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2023年1月 9日 (月)

サボルチ・サトマール県の民謡から

ゼアミdeワールド341回目の放送、日曜夜10時にありました。11日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。やはりこの10枚組自体の音源は見つかりませんので、最初にかけたNem Vagyok Én Senkinek Sem Adósa, Adósaで検索して出てきたシャーンドル・ラカトシュとチーク・ゼネカルの演奏で上げておきます。チーク・ゼネカルではエンディングにこの曲が出て来ます。

収録は年末にしておりますが、放送されるのは1月8日になります。例年ですと年の初めは新年の純邦楽特集をしておりますが、喪中ですので、そのまま通常のシリーズで続けます。
ハンガリー音楽の21回目になります。339回目からハンガリーFonoの「ハンガリーの民族音楽(10CD)」からご紹介していますが、今回は5,6枚目です。ハンガリー民謡大全のようなこの膨大なアーカイヴについては、一回の放送に2枚ずつ、5回かけて注目の曲をピックアップしております。

この盤はハンガリー科学アカデミーとブダペスト民俗博物館が所蔵する膨大なアーカイヴ・レコーディングスを使ったハンガリー・フォーク・ミュージックの決定版ボックス・セットでした。1930年代から1960年代に録音された貴重な記録ばかりを収録した10枚組CDと、450ページにも及ぶブックレットには、ハンガリー語と英語によるすべての歌詞が載っていますが、一曲ごとの英文解説はないので、分かる範囲で解説を入れて行きます。曲名もハンガリー語のみですが、PCに入れると歌い手の名前と年齢、フィールドワーカーの名前、録音年と場所は出て来ます。

5枚目はラメント(哀歌)とラメントのスタイルの曲が入っています。
5、6曲目は「エチェル村の結婚式」のカーロー民族舞曲の最後の曲の原曲と思われる男性独唱と、同じ曲の1968年の器楽合奏です。データによると、ハンガリー北東部サボルチ・サトマール県の民謡のようです。1975年録音なので、この曲が原曲とすれば、「エチェル村の結婚式」の舞台にかけられたのは、そのすぐ後になります。

<5 VAs János (73) / Nem Vagyok Én Senkinek Sem Adósa, Adósa - Nagykálló (Szabolcs) 28秒>
<6 Orsóss János (45) És Zenekara / Az Elôzô Dallam Zenekarral / Instrumental Group Version Of Revious Song - Bogyiszló (Pest) 1分11秒>

Nem vagyok én senkinek sem adósa

Csík Zenekar - Kállai kettős dallamai

曲名がすぐに出て来ませんが、9曲目は何かクラシック作品に引用されていたと思います。続く10曲目は同じ曲をジプシー楽団のような編成で演奏しています。

<9 Bartók Béláné Nahalka Julianna (64) / Bánom, Hogy Megházasodtam - Gömörhosszúszó (Gömör És Kis-Hont) 45秒>
<10 Orsós János (45) És Zenekara / "Ugrós" (Zenekar) / Instrumental Group Version Of Previous Song - Bogyiszló (Pest) 42秒>

お聞きの通り、このアーカイヴには短い録音が多いのですが、1950年と言う古い録音の割には9分近い長い音源が15曲目です。モルドヴァらしい旋律と節回しの女性独唱です。

<15 Bandi Györgyné Gyurka Mária (40) / Mónár Anna, Szép Mёnyecske - Gajcsána (Moldva) 8分44秒>

エルデーイのラッサン(ラッシュー)と題する当時のゼネカル(グループの意味)の演奏は、1944年という事で戦中の古い音源です。

<24 Kristóf Vencel (59) És Zenekara / "Erdéyes Lassú" (Zenekar) / Instrumental Group - Kôrispatak (Udvarhely) 1分56秒>

ラースロー・ライタが1937年にサトゥマールで録音した26曲目も、「エチェル村の結婚式」に出てきた旋律です。相当古い録音ですが、余り古さを感じません。

<26 Baracsi Menyhértné Kiss Julianna (40) / Templomot Is Építettem Túróbuhuhuhu, Túróbu - Tunyog (Szatmár) 1分11秒>

6枚目は15曲目までが風習に関する歌で、16曲目からはdiatonic descending tunesとあります。これは全音階降下曲と訳せるでしょうか。
15曲目は1957年トルナ県での女性重唱で、「エチェル村の結婚式」の「三つの跳躍の踊り」の原曲ではないかと思われます。

<15 Ismeretlen Asszonyok / Üröm, Üröm, Fehér Üröm - Decs (Tolna) 36秒>

30、31曲目は同じ民謡の独唱と器楽演奏のようです。独唱が1972年、器楽合奏は1968年の録音です。ブダペストのあるペシュト県での録音ですので、都会のジプシー音楽に近いように聞こえます。

<30 Andrejcsik Balázsné Sebôk Mária (69) / Kútágas Gémёstôl - Zubogy (Gömör És Kis-Hont) 27秒>
<31 Orsós János (45) Prímás És Zenekara / "Ugrós" Zenekar / Instrumental Group - Bogyiszló (Pest) 42秒>

47曲目はビハール県での1960年録音の女性独唱で、哀愁味のある美しい旋律が耳に残ります。その後時間が余りそうですので、風習に関する歌から5曲目辺りまでを聞きながら今回はお別れです。子供の数え歌や、素っ頓狂な声も聞こえてきます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<47 Koszta Pálné Kis Lujza (50) / Kéreti A Nénémet Cifra Szabólegény - Mezôgyán (Bihar) 2分4秒>

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