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2022年8月

2022年8月31日 (水)

サトゥマール地方のヴェルブンクとチャールダーシュ

フンガロトンのこの盤Szatmári Bandák(サトゥマール地方のハンガリー民族音楽)は、都市部のジプシー楽団と、農村部の楽団の音楽スタイルの違いを確認できる貴重な音源でした。今もCDで手に入るかどうか不明ですが、YouTubeに上がっていました。ここで演奏されているヴェルブンクは、勇壮な趣のあるヴェルブンクの例として方々で聞く旋律です。後半は緩急のチャールダーシュに変わります。
この盤では、ハンガリー東部サトゥマール地方のヴェルブンコシュやチャールダーシュから、ハンガリーのクレズマー音楽家がかつて演奏していたユダヤ音楽までを、ハンガリー東部のカントリースタイルで演奏しています。サトゥマールはルーマニアとウクライナ西部にもまたがるので、上記のユダヤ音源には、ルーマニア北部マラムレシュで聞いた「Szól A Kakas - The Rooster Is Already Crowing」もあります。かつてユダヤの楽士が演奏していた曲を、ジプシーの楽士が共有していた例の一つです。こちらもいずれかける予定です。

<Hungarian Verbunk, Slow & Quick Csárdáses (Progress) 6分54秒>

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2022年8月29日 (月)

ヴェルブンコシュ特集 +大人の部室 第1部

ゼアミdeワールド324回目の放送、日曜夜10時にありました。31日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はロビー・ラカトシュの「ビハリの想い出」のみにしておきます。
もう一つお知らせですが、今週と来週のラヂバリの「大人の部室」に出ます。お相手は、俳句チャンネルのすずめさんです。とても楽しい収録でしたが、終わってから言い忘れたことを次々思い出しました(笑) 放送は30日19:45と再放送が1日17:15(答える側)、6日19:45と再放送が8日17:15(聞き手)です。パーソナリティ間の15分のトーク番組です。宜しければ是非お聞き下さい。

ハンガリー音楽の5回目になります。今回は予告していましたヴェルブンコシュ特集にしたいと思います。チャールダーシュの前身に当たるハンガリーの舞曲です。
ヴェルブンコシュは18世紀の終わりから19世紀の中頃にかけ、ハンガリーで展開したダンス音楽の一スタイルで、募兵活動で使われた男性の踊り、ヴェルブンクを基礎とし、語源も募兵を意味するドイツ語のWerbungに由来しています。
ヴェルブンコシュに使われている旋律要素の起源を辿って行くと、ハンガリー民俗器楽の伝統的要素の他、イスラム世界・中近東諸民族・バルカンの要素、スラヴ諸民族の要素、ルーマニアの要素、更にウィーン、イタリアの要素などを見い出せるようです。
音楽的にはいかにも募兵らしい勇壮な曲調から、洗練された優美な音楽まで色々と聞き取れます。まずは優美な方の曲として、前に「エチェル村の結婚式」からかけた「ビハリの想い出」を、ロビー・ラカトシュも演奏していますので、こちらをおかけしますが、その前に先日の解説を再度入れておきます。

「エチェル村の結婚式」の7曲目に入っているのは、自身の楽団を率いて世界的に活躍したジプシーの名ヴァイオリニストで、チャールダッシュの前進の後期ヴェルブンコシュ音楽の代表的作曲家だった19世紀初頭のビハリ・ヤーノシュを偲ぶ「ビハリの想い出」と言う曲です。彼は古い大衆歌曲をヴェルブンコシュの旋律として取り入れた大衆的な作曲家でしたが、ウィーン風なロマンティックな旋律の作曲家でもあったそうです。「ビハリの想い出」の中には彼の作品から5曲が取り上げられています。ラカトシュの演奏には、「エチェル村の結婚式」にはなかった曲も入っています。

<Roby Lakatos Ensemble  Medley: Memory of Bihari / Hejre Kati 7分2秒>

勇壮な趣のあるヴェルブンクの例としては、ハンガリー東部サトゥマール地方のヴェルブンコシュやチャールダーシュから、ハンガリーのクレズマー音楽家がかつて演奏していたユダヤ音楽まで取り上げたフンガロトンのSzatmári Bandák(サトゥマール地方のハンガリー民族音楽)が秀逸で2曲目のヴェルブンクをおかけします。

<Hungarian Verbunk, Slow & Quick Csárdáses (Progress) 6分54秒>

もう一曲ヴェルブンクの例として、1988年のハンガリアン・ダンス・ハウス・フェスティヴァル第7回のフンガロトン盤(国内盤はアルファエンタープライズ)から、ヘゲドゥーシュ・アンサンブルの演奏でおかけします。こちらは70年代のダンスハウス以降の傾向で、トランシルヴァニア(エルデーイ)色が強い演奏です。

<Hegedős  Maros Menti Verbunk 3分15秒>

クラシック作品にヴェルブンコシュが使われた例としては、コダーイのハーリ・ヤーノシュの間奏曲や、前回の終わりに名前の出たガランタ舞曲が有名です。ハーリ・ヤーノシュは元はオペラですが、管弦楽組曲版の間奏曲は、放送内でかけられますので、今回はこちらをおかけしておきます。勇壮さと優美さとエキゾチックな哀愁が複雑に入り混じる魅力的な曲だと思います。

<管弦楽組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 Op.15 - V. Kozjatek (Intermezzo) ネーメ・ヤルヴィ指揮シカゴ交響楽団 5分2秒>

では最後に、ビハリの作ったチャールダーシュ「無一文になって」として前回かけた曲の後半と同じ曲が、Janos Szalay mit seiner Zigeuner-KapelleのCsardasklänge - Zigeunermusikと言う録音にA-Dur-Csardas(イ長調のチャールダーシュ)と言うタイトルで入っていますので、時間まで聞きながら今回はお別れです。この明朗で美しい旋律は、耳について離れない名調子です。ビハリはヴェルブンコシュからチャールダーシュへの過渡期の作曲家なのが、この曲からも見て取れます。次回はこの録音からジプシー楽団の演奏するチャールダーシュ名曲集に移る予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<5 A-Dur-Csardas 3分4秒>

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2022年8月26日 (金)

ガランタ舞曲と11曲目

今日は赤いちゃんちゃんこがないので、とりあえず緑のかりゆしを着ました。この時期にちゃんちゃんこは暑いです(笑) 
Haydn alla Zingareseから、残るは11曲目の「ガランタ地方の踊りを4つ」です。ガランタと言えば、コダーイのガランタ舞曲をすぐさま思い出しました。それ程馴染みのある曲ではなかったので、今回聞き直してみました。「ブダペスト・フィルハーモニー協会創立80周年を記念して作曲。コダーイはここで、ほとんど忘れられていた古いマジャール人の新兵募集の踊りヴェルブンコシュ(Verbunkos)を復活させた。」と言う曲で、ハーリ・ヤーノシュに続いてヴェルブンコシュが出てきました。そもそもチャールダーシュもヴェルブンコシュの一種で、その中に含まれるとも言われているようです。特筆すべきは、コダーイが幼年時代を過ごしたガランタと言う町は、現在はスロヴァキア南西部に位置していることでしょう。昔はハンガリー領だったこの辺りが都市部のチャールダーシュのスタイルの故郷でもあるようです。ガランタ舞曲の生演奏を1本目、Haydn alla Zingareseの11曲目を2本目に入れました。

Zoltán Kodály: Dances of Galánta. Madaras / Hungarian Radio SO

<11 Galantai Tancok (4 Dances from Galanta) (arr. P. Gulda) 8分1秒>

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2022年8月25日 (木)

ビハリのチャールダーシュと「モデラートとアレグロ」

今週番組でかけたのは「ジプシー風ハイドン」と言うタイトルの盤ですが、ビハリの曲や先日のジェレムジェレムなど、有名なジプシー音楽も入っています。ハイドンが当時、類似の音楽を聞いたのではという事だろうと思います。特にビハリの「無一文になって」は、前半後半の短調と長調のどちらも名旋律で、耳に付いて離れません。ジプシーの名ヴァイオリニストで、チャールダーシュの前進の後期ヴェルブンコシュ音楽の代表的作曲家だったビハリ・ヤーノシュの生没年は1764~1827年、ハイドンは 1732~1809年ですから、十分に顔を合わせる機会はあったのではと思います。5,6曲目のような原曲とジプシーアレンジと言う対比は、3,4曲目にもあります。こちらは昨日ブログに上げた1曲目のピアノトリオの別楽章です。12音技法のように始まる10曲目なども面白いのですが、10分を越えるので、一回の放送では取り上げられませんでした。(以下放送原稿を再度)

ハンガリーのジプシー音楽を先にかけようかと思いますが、8曲目はビハリの作ったチャールダーシュ「無一文になって」と言う曲です。

<8 Mikor a penze elfogyott (All the Money Spent) 4分40秒>

面白いサンプルとして5,6曲目では「ピアノのためのモデラートとアレグロ」を言う曲をピアノ独奏の原曲に続いて、ガシュパルの楽団がジプシー音楽風に演奏しています。2曲続けておかけします。

<5 Moderato-allegro (arr. F.P. Rigler for piano) 2分11秒>

<6 Moderato-allegro (arr. F.P. Rigler for chamber ensemble)  2分7秒>

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2022年8月24日 (水)

ハイドンのピアノトリオ ハンガリー風

ハイドンと言えば、交響曲の父、弦楽四重奏曲の父として知られ、私事ですがほぼ40年前の大学オーケストラ在籍時には交響曲104番「ロンドン」のファーストヴァイオリンを弾きましたし、最近も弦楽四重奏で皇帝の2楽章(現在ドイツ国歌になっている皇帝賛歌の旋律による変奏曲)を文化祭やうちの店の催しで弾きました。皇帝はファーストヴァイオリンとチェロを弾きました。どちらもクラシックど真ん中の「THEクラシック」と言う印象ですが、クラシックで弾いた曲では特に楽しかった曲の筆頭になります。ですので、M大学のK先生からHaydn alla Zingareseと言う盤があるよと聞いて、非常に驚いた次第です。時期的にハイドンが影響を受けたのは、チャールダーシュの前身のヴェルブンコシュになると思います。
この盤の1曲目のPiano Trio in G Major, Op. 82 No. 2は、私の番組では外しましたが、CDの副題に "Gypsy"とある通り、終楽章がハンガリー風と言われているようです。確かに速い部分のパッションと、短調の部分での翳りが、ジプシー風とも取れるように思いますが、なかなかブラームスやリストのハンガリー関連曲のようにははっきり分からないので、原曲とジプシー風演奏の比較が出来る「ピアノのためのモデラートとアレグロ」の方を番組では流しました。しかし、この盤の趣旨から言えば、一聴すぐには分からない、いかにもクラシック的な明朗快活な曲中に隠れているジプシー風な味わいを聞き取るべきなのだろうと思います。と言う訳で、今日は1曲目のPiano Trio in G Major, Op. 82 No. 2を上げておきます。

Piano Trio in G Major, Op. 82 No. 2, Hob. XV:25 "Gypsy": Keyboard Trio No. 25 in G Major

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2022年8月22日 (月)

ジプシー風ハイドン

ゼアミdeワールド323回目の放送、日曜夜10時にありました。24日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は取り合えずジェレム・ジェレムと鳥のみです。

ハンガリー音楽の4回目になります。今回はM大学のK先生から教えて頂いたHaydn alla Zingareseと言う盤をおかけします。タイトルはイタリア語で、ジプシー風ハイドンと訳せるでしょうか。これまでに19世紀のチャールダーシュなどは少しおかけしましたが、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが活躍した18世紀にもジプシー音楽家から影響を受けた音楽があって、何とハイドンの有名な作品の主に終楽章のロンドに出てきていることを明らかにしています。19世紀のブラームスやリストなどの作品のように、ほとんどジプシー音楽そのものではありませんが、よく聞くとハイドンなりに作品に織り込まれています。
当時はハプスブルク家の神聖ローマ帝国からオーストリア帝国の時代で、1867年にはオーストリア=ハンガリー帝国に至ります。首都のウィーンは今でいえば、ニューヨークのような多民族の住む国際的な都市でした。ドイツ・オーストリア系の音楽を中心に、周辺のハンガリー、スロヴァキアや、もちろんジプシーなどの音楽も近くに存在していた時代で、それらが複雑に交じり合う状況もあったようです。そんな中で生まれたのがチャールダーシュの前身のヴェルブンコシュで、ハイドンが活躍した時代はその前後と言うことになるようで、既にジプシーの楽士が魅力的な調べを奏でていたようです。
この盤は、ジプシーの音楽に魅了されていたと言う当時のハイドンの視点に立って、今はスロヴァキアですが昔はハンガリー領だったブラティスラヴァのジプシー音楽家と、現代オーストリアのクラシック音楽家が共演した盤で、クラシック側の中心は、鬼才フリードリッヒ・グルダの息子のパウル・グルダです。父と同じくピアニストですが、この刺激的で型破りな姿勢は父譲りと言えるでしょう。演奏者はピアノのPaul Guldaのバックは弦楽四重奏で、ヴァイオリンがアレクサンダー・ホーエンタール、カルステン・ノイマン、ヴィオラがイェンセン・ラム、チェロはマルガレーテ・デッペです。ジプシー楽団の方はRobo Gaspar Banda(ロボ・ガシュパル楽団)です。打弦楽器ツィンバロムの音色がやはり特徴的です。

まずは2曲目のジェレム・ジェレムをおかけしますが、これまでにマケドニアのエスマの歌唱などで何度か登場したジプシーのアンセムのような曲です。「長い長い道を歩いていた」と言う邦題が付いています。

<2 Gelem, gelem lungone dromeja (I Have Gone A Long Way) (arr. R. Gaspar) 5分58秒>

ハンガリーのジプシー音楽を先にかけようかと思いますが、8曲目はビハリの作ったチャールダーシュ「無一文になって」と言う曲です。

<8 Mikor a penze elfogyott (All the Money Spent) 4分40秒>

面白いサンプルとして5,6曲目では「ピアノのためのモデラートとアレグロ」を言う曲をピアノ独奏の原曲に続いて、ガシュパルの楽団がジプシー音楽風に演奏しています。2曲続けておかけします。

<5 Moderato-allegro (arr. F.P. Rigler for piano) 2分11秒>
<6 Moderato-allegro (arr. F.P. Rigler for chamber ensemble)  2分7秒>

ハイドンの曲そのものは17曲中6曲ほど入っていますが、ジプシー音楽の影響の垣間見える部分が短調の部分に聞き取れる弦楽四重奏曲第39番「鳥」の終楽章が、放送時間にも収まってコンパクトで分かり易いので、こちらをおかけします。ハンガリー舞曲風のロンドで、途中にトルコ行進曲風の部分も現れると言うことですので、長調の部分がハンガリー舞曲、短調の部分はトルコ行進曲風かも知れません。

<13 String Quartet No. 32 in C major, Op. 33, No. 3, Hob.III:39, "The Bird": IV. Rondo: Presto 2分48秒>

では最後に11曲目の「ガランタ地方の踊りを4つ」と言う曲を聞きながら今回はお別れです。ガランタと言えば、コダーイのガランタ舞曲をすぐさま思い出します。
「ブダペスト・フィルハーモニー協会創立80周年を記念して作曲。コダーイはここで、ほとんど忘れられていた古いマジャール人の新兵募集の踊り「ヴェルブンコシュ」(Verbunkos)を復活させた。」と言う曲でした。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<11 Galantai Tancok (4 Dances from Galanta) (arr. P. Gulda) 8分1秒>

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2022年8月19日 (金)

青森のねぶたと弘前のねぷた2022

東北三大祭りの一つ、青森のねぶたと弘前のねぷたもそれぞれ今年の映像が上がっていました。しかも4Kで38分~45分もあります。青森は大雨で心配でしたが、ねぶたの期間中は降ってなかったようです。今回初めて大燈籠を意外と少ない人数で動かしていること、囃子の方は巨大な鼓のような太鼓の両側を3人ずつで叩いて、その間に笛が3人?いることが分かりました。ねぷたの映像にもびっくり。音は勇壮なねぶたと比べてしとやかな気がします。この笛と太鼓の音は、何とも言えず郷愁を誘う音色です。松戸時代にヤマトの担当ドライバーだった人がねぶたマニアで、放送でかけた実況録音盤を買っていただいたことがありました。本場でラッセラッセラッセラーと叫びながら踊ったことがあるそうなので、大喜びしていました。
青森と言えば、大ファンだった奈良光江さんの出身地が弘前で、98年の21周忌に参列するため一回だけ行ったことがあります。53歳の若さで亡くなったので、お会いした同級生の方々はまだ75歳でお元気でした。命日は5/14なので桜は終わってるし、ねぶたはまだ先と言う時期ではありましたが、津軽の空気感は感じられた気がします。一緒に山田千里さんの経営していた津軽民謡の店「山唄」で本場の津軽三味線も堪能してきました。しかし伊予に帰ってしまうと、津軽は遠くなってしまいました。(以下放送原稿を再度)

起源としてよく知られていたのは「のちに征夷大将軍となる坂上田村麻呂が陸奥国の蝦夷征討(あるいは征伐)の戦場において敵を油断させておびき寄せるために大燈籠・笛・太鼓ではやし立てたことを由来とする」とあります。ねぶたとねぷたで、燈籠だけでなく音色や雰囲気が少し違うことも音から分かるかと思います。

【青森ねぶた祭】2022 青森市【全編】4K60P

【弘前ねぷたまつり】2022 青森県弘前市【駅前運行】4K60P

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2022年8月18日 (木)

路上派の王者 苔作

苔作のドキュメンタリーを見たのはいつだったか、はっきり覚えていませんが、確か人気の「ぞめき」シリーズの第三集「路上派」が出る前後だったように思います。同時に「おとぅ、もんてこい~」と、亡き夫を思って海に向かって叫ぶシーンが胸に迫った津田の盆(ぼに)踊りも一緒だったと思います。苔作のような打楽器のみのスタイルも、津田の盆(ぼに)踊りも、阿波踊りの原型とも言われるようです。このパワフルさと粋の心は、TVからもひしひしと伝わってきました。同じ四国ですから、車を3時間も走らせれば見に行けるのですが、2014年に行った時は苔作の存在を知らず見逃しました。(あの時はモラエス館もまだあったので、眉山に上がった時に見てきました)

路上派の王者❕「苔作」秋の阿波おどり~阿波おどり大絵巻(2020.12.7)

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2022年8月17日 (水)

今年の阿波踊りから

ゼアミdeワールド322回目の放送、日曜夜10時にありました。今晩20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。かけた音源そのものは、おそらくYouTubeにはないと思いますので、とりあえず今年の阿波踊りを貼っておきます。明日、明後日は苔作やねぶたとねぷたの映像を探ってみます。

【2022】なぜか涙が止まらない阿波おどり 総踊り - Awaodori in 8K UHD

ハンガリー音楽巡りの途中ですが、今回は放送されるのが14日と17日で、ジャストお盆ですので、夏祭りと盆踊りの音楽をおかけしたいと思います。
これまでお盆には、阿波踊り、越中富山のおわら節~風の盆、郡上八幡の民謡などをかけました。依然として続くコロナの大変な状況ですので、出来るだけ喋りは少なくして、夏祭りの雰囲気を耳で感じて頂けるサウンドスケープ的な音源を出来るだけ長くおかけします。

まずは阿波踊りの苔作からおかけしますが、この演奏は人気の「ぞめき」シリーズの第三集「路上派」に入っています。このグループは前にTVのドキュメンタリーで見たことがあります。路上派の方では旋律楽器は影を潜め、ひたすらパーカッシヴに打楽器が炸裂する演奏が入っています。

<4 苔作 8分54秒>

苔作などの久保田麻琴さんの阿波踊り音源は数年前にもかけましたから、今年は97年にコロムビアから出ていた阿波踊りの1978年の現地録音からも少しおかけしておきます。演奏は蜂須賀連です。

<1 阿波踊り 踊り専科 26分18秒 5分ほど>

次は、東北三大祭りの一つ、青森市のねぶたと弘前市のねぷたの実況録音盤が手元にありますので、ねぶたとねぷたそれぞれ5分程聞きながら今回はお別れです。起源としてよく知られていたのは「のちに征夷大将軍となる坂上田村麻呂が陸奥国の蝦夷征討(あるいは征伐)の戦場において敵を油断させておびき寄せるために大燈籠・笛・太鼓ではやし立てたことを由来とする」とあります。ねぶたとねぷたで、燈籠だけでなく音色や雰囲気が少し違うことも音から分かるかと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 青森ねぶた 28分57秒 10分余り>
<2 弘前ねぷた 29分58秒 5分余り>

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2022年8月12日 (金)

カテリーナ・マヌーキアンのイザイ「悲劇的な詩」

カテリーナ・マヌーキアンの名前を出して何もかけないのも残念ですので、98年リリースのエレジー&ラプソディーから、イザイの「悲劇的な詩」を上げておきます。当時17歳とは思えない完成度でこのフランコ・ベルギー派のヴァイオリン名曲を弾いていて、非常に驚いた一枚です。楽譜も同時に出てくる素晴らしい映像です。
ワーグナーやフォーレの影響を濃厚に感じさせるところなど、ショーソンの詩曲の姉妹曲と言って良い程、この2曲は似ていると思います。詩曲はイザイに献呈され大ヴァイオリニストでもあるイザイが初演、「悲劇的な詩」はフォーレに献呈されています。原題も詩曲がPoèmeで、「悲劇的な詩」はPoème élégiaqueです。作曲に当たってインスパイアされた文学作品は、詩曲がツルゲーネフの『愛の勝利の歌』(または『勝ち誇る愛の歌』)、「悲劇的な詩」はシェークスピアの「ロミオとジュリエット」と言われています。
マヌーキアンは、ianの入ったその名の通り父方がアルメニア系と言うことで、この盤の終わりの方にはコミタスなどのアルメニアの曲3曲も入っています。その前のマサダ舞曲も注目の一曲です。

Eugène Ysaÿe - Poème Élégiaque, Op. 12

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2022年8月11日 (木)

ロビー・ラカトシュの5番とジョシュア・ベルの1番

今週の放送でかけた3曲の内、「ビハリの思い出」は何週か先に予定しているヴェルブンコシュ特集で他の演奏者(ロビー・ラカトシュ)で上げようかと思っています。「エチェル村の結婚式」のタイトル曲は、前に取り上げましたので、今回は外します。先週の内容では、カラヤン、カテリーナ・マヌーキアン、天満敦子さんのハンガリー舞曲がありますが、残念ながらライブ映像では見当たらないので、代わりに5番をロビー・ラカトシュ、1番をジョシュア・ベルで上げておきます。ロビー・ラカトシュが人気を博した90年代は、余りチャールダーシュ(都会の)に耳が向いていませんでしたが、動画を見て改めて凄いテクニックに驚愕しています。ジョシュア・ベルも、スケルツォ・タランテラなどもさらりと弾く名手で、若い頃の王子然とした風貌の軟弱そうなイメージを払拭するようなパッション溢れる熱演です。(余談ですが、ロビー・ラカトシュの叔父のシャーンドル・ラカトシュの演奏もCD捜索中です)

(Pt.2) Gypsy violinist Roby Lakatos - 'Hungarian Dance No.5' [HD] The Music Show, ABC RN

Joshua Bell plays Brahms' Hungarian Dance No. 1

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2022年8月10日 (水)

作者不詳のチャールダーシュハ短調

作者不詳のチャールダッシュハ短調については、10年余り前にもYouTubeを探ったように思います。チャールダーシュの古い形は確かスロヴァキアにあって、そこでの映像もあったように記憶していますが、その時の映像はなかなか見つからずでした。ハ短調はドイツ語でC mollですが、A moll(イ短調)でもよく弾かれるようで、YouTubeにはアーモルの演奏が多いようです。
70年代に「エチェル村の結婚式」のLPで最初に聞いたチャールダーシュという事もあって、この冒頭のメランコリックな旋律がチャールダーシュの典型と言うイメージが今でも強いままです。これからそれぞれ取り上げますが、ハンガリー(マジャール)にはウラル系民族らしい5音音階の民謡があり、農村ジプシーにはまた独自の音楽があって、それらとはほとんど繋がりがなさそうに思えるヴェルブンコシュやチャールダーシュは、何がどう融合してできたのか、今もって不思議です。チャールダーシュは、ハンガリー語で「酒場」という意味のチャールダに由来しますが、ハンガリー音楽に大きな貢献をしたユダヤ系作曲家ロージャヴェルジ・マールクの作った楽曲の名前から広まったそうです。この辺りにも秘密があるのかも知れません。
A moll czardas、現時点で見つかった映像を幾つか上げておきます。2本目は、90年代に一世を風靡したロビー・ラカトシュの若い頃の映像です。4本目は「エチェル村の結婚式」の演奏で、この盤のソロ・ヴァイオリンのラースロー・ベルキの息子がYouTubeチャンネルを立ち上げているようです。

A moll czardas - Joke Van Tilborg, Marcia Pareijn, Laura Kennis & Petite Fleur orchestra

Hungarian Virtuoso Gipsy Violins (Csardas)

A-Moll Csárdás / A-Minor Czardas Father & Son // Imrich Farkas

Csárdás in c-moll

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2022年8月 9日 (火)

Kállai Kettősのヴァイオリン独奏版、チーク・ゼネカル他

今週は320回目関連の2週目でハンガリー舞曲などで3回やる予定でしたが、予定外で321回目の放送が7日にあったので、多すぎるネタが消化しきれないままになりそうです。今日は丸ごと321回目の1曲目にかけたコダーイのカーロー民族舞曲(Kállai Kettős)特集です。何とヴァイオリン独奏版がありましたので、こちらを1本目に入れました。これは絶対見逃せない映像で、是非楽譜を見てみたい編曲です。「エチェル村の結婚式」の音楽と言うのは、踊りの振り付けも50年前のものですから、もう過去の遺産になっているのかも、と思っていましたが、このカーロー民族舞曲を弾いているのは若手女性ヴァイオリニストです。Sára Kovács(サラ・コヴァーチ)と言う名前ですから、ユダヤ系かも。
他にもダンスハウスのムーヴメントから出たチーク・ゼネカルもこの曲を演奏していました。「エチェル村の結婚式」の音楽は、エバーグリーンな遺産になっているという事でしょう。2本目は1988年の演奏で、解説に「1988年10月1日のブダペスト・コングレスセンターでのお祝いコンサート。 1975年以来、ユーディ・メニューインの提案により、10月1日は毎年<世界音楽の日>。」とありました。3本目は同じハンガリー国立民族アンサンブルの演奏ですが、アメリカのMonitor盤で、放送でかけた音源とは別テイクに聞こえます。4本目がチーク・ゼネカルです。このように原語で検索するとまだまだありますが、今日はこの辺で。

Kodály: Kállai Kettős

Kodály Zoltán: Kállai kettős

Kodály: Kallo Double Dance

Csík Zenekar - Kállai kettős dallamai

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2022年8月 8日 (月)

カーロー民族舞曲、ビハリ・ヤーノシュの思い出 他

ゼアミdeワールド321回目の放送、日曜夜10時にありました。10日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。スタッフの方から7日の本放送は無いと聞いていたので、放送では以下のように言いましたが、予定が変わったようで7日22時に放送されました。おんまく花火の帰りに車の中でかかって、あれ?!と思いました(笑) 1本目はカーロー民族舞曲のライヴ映像、他は番組でかけた音源です。

ハンガリーの音楽の3回目になります。今回は7日の本放送枠が今治の祭り、おんまくの特番があるため、放送は10日の再放送枠のみになります。

2回にわたって「エチェル村の結婚式」からおかけしてきましたが、過去の放送原稿を辿ってみますと、5年前の54、56回目にウクライナ西部のハンガリー系音楽の関連でこの盤を取り上げています。今回はその5年前に書いた解説を入れながら進めます。

まず一曲目のゾルタン・コダーイ作曲のカーロー民族舞曲ですが、この曲は1951年にコダーイがこのアンサンブルのために作曲した曲で、ジプシー楽団の演奏スタイルを念頭におきながら、それを一回り大きくしたアンサンブルと混声合唱のために書かれた舞踊曲です。使われている民謡はコダーイが1938年にハンガリー東部のサボーチ・サツマール県のノジュカーロで収集したもので、曲名はこの地方名から来ています。

Kállai kettős - Magyar Állami Népi Együttes

<1 エチェル村の結婚式~カーロー民族舞曲 6分27秒>

7曲目に入っているのが、自身の楽団を率いて世界的に活躍したジプシーの名ヴァイオリニストで、チャールダッシュの前進の後期ヴェルブンコシュ音楽の代表的作曲家だった19世紀初頭のビハリ・ヤーノシュを偲ぶ「ビハリの想い出」と言う曲です。彼は古い大衆歌曲をヴェルブンコシュの旋律として取り入れた大衆的な作曲家でしたが、ウィーン風なロマンティックな旋律の作曲家でもあったそうです。「ビハリの想い出」の中には彼の作品から5曲が取り上げられています。

<7 エチェル村の結婚式~ビハリの想い出 4分38秒>

このアルバムのラストを飾っているのが、アルバムタイトル曲の「エチェル村の結婚式」です。この曲を聞きながら今回はお別れです。ブダペストに近いエチェル村に伝わる結婚式の風習を基に人生を描いたマロシュ・ルドルフ作曲の創作舞踊の音楽です。ヴェルブンコシュやチャールダッシュなどが鏤められて紙芝居のように出てきます。
時間が余りましたら、8曲目の「3つの跳躍の踊り」までおかけします。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 エチェル村の結婚式~エチェル村の結婚式 12分22秒>

<8 エチェル村の結婚式~3つの跳躍の踊り 4分16秒>

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2022年8月 5日 (金)

ブラームスのハンガリー舞曲1、17番

ブラームスのハンガリー舞曲は、放送では1,2,5,17番をかけましたが、カテリーナ・マヌーキアンと天満敦子さんの映像は今の所見つかってないので、1番をポーランドのユース・オーケストラ、17番を往年の名手ヘンリック・シェリングの演奏で上げておきます。ユースとは思えない完成度の演奏です。ヘンリック・シェリングと言えば、昔はバッハの無伴奏ヴァイオリンが特に有名でLPで随分よく聞きましたが、彼の動画を見るのは確か初めてです。聞き覚えの無いフレーズが出てくるので、これはもしかしたら、例のフリッツ・クライスラー編曲版でしょうか。
7日の本放送枠は、今治の祭おんまく特番のためありませんので、来週の水曜まで今週のテーマの続きをする予定です。カラヤンの生映像もあると良いのですが。10日は1回だけの321回目の放送が再放送枠であります。報告ブログを11日に上げて、12、15、16はブログをお休みする予定です。14と17日のお盆特集の報告ブログは17日に上げます。

Johannes Brahms - Hungarian Dance No. 1 헝가리 무곡 ハンガリー舞曲

Henryk Szeryng plays Brahms Hungarian Dance No. 17

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2022年8月 4日 (木)

モンティのチャルダッシュ

「チャルダッシュ」と聞くと、モンティの曲の固有名詞と思っている人が何と多いことでしょうか。先日も、うちの常連のお客様がそういう認識だったので、非常に驚いた次第です。かなり音楽に詳しい方ですら、そんな感じですから、いわんや音楽に通じてない人をや(笑)と言うことです。何度も書いていますが、チャールダーシュは、ワルツやマズルカ、ポルカなどと同じで、舞踊曲のジャンル名です。チャールダーシュは星の数ほどありますから、もっと他の曲も知られるようになると良いですね。
しかし、モンティのこの曲がおそらく群を抜いてキャッチーなことも確かで、イタリアの作曲家らしい歌心にも溢れているように思います。ツィゴイネルワイゼンほどには技術的に困難でもなく、コンパクトにまとまった良曲です。
モンティのチャールダーシュが、日本で今のようにポピュラーになったのは、80年代後半から90年頃に葉加瀬さん他のクライズラー&カンパニーが取り上げてからでしょうか。それ以前には、例えば前橋汀子さんとか私と同世代の千住真理子さんとか、当時のヴァイオリニストが80年代前半以前に弾いていたという記憶がありません。私が80年代前半に手に入れた楽譜は輸入版でしたから、海外で最初に火を付けたヴァイオリニストがいるのだろうと思います。今では全音のヴァイオリン名曲集の楽譜にも載っています。
余談ですが、先日の「エチェル村の結婚式」の作者不詳のチャールダーシュハ短調などは、ヴァイオリンの濃い憂い節の入りの後、低音が入ってドライヴがかかり速くなっていく辺りが、何度聞いてもゾクゾク来ますが(LPを手に入れて45年経ちますが今でも)、クラシックの曲ではなかなか難しい展開です。こんな展開の演奏がクラシックでも現れないか、期待していますが。
動画は神尾さんのものでは見当たらないので、先日ポルムベスクのバラーダを上げたClara Cernatの演奏で入れておきます。2本目はこの曲のオリジナルのマンドリン・バージョンです。

Monti Csardas by Clara Cernat and Thierry Huillet

Vittorio Monti: Csárdás / チャルダッシュ

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2022年8月 3日 (水)

ハンガリー舞曲第5番の原曲

ブラームスのハンガリー舞曲については、1980年にチェリビダッケの名演に魅了されてから、第1番がこの曲集の内では一番の愛好曲で、弦楽合奏でも何度か練習した曲です(5番のようには取り組みやすくなく、かなりの難曲で、まだ披露するまでには至っていませんが)。第1番の原曲を知りたいところですが、今の所はっきり分かっているのは、一番有名な第5番で、ケーレル・ベーラのチャールダーシュ "Bartfai emlek"が原曲です。動画も色々ありまして、途中からブラームスの曲とほとんど同じ旋律に変わります。
ケーレル・ベーラと言う作曲家は、ドイツ人(トランシルヴァニアのドイツ人=ザクセン人の家系か?)の父とハンガリー人の母の間に生まれたとありますので、先日の解説の「レメーニからジプシー音楽を教えられて魅了され」と言う部分は、直ではなかったということになるでしょうか。つまり、ケーレル・ベーラの曲にジプシー音楽の原曲があるのかも知れません。
それと、これは後日のテーマになりますが、先程の解説の続きの「それ以来ブラームスは、それをハンガリーの民族音楽と信じて」と言う部分が肝で、バルトーク~コダーイの研究以降、ハンガリー(マジャール)とジプシーの古くからの伝統音楽はそれぞれ別にあって、チャールダーシュはそのどちらでもないという事になります。しかし、その事実はチャールダーシュの魅力と価値をいささかも下げるものではないと思います。

B.Kéler_ Bártfai emlék Csárdás

Béla Kéler Czardas, Op.31

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2022年8月 1日 (月)

チャールダーシュ特集~作者不詳、モンティ、ブラームス

ゼアミdeワールド320回目の放送、日曜夜10時にありました。3日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画はチャールダッシュハ短調のみです。モンティ、ブラームスはまた後日。

320回目の放送になりました。ハンガリーの音楽の2回目になります。前回「セークの音楽」をかけたハンガリーHungarotonの「エチェル村の結婚式」に入っているチャールダッシュから始めて、クラシックのチャールダッシュ名曲を幾つか聞いてみます。

「エチェル村の結婚式」ですが、過去の放送原稿を辿ってみますと、5年前の54、56回目にウクライナ西部のハンガリー系音楽の関連でこの盤を取り上げていました。その5年前に書いたチャールダッシュについての解説を再度入れておきます。
チャールダッシュと言うのは、19世紀前半のハンガリー独立戦争の頃に募兵活動の中で生まれた男性の踊りヴェルブンクが基礎になってヴェルブンコシュが生まれ、更にそれが居酒屋(チャールダ)で洗練されてチャールダッシュ(より正確にはチャールダーシュ)が生まれたとされています。ゆったりとした哀愁漂うラッサンの部分と、急速なフリスカの部分からなる舞曲で、ハンガリーのジプシー楽団が盛んに演奏し妙技を披露、19世紀にはヨーロッパ中で大流行し、ウィーン宮廷は一時チャールダーシュ禁止の法律を公布したほどだったそうです。
そんなムーヴメントの中で、ドイツの大作曲家ブラームスのハンガリー舞曲や、サラサーテのツィゴイネルワイゼン、モンティのチャールダッシュなどが生まれています。ハンガリーから遠く離れたスペインの作曲家サラサーテが、何故チャールダッシュを書いたのか?と長年疑問に思っていましたが、そういう背景があったことを後で知りました。

それでは「エチェル村の結婚式」から、作者不詳のチャールダッシュハ短調をおかけします。これは非常に印象的でメランコリックな名旋律だと思います。演奏はハンガリー国立民族アンサンブルです。この作者不詳のチャールダッシュは今でも親しまれているようで、youtubeで結構見ることが出来ます。冒頭のメランコリックな旋律と、速い部分での火花を散らすようなジプシー・ヴァイオリンの名人芸が聞きものです。

<3 エチェル村の結婚式~チャールダッシュハ短調 2分44秒>
Csárdás in c-moll

次に、特に日本ではチャールダッシュの代名詞になっている(あるいは、なってしまっている)「モンティのチャルダッシュ」をおかけします。イタリアの作曲家ヴィットーリオ・モンティが元々マンドリンのために書いた曲です。モンティ自身はジプシーでもユダヤ人でもないようです。演奏は2007年のチャイコフスキー国際コンクールで優勝された神尾真由子さんです。

<神尾真由子  モンティ / チャールダーシュ 4分22秒>

次にチャールダッシュ由来の音楽で、おそらくモンティの曲に次いで知られていると思われるブラームスのハンガリー舞曲集から、何曲かおかけしたいと思います。
5年前にもかけましたが、有名な第1番と第5番で、音源はカラヤン指揮ベルリン・フィルの定番です。個人的にはメランコリックな旋律美を極めている1番が、1980年にチェリビダッケ指揮の名演を聞いてから一番のお気に入りでした。第5番は、80年代頃にモンティの曲が広く知られるまでは、サラサーテのツィゴイネルワイゼンと並んで最も有名なチャールダッシュだったと思います。

<5 ブラームス / ハンガリー舞曲 第1番 2分52秒>
<1 ブラームス / ハンガリー舞曲 第5番 2分35秒>

ブラームスのハンガリー舞曲集は、全部で21曲ありまして、原曲はピアノ連弾のために書かれていますが、ブラームス他沢山の音楽家がオーケストラやヴァイオリンとピアノの二重奏などに編曲しています。
1850年代の前半に、ハンガリーのユダヤ系ヴァイオリニスト、エドゥアルト・レメーニの伴奏者としてドイツの各地で演奏旅行を行い、その時にレメーニからジプシー音楽を教えられて魅了され、それ以来ブラームスは、それをハンガリーの民族音楽と信じて採譜を続けています。ほとんどが自作曲ではなく、伝統音楽の編曲ですが、第7曲、第11曲、第14曲、第16曲の主題は、完全にブラームスの創作だそうです。
逆に言えば、それ以外の17曲にはジプシーの原曲があったはずですが、楽譜に記す習慣のなかったジプシーの間では現在は知られていないようですから、ブラームスの採譜は19世紀のジプシー音楽を記録しているという意味でも貴重なのだろうと思います。
ジプシー音楽風のブラームスの自作曲には、5年前にかけたピアノ四重奏曲第1番の第4楽章や、ヴァイオリン協奏曲の終楽章がありまして、いずれも彼の重要曲ですから、ブラームス自身の音楽表現の必須の素材の一つになっているように思います。

ヴァイオリンとピアノの二重奏への編曲では、ヨーゼフ・ヨアヒムの版がよく知られていますが、17番だけ大ヴァイオリニストのフリッツ・クライスラーも編曲しているようです。メランコリックな名旋律の、17番を次におかけします。同じくカラヤンとベルリンフィルの演奏です。

<3 Brahms: Hungarian Dance #17, WoO 1/17 3分20秒>

次にヴァイオリンとピアノの二重奏への編曲でよく弾かれる曲ですが、ハンガリー舞曲の第2番をおかけします。アルメニアと日本の血を引くカナダの女流ヴァイオリニスト、カテリーナ・マヌーキアンの演奏です。ピアノ伴奏は江口玲です。

<5 Hungarian Dance No. 2 3分15秒>

それでは最後に、天満敦子さんのヴァイオリンで、先ほどオーケストラ版でかけたハンガリー舞曲の第1番を聞きながら今回はお別れです。ルーマニアの時にポルンベスクのバラーダをかけたヴァイオリニストです。93年の大ヒット盤「望郷のバラード」にハンガリー舞曲の1,2,17番が入っています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<16 Brahms (Arr. Joachim) / Hungarian Dances Nr.1 3分28秒>

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