神技のジプシー・ヴァイオリン
ゼアミdeワールド331回目の放送、日曜夜10時にありました。19日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。思った通り、ビクターの「神技のジプシー・ヴァイオリン」そのものの動画はなさそうですので、11曲目のオールド・チャールダーシュと同じ曲が入っている「エチェル村の結婚式」から、作者不詳チャールダーシュハ短調だけ今日は入れておきます。これは何度目かの登場です。ひばり等は水曜以降に。
ハンガリー音楽の12回目になります。今回でハンガリーの都会のジプシー音楽を締めたいと思いますが、ラストに相応しい音源「神技のジプシー・ヴァイオリン」について、9月7日のゼアミブログで少し書いていましたので、編集したものを読み上げます。
演奏者名を照合してなくて最近になって知ったことですが、ビクターJVCワールドサウンズ・シリーズの「神技のジプシー・ヴァイオリン」と、フンガロトンの「エチェル村の結婚式」のリーダーは、同じラースロー・ベルキでした。ビクター盤の録音は1992年で、その僅か5年後の1997年に彼は急逝しています。フンガロトンのハンガリー国立民族舞踊団による「エチェル村の結婚式」のLPはリリースが1977年ですから1975年くらいの録音だと思いますが、これまでかけてきました通り、全盛期のもの凄い演奏を記録しています。ビクター盤より、やはり凄いかなと思いました。
「神技のジプシー・ヴァイオリン」の方は、いつでも手に入ると思っていたら、ビクターとキングの民族音楽の両シリーズ共、メーカー在庫限りで、ほとんどが廃盤同然。アマゾンでは2万の高値も付けていました。幸い格安盤がたまたま手に入りまして、ハンガリーのシリーズでこれまでかけて来た曲を何曲も確認しました。チャールダーシュハ短調以外に、ビハリの思い出、私は一文無し、暗い日曜日、ロージャヴェルジのヴェルブンコシュもありました。
まずは1曲目の「ひばり」からおかけしますが、ルーマニアの最も有名な民族曲をハンガリーのジプシー楽団が彼らなりにアレンジして演奏すると言う刺激的な試みです。これはハンガリーの楽団としては異色の選曲だと思います。92年当時は、まだタラフ・ドゥ・ハイドゥークスも初来日前で、この曲は日本ではゲオルゲ・ザンフィルのパンパイプで知られていた位かも知れません。
<1 ひばり 5分52秒>
チャールダーシュハ短調は、このビクター盤ではオールド・チャールダーシュと言うタイトルになっています。「エチェル村の結婚式」のあの曲を17年後の92年に演奏したら、と言うこれも個人的には大注目で、耳を捉えて離さない演奏でした。フンガロトン盤はハンガリーでの録音ですが、このビクター盤では、ブダペストのレストランでよく聞かれたと言う観光客相手の柔らか目のレパートリーではなく、伝統的なジプシーの楽曲を最高の名手率いる楽団が日本でスタジオ録音した意義は大きかったと思います。
<11 オールド・チャールダーシュ 3分21秒>
何回か前の番組で「私は一文無し」の後半の美しく魅力的な長調の部分と紹介した曲は、「私は一文無し」とは別な曲であることが、この盤のラストを飾っている「4つのハンガリーの歌」と言う曲で分かりました。演奏は短調の曲から始まり、その長調の曲は5分前から出て来ます。短いカデンツのラストに、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の終楽章と、バッハの無伴奏ヴァイオリンのパルティータ3番のガヴォットのフレーズが一瞬出てきてドキッとします(笑) その後、旋律に戻りこの盤を締め括っています。
<12 4つのハンガリーの歌 8分55秒>
では最後に「暗い日曜日」から始まる7曲目の「5つのハンガリーの歌」を時間まで聞きながら今回はお別れです。「暗い日曜日」は、「自殺者の出る曲」と言う都市伝説があることで有名で、1936年にフランスのダミアがカヴァーしてから、シャンソンの作品と誤解されることが多かった曲です。ビハリの思い出、私は一文無し、ロージャヴェルジのヴェルブンコシュは、時間の都合で今回は割愛します。次回はハンガリーの農村ジプシーの音楽、つまり都会に住むジプシーの職業楽士が作った音楽ではない、真のジプシーの音楽に移ります。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<7 5つのハンガリーの歌 8分14秒>
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