・ク・ズルガライを献呈されながら歌わなかったのも、そこに秘密がありそうです。サニエ・ク・ズルガライは、民謡調ではあっても、ユダヤ系の作曲家によって作曲された歌でしたから。
最近何度も色々な演奏家で出てきたルメ・ルメも、マリア・タナセが歌っています。彼女が掘り起こしたのかどうかは不明ですが、この録音を聞いてファンファーレ・チョカリアやアナトール・シュテファネットも演奏したのかも知れません。(以下放送原稿を再度)
3曲目は最近ファンファーレ・チョカリアとアナトール・シュテファネットの演奏でかけたルメ・ルメです。都市部のジプシーの酒飲み歌だそうで、曲名の訳は「この世、この世」になります。「はかないこの世」の訳があった通り、人生のはかなさを歌った歌です。
<3 Lume, Lume 4分28秒>
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