ツィゴイネルワイゼンとハンガリー狂詩曲13番
ゼアミdeワールド326回目の放送、日曜夜10時にありました。14日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はツィゴイネルワイゼンのみです。ハイフェッツの演奏は放送でかけたのとは別音源です。
ハンガリー音楽の7回目になります。今回はチャールダーシュ名曲集のクラシック編です。ブラームスのハンガリー舞曲とモンティのチャールダッシュは、320回目にかけましたので、今回は他の曲を取り上げます。曲が多いので、2回になると思います。最初に320回目に入れた解説を少し繰り返しておきます。
チャールダッシュと言うのは、19世紀前半のハンガリー独立戦争の頃に募兵活動の中で生まれた男性の踊りヴェルブンクが基礎になってヴェルブンコシュが生まれ、更にそれが居酒屋(チャールダ)で洗練されてチャールダーシュが生まれたとされています。ゆったりとした哀愁漂うラッサンの部分と、急速なフリスカの部分からなる舞曲で、ハンガリーのジプシー楽団が盛んに演奏し妙技を披露、19世紀にはヨーロッパ中で大流行し、ウィーン宮廷は一時チャールダーシュ禁止の法律を公布したほどだったそうです。
そんなムーヴメントの中で、ドイツの大作曲家ブラームスのハンガリー舞曲や、サラサーテのツィゴイネルワイゼン、リストのハンガリー狂詩曲、モンティのチャールダッシュなどが生まれています。ハンガリーから遠く離れたスペインの作曲家サラサーテが、自国にフラメンコと言うジプシー由来の音楽があるのに、何故チャールダッシュを書いたのか?と長年疑問に思っていましたが、そういう背景があったことを後で知りました。
まずはツィゴイネルワイゼンを、往年の大ヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツとジョン・バルビローリ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏でおかけします。
<Zigeunerweisen, Op. 20 8分45秒>
ツィゴイネルワイゼンは、3部からなっていて、いくつかのハンガリー民謡・大衆音楽の旋律を組み合わせて作曲されています。弱音器を付けて演奏される中間部のもの哀しく美しいメロディは、「ジプシーの月」というタイトルでポピュラー・ソングとしてもヒットしていますが、19世紀ハンガリーの作曲家Elemér Szentirmayの曲の引用(あるいは盗用?)と言う説もあるようです。曲名はCsak egy szép lány van a világonと言う曲で、翻訳にかけると「世界にたった一人の美少女」と出て来ました。この曲をパンフルートとヴァイオリン他の編成で演奏しているVDE-Galloの音源がありますので、次におかけします。
<Patrick Kersalé, Bernard Darmon & Claude Aylestock / Folk Songs of Central Europe for Pan Flute ~Csak egy szép lány van a világon 1分53秒>
ツィゴイネルワイゼンのラストの急速なAllegro molto vivaceでは、フランツ・リストの『ハンガリー狂詩曲第13番』から引用されています。この曲は8分33秒ありますが、終わり2分位がその箇所です。超絶技巧で名高く「リストの再来」と呼ばれた、本国ハンガリーの名ピアニスト、ジェルジ・シフラの演奏です。シフラの両親はジプシーの家系で、父親はパリでピアノやツィンバロムを弾いていた音楽家だったそうです。
<Hungarian Rhapsody No. 13 in A minor, S. 244 (Remastered 2021) 8分33秒>
チャールダーシュの前身のヴェルブンコシュに影響されている、フランツ・リストのハンガリー狂詩曲は全部で19曲ありますが、管弦楽編曲もされ飛び抜けて有名なのが第2番です。ジェルジ・シフラのピアノで、この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。
第2番はアメリカのアニメ『トムとジェリー』などにも引用されていました。第15番では有名なハンガリー民謡《ラコッツィ行進曲》が引用されていますので、またかけることがあるかも知れません。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<Hungarian Rhapsody No. 2 in C sharp minor, S. 244 (Remastered 2021) 10分12秒>
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