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2022年12月

2022年12月28日 (水)

サースチャーヴァーシュの楽士達

今週の放送分では、日本の民謡に近く感るmiddle or low registerのグループと、同じペンタトニックでもかなり日本の民謡と印象が違ってくるtetra-and tritonic tunesのグループの比較が探りどころかと思いましたが、動画を見つけるのにかなり手間取りそうですので、今日はサースチャーヴァーシュの弦楽アンサンブルの演奏を上げておきます。民謡シリーズの後で、サースチャーヴァーシュ・バンド名義の何枚かも取り上げようかと思います。
90年代初めの仏Quintana盤に始まり、ハンガリー盤でも何枚も聞いてきましたが、2022年の現在もこれ程まで老若男女の層が厚く、熱い演奏を繰り広げているとは、驚き以外の何物でもありません。しかも全て暗譜。各パートのリーダーが若手を指導している様子も窺えます。ルーマニア領トランシルヴァニアのハンガリー系の村、サースチャーヴァーシュ村(ハンガリー語でSzászcsávás、ルーマニア語でCeuaș) )の住民は、8割がハンガリー系、2割がジプシーで、結婚式や宴会で彼ら楽士が活躍してきました。
西洋式ヴァイオリンを弾く者としては、特に目を引くのが縦に構える3弦の伴奏ヴァイオリン(あるいはヴィオラ)の奏法で、重音を鳴らしやすいように駒が平らになっているようです。旋律バートと伴奏パートは、交代することもあるのか知りたいものです。地響きのようなコントラバスも近くで聞くとさぞかし凄いことでしょう。
これが今年最後のアップになると思います。喪中のため、新年初回1月8日の番組も純邦楽ではなくハンガリー・シリーズで行きます。それでは皆様良いお年をお迎え下さい。

Szászcsávási gondolatok

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2022年12月26日 (月)

セーケイ人のバラード

ゼアミdeワールド340回目の放送、日曜夜10時にありました。28日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は取り合えず3枚目の16曲目が見つかりましたので、上げておきます。今回一番の注目音源です。ゾルタン・カーロシュのコンピにも入っているようでそのジャケットが出てきます。10枚組自体ではYouTubeに上がってないようなので、他の曲も出てくるかどうか分かりませんが、年内に後1,2回はブログを上げる予定です。正月は1日と4日には特別番組になっていて通常の放送がないため、新年の初回放送は8日になります。

ハンガリー音楽の20回目になります。339回目からハンガリーFonoの「ハンガリーの民族音楽(10CD)」からご紹介していますが、今回は3,4枚目です。ハンガリー民謡大全のようなこの膨大なアーカイヴについて、どうご紹介しようかと思いましたが、一回の放送に2枚ずつ、5回かけて注目の曲をピックアップして行く予定です。
この盤はハンガリー科学アカデミーとブダペスト民俗博物館が所蔵する膨大なアーカイヴ・レコーディングスを使ったハンガリー・フォーク・ミュージックの決定版ボックス・セットでした。1930年代から1960年代に録音された貴重な記録ばかりを収録した10枚組CDと、450ページにも及ぶブックレットには、ハンガリー語と英語によるすべての歌詞が載っていますが、一曲ごとの英文解説はないので、分かる範囲で解説を入れて行きます。曲名もハンガリー語のみですが、PCに入れると歌い手の名前と年齢、フィールドワーカーの名前、録音年と場所は出て来ます。

3,4枚目は5音音階(ペンタトニック)の民謡の特集ですが、3枚目がdescending from high and from around mid-scale(高音階から中音階付近まで)、4枚目は17曲目までがmiddle or low register(中音域または低音域)、18から24曲目がtetra-and tritonic tunes、25から34曲目まではlaments and tunes in lament styleと解説があります。これらのコメントを考慮せずランダムに選曲してみると、ラメント(哀歌)を多く選んでいることに後で気が付きました。

まず3枚目ですが、16曲目に聞き覚えのある曲が入っていましたので、こちらからおかけします。1977年に谷本一之さんのFM番組で聞いたエルデーイ民謡でした。ハンガリー系少数民族セーケイ人の典型的なバラード風民謡として紹介されていましたが、こちらは1968年のコロジュ地方での音源で、少し節回しが違っています。

<16 Magyarosi János (71) / Mikor Megyek A Falumból Kifelé - Méra (Kolozs) 1分30秒>
Mikor megyek a falumból kifelé, Pt. 2

18曲目の細かく優しい節回しが印象的な女性独唱はコロジュ地方の民謡で、1938年のバルトークによる録音です。

<18 Péntek Jánosné Szabó Ilona (41) / Virág Ökröm Kivertёm A Rétre - Kôrösfô (Kolozs) 3分31秒>

3枚目の最初に戻りまして、1曲目はBorsodでの1960年の女性独唱です。

<1 Erdôs Imréné Lénárt Piros (53) / Három Bёtyár A Csádába - Cserépváralja (Borsod) 1分48秒>

4枚目に移りまして、4曲目はゾルタン・カーロシュによる1963年の録音で、チークでの女性独唱です。4枚目の前半が日本の民謡に近く感じましたが、それは先ほどのmiddle or low registerと言う解説がキーになりそうです。

<4 Bodor Györgyné Tankó Bera (42) / S Lelele Lele Nene (Dúdolás) - Gyimesfelsôlok (Csík) 2分45秒>

7曲目もゾルタン・カーロシュによる1962年録音のチークでの女性独唱で、これも日本の民謡と聞き間違いそうな感じですが、ジメシュのハンガリー系少数民族チャンゴーの歌が特にそうなのでしょうか。

<7 Ambrus Istvánné Ambrus Ilona (60) / Árva Az A Kicsi Madár - Gyimesfelsôlok (Csík) 2分57秒>

tetra-and tritonic tunesのジャンルからは2曲選んでいました。1956年のヴィカールによるNyitraでの録音と、1962年のゾルタン・カーロシュによるモルドヴァでの録音で、どちらも女性独唱です。この音階のグループは、かなり日本の民謡と印象が違ってきます。2曲続けておかけします。

<21 Gábor Istvánné Balkó Katalin (60) / Arass, Rózsám, Arass - Kolon (Nyitra) 42秒>
<22 Fazekas Péterné Vilhelm Ilona (60) / Szёgény Szabó Ёrzsi, Be Elveszti Magát - Lészped (Moldva) 1分53秒>

ラメント(哀歌)は、26、28、30、31曲目を選んでいました。26曲目が1960年Borsodでの女性独唱、28曲目は1941年セークでのヴァイオリン、コントラバスなどの演奏で、ラースロー・ライタによる録音、30曲目は1960年Nagyboldog(Gomor es Kis-Hont)での女性独唱、31曲目は1960年Nogradでの女性独唱です。31曲目は前にフンガロトンの2枚組で聞いたのと同じタイプの女性の嘆き歌だと思います。ラメントの枠に器楽も入ってくることが今回分かりました。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<26 Kutas Lajosné Kocsis Teréz (61) / Jaj Nekёm, Kedves Ёgy Fájdalmas - Cserépváralja (Borsod) 2分14秒>
<28 Ferenczi Márton (61) És Zenekara / "Régi Magyar" (Zenekar) / Instrumental Group - Szék (Szolnok-Doboka) 1分58秒>
<30 Ibos Istvánné Zsámbok Piroska (58) / Jaj, Kёdvёs Édёsanyám - Nagyboldog (Gömör És Kis-Hont) 2分10秒>
<31 Horváth Pálné Rácz Júlia (59) / Jaj Nekёm, Jaj Nekёm Édёs Kedves, Édёs Párom - Tôrincs (Nógrád) 3分21秒>

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2022年12月23日 (金)

アグネス・ヘルツクとサローキ・アーギ

各地でホワイト・クリスマスくらいならまだしも、厳寒のクリスマスになりそうな今週末です。今日は現代ハンガリー・トラッドの二人の歌姫が登場する映像を上げておきます。一本目はアグネス・ヘルツクがフォノー・ゼネカルで歌っている映像、二本目はサローキ・アーギがお婆ちゃんに歌を教わりに来ている時の映像でしょうか。最初に少しだけ横顔が映ります。この映像は今週の放送でかけたÉdёsanyám Sok Szép Szavaで検索して出てきましたが、「飛べよ孔雀の変種」のようには聞こえず、全く違う歌に聞こえます。一本目のフォノー・ゼネカルの演奏では、右の方にツィンバロムの名手バログ・カールマンが見えます。10枚組のハンガリー民謡シリーズが終わったら、現代ハンガリー・トラッドを聞いて行く予定です。

Fonó zenekar - Forgatósok és krucena

édesanyám sok szép szava

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2022年12月22日 (木)

「私のマントは縁が丸い」の謎

「ハンガリーの民族音楽(10CD)」の2枚目15曲目は、フンガロトンの「エチェル村の結婚式」に出てきた民謡「Kerek az én szûröm allya(私のマントは縁が丸い)」です。曲はコダーイのカーロー民族舞曲の後半でした。今日のYouTubeではバルトークとコダーイの録音のフンガロトン盤のジャケットが出ていますが、この15曲目の録音は、彼らの後輩作曲家で民族音楽学者のラースロー・ライタのようです。この演奏では後半がバグパイプ演奏になっています。Nograd地方の曲で(あるいは、Nograd地方での録音で)、男性歌手兼バグパイプ奏者による演奏です。ノグラードはハンガリー北部の地方で、現在はハンガリーとスロヴァキアに分かれている地方です。この10枚組を聞いていると、他にもコダーイの曲の原曲が幾つかありました。
謎なのは、谷本一之さんの「エチェル村の結婚式」LPの解説によると、カーロー民族舞曲はハンガリー東部のサボーチ・サツマール県のノジュカーロで1938年にコダーイが収集した民謡に基づくとあった点で、曲名もノジュカーロのカーロから来ています。ライタの録音は同じ曲をノグラードで録ったという事でしょうか。2本目はカーロー民族舞曲のライヴ映像で、4分20秒頃からKerek az én szûröm allyaが出てきます。

<15 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Kerek az én szûröm allya (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分29秒>
Kerek az én szűröm allya (My cloak has a round border)

Kodály Zoltán: Kállai kettős

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2022年12月21日 (水)

色々なHej, Dunáról Fúj A Szél(ヘイ・ドゥナロル・フヤ・セル)

今週の番組でかけた他の曲は、なかなかそのものの音源で見つかりませんので、月曜のHej, Dunáról Fúj A Szél(ドナウから風が吹いてくる)で検索すると、夥しい数の色々なタイプの演奏がありました。「飛べよ孔雀よ」より多いのではと思います。1本目は初期のムジカーシュで、マルタ・セバスチャンの名はまだ見えません。2本目では、おそらく童謡的な素材としてリコーダーに出てきます。3本目はハンガリー・ロック版です。
この5音音階の古いマジャール民謡がバルトーク作品に引用される前から、果たして民間で広く知られていたのだろうかと思いましたが、おそらくコダーイ・メソッドによる幼時からの「わらべ歌」を重視する音楽教育と、その後の民謡復興運動の結果なのでしょう。ダンスハウス以降のハンガリー・トラッド界は、5音音階の古いマジャール民謡をエルデーイ(トランシルヴァニア)に多く見出し、それらを素材に現在に至る活況が続いています。ブダペストのジプシー楽団が演奏するチャールダーシュは、どちらかと言えば脇に追いやられているようです。
日本の音楽教育では日本的な歌や民謡がどんどん消えて行っているようですが、これはハンガリーとは真逆でしょう。民謡や謡曲など日本的な歌を幼時から歌わせた方が良いと、私は常々思っていました。諸々の要因から簡単なことではないでしょうが、そうすることで何が変わってくるか、大変気になります。

Muzsikás Ensemble- Hej, Dunáról Fúj A Szél (Dél-Dunántúl)

"Hej, Dunáról fúj a szél"- mondókázás Kerekítő manóval, Varga-Ujvári Borbálával

NOX - Hej Dunáról (Dj T.c. Video Edit)

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2022年12月19日 (月)

ハンガリーの民族音楽(10CD)

ゼアミdeワールド339回目の放送、日曜夜10時にありました。21日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。この10枚組は廃盤で、どうやらYouTubeにも上がってないようです。1曲目も前の2枚組の男性独唱の方で上げておきます。明後日以降は検索で出て来た他の演奏で上げる予定です。

ハンガリー音楽の19回目になります。今回はハンガリーFonoから出ていた「ハンガリーの民族音楽(10CD)」の1,2枚目からご紹介したいと思います。ハンガリー民謡大全のようなこの膨大なアーカイヴについて、どうご紹介しようかと思いましたが、一回の放送に2枚ずつ、5回かけて注目の曲をピックアップして行く予定です。
この盤はハンガリー科学アカデミーとブダペスト民俗博物館が所蔵する膨大なアーカイヴ・レコーディングスを使ったハンガリー・フォーク・ミュージックの決定版ボックス・セットでした。1930年代から1960年代に録音された貴重な記録ばかりを収録した10枚組CDと、450ページにも及ぶブックレットには、ハンガリー語と英語によるすべての歌詞が載っていますが、一曲ごとの英文解説はないので、分かる範囲で解説を入れて行きます。曲名もハンガリー語のみですが、PCに入れると歌い手の名前と年齢、録音年と場所は出て来ます。

1曲目に登場するのは、336回目に「バルトークがピアノ作品に用いたことで知られる男性の独唱」でかけた叙情歌「Hey, the wind's blowing from the Danube」ですが、この民謡を女性が歌っています。解説によると、1枚目の1~18曲目までは「孔雀の変奏」と言う大変興味深いコメントがあります。孔雀と言うのは、「飛べよ孔雀」のことだと思います。Baranyaでの録音です。

<1 Bálint Péterné, Ács Katalin (49) / Hej, Dunáról Fúj A Szél - Karácodfa (Baranya) 34秒>
Haj. Dunárul fúj a szél - Ah, the wind blows from beyond the Danube.

2曲目もよく聞く民謡で、音階と旋律、音の動きが、確かに「飛べよ孔雀」に似ています。Somogyでの録音とあります。

<2 Szakáll Józsefné Bebôk Judit (62) / Fújnak A Föllegёk - Nemespátró (Somogy) 1分39秒>

8曲目はジメシュのチークでの録音で、ヴァイオリンと女性独唱のどちらも大変印象的です。これも「飛べよ孔雀」の変種なのかと想像しながら聞くと、面白いと思います。

<8 Halmágyi Mihály (41, Hegedü) És Felesége Ádám Gizella (32) / Édёsanyám Sok Szép Szava - Gyimesközéplok (Csík) 2分54秒>

「ウゴル?の結婚の音楽」とあるインストの11曲目は、ブダペストのペスト?での録音のようですが、この曲などは「飛べよ孔雀」の変種とはっきり分かる曲調です。

<11 Orsós János (53) És Zenekara / Lakoldalmi Ugrós (Instrumental) - Bogyiszló (Pest) 1分43秒>

30曲目はブコヴィナの女性独唱ですが、この地方ですから、どうしてもクレズマーを連想してしまう旋律です。

<30 Tamás Lajosné Guzerán Emerencia (46) / Déltôl Estig Nyílik A Piros Rózsa - Hadikfalva (Bukovina) 51秒>

50曲目はジメシュの男性のフィドル弾き語りで、歌とほとんど同じメロディを弾いています。

<50 Antal Zoltán (27) / Hozd Fel, Isten, Azt A Nagy Napot (Hegedô És Ének) - Gyimesközéplok (Csík) 2分48秒>

54曲目は確かバルトーク作品に引用されたノグラード地方の歌ですが、歌と同じ男性が55曲目で同じ曲をバグパイプで演奏しています。

<54 Kós József (49) / Megy A Kanász A Partnál - Borsosberény (Nógrád) 20秒>
<55 Kós József (49) / Az Elôzô Dallam Dudán / Bagpipe Version Of Track 54 - Borsosberény (Nógrád) 1分25秒>
 

2枚目の1~18曲目には、歌もありますが、オリジナルはバグパイプの曲のようです。同じ旋律を歌とバグパイプで演奏している例として、13、14曲目を続けておかけします。

<13 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Aki dudás akar lёnni (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分15秒>
<14 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Pista bácsi, János bácsi (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分20秒>

続く15曲目は「エチェル村の結婚式」に出てきた民謡です。後半がバグパイプ演奏になっています。13、14曲目と同じくNograd地方の曲で、3曲とも同じ男性歌手兼バグパイプ奏者です。ノグラードはハンガリー北部の地方で、現在はハンガリーとスロヴァキアに分かれている地方です。

<15 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Kerek az én szûröm allya (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分29秒>

26曲目は現在ルーマニア第2の都市クルージュ・ナポカがあるコロジュ地方の大変印象的な男性独唱です。ガシュパール・イシュトヴァンの歌唱で、どうやらユダヤ系の人のようです。クルージュ・ナポカはトランシルヴァニアの中心都市で、ハンガリー語ではコロジュヴァールですから、地方名と同根であることが一目瞭然です。
時間が余りましたら、やはりコロジュ地方の女性独唱の民謡の47曲目を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<26 Gáspár István (38) / Hová mész, te három árva - Magyarvista (Kolozs) 5分6秒>

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2022年12月16日 (金)

ゼルクラ・ヤーノシュの至芸

ゼルクラ・ヤーノシュはトランシルヴァニア方面のハンガリー音楽ではビッグネームだと思います。CDも何枚も出ていました。伴奏のボックス・チェロ、ガルドンの視覚的インパクトも大きいかと思いますが、絶妙のフィドリングをしながらの、素晴らしいバリトン・ヴォイス。忘れられない音楽家の一人です。2008年に亡くなっていたことを、今回初めて知りました。番組の音源の前にライブ映像を入れておきます。(以下放送原稿を再度)

Gyimesközéplok - Zerkula János és Zerkula Jánosné

Zerkula János keservese (Sír a szemem hull a könnyem)

「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music」の2枚目のジメシュ~モルドヴァ編40曲目は、ジメシュの1927年生まれのヴェテラン弾き語りフィドラー、ゼルクラ・ヤーノシュの音源が登場します。兵士の哀歌とジメシュのチャールダーシュを演奏しています。FonoのUj PatriaシリーズやFolkEuropaなどから90年代以降にCDが何枚か出ていますが、この録音は1976年にゾルタン・カーロシュが録ったものですから、まだ一連の盤が出る前です。ジメシュらしく弓で弦を叩いて演奏されるボックス・チェロのガルドンがチャールダーシュの伴奏に出て来ますが、都会のジプシーのチャールダーシュとは似ても似つかない泥臭いスタイルの演奏です。

<40 János Zerkula / Hazunk elott (In front of our house) 3分11秒>

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2022年12月15日 (木)

エルデーイ~ブコヴィナ、ジメシュ~モルドヴァの様々な民謡

明日はヴェテラン弾き語りフィドラー、ゼルクラ・ヤーノシュを見ようと思いますので、今日はエルデーイ~ブコヴィナとジメシュ~モルドヴァの両方に跨りますが、特徴的な民謡歌唱を5本入れておきます。特にびっくりしたのが、セーク地方の詩吟のような男性の謡いですが、舌を震わせる発声の子守唄、女性の嘆き歌、ウゴル諸語の古いスタイルの女性の結婚の歌も、それぞれ非常に個性的です。バルトークの録音は晩年に近い頃のものです。(以下放送原稿を再度)

12曲目は男性の叙情歌ですが、独特な発声と急な音の上昇が日本の民謡か詩吟か何かにとても似て聞こえます。ゾルタン・カーロシュによる1969年のセークでの録音です。

<12 Varga Gyorgy Szabo / Mi zorog, mi zorog a suru erdoben (What's that rattling) 1分54秒>

次の13曲目は、1937年にバルトークが録音した音源で、女性の歌う叙情歌で、トランシルヴァニア中で有名な歌だそうです。

<13 Marton Kata Ambrus / Arra kerem az en jo Istenemet (I ask my Almighty God) 1分44秒>

2枚目後半ジメシュ~モルドヴァ編に移ります。モルドヴァはルーマニア北東部ですが、ハンガリー人の多いジメシュは、トランシルヴァニアとモルドヴァの間の地方です。この地方からは、26、28、29、40曲目を選んでみました。

26曲目はモルドヴァの女性の歌う子守歌ですが、舌を震わせる発声が不思議で耳に残ります。1965年のゾルタン・カーロシュによる録音です。

<26 Balint Anna Puskas / Hejde lilibe (Lullaby) 1分14秒>

28曲目はハンガリー語が属しているウゴル諸語の古いスタイルの女性の結婚の歌で、確かにフィンランドを含むウラル系民族の歌との繋がりが感じられるように思います。モルドヴァでの1954年の録音です。

<28 Antal Lucia Demse / Hegyen, foldon jarogatok vala (I have been roaming the hills …) 1分37秒>

29曲目はジメシュで1960年に録音された女性の嘆き歌で、第二次大戦で亡くなった夫を思い歌われています。50、60年代までは残っていた5音音階の哀歌の伝統だそうです。

<29 Tanko Berta Pora / Jaj, lelkem, lelkem, jo tarsam (Alas, my dearest) 2分49秒>

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2022年12月14日 (水)

エルデーイ・トラッドの昔と今

「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music」の2枚目に、エルデーイ(トランシルヴァニア)の昔と最近のハンガリー系トラッドの格好のサンプルがありましたので、今日は2本続けて入れます。2本目はダンスハウスが始まった頃の音源になると思います。ハンガリー民謡10枚組、ドハーニ街の後で現在のトラッドも少し聞く予定です。(以下放送原稿を再度)

まずエルデーイ~ブコヴィナ編ですが、4、14、12、13曲目を選んでみました。トランシルヴァニアはルーマニアの時にも取り上げましたが、今回はハンガリー系住民の音楽です。何度も解説を入れていますが、トランシルヴァニアはハンガリー語ではエルデーイと言います。

4曲目はラースロー・ライタによる1941年録音と言うかなり古い音源で、ダンスハウス以降の現在のハンガリー・トラッドでよく聞かれるスタイルそのもののように聞こえます。セーキ・ラコダルマシュと言うタイトルは「セーク地方の結婚の歌」の意味だと思います。

<4 Marton Zsuki Ferenczi / Szeki lakodalmas (Wedding song) 2分50秒>

14曲目に現在ハンガリー・トラッドでよく聞かれるスタイルの演奏が入っていますので、比較で入れておきます。1974年録音のチャールダーシュのゆったりしたラッサンの部分です。

<14 Zoltan Demeter / Lassu csardasok (Slow Czardashe) 2分59秒>

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2022年12月12日 (月)

エルデーイ~ブコヴィナとジメシュ~モルドヴァ編

ゼアミdeワールド338回目の放送、日曜夜10時にありました。14日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画は、とりあえずラストにかけた「6つのルーマニア民族舞曲」を入れておきます。ヨーゼフ・シゲティのヴァイオリンとバルトーク自身のピアノによる演奏です。

ハンガリー音楽の18回目になります。前回前々回に続きまして、「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music」と言うハンガリー民謡を概観する2枚組からまだ取り上げてなかった音源をおかけします。今回は2枚目のエルデーイ~ブコヴィナとジメシュ~モルドヴァ編です。

まずエルデーイ~ブコヴィナ編ですが、4、14、12、13曲目を選んでみました。トランシルヴァニアはルーマニアの時にも取り上げましたが、今回はハンガリー系住民の音楽です。何度も解説を入れていますが、トランシルヴァニアはハンガリー語ではエルデーイと言います。

4曲目はラースロー・ライタによる1941年録音と言うかなり古い音源で、ダンスハウス以降の現在のハンガリー・トラッドでよく聞かれるスタイルそのもののように聞こえます。セーキ・ラコダルマシュと言うタイトルは「セーク地方の結婚の歌」の意味だと思います。

<4 Marton Zsuki Ferenczi / Szeki lakodalmas (Wedding song) 2分50秒>

14曲目に現在ハンガリー・トラッドでよく聞かれるスタイルの演奏が入っていますので、比較で入れておきます。1974年録音のチャールダーシュのゆったりしたラッサンの部分です。

<14 Zoltan Demeter / Lassu csardasok (Slow Czardashe) 2分59秒>

12曲目は男性の叙情歌ですが、独特な発声と急な音の上昇が日本の民謡か詩吟か何かにとても似て聞こえます。ゾルタン・カーロシュによる1969年のセークでの録音です。

<12 Varga Gyorgy Szabo / Mi zorog, mi zorog a suru erdoben (What's that rattling) 1分54秒>

次の13曲目は、1937年にバルトークが録音した音源で、女性の歌う叙情歌で、トランシルヴァニア中で有名な歌だそうです。

<13 Marton Kata Ambrus / Arra kerem az en jo Istenemet (I ask my Almighty God) 1分44秒>

2枚目後半ジメシュ~モルドヴァ編に移ります。モルドヴァはルーマニア北東部ですが、ハンガリー人の多いジメシュは、トランシルヴァニアとモルドヴァの間の地方です。この地方からは、26、28、29、40曲目を選んでみました。

26曲目はモルドヴァの女性の歌う子守歌ですが、舌を震わせる発声が不思議で耳に残ります。1965年のゾルタン・カーロシュによる録音です。

<26 Balint Anna Puskas / Hejde lilibe (Lullaby) 1分14秒>

28曲目はハンガリー語が属しているウゴル諸語の古いスタイルの女性の結婚の歌で、確かにフィンランドを含むウラル系民族の歌との繋がりが感じられるように思います。モルドヴァでの1954年の録音です。

<28 Antal Lucia Demse / Hegyen, foldon jarogatok vala (I have been roaming the hills …) 1分37秒>

29曲目はジメシュで1960年に録音された女性の嘆き歌で、第二次大戦で亡くなった夫を思い歌われています。50、60年代までは残っていた5音音階の哀歌の伝統だそうです。

<29 Tanko Berta Pora / Jaj, lelkem, lelkem, jo tarsam (Alas, my dearest) 2分49秒>

かなり飛んで40曲目はジメシュの1927年生まれのヴェテラン弾き語りフィドラー、ゼルクラ・ヤーノシュの音源が登場します。兵士の哀歌とジメシュのチャールダーシュを演奏しています。FonoのUj PatriaシリーズやFolkEuropaなどから90年代以降にCDが何枚か出ていますが、この録音は1976年にゾルタン・カーロシュが録ったものですから、まだ一連の盤が出る前です。ジメシュらしく弓で弦を叩いて演奏されるボックス・チェロのガルドンがチャールダーシュの伴奏に出て来ますが、都会のジプシーのチャールダーシュとは似ても似つかない泥臭いスタイルの演奏です。

<40 János Zerkula / Hazunk elott (In front of our house) 3分11秒>

では最後に、ルーマニアの時以来何度かかけていますが、バルトークの作品でおそらく最も有名で人気のある「6つのルーマニア民族舞曲」を時間まで聞きながら今回はお別れです。ヨーゼフ・シゲティのヴァイオリンとバルトーク自身のピアノによる演奏です。曲名に「ルーマニア」と付いていますが、半分以上がトランシルヴァニア各地のハンガリー系の音楽です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ベーラ・バルトーク & ヨゼフ・シゲティ / Rumanian Folk Dances 5分21秒>

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2022年12月 9日 (金)

ハンガリー大平原のクリスマスの歌、キテラ弾き語り、ハーディーガーディー、ヴェルブンク

既に金曜ですので北部は飛ばしまして、ハンガリー大平原ですが、一般にはプスタや世界遺産にもなっているホルトバージのイメージで知られているかと思います。ハンガリーの国土全体の56%を占めるという草原の多い広大な地域で、東部のサトゥマール地方もすっぽりその中に入ることになります。「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music~Hallgassatok Meg, Magyarim」の1枚目に入っている民謡は多種多様で、牧草地の多い地方らしい羊飼いの歌や、(気になる)アウトローの歌などが入っていますが、以下3曲を選んでみました。キテラ弾き語りなどはなかなか他では聞けないと思います。ヴェルブンクは、同じフンガロトンのサトゥマールの音源を思い出します。(以下放送原稿を再度)

39~56曲目はハンガリー大平原の音源に移ります。ハンガリーの東部と南部になります。40曲目は1937年録音のクリスマスの女性独唱です。

<40 Joos Andrasne Katai Maria / A nice rose is in full bloom now (Christmas song) 1分38秒>

45曲目は1939年録音の女性の叙情歌ですが、珍しい撥弦楽器キテラの弾き語りに始まり、後半は手回しヴァイオリンのハーディーガーディーの演奏に変わります。

<45 Maszlag Jozsefne Megs Balogh Maria & Balla Istvan / Blue violet (Lyrical song) 2分15秒>

最後に53曲目のヴェルブンクを聞きながら今回はお別れです。募兵の踊りヴェルブンクの1968年の録音です。

<53 Rupa Zoltan & his group / Verbunk (Recruiting dance of Cumania) (Instrumental group) 2分10秒>

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2022年12月 8日 (木)

トランスダヌービアのチャールダーシュ

イシュトヴァーン・ネーメトですが、このフンガロトンの2枚組「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music~Hallgassatok Meg, Magyarim」の編集者の一人でした。CDはおそらくもう入手不可だと思いますので、編集者自らYouTubeに上げたということのようです。今日はこの盤から2曲、番組で取り上げたチャールダーシュです。最初が1952年のラースロー・ライタの録音、次のフリシュカの速い部分のみの方は1981年の録音です。都会のジプシー音楽ではない、昔の地方のチャールダーシュの演奏スタイルを聞ける貴重なサンプルだと思います。トランスダヌービアはブダペストとウィーンの間になりますが、録音年が割と最近でも、やはり田舎の鄙びたチャールダーシュと言う印象です。

<18 Tendl Pal & his group / Czardash 57秒>

<19 Csonka Gyula & group / Fast Czardash 37秒>

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2022年12月 7日 (水)

トランスダヌービアのラコダルミ・タンツ

イシュトヴァーン・ネーメトと言う人のYouTubeチャンネルに、フンガロトンの「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music~Hallgassatok Meg, Magyarim」の音源が一番多く上がっているので、先日からこちらを中心に見ております。ただ、トランスダヌービア等の1枚目と、エルデーイ~ブコヴィナ、モルドヴァ~ジメシュの2枚目の音源がランダムに入っていて、表記はハンガリー語のみ、トラック数も多いので、なかなか捜索に手間取ります。番組でかけた曲の全てはなさそうですが、クレズマー的な味わいのある14曲目がありましたので、今日はこちらを上げておきます。ツィンバロムが柔らかい音色で結婚式の舞踊曲を奏でています。ラースロー・ライタによる1960年の録音です。ラコダルミ・タンツ(Lakodalmi tánc)とは、ウェディング・ダンスの意味のハンガリー語です。
例の10枚組のハンガリー民謡大全のようなセットについては、2枚ずつ5週にかけてめぼしい曲を取り上げようかと思っております。それと、ユダヤのクレズマーで思い出しましたが、ブダペストのドハーニ街シナゴーグの音源(同じくフンガロトン)を1989年に聞いたことが民族音楽に回帰するきっかけになりましたので、民謡巡りの後で取り上げます。

<14 Dance at wedding (Instrumental group) 1分13秒>
Dunántúl - Transdanubia: Lakodalmi tánc (zenekar) - Dance at wedding (cymbalum, violin, cello)

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2022年12月 5日 (月)

「15のハンガリー農民歌」の自作自演から

ゼアミdeワールド337回目の放送、日曜夜10時にありました。7日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はバルトークの「15のハンガリー農民歌」の自作自演のみ入れておきます。何故No7-10, 12, 14, 15だけなのか不明ですが、この録音はミクロコスモスやシゲティ、ベニー・グッドマンとの共演なども最高です。

ハンガリー音楽の17回目になります。前回に続きまして、「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music ~ Hallgassatok Meg, Magyarim」と言うハンガリー民謡を概観する2枚組からおかけします。この盤が出たのは98年で、当時ゼアミは2年目でしたが、「ハンガリー民謡逍遥」と言うタイトルで売った記憶があります。

1907~93年に録音された音源の集成の中でも、5音音階のマジャール民謡はむしろ少数のようで、改めて聞き直してみると、農村ジプシーの音楽や、エルデーイ(トランシルヴァニア)の古いハンガリー音楽も目立ちます。

ハンガリーの伝統音楽は、都会に住むジプシーの職業楽士の音楽、前々回まで3回取り上げたような真のジプシー音楽、ハンガリー人または自称マジャール人の5音音階を含む民謡が3つの大きな柱ですが、その3つの区別を明らかにしたのがバルトークやコダーイの研究で、彼らの作品の中にマジャール民謡が引用された曲もあります。

前回の最後にかけようかと思っていた曲ですが、5音音階の曲が印象的なバルトークのピアノ曲「15のハンガリー農民歌」の抜粋音源がありますので、まずはこちらからおかけします。名ピアニストでもあったバルトーク自身の演奏です。

<15 Hungarian Peasant Songs for Piano: Nos 7-10, 12, 14, 15 Old Dance Tunes 4分38秒>

この後はListen, My Hungariansの1枚目のトランスダヌービア、北部、ハンガリー大平原の、前回かけてない音源から抜粋して行きます。

まずはハンガリー中央部のトランスダヌービアですが、ブダペストより西側と言う事なので、ハンガリー西部と言った方が良さそうな地域です。9曲目の少女の輪舞の合唱ですが、バルトーク作品に使われていたような気がする曲です。1963年の録音です。

<9 Love, love, cursed distress (Girls round dance) 52秒>

14曲目はクレズマー的な味わいのある旋律で、ツィンバロムが柔らかい音色で結婚式の舞踊曲を奏でています。ラースロー・ライタによる1960年の録音です。

<14 Dance at wedding (Instrumental group) 1分13秒>

16曲目は縦笛フルヤの吹奏ですが、声とのダブルトーンになっています。1936年の録音です。

<16 Kaplar Janos / Love, love, cursed distress 1分55秒>

18、19目とチャールダーシュが続きますが、最初が1952年のラースロー・ライタの録音、次のフリシュカの部分のみの方は1981年の録音です。都会のジプシー音楽ではない、昔の地方のチャールダーシュの演奏スタイルを聞ける貴重なサンプルだと思います。

<18 Tendl Pal & his group / Czardash 57秒>
<19 Csonka Gyula & group / Fast Czardash 37秒>

24曲目からはハンガリー北部の音楽に移りますが、正確には前に取り上げた音源のチェニエテ村のある北東部になると思います。コダーイの1914年録音の叙情歌から始まります。

<24 Nagy Janosne Czako Veron / The foot of the Csitár hills (Lyrical song) 44秒>

27曲目は1938年録音の二つの結婚の歌です。

<27 Fulop Matene Gal Ilona / Don't fall asleep (Two wedding songs heralding daybreak) 1分45秒>

32、33曲目はOh, how longと言う同じ英訳の付いた曲で、最初が叙情歌、後の曲はフルヤの演奏です。1976年と1961年の録音です。

<32 Bajzath Ferencne & Szabo Malvin / Oh, how long (Lyrical song) 1分2秒>
<33 Pozsik István / Oh, how long (Instrumental (flute)) 1分42秒>

39~56曲目はハンガリー大平原の音源に移ります。ハンガリーの東部と南部になります。40曲目は1937年録音のクリスマスの女性独唱です。

<40 Joos Andrasne Katai Maria / A nice rose is in full bloom now (Christmas song) 1分38秒>

45曲目は1939年録音の女性の叙情歌ですが、珍しい撥弦楽器キテラの弾き語りに始まり、後半は手回しヴァイオリンのハーディーガーディーの演奏に変わります。

<45 Maszlag Jozsefne Megs Balogh Maria & Balla Istvan / Blue violet (Lyrical song) 2分15秒>

最後に53曲目のヴェルブンクを聞きながら今回はお別れです。募兵の踊りヴェルブンクの1968年の録音です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<53 Rupa Zoltan & his group / Verbunk (Recruiting dance of Cumania) (Instrumental group) 2分10秒>

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2022年12月 2日 (金)

縦笛フルヤの曲

縦笛フルヤの曲は「子供のために」に入っているだけでなく、晩年の傑作「管弦楽のための協奏曲」の終楽章にも引用されています。Swineherd's Danceは「豚飼いの踊り」と訳せますが、オケコンでは「豚使いの角笛」となっているようです。3本目はフリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団の演奏のその箇所です。原曲は素朴な縦笛の旋律ですが、ビゼーの「アルルの女」で喩えるなら、フィナーレのファランドールのような躍動感と華々しさを表現する曲に変貌しています。
「子供のために」は、ハンガリー民謡の影響が濃厚な子供の教育用教本で、1908年-1909年の作曲後、死の1945年まで何度も改訂しているそうです。バルトークの、熱心なピアノ教育者としての顔が垣間見えるエピソードです。今週番組でかけた中では、2枚目のトランシルヴァニアとモルドヴァの音源が残っていますが、来週もう一回2枚目にかける予定ですので、来週に回します。

「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music」の2枚組に戻りまして、1枚目の1,2曲目はバルトークが1907年に録音した蝋管録音が入っています。

<2 Swineherd's dance from Urög 28秒>
Ürögi kanásztánc - Swinehers's dance from Ürög

2曲目の縦笛フルヤの曲は、バルトークがピアノ曲に引用していますので、その曲を次におかけします。「子供のために」の40曲目です。

<13 For Children, BB 53, Sz. 42: No. 40 Allegro Vivace 1分40秒>
For Children, Sz. 42: Vol. 1, No. 40 Swineherd's Dance

Swineherd's Dance

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2022年12月 1日 (木)

ハンガリーの5音音階民謡とバルトーク作品

1977年頃にハンガリーの5音音階の民謡を初めて聞いた時は、ヨーロッパの中にアジアの要素がある驚きを感じ、その面白さから民族音楽行脚が始まったので、とりわけこだわって来たエリアの一つです。当時祖父と一緒に日本の民謡番組をよく見ていたので、比較的馴染みはあったように思いますから、無意識に比較もしていたのかも知れません。日本の民謡とかブルースなど黒人の音楽とか、世界に5音音階の歌は数多ありますが、今日の曲などは昨日の「飛べよ孔雀」ほどではないにしても、結構日本の民謡に似た部分、同時に似て非なる部分もあって、面白い曲です。バルトークの編曲は、やはり現代音楽に近づく音の作りですが、最近は大分一般聴衆にも受容されてきているのでしょうか。70年代頃はまだ一部の熱心なリスナーだけだったと思います。
民謡の方は1936年録音のみ上げておきます。コチシュの動画はショートですので、埋め込みは出来ないようです。(以下放送原稿を再度)

フンガロトンの「Listen, My Hungarians: A Survey of Hungarian Folk Music」1枚目の22曲目には、バルトークがピアノ作品に用いたことで知られる男性の独唱が入っています。この曲に続いて23曲目の器楽合奏にも同じ旋律が出てきますので、2曲続けます。1936年と1968年の録音です。

<22 Domotorfy Janos "Nagy" / Hey, the wind's blowing from the Danube (Lyrical song) 41秒>

先程の曲を原曲とするバルトーク作品を次におかけします。ピアノのための即興曲の第4曲目です。ピアノ独奏はゾルタン・コチシュです。

<28 8 Improvisations On Hungarian Peasant Songs, (, Op. 20) Sz. 74 (BB 83): IV. Allegretto Scherzando 40秒>
https://youtube.com/shorts/t-56FjTkV2Q?feature=share

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