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2022年9月

2022年9月30日 (金)

Scenes de la Csarda(酒場の情景)の5番「バラトン湖の波の上で」と12番

フバイのScenes de la Csarda(酒場の情景)ですが、来週の放送では8,3,4番を取り上げましたが、今週は5番「バラトン湖の波の上で」と12番でしたから、この2曲の他の映像を当たってみました。シャーンドル・デキ・ラカトシュの映像は、1968年と出ているものもありましたが、80年代位でしょうか、こちらのカラーの方を上げておきました。ビハリ・ヤーノシュ直系の子孫と言われるロビー・ラカトシュとの関係は不明ですが、ロビーの叔父のシャーンドル・ラカトシュと並んで、80年代から音源を多く見かけたように思います。先日のジェルジ・ラカトシュについては不明のままですが、現在62歳位のジプシー・ヴァイオリニストがいるので、おそらくは同一人物で、もしかしたらロビー・ラカトシュの兄か親戚に当たるのでしょうか? フンガロトンのGyörgy Lakatos and His Gipsy Band / Souvenir from the Hortobágyを扱ったのは、90年代だったと思います。ハンガリー東部の国立公園で世界遺産にもなった牧草地ホルトバージで覚えていました。
クラシック演奏では、ヨーゼフ・シゲティの5番の音源もありますが、3番で素晴らしい生演奏も入れる予定ですので、5番の方は気になるヴァイオリニストMischa Weisbord (1907-1991) Jewish-Russian violinistの音源で入れておきます。12番"Pici tubiczam" (My Little Pigeon 「私の小鳩」)の方は、今週の番組でかけたイェネー・フバイの自作自演の音源です。おそらく晩年の録音だと思いますが、全くそう思えない素晴らしい演奏です。

Hubay: Scenes de la Csarda No.5 Hullámzó Balaton

Mischa Weisbord : Scènes de la Csárda, "Hullámzó Balaton"

Scenes de la Csarda No. 12, Op. 83, "Pici tubiczam" (My Little Pigeon)

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2022年9月29日 (木)

オーヤン・ナナのポッパー / ハンガリー狂詩曲

ナナさんのCD&DVDは2016年リリースですが、YouTubeもありました。ライブ映像もありましたので、一本目に入れておきます。この曲も19世紀に沢山書かれたチャールダーシュの一つ。まだ楽譜を見たことがないので、見てみたいものです。(以下放送原稿を再度)

イェネー・フバイの室内楽演奏のパートナーであるチェリストのダヴィッド・ポッパー(1843-1913)は作曲家としても有名で、チェロの優れた難度の高いエチュードを沢山残していて、私もいくつか取り組んだことがあります。彼の一番有名な作品と言えば、リストの曲と同じ曲名ですが、やはりハンガリー狂詩曲でしょう。彼はユダヤ系チェコ人のオーストリア=ハンガリー二重帝国のチェロ奏者・作曲家で、このプロフィール自体が当時の複雑な国際情勢を表していると思います。演奏は日本の歌手、欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)の姪に当たる欧陽娜娜(Nana)のチェロと、ピアノ伴奏はティエンリン・チャンです。

歐陽娜娜 Nana Ou Yang(12) Popper:Hungarian Rhapsody op.68 Concerto with Orchestra Feb.3,2013

<11 Nana & T.L 藍子庭 / ハンガリー狂詩曲 作品68 8分23秒>

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2022年9月28日 (水)

「バラトン湖の波の上で」の装飾技巧

フバイの「バラトン湖の波の上で」の映像を見ていて、クラシック演奏以外で特に感銘を受けたのは今日の1本目です。こう言うジプシー風な装飾技巧こそ命だと思います。映像に出てくるジプシー・フィドラーのヴァイオリン譜は、私も持っていますが、「バラトン湖の波の上で」も旋律そのものが書かれているだけです。それをそのまま弾いても、哀愁味溢れる美しい旋律があるだけですが、そこへポルタメント(音程のすり上げ、すり下げ)や細かい装飾音が付いてこそ、この曲は生きて来ると思います。
この旋律はフバイの書いたオリジナルのメロディか、他のチャールダーシュやハンガリー舞曲と同様に、ジプシーの原曲があるのかが、気になるところです。ブラームスと違ってフバイの場合は、おそらくハンガリー語で当たらない限り資料が見当たらないのではと思います。Scenes de la Csarda(酒場の情景)は、この曲を含め14曲もありますし。329回目の放送でも言っていますが、しばしば『チャールダーシュの情景』と訳されているのを見かけますが、チャールダーシュの最後のsがなく、チャールダ本来の意味は「酒場」あるいは「居酒屋」ですので、「酒場の情景」と取る方が自然だと思います。
ハンガリー西部に位置するバラトン湖ですが、「ハンガリーの海」とも呼ばれる大きな湖で、面積は595 km2ですから琵琶湖(670.4 km²)よりは少し小さいことが今回調べて分かりました。2本目にこの美しい湖の観光映像を入れておきます。

On the wawes of lake Balaton

Day trip to Lake Balaton Hungary in 4K!

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2022年9月26日 (月)

イェネー・フバイとダヴィッド・ポッパー

ゼアミdeワールド328回目の放送、日曜夜10時にありました。28日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画はフバイの「バラトン湖の波の上で」の自作自演とジェルジ・ラカトシュ&ジプシー楽団の2本です。記憶違いでロビー・ラカトシュの叔父はシャーンドル・ラカトシュだったので、ジェルジとロビーの続柄を調べておきます。

ハンガリー音楽の9回目になります。今回はハンガリーのクラシック音楽のヴァイオリニストのイェネー・フバイ(1858-1937)とチェリストのダヴィッド・ポッパーの曲を取り上げます。

イェネー・フバイと言えば、ブラームスとの関係が深かった19世紀の大ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムから教えを受けたこととか、20世紀前半の大ヴァイオリニスト、ヨゼフ・シゲティや、後に指揮者に転向したユージン・オーマンディにヴァイオリンを教えたこと、チェリストのダヴィッド・ポッパーが室内楽演奏のパートナーだったことなどが有名です。ヴァイオリニストとしてのフバイは、ブラームスやフランコ・ベルギー派ヴァイオリンの巨匠ヴュータンから称賛を受けていました。
このようにクラシック音楽の中心にいながらも、フバイの作品にはハンガリーの民族色を出した曲もありまして、6年ほど前にライコー・ヤング・ジプシー楽団の演奏で、ハンガリーで一番大きなバラトン湖をテーマにした「バラトン湖の波の上で」と言う曲をかけました。この曲もジプシー楽団がよく取り上げる曲で、ラッサンの部分に当る哀愁の名旋律に始まり、後半はフリスカの急速な部分に当たりますから、これもチャールダーシュ的な作品と見て良いと思います。
今回はこの曲をクラシックの演奏とジプシー楽団の演奏の2つを続けておかけします。最初はイェネー・フバイの自作自演でピアノ伴奏はオットー・ヘルツ、2曲目はロビー・ラカトシュの叔父に当たるジェルジ・ラカトシュと彼のジプシー楽団による演奏です。Souvenir from the Hortobágyに入っています。

<イェネー・フバイ & Otto Herz  Scènes de la csárda No. 5 "Hullámzó Balaton", Op. 33 (Version for Violin & Piano) 5分41秒>

<György Lakatos and His Gipsy Band / Souvenir from the Hortobágy ~On the waves of lake Balaton 6分12秒>

フバイの室内楽演奏のパートナーであるチェリストのダヴィッド・ポッパー(1843-1913)は作曲家としても有名で、チェロの優れた難度の高いエチュードを沢山残していて、私もいくつか取り組んだことがあります。彼の一番有名な作品と言えば、リストの曲と同じ曲名ですが、やはりハンガリー狂詩曲でしょう。彼はユダヤ系チェコ人のオーストリア=ハンガリー二重帝国のチェロ奏者・作曲家で、このプロフィール自体が当時の複雑な国際情勢を表していると思います。演奏は日本の歌手、欧陽菲菲の姪に当たる欧陽娜娜(Nana)のチェロと、ピアノ伴奏はティエンリン・チャンです。

<11 Nana & T.L 藍子庭 / ハンガリー狂詩曲 作品68 8分23秒>

SymposiumのGreat Violinists, Vol. 1と言う1903-1944年の歴史的録音の中に、ヨーゼフ・ヨアヒム, サラサーテ, レオポルド・アウアー, ウジェーヌ・イザイ, イェネー・フバイ, カール・フレッシュ, フリッツ・クライスラーなど19世紀のヴァイオリンの巨匠達の演奏が入っていまして、その中に先ほどの「バラトン湖の波の上で」と組曲を成しているScenes de la Csarda(酒場の情景) No. 12, Op. 83, "Pici tubiczam" (My Little Pigeon 私の小さな鳩) (version for violin and orchestra)と言う曲が入っています。「バラトン湖の波の上で」がこの組曲の5番です。Symposium Recordsの現物が手元にないため、確かではありませんが、おそらくイェネー・フバイ自身の録音のようです。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Scenes de la Csarda No. 12, Op. 83, "Pici tubiczam" (My Little Pigeon) (version for violin and orchestra) 8分14秒>

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2022年9月23日 (金)

『騎士パズマン』のチャールダーシュ

しまの音楽祭を昼間見に行っておりまして、アップは夜になりました。18日のメンコン等オール・メンデルスゾーン・プログラムに続いて、今日はベートーヴェンのSQ10番等。どちらも素晴らしかったです。『騎士パズマン』の チャールダーシュは、番組でかけたティーレマンではなさそうなので、小編成の演奏と、オーケストラではウィリー・ボスコフスキーのヴァイオリン弾き振り映像を上げておきます。ニューイヤーコンサートでしょうか。この曲、日本では余り知られてないように思います。(以下放送原稿を再度)

ヨハン・シュトラウス2世のオペラ『騎士パズマン』から チャールダーシュをおかけします。このオペラは冗長で余り上演される機会がないそうですが、第3幕で演奏されるチャールダーシュは傑作と評価され、オペラとは別の作品番号が付されています。音楽の印象は、ハンガリーと言うより少しロシア的な部分も感じられるように思いました。

Mischwerk: Csárdás "Ritter Pazman" Johann Strauss, Handycamrecord, "mischen is possible"

J.Strauss II - Csardas from Ritter Pazman ballet - Willi Boskovsky


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2022年9月22日 (木)

ロージャヴェルジ・マールクの音楽

ロージャヴェルジ・マールクについては、チャールダーシュの起源を調べていて今回初めて知りました。19世紀前半ですから、音の印象はいかにも古典派から初期ロマン派時代の穏やかな感じですが、独特な音階とアクセントの付き方、フレージングには、チャールダーシュの萌芽が確かに感じられます。(以下放送原稿を再度)

チャールダーシュは、ハンガリー語で「酒場」という意味のチャールダ csárdaに由来しますが、この言葉は直接にはハンガリー音楽に大きな貢献をしたユダヤ系作曲家ロージャヴェルジ・マールクの作った楽曲の名前から広まったという事ですので、この人の英語のウィキペディアに載っていたフンガロトンの音源Rózsavölgyi: Ballroom Dances (17 dances and dance -sequences)を当たって見ました。チャールダーシュと言う曲名では見当たりませんでしたが、2曲目のStinning Tune, for stringsが他のサイトにはSerkento (Stimulating Csardas)と出ていて、どうやらチャールダーシュに当たるようです。この曲を含むハンガリー的な曲調が感じられるヴェルブンコシュ他4曲を続けておかけします。

<First Hungarian Round Dance - Halljuk! - Hear! Hear! 2分36秒>

<Serkento (Stimulating Csardas) 2分32秒>

<First Hungarian Round Dance - III. Toborzó - Verbunkos 1分15秒>

<Sound of Hope from the East - III. Toborzó - Verbunkos 2分4秒>

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2022年9月21日 (水)

オペレッタとミュージカル

カールマンのオペレッタ「チャールダーシュの女王」を聞いて、ハンガリー音楽のエキゾチックさと共に、どこかミュージカルに似ていると思った方もいらっしゃるかと思います。私も久々に聞いて改めてそう思いました。ミュージカルが誕生したのはアメリカですが、そのルーツはヨーロッパのオペラやバレエで、更に直接的には喜歌劇のオペレッタです。フレンチカンカンの「天国と地獄」で有名なオッフェンバックに影響を受けたヨハン・シュトラウス2世がウィーンでオペレッタを磨き上げ、ジャズのスタンダードにもなった「朝日のごとくさわやかに」「恋人よ我に帰れ」や、ウィンナ・オペレッタの名残が濃い「学生王子」で有名なオーストリア=ハンガリー出身のユダヤ系作曲者ジグムント・ロンバーグらが、アメリカにオペレッタを持ち込んでニューオーリンズで行われていたショーとなり、ミュージカルが誕生したと言われています。カールマンと同時代人のロンバーグと並ぶ重要な作曲家に「サウンド・オブ・ミュージック」(ドレミの歌、エーデルワイス、私のお気に入り 等)で有名な、やはりドイツ系ユダヤ人のオスカー・ハマースタイン2世がいますが、三人ともユダヤ系と言うところが鍵のように思います。
今日の「チャールダーシュの女王」は最近の舞台のようです。2本目の舞台は、まるでキャバレー・ソングかレビューです。なおイムレ・カールマンと言うのは(他にも知っている人がいますが)、エメリッヒ・カールマンのハンガリー名です。

Kálmán Imre - Csárdáskirálynő - Szilvia belépője.FLV

Csárdáskirálynő: Jaj cica (Kollár Péter Erik)

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2022年9月19日 (月)

チャールダーシュの女王 1962

ゼアミdeワールド327回目の放送、日曜夜10時にありました。21日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は1962年のフンガロトン音源の2曲で、2曲目は当時のライヴ映像がありました。

ハンガリー音楽の8回目になります。今回はチャールダーシュ名曲集のクラシック編の2回目です。
まずは、エメリッヒ・カールマンが20世紀初頭に作曲したオペレッタ「チャールダーシュの女王」から冒頭の2曲をおかけします。ウィンナ・ワルツと19世紀にウィーンで大流行したハンガリーのチャールダーシュを組み合わせた音楽ですが、第一次大戦中の1915年に初演されたこともあり、ハプスブルク帝国の終焉の頃の退廃的な雰囲気が見え隠れする点で、同時代のレハールの甘美な音楽とも共通した響きがあると思います。

<Németh Marika, Gyenes Magda, Baksay Árpád & Operettszínház Zenekara / Csárdáskirálynő - Előjáték az I. felvonásból 2分33秒>

<Németh Marika, Gyenes Magda, Baksay Árpád, Operettszínház Zenekara, Bródy Tamás, Honthy Hanna, Rátonyi Róbert, Homm Pál & Feleky Kamill / Csárdáskirálynő - Szilvia belépője 2分39秒>

次に、ヨハン・シュトラウス2世のオペラ『騎士パズマン』から チャールダーシュをおかけします。このオペラは冗長で余り上演される機会がないそうですが、第3幕で演奏されるチャールダーシュは傑作と評価され、オペラとは別の作品番号が付されています。音楽の印象は、ハンガリーと言うより少しロシア的な部分も感じられるように思いました。

<クリスティアン・ティーレマン & ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 / Ritter Pásmán, Op. 441: Csárdás 4分23秒>

チャールダーシュは、ハンガリー語で「酒場」という意味のチャールダ csárdaに由来しますが、この言葉は直接にはハンガリー音楽に大きな貢献をしたユダヤ系作曲家ロージャヴェルジ・マールクの作った楽曲の名前から広まったという事ですので、この人の英語のウィキペディアに載っていたフンガロトンの音源Rózsavölgyi: Ballroom Dances (17 dances and dance -sequences)を当たって見ました。チャールダーシュと言う曲名では見当たりませんでしたが、2曲目のStinning Tune, for stringsが他のサイトにはSerkento (Stimulating Csardas)と出ていて、どうやらチャールダーシュに当たるようです。この曲を含むハンガリー的な曲調が感じられるヴェルブンコシュ他4曲を続けておかけします。

<First Hungarian Round Dance - Halljuk! - Hear! Hear! 2分36秒>
<Serkento (Stimulating Csardas) 2分32秒>
<First Hungarian Round Dance - III. Toborzó - Verbunkos 1分15秒>
<Sound of Hope from the East - III. Toborzó - Verbunkos 2分4秒>

では最後に「チャールダーシュの女王」のもう一つの演奏、アンネリーゼ・ローテンベルガー, オリヴェラ・ミリャコヴィチ, ニコライ・ゲッダ, ウィリー・マッテス指揮グラウンケ交響楽団&バイエルン国立歌劇場合唱団の演奏から、最初にかけた曲を再度聞きながら今回はお別れです。先ほどのハンガリー盤程には泥臭くなく、すっきりしたウィーン的な演奏のように思います。時間が余りましたら、ハンガリー盤から他の一曲Csárdáskirálynő - Az asszony összetörをおかけします。
気になるのは、エメリッヒ・カールマンとロージャヴェルジ・マールクは、二人ともユダヤ系の作曲家と言う点です。チャールダーシュにも特徴的なジプシー音楽由来のエキゾチックな増二度音程は東欧系ユダヤの音楽に頻繁に出て来ますので、その関係性をまた探れそうならゼアミブログで取り上げてみたいと思っています。次回はイェネー・フバイとダヴィッド・ポッパーの音楽を取り上げる予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Die Csárdásfürstin · Operette in 3 Akten (Highlights): Heia, heia, in den Bergen ist mein Heimatland (Sylva & Chor - Boni - Feri, 1.Akt) 3分17秒>
<Csárdáskirálynő - Az asszony összetör 5分11秒>

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2022年9月16日 (金)

ハンガリー狂詩曲の話

ハンガリー狂詩曲が素材にしているのは、ヴェルブンコシュやチャールダーシュのような19世紀ハンガリーのジプシー音楽で、それはアジア系とも言えるウラル系民族であるハンガリー人本来の音楽ではないと明らかにしたバルトークやコダーイ以降の流れから、民族音楽の立場からはハンガリー狂詩曲が顧みられることは少ないと思いますが、ピアノのウルトラ・ヴィルトゥオーソだったフランツ・リストが生涯に亘って書き続けたこの曲集は19曲もあり、クラシックでは今でも盛んに弾かれています。昨日のカティア・ブニアティシヴィリの演奏も、往年の名人ホロヴィッツ編曲と言うこともあって、ルックスの艶やかさを忘れさせるほど(笑)、超・超絶技巧の演奏でした。
今日の動画ですが、例の「トムとジェリー」に使われた2番と、ベルリオーズが『ファウストの劫罰』に引用したことでも知られるラコッツィ行進曲に基ずく15番はシフラの演奏の楽譜付きで、全く今回まで個人的には聞いたことのなかった6番の3曲を上げておきます。6番はアルゲリッチの熱演もあり、ヴェルブンコシュ~チャールダーシュのリズムが躍動していて惹き付けられました。
上記の「ハンガリー本来の音楽」ですが、チェレミス(マリ)の民謡に似た5音音階の民謡やそれらを引用したバルトーク作品などですが、今回のチャールダーシュ中心のシリーズが終わったら、チャールダーシュ等とは別にある「ジプシー本来の音楽」の次に取り上げます。それらとは別に、ダンスハウス以降のハンガリー・トラッドの音源も数限りなくありますが、そちらは手持ち音源から精選するつもりです。

Tom & Jerry | Concert Madness | Classic Cartoon | WB Kids

Liszt - Hungarian Rhapsody No. 15 "Rákóczi March" (Audio+Sheet) [Cziffra]

Liszt, Hungarian Rhapsody No.6, Martha Argerich 1966

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2022年9月15日 (木)

ハンガリー狂詩曲13番と2番

リストのハンガリー狂詩曲と言うと、ほとんど第2番しか聞いたことがないに等しく、今回初めて13番後半がツィゴイネルワイゼン後半と同じ旋律と知りました。13番をジェルジ・シフラの演奏で楽譜入り、2番(ホロヴィッツ編曲)をグルジア(ジョージア)のKhatia Buniatishvili の演奏で入れておきます。 昨日は特番のため再放送はありませんでした。(以下放送原稿を再度)

ツィゴイネルワイゼンのラストの急速なAllegro molto vivaceでは、フランツ・リストの『ハンガリー狂詩曲第13番』から引用されています。この曲は8分33秒ありますが、終わり2分位がその箇所です。超絶技巧で名高く「リストの再来」と呼ばれた、本国ハンガリーの名ピアニスト、ジェルジ・シフラの演奏です。シフラの両親はジプシーの家系で、父親はパリでピアノやツィンバロムを弾いていた音楽家だったそうです。

Liszt - Hungarian Rhapsody No. 13 (Audio+Sheet) [Cziffra]

チャールダーシュの前身のヴェルブンコシュに影響されている、フランツ・リストのハンガリー狂詩曲は全部で19曲ありますが、管弦楽編曲もされ飛び抜けて有名なのが第2番です。第2番はアメリカのアニメ『トムとジェリー』などにも引用されていました。第15番では有名なハンガリー民謡《ラコッツィ行進曲》が引用されていますので、またかけることがあるかも知れません。

Khatia Buniatishvili - Liszt/Horowitz: Hungarian Rhapsody no. 2 (ENCORE)

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2022年9月14日 (水)

ツィゴイネルワイゼンの中間部とElemér SzentirmayのCsak egy szép lány van a világon

ツィゴイネルワイゼンの中間部は、一聴で記憶に残る憂いに満ちた名旋律だと思いますが、この曲は19世紀ハンガリーの作曲家エレメール・センティルマイ(1836-1908)によって書かれているので、サラサーテのツィゴイネルワイゼンはその引用(盗用?)と言うことになります。この中間部分ならヴァイオリンでも無理なく弾けるので、80年代以来たまに弾いてきましたが、ソルディーノを付けたA線ハイポジの柔らかい音色が最高です。
70年代頃にどこかで日本語の訳詞を見た記憶がありまして、詳細には覚えていませんが、それが「ジプシーの月」の歌詞だったのかも知れません。1本目は往年の大衆歌謡の歌手Kalmár Pál(1900-1988)によるハンガリー語歌唱で、この人が「暗い日曜日」を最初に歌ったそうです。(以下放送原稿を再度)

Kalmár Pál: Csak egy kislány van a világon

ツィゴイネルワイゼンは、3部からなっていて、いくつかのハンガリー民謡・大衆音楽の旋律を組み合わせて作曲されています。弱音器を付けて演奏される中間部のもの哀しく美しいメロディは、「ジプシーの月」というタイトルでポピュラー・ソングとしてもヒットしていますが、19世紀ハンガリーの作曲家Elemér Szentirmayの曲の引用(あるいは盗用?)と言う説もあるようです。曲名はCsak egy szép lány van a világonと言う曲で、翻訳にかけると「世界にたった一人の美少女」と出て来ました。この曲をパンフルートとヴァイオリン他の編成で演奏しているVDE-Galloの音源がありますので、次におかけします。

<Patrick Kersalé, Bernard Darmon & Claude Aylestock / Folk Songs of Central Europe for Pan Flute ~Csak egy szép lány van a világon 1分53秒>

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2022年9月12日 (月)

ツィゴイネルワイゼンとハンガリー狂詩曲13番

ゼアミdeワールド326回目の放送、日曜夜10時にありました。14日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はツィゴイネルワイゼンのみです。ハイフェッツの演奏は放送でかけたのとは別音源です。

ハンガリー音楽の7回目になります。今回はチャールダーシュ名曲集のクラシック編です。ブラームスのハンガリー舞曲とモンティのチャールダッシュは、320回目にかけましたので、今回は他の曲を取り上げます。曲が多いので、2回になると思います。最初に320回目に入れた解説を少し繰り返しておきます。
チャールダッシュと言うのは、19世紀前半のハンガリー独立戦争の頃に募兵活動の中で生まれた男性の踊りヴェルブンクが基礎になってヴェルブンコシュが生まれ、更にそれが居酒屋(チャールダ)で洗練されてチャールダーシュが生まれたとされています。ゆったりとした哀愁漂うラッサンの部分と、急速なフリスカの部分からなる舞曲で、ハンガリーのジプシー楽団が盛んに演奏し妙技を披露、19世紀にはヨーロッパ中で大流行し、ウィーン宮廷は一時チャールダーシュ禁止の法律を公布したほどだったそうです。
そんなムーヴメントの中で、ドイツの大作曲家ブラームスのハンガリー舞曲や、サラサーテのツィゴイネルワイゼン、リストのハンガリー狂詩曲、モンティのチャールダッシュなどが生まれています。ハンガリーから遠く離れたスペインの作曲家サラサーテが、自国にフラメンコと言うジプシー由来の音楽があるのに、何故チャールダッシュを書いたのか?と長年疑問に思っていましたが、そういう背景があったことを後で知りました。
まずはツィゴイネルワイゼンを、往年の大ヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツとジョン・バルビローリ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏でおかけします。

<Zigeunerweisen, Op. 20 8分45秒>

ツィゴイネルワイゼンは、3部からなっていて、いくつかのハンガリー民謡・大衆音楽の旋律を組み合わせて作曲されています。弱音器を付けて演奏される中間部のもの哀しく美しいメロディは、「ジプシーの月」というタイトルでポピュラー・ソングとしてもヒットしていますが、19世紀ハンガリーの作曲家Elemér Szentirmayの曲の引用(あるいは盗用?)と言う説もあるようです。曲名はCsak egy szép lány van a világonと言う曲で、翻訳にかけると「世界にたった一人の美少女」と出て来ました。この曲をパンフルートとヴァイオリン他の編成で演奏しているVDE-Galloの音源がありますので、次におかけします。

<Patrick Kersalé, Bernard Darmon & Claude Aylestock / Folk Songs of Central Europe for Pan Flute ~Csak egy szép lány van a világon 1分53秒>

ツィゴイネルワイゼンのラストの急速なAllegro molto vivaceでは、フランツ・リストの『ハンガリー狂詩曲第13番』から引用されています。この曲は8分33秒ありますが、終わり2分位がその箇所です。超絶技巧で名高く「リストの再来」と呼ばれた、本国ハンガリーの名ピアニスト、ジェルジ・シフラの演奏です。シフラの両親はジプシーの家系で、父親はパリでピアノやツィンバロムを弾いていた音楽家だったそうです。

<Hungarian Rhapsody No. 13 in A minor, S. 244 (Remastered 2021) 8分33秒>

チャールダーシュの前身のヴェルブンコシュに影響されている、フランツ・リストのハンガリー狂詩曲は全部で19曲ありますが、管弦楽編曲もされ飛び抜けて有名なのが第2番です。ジェルジ・シフラのピアノで、この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。
第2番はアメリカのアニメ『トムとジェリー』などにも引用されていました。第15番では有名なハンガリー民謡《ラコッツィ行進曲》が引用されていますので、またかけることがあるかも知れません。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Hungarian Rhapsody No. 2 in C sharp minor, S. 244 (Remastered 2021) 10分12秒>

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2022年9月 9日 (金)

Csardasklänge - Zigeunermusikからその他3曲

「暗い日曜日」の陰鬱なムードを一掃するために、番組でかけたCsardasklänge - Zigeunermusikの明るいチャールダーシュ3曲は爽やかで良い曲ですが、一般に知られているとは言い難いと思います。放送ではかけませんでしたが、この音源も実はモンティのチャールダーシュから始まっています。一般にチャールダーシュと聞くと、モンティの曲のみを思い浮かべる人がほとんどなのは、仕方ないことなのかなと改めて思います。
3曲目だけOriginal ungarische Zigeunerkappel Kalman Lendvayで、他の2曲は前と同じでJanos Szalayの楽団の演奏です。曲名の、Über die Theissが「ティサ川を越えて」、Die Stadt ist voll von Akazienblütenは「街はアカシアの花でいっぱい」、Gelbes Amselnestは「黄色いクロウタドリの巣」と訳せると思います。2曲目などは、オーストリア風な印象が強いように思いました。チャールダーシュとシュランメルなどオーストリア民族音楽の比較考証は、新たな探りどころのように思います。

<Über die Theiss (Tiszan innen dunan tui) 2分40秒>

<Die Stadt ist voll von Akazienblüten (Tele van a varos akacfa viragal) 1分12秒>

<Gelbes Amselnest (Sarga Rigo Feszek) 2分55秒>

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2022年9月 8日 (木)

Trauriger Sonntag

「暗い日曜日」を淡谷のり子のカセットで聞いたのは、80年代初めだったと思います。ダミアのLPで聞いたのが、その後でした。普通は逆だと思います(笑) ドイツ語訳を先日入れ忘れたので、今日のタイトルにしました。発音はトロイリゲル・ゾンタークになります。戦前の中欧の流行り歌ですから、ドイツ語タイトルは重要だと思います。
この歌を歌った日本の歌手は、淡谷のり子を筆頭に榎本健一、東海林太郎、越路吹雪、美輪明宏、戸川昌子、岸洋子、金子由香利、夏木マリ、加藤登紀子、浅川マキなどということですが、エノケンと東海林太郎、浅川マキは是非聞いてみたいものです。フランスのセルジュ・ゲンスブールもカヴァーしていたそうで、これはチェック漏れしていました。(以下放送原稿を再度)

次は1933年にシェレシュ・レジェーが書いたハンガリーの歌「暗い日曜日」(ハンガリー語: Szomorú vasárnap ソモルー・ヴァシャールナプ, 英語: Gloomy Sunday, フランス語: Sombre Dimanche)も入っていますので、Janos Szalayの楽団の演奏と、オリジナルのSebo Miklosのハンガリー語歌唱、日本の淡谷のり子の歌唱の3曲を続けます。チャールダーシュのジプシー楽団もよく取り上げていた曲です。「自殺者の出る曲」と言う都市伝説があることで有名で、1936年にフランスのダミアがカヴァーしてから、シャンソンの作品と誤解されることが多かった曲です。おそらく1936年のオリジナルと思われる淡谷のり子の録音には、他にもシャンソン、タンゴ、ラテンなどの名唱が多いので、またそれぞれの機会に取り上げるかも知れません。

<Trauriger Sonntag (Szomoru vasarnap) 2分23秒>

<Sebo Miklos / Szomorú Vasárnap 3分14秒>

<淡谷のり子 / 暗い日曜日 3分>

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2022年9月 7日 (水)

ラースロー・ベルキのチャールダーシュ

Csardasklänge - Zigeunermusikには、Hirtenlied (Bercsenyi dal es csardas)と言う曲の後半に、「エチェル村の結婚式」のチャールダーシュハ短調の旋律が登場します。こちらもJanos Szalay mit seiner Zigeuner-Kapelleの演奏です。
ビクターJVCとフンガロトンの演奏者名を照合してなくて最近になって知ったことですが、ビクターJVCワールドサウンズのシリーズの「神技のジプシー・ヴァイオリン」のラースロー・ベルキの演奏にも、この同じチャールダーシュが入っていました。この盤の録音は1992年で、彼は1997年に急逝しています。フンガロトンの「エチェル村の結婚式」は1975年くらいの録音だと思いますが、こちらもラースロー・ベルキがリーダーで、これまでかけてきました通り、全盛期のもの凄い演奏を記録しています。ビクター盤より、やはり凄いかなと思いました。
「神技のジプシー・ヴァイオリン」は、いつでも手に入ると思っていたら、ビクターとキングの民族音楽の両シリーズ共、メーカー在庫限りで、ほとんどが廃盤同然。アマゾンでは2万の高値を付けていました。幸い格安盤がたまたま手に入りまして、今回かけている曲を何曲も確認しました。2,3回先でこの盤を取り上げる予定です。
今回の放送でかけた私が1977年頃に録ったFM番組の谷本一之さんが担当された「世界の民族音楽」の時間にかかったチャールダーシュもYouTubeがあればと思いますが、こちらは雲をつかむような感じです。上記の作者不詳チャールダーシュハ短調と並んで、典型的なタイプとして記憶していた曲です。1本目に「エチェル村の結婚式」のチャールダーシュハ短調を再度入れておきます。2本目がCsardasklänge - ZigeunermusikのHirtenliedです。

Csárdás in c-moll

<Hirtenlied (Bercsenyi dal es csardas) 3分32秒>

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2022年9月 5日 (月)

チャールダーシュ名曲集(「暗い日曜日」含む)

ゼアミdeワールド325回目の放送、日曜夜10時にありました。7日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画は1曲目のみです。

ハンガリー音楽の6回目になります。今回はチャールダーシュ名曲集にしたいと思います。ブダペストのレストランでの実況録音などのチャールダーシュの手持ち音源はLPがほとんどで、いずれもメドレーで数曲を演奏している長い録音が多く、番組でかけるには不向きのため、アップルミュージックでCsardasと原文を入れて検索したら、出てきたのは見事に「モンティのチャールダーシュ」のみでした(笑) この傾向は日本で特に顕著なようで、音楽好きの数人に聞いてみたところ、ほぼ100%の確率で、チャルダッシュは「モンティのチャルダッシュ」の固有名詞と思っていたようです。繰り返しますが、チャールダーシュはハンガリーの舞曲の名前です。

アップルミュージックでたまたま見つけたCsardasklänge - Zigeunermusikと言う音源ですが、メドレーではなく色々いい曲が個別に入っていましたので、こちらを中心におかけします。

まずは前回の最後にかけて途中までになっていた曲から始めます。ビハリの作ったチャールダーシュ「無一文になって」として前々回かけた曲の後半と同じ曲が、Janos Szalay mit seiner Zigeuner-Kapelleの演奏に、A-Dur-Csardas(イ長調のチャールダーシュ)と言うタイトルで入っていますので、こちらを再度おかけします。この明朗で美しい旋律は、耳について離れない名調子です。

<5 A-Dur-Csardas 3分4秒>

次はCsardasklänge - Zigeunermusikではなく、私が1977年頃に録ったFM番組の音源です。ハンガリー音楽の専門家だった谷本一之さんが担当された「世界の民族音楽」の時間にかかったチャールダーシュで、演奏者等詳細は不明ですが、私の中では前にかけた「エチェル村の結婚式」の作者不詳のチャールダーシュハ短調と並んで、典型的なタイプとして記憶していた曲です。

<谷本一之氏のFM番組の音源 1分30秒>

Csardasklänge - Zigeunermusikに戻りまして、Hirtenlied (Bercsenyi dal es csardas)と言う曲の後半は、先ほど出てきた「エチェル村の結婚式」のチャールダーシュハ短調の旋律が登場します。こちらもJanos Szalay mit seiner Zigeuner-Kapelleの演奏です。

<Hirtenlied (Bercsenyi dal es csardas) 3分32秒>

次は1933年にシェレシュ・レジェーが書いたハンガリーの歌「暗い日曜日」(ハンガリー語: Szomorú vasárnap ソモルー・ヴァシャールナプ, 英語: Gloomy Sunday, フランス語: Sombre Dimanche)も入っていますので、Janos Szalayの楽団の演奏と、オリジナルのSebo Miklosのハンガリー語歌唱、日本の淡谷のり子の歌唱の3曲を続けます。チャールダーシュのジプシー楽団もよく取り上げていた曲です。「自殺者の出る曲」と言う都市伝説があることで有名で、1936年にフランスのダミアがカヴァーしてから、シャンソンの作品と誤解されることが多かった曲です。おそらく1936年のオリジナルと思われる淡谷のり子の録音には、他にもシャンソン、タンゴ、ラテンなどの名唱が多いので、またそれぞれの機会に取り上げるかも知れません。

<Trauriger Sonntag (Szomoru vasarnap) 2分23秒>
<Sebo Miklos / Szomorú Vasárnap 3分14秒>
<淡谷のり子 / 暗い日曜日 3分>

「暗い日曜日」の陰鬱なムードを一掃するために、Csardasklänge - Zigeunermusikから、明るいチャールダーシュ3曲を続けます。3曲目だけOriginal ungarische Zigeunerkappel Kalman Lendvayで、他の2曲は前と同じでJanos Szalayの楽団の演奏です。曲名の、Über die Theissが「ティサ川を越えて」、Die Stadt ist voll von Akazienblütenは「街はアカシアの花でいっぱい」、Gelbes Amselnestは「黄色いクロウタドリの巣」と訳せると思います。2曲目などは、オーストリア風な印象が強いように思いました。これらを聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Über die Theiss (Tiszan innen dunan tui) 2分40秒>
<Die Stadt ist voll von Akazienblüten (Tele van a varos akacfa viragal) 1分12秒>
<Gelbes Amselnest (Sarga Rigo Feszek) 2分55秒>

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2022年9月 2日 (金)

ハーリ・ヤーノシュの間奏曲

ハーリ・ヤーノシュのこの有名な旋律は、初めて聞いて40年以上経つと思いますが、ヴェルブンコシュだったことは今回調べて初めて知りました。募兵のダンス、ヴェルブンクらしさが感じられる今日の男性の踊りの動画は、ぴったりかと思います。楽譜は見たことはありませんが、ヴァイオリンで少し音を取ってみました。良い旋律です。ビハリの作ったチャールダーシュ「無一文になって」は、来週の番組でもかけますので、来週のチャールダーシュ名曲集に回します。(以下放送原稿を再度)

クラシック作品にヴェルブンコシュが使われた例としては、ゾルタン・コダーイのハーリ・ヤーノシュの間奏曲や、前回の終わりに名前の出たガランタ舞曲が有名です。ハーリ・ヤーノシュは元はオペラですが、管弦楽組曲版の間奏曲は、放送内でかけられますので、今回はこちらをおかけしておきます。勇壮さと優美さとエキゾチックな哀愁が複雑に入り混じる魅力的な曲だと思います。

06 Kodály Zoltán Háry János Intermezzo

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2022年9月 1日 (木)

1988年のダンスハウス(タンツハーズ)

70年代に始まった伝統芸能復興運動のダンスハウスは、ハンガリー語ではTanchaz(タンツハーズ)と言います。今週の番組の3曲目にかけたヘゲドゥーシュは、今ではこのムーヴメント以降のビッグネームのグループの一つだと思いますが、1988年当時はまだ若手だったでしょうか。この1988年のハンガリアン・ダンス・ハウス・フェスティヴァル第7回は、フンガロトン(国内盤はアルファエンタープライズ)から出ていましたが、2000年代に入ってから毎年出ている(出ていた?)Tanchaz - Nepzeneのシリーズは、HAGYOMANYOK HAZA(ハジョマニョク・ハザ)と言うレーベルから出ています。レーベルが変わった経緯は不明ですが、おそらく同じシリーズなのではと思います。
一貫しているのは、ハンガリー音楽のルーツを辿ってトランシルヴァニア(エルデーイ)色が強くなっている点だと思います。今回かけたヘゲドゥーシュのヴェルブンクも、エルデーイ色濃厚です。90年代頃からでしょうか、都会ブダペストのジプシー楽団のようなスタイルは本国ハンガリーでは衰退の一途を辿っているようで、チャールダーシュと聞いて、モンティの曲の固有名詞と思われ勝ちな遠因の一つは、ここにもあるように思います。

<Hegedős  Maros Menti Verbunk 3分15秒>

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