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2023年2月

2023年2月27日 (月)

想い焦がれて~カラーディ歌集~

ゼアミdeワールド348回目の放送、日曜夜10時にありました。1日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。Mindig Az a Percは先週上げましたので、今日は2曲目のみです。

ハンガリー音楽の28回目になります。現代ハンガリーのトラッドの5回目は、前回最初にかけた3人の歌姫の内、サローキ・アーギ Szalóki Ágiの特集の2回目です。彼女はハンガリーを代表するコンテンポラリー派トラッド・バンド『マカーム』や、ハンガリーのロマのツィンバロム奏者バログ・カールマーンとの共演などをはじめ、バルカン・トラッド・バンド『ベシュ・オ・ドロム』のヴォーカリストとしても活躍した美貌の女性歌手です。2005年前後からのソロ活動では、ジャズやチルドレン・ソング、30年代のバラードとの融合を試みた作品を幾つか出しています。

前回フェイドアウトで終わってしまって惜しいので、その曲Mindig Az a Percから始めたいと思います。2008年にFolkEurópaから出たA vágy muzsikál、邦題は「想い焦がれて~カラーディ歌集~」と言う盤は、先ほどの区分で言えば「1930年代のバラード」になりますが、やはり上質なジャズを上手く取り入れています。カラーディとは、有名なハンガリー戦前の女優、歌手として活躍していたカタリン・カラーディのことで、彼女の楽曲をフィーチャーしたコンセプト・アルバムになっています。個人的に特に耳に残った2曲を続けておかけします。

<Mindig Az a Perc 4分58秒>
<Egyszer Csak Mindennek Vége Lesz Majd 5分13秒>

次にこの同じ2曲をカタリン・カラーディが歌った戦前のオリジナル音源が入ったKarady Katalin - Milliok Kedvenc Enekese: Mid Century Hungarian Musicを見つけましたので、2曲続けておかけします。1910年生まれのカタリン・カラーディは戦前のハンガリーで人気を博しスターに上り詰めましたが、ナチス時代にスパイ容疑で逮捕された上に拷問を受けるなど迫害を受け、更に戦後の共産主義時代にも無視された上に迫害を受け、人々から忘れ去られ、50年代以後は亡命生活を送りました。80年代になって、ようやくハンガリー本国で再発見されましたが、この時は既に最晩年になっていたと言う、歌手としては不遇の後半生を送った人です。
よく知られているエピソードとしては、大勢のハンガリー系ユダヤ人を救出した名誉の受賞者であることとか、小惑星 287787 Karády は、ハンガリーの天文学者(Krisztián Sárneczky と Brigitta Sipőcz )によって 2003 年に発見され、彼女を記念して命名されていることがあげられます。

<Mindig Az a Legszech Perc 3分28秒>
<Egyszer Csak Mindennek 3分34秒>

では再度サローキ・アーギのカラーディ歌集から、A Két Szemedと言う旋律を聞くだけでも極めて切なく美しい曲をおかけします。

<A Két Szemed 3分39秒>

サローキ・アーギ特集は2回の予定でしたが、ストレートに民謡を取り上げた2017年のFújnak a fellegekが大変素晴らしく、更にロックやドラムンベースを大胆に取り入れた2010年のKishugからも少しおかけしたいので、次回を3回目にしたいと思います。
それでは最後に2009年のGingalloから、Pista Bácsiと言う曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。「遊び歌」のように聞こえますが、この曲は「わらべ歌」的なチルドレン・ソングの範疇になるかも知れません。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Pista Bácsi 2分6秒>

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2023年2月24日 (金)

カラーディ歌集~Mindig Az a Perc

2008年に同じく洪FolkEurópaから出たA vágy muzsikálですが、「想い焦がれて~カラーディ歌集~」と言う邦題がついて当時国内盤でも出ていました。こちらは「1930年代のバラード」になりますが、やはり上質なジャズを上手く取り入れています。一番耳に残った哀愁漂うMindig Az a Percと言う曲を番組でかけました。
カラーディとは、有名なハンガリー戦前の女優、歌手として活躍していたカタリン・カラーディのことで、彼女の楽曲をフィーチャーしたコンセプト・アルバムになっています。来週の放送では、カタリン・カラーディの同じ曲の歌唱も併せてかけております。当時はハンガリーで「暗い日曜日」が流行っていた頃ですから、カラーディはその頃のスター歌手ではありましたが、甘美さの中にもどこか苦難の時代を偲ばせる歌声だと思います。日本で喩えるなら、全盛期の淡谷のり子でしょうか。淡谷さんも「暗い日曜日」を歌っていました。

<Mindig Az a Perc 4分58秒>

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2023年2月23日 (木)

Cipity Lőrincのライブ映像

2006年に洪FolkEurópaから出たサローキ・アーギのCipity Lőrincは、番組でかけたPergetőと言う曲だけでなく、長いライブ映像がありました。2本とも上げておきます。「子供の歌」をジャズ風にアレンジしヴァイオリン演奏も巧みにその中に入ってくる愉快な曲、と解説を入れていましたが、曲そのものは明らかに「ッダバ、ッディビ」の裏打ちリズムが特徴的な「真のジプシー音楽」(農村ジプシー音楽)調のノリです。Pergetőの原曲はあるのでしょうか? なおCipity Lőrincは、ツィピティ・レーリンツと表記されていた記憶がありますが、ツィピティ・ルーリンツの方が近いです。

Szalóki Ági: Pergető (gyerekdal, Cipity Lőrinc koncert részlet) | MESE TV

Szalóki Ági: Cipity Lőrinc (dal, koncert felvétel) | MESE TV

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2023年2月22日 (水)

中庭には胡桃の木

サローキ・アーギ(Szalóki Ági)の特集をするに当たって、久々にソロ・アルバム数枚を聞き返しました。ハルガトーの中では最も「哀歌」らしく聞こえたこの曲が一番刺さりました。「中庭には胡桃の木」と言う曲名も良いですね。歌詞内容をよく吟味してみたくなります。余談ですが、この人はエルデーイ(トランシルヴァニア)のロマの血も引いているそうです。(以下放送原稿を再度)

彼女はハンガリーを代表するコンテンポラリー派トラッド・バンド『マカーム』や、ハンガリーのロマのツィンバロム奏者バログ・カールマーンとの共演などをはじめ、バルカン・トラッド・バンド『ベシュ・オ・ドロム』のヴォーカリストとしても活躍した美貌の女性歌手です。本当に綺麗な人で、若い頃はポール・デルヴォーの絵から抜け出てきたような雰囲気もありました。2005年前後からのソロ活動では、ジャズやチルドレン・ソング、30年代のバラードとの融合を試みた作品を幾つか出しています。

まずは2005年にFolkEurópaから出たHallgató / Lamentの中からKinek Van, Kinek Nincs…(中庭には胡桃の木)と言う曲をおかけします。アルバムタイトル通り、伝統的な「嘆き歌」を洗練されたジャズの伴奏で歌っています。この盤の原曲はモルドヴァやジメシュの曲のようです。

<Kinek Van, Kinek Nincs… 6分1秒>

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2023年2月20日 (月)

3人の歌姫ボグナール・シルヴィア、ヘルツク・アーグネシュ、サローキ・アーギ

ゼアミdeワールド347回目の放送、日曜夜10時にありました。22日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。サローキ・アーギ特集ですが、最初にかけた「くちづてに Szajrol Szajra」のSomogyindiaとJolesikから。

ハンガリー音楽の27回目になります。現代ハンガリーのトラッドの4回目は、3人の歌姫ボグナール・シルヴィア、ヘルツク・アーグネシュ、サローキ・アーギが2008年にリリースした「くちづてに Szajrol Szajra」から始めます。ハンガリー民謡とインド音楽をミックスしたリズミカルなこの曲から、この盤は溌剌と始まります。

<1.Somogyindia ショモジンディア 5分8秒>

この盤には次の曲のような内省的な曲もありまして、私はこの曲が大変気に入っていますが、手元に現物が残ってないので、残念ながら曲の詳細が不明です。

<5.Jolesik / It Feels Good 気持ちは落ち着いて 7分27秒>

今回と次回で3人の歌姫の内、サローキ・アーギ Szalóki Ágiの特集にしたいと思います。彼女はハンガリーを代表するコンテンポラリー派トラッド・バンド『マカーム』や、ハンガリーのロマのツィンバロム奏者バログ・カールマーンとの共演などをはじめ、バルカン・トラッド・バンド『ベシュ・オ・ドロム』のヴォーカリストとしても活躍した美貌の女性歌手です。本当に綺麗な人で、若い頃はポール・デルヴォーの絵から抜け出てきたような雰囲気もありました。2005年前後からのソロ活動では、ジャズやチルドレン・ソング、30年代のバラードとの融合を試みた作品を幾つか出しています。

まずは2005年にFolkEurópaから出たHallgató / Lamentの中からKinek Van, Kinek Nincs…(中庭には胡桃の木)と言う曲をおかけします。アルバムタイトル通り、伝統的な「嘆き歌」を洗練されたジャズの伴奏で歌っています。この盤の原曲はモルドヴァやジメシュの曲のようです。

<Kinek Van, Kinek Nincs… 6分1秒>

次は2006年にFolkEurópaから出たCipity Lőrincから、Pergetőと言う曲です。これは「子供の歌」をジャズ風にアレンジし、ヴァイオリン演奏も巧みにその中に入ってくる愉快な曲です。

<Pergető 3分51秒>

次は2008年に同じくFolkEurópaから出たA vágy muzsikálですが、「想い焦がれて~カラーディ歌集~」と言う邦題がついて当時国内盤でも出ていました。こちらは先ほどの区分で言えば「1930年代のバラード」になりますが、やはり上質なジャズを上手く取り入れています。カラーディとは、有名なハンガリー戦前の女優、歌手として活躍していたカタリン・カラーディのことで、彼女の楽曲をフィーチャーしたコンセプト・アルバムになっています。次回もこの盤の続きから始めますが、今回はこの曲を聞きながらお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Mindig Az a Perc 4分58秒>

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2023年2月17日 (金)

Arany Es Kek Szavakkal(金色と青色の言葉で)のオープニング&エピローグ

「Arany Es Kek Szavakkal(金色と青色の言葉で)」のオープニングの方は今週の番組ではかけていませんが、こんな感じでした。ラストのエピローグの伴奏も、同じくツィンバロム名手のカールマン・バログでした。彼は超絶テクニックの印象が強かったので、こういうリリカルな演奏には逆に驚きました。ヘルツク・アーグネシュも、ツィンバロムと同じくらい繊細な歌を聞かせています。ここでのツィンバロムは、ツィターに似たツィテラのようにも聞こえます。
今週の放送とは関係ありませんが、2本目はニコラ・パロフとのデュエット初期の曲になるでしょうか。ポップでキャッチーで、おそらく彼女の大ヒット曲なのではと思います。
ヘルツク・アーグネシュの、ルーツ回帰の感が強い最近作のErdélyi Népzene Régen És Most(エルデーイ民謡の過去と現在)については、今週は余裕がなくなりました。来週の番組で取り上げるサローキ・アーギも最近作でコブシばりばりの民謡歌手としてルーツ回帰している音源をリリースしていますので、併せて取り上げたいと思います。

Prologue & Epilogue (Herczku Agnes)

Ha Te Tudnád

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2023年2月16日 (木)

コボス(コブザ) バンドゥーラ

ヘルツク・アーグネシュの2002年のソロ・アルバム「Arany Es Kek Szavakkal(金色と青色の言葉で)」から、今回他にかけたのは、ツィンバロム、コボス(コブザ)、フルヤのそれぞれの伴奏の歌唱でした。ほとんどが独奏か二重奏で、そういう曲が耳に止まったようです。今日の1本目はコボス独奏の伴奏で、出ている写真はCDに載っていたポートレートです。
ルーマニア東部のモルドヴァに多く見られるコボスは、日本の琵琶やアラブのウードにそっくりで、ウードと同じくフレットレスの復弦です。弦は8本で4コースのようです。番組でも言いましたが、モルドヴァはオスマン帝国に入っていたこともあるので、このウードに似たコボスは、その頃入って来たのではと思います。この曲を聞いても、ウードから生まれた西洋のリュートの奏法よりは、中東の音楽に近い印象です。
2本目はルーマニア~ハンガリーのコボス、3本目はウクライナのコブザです。ウクライナのコブザは、バンドゥーラの原型だと思いますが、今も弾かれているのでしょうか? ナターシャ・グジーの演奏を見ていて、長い棹の低音弦を押さえないのを不思議にも思いましたが、この映像のように本来は押さえて音高を変えていたのだろうと思います。

<2 Hatám, hazám ...私の力、私の国  (Moldva) 7分57秒>

Koboz

Ukrainian Kobza

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2023年2月15日 (水)

Herczku Ágnes sings マケドニア民謡

パートナーのニコラ・パロフからの影響でしょうか、ヘルツク・アーグネシュがマケドニア民謡を歌っている2011.04.22の映像が、Herczku Ágnesと検索した場合の上位に上がっています。言葉もハンガリー語ではなくスラヴ系の音に聞こえます。バックにはニコラ・パロフはいませんが、どういう経緯でこのステージが持たれたのか気になります。ニコラ・パロフの故郷ブルガリアの西隣、マケドニア音楽の典型的な変拍子のノリです。リズムは3+2+2の7拍子で、確かエスマ・レジェポヴァが歌っていた曲です。しかし、ハンガリーの歌手がこれ程見事に歌うとは驚きです。

Herczku Ágnes és a TBC - Makedonsko

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2023年2月13日 (月)

ヘルツク・アーグネシュ Arany Es Kek Szavakkal

ゼアミdeワールド346回目の放送、日曜夜10時にありました。15日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。10日間の隔離生活はあっと言う間に過ぎ、無事陰性になりましたので、今日から店を再開しています。

ハンガリー音楽の26回目になります。現代ハンガリーのトラッドの3回目は、前回前々回に続いて今回はバンド名義ではなくヘルツク・アーグネシュのソロ・アルバムからおかけします。2002年リリースのArany Es Kek Szavakkalを中心に、2022年作からもおかけします。彼女のパートナーはブルガリア人音楽家のニコラ・パロフですが、マルチインストゥルメンタリストの彼と共演する際は、ハンガリーにとどまらずバルカン各地の音楽を幅広く、時にはアイリッシュの要素も加えながら演奏していますが、ヘルツク・アーグネシュなら、やはりハンガリー伝統音楽の方を聴きたいという気持ちが個人的には強いので、この番組ではこのコンビでもハンガリー音楽のみをかけようかと思います。
Arany Es Kek Szavakkalとは「金色と青色の言葉で」のような意味で、バックはカールマン・バログなどハンガリー・トラッドの名手どころが固めています。モルドヴァ中心に見られるウードに似た弦楽器のコボスや、縦笛フルヤだけの伴奏の曲もありますが、穏やかに始まり躍動感あふれる後半に移っていく都会のチャールダーシュ風の展開が素晴らしい7曲目のVolt nékem szeretőmと、リリカルなツィンバロムと同じくらい繊細な歌を聞かせるアルバムラスト11曲目のEpilógus (Pereg, Pest megye)の2曲を続けておかけします。

<7 Volt nékem szeretőm  私には恋人がいました  (Hetény, Kürt, Komárom megye) 5分28秒>
Herczku Ágnes, Volt nékem szeretőm...

<11 Epilógus (Pereg, Pest megye) 2分32秒>

次に先ほど2022年作とご紹介した音源ですが、実はCDは見たことがなく、ストリーミングで初めて目にした2枚組音源の2セットです。最近ハンガリー盤は入り難くなっているので、2枚組と言うヴォリュームですし、おそらく入荷した店はほとんどないのではと思います。Erdélyi Népzene Régen És Most(エルデーイ民謡の過去と現在)と言う副題が付いていて、一つが2018年、もう一枚が2022年のリリースになっていました。それぞれ1枚目がヘルツク・アーグネシュを中心としたエルデーイ音楽の演奏、2枚目は古そうな民謡音源のコレクションになっています。ニコラ・パロフとのプロジェクトも数年前までのYouTubeは上がっていますので、おそらくヘルツク・アーグネシュが別枠で進めているエルデーイ音楽を深堀りするシリーズのようです。今回は2022年の方の1枚目から、1曲目のNem szeretem az idő járásátをおかけしておきます。先ほどの盤から20年経って後の、すっかりヴェテランの域に達してからの歌唱という事になります。

<1 Nem szeretem az idő járását 時間の流れが嫌い 2分22秒>

それでは再び20年前の音源の方に戻りまして、モルドヴァのコボス伴奏のHatám, hazám ... (Moldva)という曲をおかけします。ルーマニア東部のモルドヴァはオスマン帝国に入っていたこともあるので、このウードに似たコボス(あるいはコブザ)は、その頃入って来たのではと思います。

<2 Hatám, hazám ...私の力、私の国  (Moldva) 7分57秒>

それでは最後に、縦笛フルヤだけの伴奏のFelvidéki párosítók (Kétvízköz, Esztergom megye)を時間まで聞きながら今回はお別れです。尺八にも少し似たフルヤは2本使われているようです。


ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<6 Felvidéki párosítók (Kétvízköz, Esztergom megye) 5分24秒>

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2023年2月10日 (金)

ヘルツク・アーグネシュとニコラ・パロフ

ヘルツク・アーグネシュの動画を上げたいと思いながら、先週と今週取り上げたヘゲドゥーシュとフォノー・ゼネカルとの映像はほとんど見当たらないので、上げてないままでした。彼女のパートナー、ニコラ・パロフは昔ジャラートノクにもいた人で、ブルガリア人ですが10歳くらいからハンガリーに住んでいたそうで、一般のヨーロッパ人には難解とされるハンガリー語もぺらぺら。様々な撥弦と擦弦の弦楽器を操るマルチインストゥルメンタリストで、今日の映像ではヴァイオリン(ヘゲドゥー)をケマンチェのように立てて弓奏しています。
ここ15年くらいでしょうか、この二人の奏でる音楽はバルカン各地の音楽の方に引っ張られている感があって、私はそれがどうも気になっていました。せっかく素晴らしいマジャールの歌姫がいるのだから、ハンガリーの音楽が聴きたいと。
しかし、今日の一本ではエルデーイ系と思われる曲を演奏していて、踊りまで付いて、とても楽しく素晴らしい一本です。長尺の映像でもこの曲をやっていましたが、その1年前と思われるこの映像の方が臨場感があっていいです。(バグパイプを吹いている中間部は少しバルカンとアイリッシュが入りかけてる感もありますが)2、3年前の映像ですから、今後更にハンガリー回帰してくれたら嬉しい限りです。

Csakalukkő - Herczku Agnes and Nikola Parov

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2023年2月 9日 (木)

In Memoriam Bohumil Hrabal

ユダヤ風にも聞こえる異色の旋律、として番組の終わりの方でかけた「フォノー・ゼネカル / Mixtvra Cvltivalis」のアルバムラスト14曲目、ヨーカの結婚行進曲(Wedding march from Joka)ですが、In Memoriam Bohumil Hrabalのタイトル通り、チェコの小説家ボフミル・フラバル(1914-1997)へのオマージュ曲でした。CDのこの曲の解説には、オーストリア、ドイツ、チェコ、スロヴァキアの民族音楽の影響を受けた中央ヨーロッパ(中欧)の器楽の伝統に属するとあって、特にユダヤとは出て来ません。(私はクレズマーの曲のように聞こえて仕方ないのですが) ここでは珍しく弦楽器で模倣して演奏されていますが、元はブラスバンドのスタイルとのこと。ボフミル・フラバルの原作に基づく映画にこの旋律が登場するようですが、今日のシュールな映像はもしかしたらその一部かも知れません。この南西スロヴァキアの曲は、映画ではブラスバンドで出てくるようですが、ここで流れているのは番組でかけたのと同じ「フォノー・ゼネカル / Mixtvra Cvltivalis」の14曲目です。

<14 In Memoriam Bohumil Hrabal 2分18秒>
A Fonó zenekar:.In memoriam Bohumil Hrabal.

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2023年2月 8日 (水)

A Titkos Szerelem 秘密の愛

フォノー・ゼネカルのMixtvra Cvltivalisの冒頭を飾っていたEj, a titkos szerelem(秘密の愛)について調べてみましたら、ハンガリー北部で今はスロヴァキア領になっているMagyarbőd(スロヴァキア語ではBidovce)の民謡と分かりました。資料は主にMixtvra Cvltivalisのライナーノーツにありました。この辺りは独特なポリフォニーが残っていて、その代表的な歌のようです。今日の2本目の少女の二重唱(1分20秒辺りからがこの曲)が素晴らしく、フォノー・ゼネカルの歌唱では男女が歌っているためポリフォニーが際立たずユニゾンの部分が目立つようにも聞こえましたが、この映像では同じ音域の女性の声だから細かい音の動きがよく聞き取れます。1本目はフォノー・ゼネカルの20周年の映像のようですが、女性歌手がヘルツク・アーグネシュではなく、Navratil Andreaに変わっています。ニコラ・パロフとの活動に重心が置かれて、外れたのでしょうか。これが残念ですが、演奏はGombai Tamásのヴァイオリン・ソロを初め大変に素晴らしいです。

A Fonó Zenekar 20 éves - Ej, a titkos szerelem

"Ej, a titkos szerelem titkosan kezdődik"

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2023年2月 6日 (月)

Fono Zenekar / Mixtvra Cvltivalis

ゼアミdeワールド345回目の放送、日曜夜10時にありました。8日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。酷い声ですが、何とか聞けました。フォノー・ゼネカルはYouTubeにありました。今日は1,2曲目のみです。

ハンガリー音楽の25回目になります。現代ハンガリーのトラッドの2回目は、前回に続いてヘルツク・アーグネシュがフォノー・ゼネカルのメンバーとして出ている盤と、彼女のソロ・アルバムArany Es Kek Szavakkalからおかけしようと思っていました。前回のヘゲドゥーシュのブダ盤と同じく、どちらも2002年のリリースです。久々に聞き返してみて、やはり実に素晴らしく、フォノー・ゼネカルの方だけで時間が埋まりましたので、今回はこちらだけにしておきます。なおハンガリー語のゼネカルと言うのは、グループとかバンドの意味です。

フォノー・ゼネカルのハンガリーFono盤はMixtvra Cvltivalisというタイトルですが、タイトルのvはラテン語のように表記されていますが、実際はuの音です。ヘゲドゥーシュとほぼ同じメンバーで、歌もあの美貌のAgnes Herczku、ヘゲドゥーシュの名の通りヴァイオリンの素晴らしさは特筆もの、とコメントを当時入れていました。 

では 力強い数人の朗唱から始まる1曲目に続いて、同じ旋律によるチャールダーシュの2曲目を続けておかけします。

<1 Ej, A Titkos Szerelem 1分55秒>

<2 Titkosan Kezdodik 4分16秒>

3曲目は一転して素朴なマジャール民謡風で、伴奏している縦笛はフルヤです。

<3 "Ne Kelljen Festek Orcamra" 5分49秒>

11曲目に飛びまして、こちらもチャールダーシュ絡みで、どうしてもチャールダーシュには惹かれてしまう傾向があるようです(笑) 8分弱の演奏は見事な構成になっていて、是非ともノーカットでおかけしたいので、こちらを先に入れました。

<11 Kisangyalom, Elvetted Az Eszemet 7分49秒>

アルバムラスト14曲目、ヨーカの結婚行進曲に続いて、5曲目はエルデーイ(トランシルヴァニア)のハンガリー音楽の伝統が今も色濃く残るカロタセグのチャールダーシュとサポラ(アレグロ)です。この2曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。ヨーカの結婚行進曲の方はユダヤ風にも聞こえる旋律です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<14 In Memoriam Bohumil Hrabal 2分18秒>
<5 Harom Ejjel, Harom Nap 5分4秒>

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2023年2月 1日 (水)

ヘゲドゥーシュとフォノー・ゼネカル

ヘゲドゥーシュとヘルツク・アーグネシュで検索しても、フォノー・ゼネカルと共演している映像しか見つかりませんが、これはBudaの音源がストリーミングやYouTubeに出てないのと関係があるのでしょうか。ヘゲドゥーシュとフォノー・ゼネカルのメンバーはほとんど全く同じで、なぜ二つグループがあるのか経緯も不明です。前に上げた動画ですが、フォノー・ゼネカルとの映像を上げておきます。右にツィンバロム名手のバログ・カールマンが見えます。フォノー・ゼネカルとの共演版は、次回の番組で取り上げます。
昨日鼻の奥の違和感を感じて念のため病院に行ったら、残念ながらコロナ陽性が判明しました。一週間の自宅療養になります。熱はほとんどなく37度前後で、他は全く軽症です。スタジオには行けませんので、宅録して今週来週データを送る予定です。店は13日からは開ける予定です。

Fonó zenekar - Forgatósok és krucena

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