3,4枚目は5音音階(ペンタトニック)の民謡の特集ですが、3枚目がdescending from high and from around mid-scale(高音階から中音階付近まで)、4枚目は17曲目までがmiddle or low register(中音域または低音域)、18から24曲目がtetra-and tritonic tunes、25から34曲目まではlaments and tunes in lament styleと解説があります。これらのコメントを考慮せずランダムに選曲してみると、ラメント(哀歌)を多く選んでいることに後で気が付きました。
<21 Gábor Istvánné Balkó Katalin (60) / Arass, Rózsám, Arass - Kolon (Nyitra) 42秒>
<22 Fazekas Péterné Vilhelm Ilona (60) / Szёgény Szabó Ёrzsi, Be Elveszti Magát - Lészped (Moldva) 1分53秒>
ラメント(哀歌)は、26、28、30、31曲目を選んでいました。26曲目が1960年Borsodでの女性独唱、28曲目は1941年セークでのヴァイオリン、コントラバスなどの演奏で、ラースロー・ライタによる録音、30曲目は1960年Nagyboldog(Gomor es Kis-Hont)での女性独唱、31曲目は1960年Nogradでの女性独唱です。31曲目は前にフンガロトンの2枚組で聞いたのと同じタイプの女性の嘆き歌だと思います。ラメントの枠に器楽も入ってくることが今回分かりました。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。
各地でホワイト・クリスマスくらいならまだしも、厳寒のクリスマスになりそうな今週末です。今日は現代ハンガリー・トラッドの二人の歌姫が登場する映像を上げておきます。一本目はアグネス・ヘルツクがフォノー・ゼネカルで歌っている映像、二本目はサローキ・アーギがお婆ちゃんに歌を教わりに来ている時の映像でしょうか。最初に少しだけ横顔が映ります。この映像は今週の放送でかけたÉdёsanyám Sok Szép Szavaで検索して出てきましたが、「飛べよ孔雀の変種」のようには聞こえず、全く違う歌に聞こえます。一本目のフォノー・ゼネカルの演奏では、右の方にツィンバロムの名手バログ・カールマンが見えます。10枚組のハンガリー民謡シリーズが終わったら、現代ハンガリー・トラッドを聞いて行く予定です。
「ハンガリーの民族音楽(10CD)」の2枚目15曲目は、フンガロトンの「エチェル村の結婚式」に出てきた民謡「Kerek az én szûröm allya(私のマントは縁が丸い)」です。曲はコダーイのカーロー民族舞曲の後半でした。今日のYouTubeではバルトークとコダーイの録音のフンガロトン盤のジャケットが出ていますが、この15曲目の録音は、彼らの後輩作曲家で民族音楽学者のラースロー・ライタのようです。この演奏では後半がバグパイプ演奏になっています。Nograd地方の曲で(あるいは、Nograd地方での録音で)、男性歌手兼バグパイプ奏者による演奏です。ノグラードはハンガリー北部の地方で、現在はハンガリーとスロヴァキアに分かれている地方です。この10枚組を聞いていると、他にもコダーイの曲の原曲が幾つかありました。
謎なのは、谷本一之さんの「エチェル村の結婚式」LPの解説によると、カーロー民族舞曲はハンガリー東部のサボーチ・サツマール県のノジュカーロで1938年にコダーイが収集した民謡に基づくとあった点で、曲名もノジュカーロのカーロから来ています。ライタの録音は同じ曲をノグラードで録ったという事でしょうか。2本目はカーロー民族舞曲のライヴ映像で、4分20秒頃からKerek az én szûröm allyaが出てきます。
<15 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Kerek az én szûröm allya (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分29秒>
Kerek az én szűröm allya (My cloak has a round border)
1曲目に登場するのは、336回目に「バルトークがピアノ作品に用いたことで知られる男性の独唱」でかけた叙情歌「Hey, the wind's blowing from the Danube」ですが、この民謡を女性が歌っています。解説によると、1枚目の1~18曲目までは「孔雀の変奏」と言う大変興味深いコメントがあります。孔雀と言うのは、「飛べよ孔雀」のことだと思います。Baranyaでの録音です。
<1 Bálint Péterné, Ács Katalin (49) / Hej, Dunáról Fúj A Szél - Karácodfa (Baranya) 34秒>
Haj. Dunárul fúj a szél - Ah, the wind blows from beyond the Danube.
<54 Kós József (49) / Megy A Kanász A Partnál - Borsosberény (Nógrád) 20秒>
<55 Kós József (49) / Az Elôzô Dallam Dudán / Bagpipe Version Of Track 54 - Borsosberény (Nógrád) 1分25秒>
<13 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Aki dudás akar lёnni (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分15秒>
<14 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Pista bácsi, János bácsi (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分20秒>
Zerkula János keservese (Sír a szemem hull a könnyem)
「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music」の2枚目のジメシュ~モルドヴァ編40曲目は、ジメシュの1927年生まれのヴェテラン弾き語りフィドラー、ゼルクラ・ヤーノシュの音源が登場します。兵士の哀歌とジメシュのチャールダーシュを演奏しています。FonoのUj PatriaシリーズやFolkEuropaなどから90年代以降にCDが何枚か出ていますが、この録音は1976年にゾルタン・カーロシュが録ったものですから、まだ一連の盤が出る前です。ジメシュらしく弓で弦を叩いて演奏されるボックス・チェロのガルドンがチャールダーシュの伴奏に出て来ますが、都会のジプシーのチャールダーシュとは似ても似つかない泥臭いスタイルの演奏です。
<40 János Zerkula / Hazunk elott (In front of our house) 3分11秒>
「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music」の2枚目に、エルデーイ(トランシルヴァニア)の昔と最近のハンガリー系トラッドの格好のサンプルがありましたので、今日は2本続けて入れます。2本目はダンスハウスが始まった頃の音源になると思います。ハンガリー民謡10枚組、ドハーニ街の後で現在のトラッドも少し聞く予定です。(以下放送原稿を再度)
ハンガリー音楽の18回目になります。前回前々回に続きまして、「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music」と言うハンガリー民謡を概観する2枚組からまだ取り上げてなかった音源をおかけします。今回は2枚目のエルデーイ~ブコヴィナとジメシュ~モルドヴァ編です。
既に金曜ですので北部は飛ばしまして、ハンガリー大平原ですが、一般にはプスタや世界遺産にもなっているホルトバージのイメージで知られているかと思います。ハンガリーの国土全体の56%を占めるという草原の多い広大な地域で、東部のサトゥマール地方もすっぽりその中に入ることになります。「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music~Hallgassatok Meg, Magyarim」の1枚目に入っている民謡は多種多様で、牧草地の多い地方らしい羊飼いの歌や、(気になる)アウトローの歌などが入っていますが、以下3曲を選んでみました。キテラ弾き語りなどはなかなか他では聞けないと思います。ヴェルブンクは、同じフンガロトンのサトゥマールの音源を思い出します。(以下放送原稿を再度)
イシュトヴァーン・ネーメトですが、このフンガロトンの2枚組「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music~Hallgassatok Meg, Magyarim」の編集者の一人でした。CDはおそらくもう入手不可だと思いますので、編集者自らYouTubeに上げたということのようです。今日はこの盤から2曲、番組で取り上げたチャールダーシュです。最初が1952年のラースロー・ライタの録音、次のフリシュカの速い部分のみの方は1981年の録音です。都会のジプシー音楽ではない、昔の地方のチャールダーシュの演奏スタイルを聞ける貴重なサンプルだと思います。トランスダヌービアはブダペストとウィーンの間になりますが、録音年が割と最近でも、やはり田舎の鄙びたチャールダーシュと言う印象です。
イシュトヴァーン・ネーメトと言う人のYouTubeチャンネルに、フンガロトンの「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music~Hallgassatok Meg, Magyarim」の音源が一番多く上がっているので、先日からこちらを中心に見ております。ただ、トランスダヌービア等の1枚目と、エルデーイ~ブコヴィナ、モルドヴァ~ジメシュの2枚目の音源がランダムに入っていて、表記はハンガリー語のみ、トラック数も多いので、なかなか捜索に手間取ります。番組でかけた曲の全てはなさそうですが、クレズマー的な味わいのある14曲目がありましたので、今日はこちらを上げておきます。ツィンバロムが柔らかい音色で結婚式の舞踊曲を奏でています。ラースロー・ライタによる1960年の録音です。ラコダルミ・タンツ(Lakodalmi tánc)とは、ウェディング・ダンスの意味のハンガリー語です。
例の10枚組のハンガリー民謡大全のようなセットについては、2枚ずつ5週にかけてめぼしい曲を取り上げようかと思っております。それと、ユダヤのクレズマーで思い出しましたが、ブダペストのドハーニ街シナゴーグの音源(同じくフンガロトン)を1989年に聞いたことが民族音楽に回帰するきっかけになりましたので、民謡巡りの後で取り上げます。
<14 Dance at wedding (Instrumental group) 1分13秒>
Dunántúl - Transdanubia: Lakodalmi tánc (zenekar) - Dance at wedding (cymbalum, violin, cello)
ハンガリー音楽の17回目になります。前回に続きまして、「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music ~ Hallgassatok Meg, Magyarim」と言うハンガリー民謡を概観する2枚組からおかけします。この盤が出たのは98年で、当時ゼアミは2年目でしたが、「ハンガリー民謡逍遥」と言うタイトルで売った記憶があります。
フンガロトンの「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music」1枚目の22曲目には、バルトークがピアノ作品に用いたことで知られる男性の独唱が入っています。この曲に続いて23曲目の器楽合奏にも同じ旋律が出てきますので、2曲続けます。1936年と1968年の録音です。
<22 Domotorfy Janos "Nagy" / Hey, the wind's blowing from the Danube (Lyrical song) 41秒>
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