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2022年12月19日 (月)

ハンガリーの民族音楽(10CD)

ゼアミdeワールド339回目の放送、日曜夜10時にありました。21日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。この10枚組は廃盤で、どうやらYouTubeにも上がってないようです。1曲目も前の2枚組の男性独唱の方で上げておきます。明後日以降は検索で出て来た他の演奏で上げる予定です。

ハンガリー音楽の19回目になります。今回はハンガリーFonoから出ていた「ハンガリーの民族音楽(10CD)」の1,2枚目からご紹介したいと思います。ハンガリー民謡大全のようなこの膨大なアーカイヴについて、どうご紹介しようかと思いましたが、一回の放送に2枚ずつ、5回かけて注目の曲をピックアップして行く予定です。
この盤はハンガリー科学アカデミーとブダペスト民俗博物館が所蔵する膨大なアーカイヴ・レコーディングスを使ったハンガリー・フォーク・ミュージックの決定版ボックス・セットでした。1930年代から1960年代に録音された貴重な記録ばかりを収録した10枚組CDと、450ページにも及ぶブックレットには、ハンガリー語と英語によるすべての歌詞が載っていますが、一曲ごとの英文解説はないので、分かる範囲で解説を入れて行きます。曲名もハンガリー語のみですが、PCに入れると歌い手の名前と年齢、録音年と場所は出て来ます。

1曲目に登場するのは、336回目に「バルトークがピアノ作品に用いたことで知られる男性の独唱」でかけた叙情歌「Hey, the wind's blowing from the Danube」ですが、この民謡を女性が歌っています。解説によると、1枚目の1~18曲目までは「孔雀の変奏」と言う大変興味深いコメントがあります。孔雀と言うのは、「飛べよ孔雀」のことだと思います。Baranyaでの録音です。

<1 Bálint Péterné, Ács Katalin (49) / Hej, Dunáról Fúj A Szél - Karácodfa (Baranya) 34秒>
Haj. Dunárul fúj a szél - Ah, the wind blows from beyond the Danube.

2曲目もよく聞く民謡で、音階と旋律、音の動きが、確かに「飛べよ孔雀」に似ています。Somogyでの録音とあります。

<2 Szakáll Józsefné Bebôk Judit (62) / Fújnak A Föllegёk - Nemespátró (Somogy) 1分39秒>

8曲目はジメシュのチークでの録音で、ヴァイオリンと女性独唱のどちらも大変印象的です。これも「飛べよ孔雀」の変種なのかと想像しながら聞くと、面白いと思います。

<8 Halmágyi Mihály (41, Hegedü) És Felesége Ádám Gizella (32) / Édёsanyám Sok Szép Szava - Gyimesközéplok (Csík) 2分54秒>

「ウゴル?の結婚の音楽」とあるインストの11曲目は、ブダペストのペスト?での録音のようですが、この曲などは「飛べよ孔雀」の変種とはっきり分かる曲調です。

<11 Orsós János (53) És Zenekara / Lakoldalmi Ugrós (Instrumental) - Bogyiszló (Pest) 1分43秒>

30曲目はブコヴィナの女性独唱ですが、この地方ですから、どうしてもクレズマーを連想してしまう旋律です。

<30 Tamás Lajosné Guzerán Emerencia (46) / Déltôl Estig Nyílik A Piros Rózsa - Hadikfalva (Bukovina) 51秒>

50曲目はジメシュの男性のフィドル弾き語りで、歌とほとんど同じメロディを弾いています。

<50 Antal Zoltán (27) / Hozd Fel, Isten, Azt A Nagy Napot (Hegedô És Ének) - Gyimesközéplok (Csík) 2分48秒>

54曲目は確かバルトーク作品に引用されたノグラード地方の歌ですが、歌と同じ男性が55曲目で同じ曲をバグパイプで演奏しています。

<54 Kós József (49) / Megy A Kanász A Partnál - Borsosberény (Nógrád) 20秒>
<55 Kós József (49) / Az Elôzô Dallam Dudán / Bagpipe Version Of Track 54 - Borsosberény (Nógrád) 1分25秒>
 

2枚目の1~18曲目には、歌もありますが、オリジナルはバグパイプの曲のようです。同じ旋律を歌とバグパイプで演奏している例として、13、14曲目を続けておかけします。

<13 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Aki dudás akar lёnni (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分15秒>
<14 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Pista bácsi, János bácsi (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分20秒>

続く15曲目は「エチェル村の結婚式」に出てきた民謡です。後半がバグパイプ演奏になっています。13、14曲目と同じくNograd地方の曲で、3曲とも同じ男性歌手兼バグパイプ奏者です。ノグラードはハンガリー北部の地方で、現在はハンガリーとスロヴァキアに分かれている地方です。

<15 Kós József (49) Ének, Majd Duda / Kerek az én szûröm allya (ének, majd duda) - Borsosberény (Nógrád) 1分29秒>

26曲目は現在ルーマニア第2の都市クルージュ・ナポカがあるコロジュ地方の大変印象的な男性独唱です。ガシュパール・イシュトヴァンの歌唱で、どうやらユダヤ系の人のようです。クルージュ・ナポカはトランシルヴァニアの中心都市で、ハンガリー語ではコロジュヴァールですから、地方名と同根であることが一目瞭然です。
時間が余りましたら、やはりコロジュ地方の女性独唱の民謡の47曲目を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<26 Gáspár István (38) / Hová mész, te három árva - Magyarvista (Kolozs) 5分6秒>

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