モンティのチャルダッシュ
「チャルダッシュ」と聞くと、モンティの曲の固有名詞と思っている人が何と多いことでしょうか。先日も、うちの常連のお客様がそういう認識だったので、非常に驚いた次第です。かなり音楽に詳しい方ですら、そんな感じですから、いわんや音楽に通じてない人をや(笑)と言うことです。何度も書いていますが、チャールダーシュは、ワルツやマズルカ、ポルカなどと同じで、舞踊曲のジャンル名です。チャールダーシュは星の数ほどありますから、もっと他の曲も知られるようになると良いですね。
しかし、モンティのこの曲がおそらく群を抜いてキャッチーなことも確かで、イタリアの作曲家らしい歌心にも溢れているように思います。ツィゴイネルワイゼンほどには技術的に困難でもなく、コンパクトにまとまった良曲です。
モンティのチャールダーシュが、日本で今のようにポピュラーになったのは、80年代後半から90年頃に葉加瀬さん他のクライズラー&カンパニーが取り上げてからでしょうか。それ以前には、例えば前橋汀子さんとか私と同世代の千住真理子さんとか、当時のヴァイオリニストが80年代前半以前に弾いていたという記憶がありません。私が80年代前半に手に入れた楽譜は輸入版でしたから、海外で最初に火を付けたヴァイオリニストがいるのだろうと思います。今では全音のヴァイオリン名曲集の楽譜にも載っています。
余談ですが、先日の「エチェル村の結婚式」の作者不詳のチャールダーシュハ短調などは、ヴァイオリンの濃い憂い節の入りの後、低音が入ってドライヴがかかり速くなっていく辺りが、何度聞いてもゾクゾク来ますが(LPを手に入れて45年経ちますが今でも)、クラシックの曲ではなかなか難しい展開です。こんな展開の演奏がクラシックでも現れないか、期待していますが。
動画は神尾さんのものでは見当たらないので、先日ポルムベスクのバラーダを上げたClara Cernatの演奏で入れておきます。2本目はこの曲のオリジナルのマンドリン・バージョンです。
Monti Csardas by Clara Cernat and Thierry Huillet
Vittorio Monti: Csárdás / チャルダッシュ
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