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2022年10月31日 (月)

Csenyeti Ciganyok(チェニイェティ・ツィガーニョク)

ゼアミdeワールド333回目の放送、日曜夜10時にありました。2日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。Csenyeti Ciganyokで検索して出てきた動画は3本でしたが、番組でかけた曲は1曲のみでした。その1本だけ今日は入れておきます。

ハンガリー音楽の14回目になります。今回はハンガリーの農村ジプシーの音楽の2回目です。前回も言いましたが、ハンガリーの都市部に溶け込んだロマに対し、農村地帯で自分達の言語や習慣を守りながら独立して生活する農村ロマの人々の音楽です。ハンガリー人のために演奏するのではなく、ジプシー自身のための音楽ですので、ロマ語(あるいはロマニ語)で歌われます。ロマ語は、ジプシーが移動前にいた地とされるインド北西部の言葉に近い言語です。
前回キングのワールドルーツミュージックライブラリーの「農村ロマの音楽」からおかけしましたが、今回はハンガリーFonoから出ているCsenyeti Ciganyok(英題 Gypsies of Csenyete - Living Music of a Hungarian Village チェニイェテ村のハンガリー農村ジプシーの音楽)と、農村ロマの音楽の現代的な展開を見せているAndo Dromと言うグループの音源を取り上げます。

演奏の特徴としては、楽器はほとんど使わず、独唱と裏打ちリズムの口ベースのような伴奏の歌唱と指鳴らしが中心になっていて、速い踊り歌のケリマスキ・ディリと、ゆったりとした哀歌または叙情歌のメセラキ・ディリが2つの代表的なスタイルです。メセラキ・ディリは、「聞くための歌」と言う意味のHallgato(ハルガトー)またはLokigili、ケリマスキ・ディリはCsardas(チャールダーシュ)とも呼ぶようです。後者はハンガリー東部に特徴的な呼び方かも知れません。前回のキング盤では、無伴奏に近い演奏が多かったのですが、今回のハンガリー東北部のチェニイェテ村の音源ではギターやツィンバロムなどが伴奏に入ることも多くなっています。

前回キング盤でかけた10曲目のケリマスキ・ディリと同じ曲がチェニイェテ村の音源にもありますので、まずはその曲から続けておかけします。クラリネット系の管楽器タロガトーを真似た演奏で、草笛のように聞こえますが、写真のフィルムを代わりに用いているようです。
チェニイェテ村の音源は24曲目ですが、「ジプシーのチャールダーシュ」と表記があります。

<10 舞曲、 1分18秒>
<24 Ettem Babot, Száraz Babot Eleget (I've Eaten Enough Beans, Dried Beans) 1分5秒>

ではチェニイェテ村の音源の最初から2曲続けますが、物悲しいメセラキ・ディリ系の歌だと思います。2曲目の後半は、「ハンガリーのチャールダーシュ」と「ジプシーのチャールダーシュ」となっています。

<1 Engedelmet Kérek (I Beg Your Pardon) 1分50秒>
<2 A. A Temetó Kapujába (At The Cemetery Gate) B. Erre Gyere, Amerre Én (Come With Me) C. Rák Egye Ki A Szép Szemed (Damn Your Beautiful Eyes) 4分26秒>

少し飛んで5,6曲目ももの哀しいメセラキ・ディリ系のハルガトーで、前回言いましたように、エモーショナルなカンテ・フラメンコに少し似て聞こえるようにも思います。

<5 Kerek Ez Az Erdö (This Big Forest) 1分39秒>

<6 Töltsél, Testvér, Töltsél (Pour, Brother, Pour) 2分53秒>

7,8曲目ですが、7曲目はリズミカルに歌われていて、踊り歌ケリマスキ・ディリのように思いましたが、これも「ジプシーのチャールダーシュ」と表記がありました。8曲目がおそらく同じメロディをヴァイオリンのみで独奏していて、この対比をとても面白く聞きました。

<7 Töltsél, Testvér, Töltsél (Pour, Brother, Pour) 1分19秒>
<8 "Oláhos" (A Song About The Oláh [Vlach] Gypsies) 1分9秒>

この盤は全体にメセラキ・ディリ系の無拍の哀歌ハルガトーが多い印象ですが、11曲目には明らかにリズミカルなケリマスキ・ディリ系の歌が入っています。この曲も「ジプシーのチャールダーシュ」と表記があります。ッダバ、ッディビと裏打ちリズムで入る掛け声が特徴的ですが、この地域のジプシーの間ではチャールダーシュと呼んでいるようです。

<11 Jaj, Anyám, A Vakaró (Oh, Mother, The Bread) 1分7秒>

最初に名前を上げたグループ、アンド・ドゥロムについては、独Network MedienからPhari Mamoと言う盤が出ていましたが、残念ながら売り切れで、ストリーミングにもこの盤の音源では見当たりませんでした。シングル盤の音源などがアップルミュージックにありましたので、代わりにこちらをおかけします。ネットワーク盤ではジプシーやクレズマーなどの東欧音楽を演奏するフランスのブラッチのメンバーが参加していた通り、素朴な農村ジプシー音楽にポップな要素を加えて演奏しています。ッダバ、ッディビの裏打ちリズムの掛け声も入っています。
次回はアンド・ドゥロムで他にかけたい曲がありますので、チェニイェテ村の音源の後半と併せて取り上げる予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Ando Drom / Szi Ek Sej (She Is the One) 6分27秒>

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