セーケイ人のバラード
ゼアミdeワールド340回目の放送、日曜夜10時にありました。28日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は取り合えず3枚目の16曲目が見つかりましたので、上げておきます。今回一番の注目音源です。ゾルタン・カーロシュのコンピにも入っているようでそのジャケットが出てきます。10枚組自体ではYouTubeに上がってないようなので、他の曲も出てくるかどうか分かりませんが、年内に後1,2回はブログを上げる予定です。正月は1日と4日には特別番組になっていて通常の放送がないため、新年の初回放送は8日になります。
ハンガリー音楽の20回目になります。339回目からハンガリーFonoの「ハンガリーの民族音楽(10CD)」からご紹介していますが、今回は3,4枚目です。ハンガリー民謡大全のようなこの膨大なアーカイヴについて、どうご紹介しようかと思いましたが、一回の放送に2枚ずつ、5回かけて注目の曲をピックアップして行く予定です。
この盤はハンガリー科学アカデミーとブダペスト民俗博物館が所蔵する膨大なアーカイヴ・レコーディングスを使ったハンガリー・フォーク・ミュージックの決定版ボックス・セットでした。1930年代から1960年代に録音された貴重な記録ばかりを収録した10枚組CDと、450ページにも及ぶブックレットには、ハンガリー語と英語によるすべての歌詞が載っていますが、一曲ごとの英文解説はないので、分かる範囲で解説を入れて行きます。曲名もハンガリー語のみですが、PCに入れると歌い手の名前と年齢、フィールドワーカーの名前、録音年と場所は出て来ます。
3,4枚目は5音音階(ペンタトニック)の民謡の特集ですが、3枚目がdescending from high and from around mid-scale(高音階から中音階付近まで)、4枚目は17曲目までがmiddle or low register(中音域または低音域)、18から24曲目がtetra-and tritonic tunes、25から34曲目まではlaments and tunes in lament styleと解説があります。これらのコメントを考慮せずランダムに選曲してみると、ラメント(哀歌)を多く選んでいることに後で気が付きました。
まず3枚目ですが、16曲目に聞き覚えのある曲が入っていましたので、こちらからおかけします。1977年に谷本一之さんのFM番組で聞いたエルデーイ民謡でした。ハンガリー系少数民族セーケイ人の典型的なバラード風民謡として紹介されていましたが、こちらは1968年のコロジュ地方での音源で、少し節回しが違っています。
<16 Magyarosi János (71) / Mikor Megyek A Falumból Kifelé - Méra (Kolozs) 1分30秒>
Mikor megyek a falumból kifelé, Pt. 2
18曲目の細かく優しい節回しが印象的な女性独唱はコロジュ地方の民謡で、1938年のバルトークによる録音です。
<18 Péntek Jánosné Szabó Ilona (41) / Virág Ökröm Kivertёm A Rétre - Kôrösfô (Kolozs) 3分31秒>
3枚目の最初に戻りまして、1曲目はBorsodでの1960年の女性独唱です。
<1 Erdôs Imréné Lénárt Piros (53) / Három Bёtyár A Csádába - Cserépváralja (Borsod) 1分48秒>
4枚目に移りまして、4曲目はゾルタン・カーロシュによる1963年の録音で、チークでの女性独唱です。4枚目の前半が日本の民謡に近く感じましたが、それは先ほどのmiddle or low registerと言う解説がキーになりそうです。
<4 Bodor Györgyné Tankó Bera (42) / S Lelele Lele Nene (Dúdolás) - Gyimesfelsôlok (Csík) 2分45秒>
7曲目もゾルタン・カーロシュによる1962年録音のチークでの女性独唱で、これも日本の民謡と聞き間違いそうな感じですが、ジメシュのハンガリー系少数民族チャンゴーの歌が特にそうなのでしょうか。
<7 Ambrus Istvánné Ambrus Ilona (60) / Árva Az A Kicsi Madár - Gyimesfelsôlok (Csík) 2分57秒>
tetra-and tritonic tunesのジャンルからは2曲選んでいました。1956年のヴィカールによるNyitraでの録音と、1962年のゾルタン・カーロシュによるモルドヴァでの録音で、どちらも女性独唱です。この音階のグループは、かなり日本の民謡と印象が違ってきます。2曲続けておかけします。
<21 Gábor Istvánné Balkó Katalin (60) / Arass, Rózsám, Arass - Kolon (Nyitra) 42秒>
<22 Fazekas Péterné Vilhelm Ilona (60) / Szёgény Szabó Ёrzsi, Be Elveszti Magát - Lészped (Moldva) 1分53秒>
ラメント(哀歌)は、26、28、30、31曲目を選んでいました。26曲目が1960年Borsodでの女性独唱、28曲目は1941年セークでのヴァイオリン、コントラバスなどの演奏で、ラースロー・ライタによる録音、30曲目は1960年Nagyboldog(Gomor es Kis-Hont)での女性独唱、31曲目は1960年Nogradでの女性独唱です。31曲目は前にフンガロトンの2枚組で聞いたのと同じタイプの女性の嘆き歌だと思います。ラメントの枠に器楽も入ってくることが今回分かりました。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<26 Kutas Lajosné Kocsis Teréz (61) / Jaj Nekёm, Kedves Ёgy Fájdalmas - Cserépváralja (Borsod) 2分14秒>
<28 Ferenczi Márton (61) És Zenekara / "Régi Magyar" (Zenekar) / Instrumental Group - Szék (Szolnok-Doboka) 1分58秒>
<30 Ibos Istvánné Zsámbok Piroska (58) / Jaj, Kёdvёs Édёsanyám - Nagyboldog (Gömör És Kis-Hont) 2分10秒>
<31 Horváth Pálné Rácz Júlia (59) / Jaj Nekёm, Jaj Nekёm Édёs Kedves, Édёs Párom - Tôrincs (Nógrád) 3分21秒>
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