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2022年8月 1日 (月)

チャールダーシュ特集~作者不詳、モンティ、ブラームス

ゼアミdeワールド320回目の放送、日曜夜10時にありました。3日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画はチャールダッシュハ短調のみです。モンティ、ブラームスはまた後日。

320回目の放送になりました。ハンガリーの音楽の2回目になります。前回「セークの音楽」をかけたハンガリーHungarotonの「エチェル村の結婚式」に入っているチャールダッシュから始めて、クラシックのチャールダッシュ名曲を幾つか聞いてみます。

「エチェル村の結婚式」ですが、過去の放送原稿を辿ってみますと、5年前の54、56回目にウクライナ西部のハンガリー系音楽の関連でこの盤を取り上げていました。その5年前に書いたチャールダッシュについての解説を再度入れておきます。
チャールダッシュと言うのは、19世紀前半のハンガリー独立戦争の頃に募兵活動の中で生まれた男性の踊りヴェルブンクが基礎になってヴェルブンコシュが生まれ、更にそれが居酒屋(チャールダ)で洗練されてチャールダッシュ(より正確にはチャールダーシュ)が生まれたとされています。ゆったりとした哀愁漂うラッサンの部分と、急速なフリスカの部分からなる舞曲で、ハンガリーのジプシー楽団が盛んに演奏し妙技を披露、19世紀にはヨーロッパ中で大流行し、ウィーン宮廷は一時チャールダーシュ禁止の法律を公布したほどだったそうです。
そんなムーヴメントの中で、ドイツの大作曲家ブラームスのハンガリー舞曲や、サラサーテのツィゴイネルワイゼン、モンティのチャールダッシュなどが生まれています。ハンガリーから遠く離れたスペインの作曲家サラサーテが、何故チャールダッシュを書いたのか?と長年疑問に思っていましたが、そういう背景があったことを後で知りました。

それでは「エチェル村の結婚式」から、作者不詳のチャールダッシュハ短調をおかけします。これは非常に印象的でメランコリックな名旋律だと思います。演奏はハンガリー国立民族アンサンブルです。この作者不詳のチャールダッシュは今でも親しまれているようで、youtubeで結構見ることが出来ます。冒頭のメランコリックな旋律と、速い部分での火花を散らすようなジプシー・ヴァイオリンの名人芸が聞きものです。

<3 エチェル村の結婚式~チャールダッシュハ短調 2分44秒>
Csárdás in c-moll

次に、特に日本ではチャールダッシュの代名詞になっている(あるいは、なってしまっている)「モンティのチャルダッシュ」をおかけします。イタリアの作曲家ヴィットーリオ・モンティが元々マンドリンのために書いた曲です。モンティ自身はジプシーでもユダヤ人でもないようです。演奏は2007年のチャイコフスキー国際コンクールで優勝された神尾真由子さんです。

<神尾真由子  モンティ / チャールダーシュ 4分22秒>

次にチャールダッシュ由来の音楽で、おそらくモンティの曲に次いで知られていると思われるブラームスのハンガリー舞曲集から、何曲かおかけしたいと思います。
5年前にもかけましたが、有名な第1番と第5番で、音源はカラヤン指揮ベルリン・フィルの定番です。個人的にはメランコリックな旋律美を極めている1番が、1980年にチェリビダッケ指揮の名演を聞いてから一番のお気に入りでした。第5番は、80年代頃にモンティの曲が広く知られるまでは、サラサーテのツィゴイネルワイゼンと並んで最も有名なチャールダッシュだったと思います。

<5 ブラームス / ハンガリー舞曲 第1番 2分52秒>
<1 ブラームス / ハンガリー舞曲 第5番 2分35秒>

ブラームスのハンガリー舞曲集は、全部で21曲ありまして、原曲はピアノ連弾のために書かれていますが、ブラームス他沢山の音楽家がオーケストラやヴァイオリンとピアノの二重奏などに編曲しています。
1850年代の前半に、ハンガリーのユダヤ系ヴァイオリニスト、エドゥアルト・レメーニの伴奏者としてドイツの各地で演奏旅行を行い、その時にレメーニからジプシー音楽を教えられて魅了され、それ以来ブラームスは、それをハンガリーの民族音楽と信じて採譜を続けています。ほとんどが自作曲ではなく、伝統音楽の編曲ですが、第7曲、第11曲、第14曲、第16曲の主題は、完全にブラームスの創作だそうです。
逆に言えば、それ以外の17曲にはジプシーの原曲があったはずですが、楽譜に記す習慣のなかったジプシーの間では現在は知られていないようですから、ブラームスの採譜は19世紀のジプシー音楽を記録しているという意味でも貴重なのだろうと思います。
ジプシー音楽風のブラームスの自作曲には、5年前にかけたピアノ四重奏曲第1番の第4楽章や、ヴァイオリン協奏曲の終楽章がありまして、いずれも彼の重要曲ですから、ブラームス自身の音楽表現の必須の素材の一つになっているように思います。

ヴァイオリンとピアノの二重奏への編曲では、ヨーゼフ・ヨアヒムの版がよく知られていますが、17番だけ大ヴァイオリニストのフリッツ・クライスラーも編曲しているようです。メランコリックな名旋律の、17番を次におかけします。同じくカラヤンとベルリンフィルの演奏です。

<3 Brahms: Hungarian Dance #17, WoO 1/17 3分20秒>

次にヴァイオリンとピアノの二重奏への編曲でよく弾かれる曲ですが、ハンガリー舞曲の第2番をおかけします。アルメニアと日本の血を引くカナダの女流ヴァイオリニスト、カテリーナ・マヌーキアンの演奏です。ピアノ伴奏は江口玲です。

<5 Hungarian Dance No. 2 3分15秒>

それでは最後に、天満敦子さんのヴァイオリンで、先ほどオーケストラ版でかけたハンガリー舞曲の第1番を聞きながら今回はお別れです。ルーマニアの時にポルンベスクのバラーダをかけたヴァイオリニストです。93年の大ヒット盤「望郷のバラード」にハンガリー舞曲の1,2,17番が入っています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<16 Brahms (Arr. Joachim) / Hungarian Dances Nr.1 3分28秒>

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