想い焦がれて~カラーディ歌集~
ゼアミdeワールド348回目の放送、日曜夜10時にありました。1日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。Mindig Az a Percは先週上げましたので、今日は2曲目のみです。
ハンガリー音楽の28回目になります。現代ハンガリーのトラッドの5回目は、前回最初にかけた3人の歌姫の内、サローキ・アーギ Szalóki Ágiの特集の2回目です。彼女はハンガリーを代表するコンテンポラリー派トラッド・バンド『マカーム』や、ハンガリーのロマのツィンバロム奏者バログ・カールマーンとの共演などをはじめ、バルカン・トラッド・バンド『ベシュ・オ・ドロム』のヴォーカリストとしても活躍した美貌の女性歌手です。2005年前後からのソロ活動では、ジャズやチルドレン・ソング、30年代のバラードとの融合を試みた作品を幾つか出しています。
前回フェイドアウトで終わってしまって惜しいので、その曲Mindig Az a Percから始めたいと思います。2008年にFolkEurópaから出たA vágy muzsikál、邦題は「想い焦がれて~カラーディ歌集~」と言う盤は、先ほどの区分で言えば「1930年代のバラード」になりますが、やはり上質なジャズを上手く取り入れています。カラーディとは、有名なハンガリー戦前の女優、歌手として活躍していたカタリン・カラーディのことで、彼女の楽曲をフィーチャーしたコンセプト・アルバムになっています。個人的に特に耳に残った2曲を続けておかけします。
<Mindig Az a Perc 4分58秒>
<Egyszer Csak Mindennek Vége Lesz Majd 5分13秒>
次にこの同じ2曲をカタリン・カラーディが歌った戦前のオリジナル音源が入ったKarady Katalin - Milliok Kedvenc Enekese: Mid Century Hungarian Musicを見つけましたので、2曲続けておかけします。1910年生まれのカタリン・カラーディは戦前のハンガリーで人気を博しスターに上り詰めましたが、ナチス時代にスパイ容疑で逮捕された上に拷問を受けるなど迫害を受け、更に戦後の共産主義時代にも無視された上に迫害を受け、人々から忘れ去られ、50年代以後は亡命生活を送りました。80年代になって、ようやくハンガリー本国で再発見されましたが、この時は既に最晩年になっていたと言う、歌手としては不遇の後半生を送った人です。
よく知られているエピソードとしては、大勢のハンガリー系ユダヤ人を救出した名誉の受賞者であることとか、小惑星 287787 Karády は、ハンガリーの天文学者(Krisztián Sárneczky と Brigitta Sipőcz )によって 2003 年に発見され、彼女を記念して命名されていることがあげられます。
<Mindig Az a Legszech Perc 3分28秒>
<Egyszer Csak Mindennek 3分34秒>
では再度サローキ・アーギのカラーディ歌集から、A Két Szemedと言う旋律を聞くだけでも極めて切なく美しい曲をおかけします。
<A Két Szemed 3分39秒>
サローキ・アーギ特集は2回の予定でしたが、ストレートに民謡を取り上げた2017年のFújnak a fellegekが大変素晴らしく、更にロックやドラムンベースを大胆に取り入れた2010年のKishugからも少しおかけしたいので、次回を3回目にしたいと思います。
それでは最後に2009年のGingalloから、Pista Bácsiと言う曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。「遊び歌」のように聞こえますが、この曲は「わらべ歌」的なチルドレン・ソングの範疇になるかも知れません。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<Pista Bácsi 2分6秒>
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