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2023年3月

2023年3月31日 (金)

サースチャーヴァーシュのチャールダーシュとソーコー

サースチャーヴァーシュ週間の最後に、サースチャーヴァーシュ・バンドの生演奏を入れておきます。1本目が2000年、観客が踊りだす2本目はその10年後くらいでしょうか。どちらもCsárdás És Szökőと検索して出てきた映像ですので、一昨日の「セーケイのヴェルブンク」の時に上げた他の踊りの種類で入れると、もっと出てくると思います。彼らの存在を初めて知ったのはHarmonia Mundi系のレーベルQuintanaから92年に出た盤ですが、昨日の指導映像以外で彼らの生演奏を見るのは初めてで、こういう映像を見ると、やはり本物の凄さをひしひしと感じます。Chant du mondeの「トランシルヴァニアの弦楽四重奏」をここで聞き返すと、また違って聞こえるでしょう。
番組の最後にかけたSzászcsávás Band 3のCsárdás És Szökőと、放送には入れられなかったSzászcsávás 6のCsárdás És Szökőも、リンクに上がってくると思いますので、見たい方はリンクを辿ってみて下さい。

Szászcsávási csárdás - szökő

Szászcsávási Cigányzenekar 8 - SAR DJAL E BUTJI?

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2023年3月30日 (木)

Szászcsávási gondolatok再び

「前にサースチャーヴァーシュ・バンドのメンバーと思しき各パートのリーダーが、ほとんどがハンガリー人ではないかと思われる若手楽師たちと一緒に演奏している映像をブログにアップしたことがありましたが、これを非常に面白く見まして、是非サースチャーヴァーシュ・バンドの音源も取り上げたいと思っていました。」と放送で言っていた動画を再度貼っておきます。その動画を見てなかったり、忘れている方もいらっしゃるかと思いますので。指導映像だから、面白く見られる部分もあると思います。
映像の最初に出てきますが、指導しているのはプリマーシュのヴァイオリンが、多くのCDでプリマーシュを弾いていたIstván Jámbor (Dumnezu )とコントラバス奏者Mátyás Csányi (Mutis)の弟で、Cilika と呼ばれるSándor Csányi、縦に構えるコントラビオラ奏者がCsangáló (放浪者) と呼ばれる義理の兄弟 Ferenc Mezeiです。私は特にフェレンツ・メゼイのリズミカルな演奏に目が釘付けでした(笑) プロフィールを見ると、もう70過ぎのようですので、後進が現れるか心配な頃だろうと思います。タラフのように、カリウだけになってしまわない内に、と思います。(しかし、この映像の中にジプシーはいるのでしょうか?)
楽器の話を繰り返しますが、プリマーシュのヴァイオリンは通常の4弦のヴァイオリンですが、躍動するリズムは、わずか3弦のコントラバスと、コントラビオラまたは単にコントラとも呼ばれるまっすぐな駒を備えた3弦のビオラによって供給され、短く幅の広い弓で同時に重音で演奏されます。「毎年8月にサースチャーヴァーシュで民族音楽とダンスの国際フェスティバルが開催されているそうですから、例のYouTubeの映像はその時のものかも知れません。」と番組で言っていましたが、この映像は9月のようですので、その後のワークショップとかでしょうか。
旋律とか音列?を何回繰り返して、それぞれどういうベースラインとリズムを付けてとか、体で覚えるレベルで入っているのでしょうが、楽譜無しで延々と繰り広げられる演奏は、どういう風に成り立っているのだろうかと毎回聞きながら思います。因みにタイトルのgondolatokは、「思考」の意味でした。

Szászcsávási gondolatok

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2023年3月29日 (水)

セーケイのヴェルブンク

伝統的なハンガリーのジプシー バンド、サースチャーヴァーシュ・バンドのLive in Chicagoからは、Székely Verbunk(セーケイのヴェルブンク)を番組でおかけしました。これはまだ在庫もあります。セーケイの男性のソロ・ダンスの意味で、ヴェルブンク本来の「募兵の踊り」の意味合いは無さそうです。チャールダーシュにしても、ブダペストのジプシー楽団が演奏しているような音楽とは、全く違います。
ルーマニアのトランシルヴァニアのムレシュ郡にあるセアシュ (ハンガリー語のサースチャーヴァーシュ、ドイツ語のグルベンドルフ) は、2002 年には、この町の 891 人の住民のうち、579 人がハンガリー人、306 人がジプシー (ロマ)、6 人がルーマニア人だったそうです。 ハンガリー語の地名の接尾辞 Szász は、この村がかつてトランシルヴァニアのドイツ系住民、サクソン人が住んでいたことを示しています。
伝統的なハンガリーの民俗音楽の歌唱は常にモノフォニックですが、サースチャーヴァーシュは、ポリフォニーの歌唱の伝統が生き残っている数少ない場所の1つとされます。 これはドイツ語圏の中央ヨーロッパ (バーゼル学校) から多声の賛美歌を持ち込んだプロテスタントの神学者からもたらされたと考えられているそうです。例のSzászcsávási Dalárdaと言う盤は、全編歌になっていて知らないとびっくりしますが、そう言う経緯でリリースされた一枚だったようです。
サースチャーヴァーシュでのダンスのジャンル分けは、大体以下のようになります。更に細かい用語もありましたが、訳文が定まりそうにないので、ほぼ正しい意味で取れたと思われる以下の5つだけ上げておきます。最後のポントゾーと言うのは、1977年にハンガリー国立民族舞踊団が来日した際の映像で見たことがあります。個人的に非常に懐かしい用語です。

Cárdás (可変テンポのアクセントのあるカップル ダンス)
Szökő (cárdás の高速バージョン)
lassú csárdás (夫婦や高齢者向けのゆっくりとしたバージョン)
székely verbunk、セーケイの男性ソロ ダンス
Pontozó (マジャーロズド周辺のハンガリー人の男性ソロ ダンス)

<2 Székely Verbunk 2分56秒>
Szászcsávás Band: Live in Chicago 02 Székely verbunk

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2023年3月27日 (月)

Szászcsávás Band

ゼアミdeワールド352回目の放送、日曜夜10時にありました。29日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。血沸き肉躍るような、1990の2本のみ、今日は入れておきます。2本目は番組では8分ほどでしたが、ブログではノーカットです。

ハンガリー音楽の32回目になります。現代ハンガリー・トラッドの9回目になります。今回は現代ハンガリー・トラッドと言うより、ハンガリー人音楽家にエルデーイ音楽を教えた立場になるのではと思われるサースチャーヴァーシュ・バンドの音源から抜粋していきたいと思います。ルーマニア領トランシルヴァニアのハンガリー系の村、サースチャーヴァーシュ村のジプシー楽師たちのバンドで、結婚式やその他のお祝いのミュージシャンとして雇われて演奏しているというグループです。
前にサースチャーヴァーシュ・バンドのメンバーと思しき各パートのリーダーが、ほとんどがハンガリー人ではないかと思われる若手楽師たちと一緒に演奏している映像をブログにアップしたことがありましたが、これを非常に面白く見まして、是非サースチャーヴァーシュ・バンドの音源も取り上げたいと思っていました。Live in Chicagoだけ在庫もありますが、Transylvanian Folk Music他数枚がストリーミングに上がっていますので、その中からピックアップします。
バンドの中心は、prímásがIstván Jámbor、兄の Mátyás Csányi (Mutis)、コントラビオラ奏者がCsangáló (放浪者) と呼ばれる義理の兄弟 Ferenc Mezeiの3人で、彼らは30年以上一緒に演奏しているそうです。楽器の話になりますが、プリマーシュのヴァイオリンは通常の4弦のヴァイオリンですが、脈動するリズムは、わずか3弦のコントラバスと、コントラビオラまたは単にコントラとも呼ばれるまっすぐな駒を備えた3弦のビオラによって供給され、短く幅の広い弓で同時に重音で演奏されます。毎年8月にサースチャーヴァーシュで民族音楽とダンスの国際フェスティバルが開催されているそうですから、例のYouTubeの映像はその時のものかも知れません。
まずはLive in Chicagoから、Székely Verbunk(セーケイのヴェルブンク)をおかけします。セーケイの男性のソロ・ダンスの意味で、ヴェルブンク本来の「募兵の踊り」の意味合いは無さそうです。

<2 Székely Verbunk 2分56秒>

彼らの音源はLive in ChicagoとTransylvanian Folk Music以外にSzászcsávás Band 3, Szászcsávás 6 , Szászcsávási Dalárdaと、単に1990と言うものの合計6点をストリーミングで聞くことが出来ました。Szászcsávási Dalárdaは、おそらくこの村の人々がカトリックか正教の聖歌を歌っていると思われる異色作だと思います。
曲目を見ていくとCsárdás És Szökőと言う曲がほとんど必ず入っていることに気が付きました。「ジプシーの」の意味のCigányが入ることもありますが、後は同じです。csárdásは、ここではテンポの異なるカップルダンスを指すようです。曲名を訳すと「チャールダーシュと逃亡者」となりますが、もちろん「逃亡者」の意味ではなく、csárdás のより高速な変奏になります。芸風の変化を聞けるように思いますので、色々な時期に録音されたこの曲を幾つか並べてみたいと思います。
まずは1990と言う盤から、Cigány Csárdás És Szökő, Pt. 1とCigány Csárdás És Szökő, Pt. 2の2曲を続けます。合わせて19分近くありますので、12分近いパート2は途中までおかけします。6枚の中ではおそらく一番古い時期の録音ではないかと思います。ブログに上げたYouTubeでの躍動感を思い出させる非常にホットな演奏です。

<Cigány Csárdás És Szökő, Pt. 1 6分55秒>

<Cigány Csárdás És Szökő, Pt. 2 11分41秒から8分位>

それではSzászcsávás Band 3とSzászcsávás 6にも入っているCsárdás És Szökőを時間まで聞きながら今回はお別れです。こちらは幾分大人し目にも聞こえます。プリマーシュのヴァイオリンの弾き始めの音型から共通するものがあることに気が付かれるかと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Csárdás És Szökő 3分11秒>

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2023年3月24日 (金)

ベラ・ハルモシュ ハルモーシュ・ベラ

ダンスハウス運動の仕掛け人ながら、現在は余り知られてないかも知れないベラ・ハルモシュの音源が、仏Adda系列のfonti musicaliのErdelye Nepzeneに一曲ありましたので、番組でかけました。ハンガリーのトラッドでは最重要人物の一人ですが、90年代頃にフンガロトン盤Hungarian Folk Music From Transylvaniaを見たくらいで余り知らなかったので、調べてみました。1946年生まれで、2013年に亡くなられていました。67歳とは早いです。来週そのフンガロトン盤を取り上げようかと思っております。
Szeki táncok(セークの踊り)の演奏は、ヴァイオリン(ヘゲドゥー)がベラ・ハルモシュ、ブラッチャはイフユ・チョオリ・シャーンドル、チェロはハヴァシュレティ・パールです。ブラッチャと言うのは縦に構える伴奏ヴィオラだと思います。

<Szeki táncok 8分51秒>
Széki Táncok- Dances from Szék (Hungarian Village Music from Transylvania)

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2023年3月23日 (木)

テーカのMagyarpalatkai Táncrend

テーカとメータは、名前が似ていてしばしば混同しそうになりますが、テーカは70年代のダンスハウス運動(ハンガリーのトラッド音楽のリヴァイヴァル運動)の頃から活動している1976年結成(ムジカーシュより少し後)のグループで、ハンガリー農村のトラッド音楽を追究し続けています。(今年で結成47周年ですが、変わらずやっているのでしょうか) メータの結成はもう少し後で1983年のようです。例の縦に構える伴奏ヴァイオリン(あるいはヴィオラ)は、クラシック奏法を学んだ者にとっては、度肝を抜かれる演奏風景ですが、それを初めて見たのがテーカのTeka Foundationから出ていたOskeletのジャケットだったと思います。(以下放送原稿を再度)

仏Adda系列のfonti musicaliから1989年に出たErdelye Nepzeneに入っているヘゲドゥーシュの演奏は、前にヘルツク・アーグネシュの時にかけましたので、テーカの長尺の演奏を入れておきます。テーカとメータはどちらもダンスハウス初期から活動している老舗グループです。この曲を聴きながら今回はお別れです。

<Magyarpalatkai táncrend 10分1秒>
Téka Ensemble: Magyarpalatkai Táncrend- Sűrű Magyar, Lassú, Szökős, and Friss

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2023年3月22日 (水)

イシュテネム(我が神よ)で始まる女性独唱3曲

イシュテネムと言うハンガリー語は「我が神よ」の意味でしたが、この語が入る歌を今週の番組でたまたま2曲選んでいました。スヴォラク・カティとマルタ・セバスチャンの歌唱と、3本目はヘルツク・アーグネシュの映像です。スヴォラク・カティの歌のように、他の2曲もセーケイ人の民謡かどうかは不明ですが、どこか似て聞こえます。スヴォラク・カティの歌唱に出てくる映像が「ランプの明かりで刺繍をする女性を男性が見守っていると思しきジャケットが大変印象的で、そこにファビアン・エヴァの独唱が合わさってトランシルヴァニアのフォークロアな雰囲気を表現していたと思います。」と解説を入れた仏Adda系列のfonti musicaliのErdelye Nepzeneのジャケットです。(以下放送原稿を再度)

マルタ・セバスチャンに次ぐほど有名な、スロヴァキアのハンガリー系女性民謡歌手スヴォラーク・カティがフルヤの伴奏で歌っている12曲目は、トランシルヴァニア東部のハンガリー系少数民族セーケイ人の民謡です。セーケイ人の起源は諸説あり、アッティラが率いたフン族の子孫というのが広く知られていたりしました。またブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」において、ドラキュラ伯爵はトランシルバニアのセーケイ人とされています。実際は、ドラキュラのモデルとなったヴラド・ツェペシュ公は、トランシルヴァニアの南隣のワラキア公国の君主で、ルーマニア人でありセーケイ人ではなかったようです。

<Ó lstenem, mit csinaljak 4分12秒>
Szvorák Katalin - Ó Istenem, mit csináljak... (1989)

続いて、ムジカーシュとの活動で大変に有名なマルタ・セバスチャンの歌唱をここで入れておきます。チーク地方の歌の独唱です。彼女の名前はハンガリー語に忠実に言えば、シェベシュティエーン・マールタとなります。

<Istenem, túl a vizem 2分41秒>

Herczku Ági - Istenem, Istenem

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2023年3月20日 (月)

モルドヴァのチャンゴーの哀歌

ゼアミdeワールド351回目の放送、日曜夜10時にありました。22日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。

ハンガリー音楽の31回目になります。現代ハンガリー・トラッドの8回目になります。これまで2000年代に入ってから人気のあった女性歌手2人の活動を中心に見てきましたが、70年代初頭に始まったダンスハウス運動の初期から中心的な存在だったムジカーシュやテーカ、メータなど先輩格のグループについては後回しになっていました。
前々回サローキ・アーギの歌唱で「2010年のKishugから、昔マルタ・セバスチャンも歌っていた民謡の旋律によるPorondosと言う曲」をかけましたが、この音源がどれだったか判明しましたので、こちらからおかけしたいと思います。歌っていたのはマルタ・セバスチャンではなく、ファビアン・エヴァでした。この歌唱で始まる盤ですが、仏Adda系列のfonti musicaliと言うレーベルから1989年に出たMusiques de Transylvanieと言うコンピレーション盤で、ハンガリー語ではErdelye Nepzene、英語ではTransylvanian Folk Musicでした。当時はハンガリー・トラッドと言えば、アルファエンタープライズの第7回ダンスハウスの編集盤とこの盤位しかなかった頃です。まだCDと言うものが出始めて数年の頃でした。この中にはテーカ、ベラ・ハルモシュ、スヴォラーク・カティ、マルタ・セバスチャンのような重要人物とグループが名を連ねています。
ランプの明かりで刺繍をする女性を男性が見守っていると思しきジャケットが大変印象的で、そこにファビアン・エヴァの独唱が合わさってトランシルヴァニアのフォークロアな雰囲気を表現していたと思います。ほとんどの人が初めて聞いただろう「エルデーイ」と言う言葉も、この歌唱とジャケットで強く印象付けられました。Porondosと言うのは歌いだしの歌詞で、Moldvai csángó keservesとなっている通り、モルドヴァのハンガリー系少数民族チャンゴーの哀歌です。

<Moldvai csángó keserves 2分2秒>

続いて、ムジカーシュとの活動で大変に有名なマルタ・セバスチャンの歌唱をここで入れておきます。チーク地方の歌の独唱です。彼女の名前はハンガリー語に忠実に言えば、シェベシュティエーン・マールタとなります。

<Istenem, túl a vizem 2分41秒>

ダンスハウス運動の仕掛け人ながら、現在は余り知られてないかも知れないベラ・ハルモシュの音源も一曲ありますので、ここでかけておきます。ヴァイオリン(ヘゲドゥー)がベラ・ハルモシュ、ブラッチャはイフユ・チョオリ・シャーンドル、チェロはハヴァシュレティ・パールです。ブラッチャと言うのは縦に構える伴奏ヴィオラだと思います。

<Szeki táncok 8分51秒>

マルタ・セバスチャンに次ぐほど有名な、スロヴァキアのハンガリー系女性民謡歌手スヴォラーク・カティがフルヤの伴奏で歌っている12曲目は、トランシルヴァニア東部のハンガリー系少数民族セーケイ人の民謡です。セーケイ人の起源は諸説あり、アッティラが率いたフン族の子孫というのが広く知られていたりしました。またブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」において、ドラキュラ伯爵はトランシルバニアのセーケイ人とされています。実際は、ドラキュラのモデルとなったヴラド・ツェペシュ公は、トランシルヴァニアの南隣のワラキア公国の君主で、ルーマニア人でありセーケイ人ではなかったようです。

<Ó lstenem, mit csinaljak 4分12秒>

ヘゲドゥーシュは前にヘルツク・アーグネシュの時にかけましたので、テーカの長尺の演奏を入れておきます。テーカとメータはどちらもダンスハウス初期から活動している老舗グループです。この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Magyarpalatkai táncrend 10分1秒>

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2023年3月17日 (金)

母の美しい言葉の数々 お母さんもいました 葉巻を吸って口を火傷した

昨日の「地元の老婦人から歌を教わっていると思しき映像を上げたことがありました」と言うのは、今日の1本目でした。2本目もサローキ・アーギ録音、Róbert Kluzsán撮影の映像で、今日のタイトルは、最初の3曲の訳文です。この4本がアップされたのは2010年という事ですから、ジャズテイストのアルバムを出しながらも、一方で着々とフィールドワークを進めていたようです。1本目をゼアミブログにアップしたのは去年の12/23で、意外に前でした。いずれもやはりマジャールソヴァートでの映像で、この動画の解説の、énekel Maneszes Láli, gyüjtötte Szalóki Ági Magyarszovátを訳すと「Láli Maneszes によって歌われ、Ági Szalóki によって収集されました マジャールソヴァート」となります。
昨日書いた通り、現代の歌い手の歌唱と違って、音程や音階の不明瞭な感じがあって、そこが味わい深さの秘密でしょう。この微細なコブシと音の動きを譜面に起こすのは大変だと思います。お婆ちゃんの歌を聞きながら、サローキ・アーギが頬張っているのは、お菓子ではなくトランシルヴァニア料理でしょうか(笑) 
3本目も1本目と同じお婆ちゃんの独唱、4本目は男性のフィドル弾き語りです。途中からサローキ・アーギが歌で加わります。ヴァイオリン用の肩当をしないのもあるでしょうが、左手の平を棹の下に付けて弾くのは、クラシック奏法的にはアウトですが、東欧の民族音楽ではこちらの方が多いように見受けられます。狭い音域での微細な音の動きの表現は、こちらの方が適しているのかも知れません。

édesanyám sok szép szava

édesanyam is volt nékem

szivaraztam, elégettem a számat

Maneszes Márton

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2023年3月16日 (木)

マジャールソヴァートとセーク

マジャールソヴァートとセークは、どちらもルーマニアのトランシルヴァニア地方にあるクルジュ県の県都、クルジュ=ナポカ(ハンガリー語ではコロジュヴァール)に近いハンガリー人の多い町でした。地図で見る限り、かなり近いようです。「エチェル村の結婚式」の「セークの音楽」の解説にあった通り、セークは最も古く伝統的なハンガリー音楽が残る場所として知られていました。マジャールソヴァートは、サローキ・アーギの歌っていた5音音階の追分のような民謡のコブシを聞く限り、更に古そうなイメージもあります。
前に地元の老婦人から歌を教わっていると思しき映像を上げたことがありましたが、あの時の映像がマジャールソヴァートかセークでのものだったのかも知れません。現代の歌い手の歌唱と違って、音程や音階の不明瞭な感じがあって(ただし下手と言うのとは全く違います)、そこが味わい深さの秘密でしょうか。サローキ・アーギは、お婆ちゃんの歌を聞きながら、お菓子?を頬張っていました(笑) 
今日の一本目は、1962年のマジャールソヴァートでの映像です。2本目もかなり古そうな伝統音楽と舞踊の1時間を越える映像です。この町、ルーマニア語ではコムナ・スワトゥと呼ばれるようです。

Magyarszovát 1962

Magyarszovát

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2023年3月15日 (水)

ハンガリーの追分風コブシ

サローキ・アーギがオーソドックスな民謡を取り上げた2017年のFújnak a fellegekですが、日本の追分のように細かい節回しの本格的な民謡歌唱を聞いて、大変にびっくりしたのが1曲目のMagyarszovátiです。14分を越えるこの曲を、ほぼ全て番組でかけられました。歌は全て終わって、後奏を1分ほど残した辺りまで入りました。セーク民謡も全て入ったので、結婚式出席のため解説は簡略にはしましたが、曲がほぼ入って満足です。最も気になるのは、何故あのサローキ・アーギが、ここまでオーソドックスなスタイルで民謡を歌ったのかと言う一点に尽きます。
今週は後2回ブログ枠があります。Magyarszovátiと言う曲名については前に聞き覚えがありますし、セークの方も「エチェル村の結婚式」のコダーイの曲と重複はありませんが、セーク民謡の特徴はどちらにも表れているのだろうと思います。その辺りを探ってみようかと思います。

<Magyarszováti 14分12秒>

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2023年3月13日 (月)

サローキ・アーギの歌うセーク民謡

ゼアミdeワールド350回目の放送、日曜夜10時にありました。15日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はセークの方のみです。

ハンガリー音楽も30回目になりました。現代ハンガリー・トラッドの7回目になります。今回の収録分が放送されるのは12日ですが、ちょうど11、12日と親戚の結婚式で14年ぶり(正確には星川さんの葬儀でとんぼ返りしたので7年振りでした)に上京するため、いつも番組の準備をしている日曜に時間が取れませんので、1回は音楽中心にして2回分用意しています。12日分として考えたのが、サローキ・アーギがオーソドックスな民謡を取り上げた2017年のFújnak a fellegekです。これほど本格的な追分のように細かい節回しの民謡歌唱を聞けるとは思ってなかったので、正直びっくりした音源です。2曲目のセークと言う曲の展開が素晴らしいので、是非こちらをおかけしておきたいと思います。12分余りありますが、4分過ぎの曲調が変わるあたりが聴きものです。

<Szék 12分41秒>

14分を越える1曲目Magyarszovátiで、例の「追分のように細かい節回し」が聴けるのですが、この曲も前にかけた時は5分ほどでしたので、出来るだけおかけしまして、この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Magyarszováti 14分12秒>

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2023年3月 9日 (木)

2023年の新作Zümmögő Időから

サローキ・アーギの2023年の新作Zümmögő Időからも、Vitnyédi Bölcsőcskeと言う曲を番組でかけました。この曲は、古楽の要素を強く感じる曲です。この盤は農村ジプシーの音楽系から、ハンガリーの古楽を視野に入れたと思われる曲など多彩な内容になっています。フンガロトンなどクラシックのレーベルからも80年代以降から色々出ていて聞いたことを思い出しました。2017年のFújnak a fellegekが直球勝負的な民謡アルバムで、新作はどう来るかなと思っていましたので、少々意外ではありましたが、楽しい作品になっていました。
日本ではすっかりハンガリー盤の新譜を見かけなくなりましたが、現地ではどんどん出ているようです。一時期爆発的に出ていたので、日本の市場は付いていけなくなったのではと思いましたが、どうでしょうか。ハンガリーは世界でも屈指のトラッドシーンの活発な国だと思いますから、日本のワールド音楽市場との温度差が出来てしまったかなと。ストリーミングではこうして色々聞けるので、新しい動向が音からは分かります。
明日は所用のためブログはお休みします。

<Vitnyédi Bölcsőcske 5分50秒>

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2023年3月 8日 (水)

KishugからPorondosとVorosbor

サローキ・アーギの2017年のFújnak a fellegekについては、来週長尺の最初の2曲をノーカットでかけることにしましたので、今週中のブログアップは省きます。ロックやドラムンベースを大胆に取り入れた2010年のKishugからは、「昔マルタ・セバスチャンも歌っていた民謡の旋律」として4曲目のPorondos(ポロンドーシュ)を今週の番組で取り上げました。
再来週の準備をしていて、この曲をどこで聞いたか判明しました。マルタ・セバスチャンではなく、ファビアン・エヴァと言う女性歌手でした。ファビアン・エヴァの歌唱で始まる盤、仏Adda系列のfonti musicaliと言うレーベルから1989年に出たMusiques de Transylvanie(原語Erdelye Nepzene 英題Transylvanian Folk Music)を再来週取り上げますので、その際に番組でおかけします。トランシルヴァニアのフォークロアの雰囲気を濃厚に感じさせる曲と独唱です。この歌をサローキ・アーギがこんな風に歌っているという事で、注目のトラックです。
もう一曲、5曲目のVörösborは、時間の都合でかけられなかったKishugの中の曲ですが、後半に出てくる細分化した速いビートを、ドラムンベースと呼ぶのでしょうか? こちらの世界は疎いもので(笑) ダブのリズムも入っているように思いますが。旋律はトラッドの要素を強く感じさせるもので、久々に聞き返して、この2曲が特に耳に止まりました。

<Porondos 8分21秒>

Vörösbor

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2023年3月 6日 (月)

「飛べよ孔雀」と同じ節のショモジ

ゼアミdeワールド349回目の放送、日曜夜10時にありました。8日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は「飛べよ孔雀」と同じ節のショモジのみにしておきます。

ハンガリー音楽の29回目になります。現代ハンガリー・トラッドの6回目は、サローキ・アーギ Szalóki Ági特集の3回目です。
オーソドックスな民謡を取り上げた2017年のFújnak a fellegekが大変素晴らしく、こんな本格的な追分のように細かい節回しの民謡歌唱を聞けるとは思ってなかったので、正直びっくりしました。何故ここまで民謡そのものに回帰した盤を出したのか、ここ数年はハンガリー盤の情報がありませんので、よく分からない状況です。Fújnak a fellegekと言うタイトルは「雲が吹いている」と訳せるようです。

前に取り上げた5音音階の民謡の象徴のような「飛べよ孔雀よ」の節によるSomogyと言う曲からおかけします。

<Somogy 8分19秒>

続いて1曲目に戻りますが、この曲では最初から追分のように細かい節回しを披露しています。次のセークと言う曲も展開が素晴らしいのですが、12分余りと長いので、14分を越える1曲目Magyarszovátiの途中までおかけします。

<Magyarszováti 14分12秒から5分位>

2010年のKishugと2017年のFújnak a fellegekの間にÖröme az égnek, ünnepe a földnek (2012)とKörforgás (2014)がありまして、その頃までは入っていましたが、ハンガリー盤は2017年頃以降余り情報を見かけなくなったので、日本で入っている店はほとんどないのではと思います。
次にロックやドラムンベースを大胆に取り入れた2010年のKishugから、昔マルタ・セバスチャンも歌っていた民謡の旋律によるPorondosをおかけします。

<Porondos 8分21秒>

では最後に2023年の新作Zümmögő Időから、Vitnyédi Bölcsőcskeと言う曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。この盤は農村ジプシーの音楽から、ハンガリーの古楽を視野に入れたと思われる曲など多彩な内容になっています。今回おかけする曲は、古楽の要素を強く感じる曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Vitnyédi Bölcsőcske 5分50秒>

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2023年3月 3日 (金)

GingalloのPista Bácsi

サローキ・アーギの2009年のGingalloからは、Pista Bácsiと言う曲をかけました。「遊び歌」あるいは「わらべ歌」的なチルドレン・ソングのように聞こえまして、3作目の『ツィピティ・レーリンツ』同様に【子供も楽しめる音楽】と言うアルバムテーマでしたから、そのように解説を入れましたが、もしかしたらこれは農村ジプシーのリズミカルな歌、ケリマスキ・ディリかも知れないとも思いました。手元に残ってなくて現物で確認が出来ないので、参考までに他の曲を上げておきます。A csizmámon nincsen tákは、他の誰かの歌唱で聞いた曲、A szeretőm pakulárは旋律に魅了されました。訳にかけると「私の恋人は狂っている」のように出てきますが(笑)

<Pista Bácsi 2分6秒>

A csizmámon nincsen ták

A szeretőm pakulár

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2023年3月 2日 (木)

室内楽編成のMindig Az a Legszech Perc

今日は4回目の月命日で午後から墓参りのため、ブログもお休みしようかと思いましたが、簡単に入れておきます。Mindig Az a Legszech Percは、1本目のような弦の伴奏の良い感じの演奏もありました。歌詞を荒訳にかけてみると、和訳を上げるのが憚られるような(笑)かなりストレートなラヴソングのようです。しかし、このそこはかとない哀感、私は大層気に入っています。2本目も番組で解説を入れた通り「旋律を聞くだけでも極めて切なく美しい曲」です。

Mindig az a perc a legszebb perc / Blue Canarro Group (BCG-theMusicVaccine) / 2020 New Year's Eve

A Két Szemed

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2023年3月 1日 (水)

1930年代のカタリン・カラーディの歌唱

サローキ・アーギでかけた2曲を、1930年代のカタリン・カラーディの歌唱で探してみました。Mindig Az a Legszech Percの方は、当時の映画に主演し歌っているシーンが出てきました。ハンガリーのマルレーネ・ディートリヒとでも形容できるのではと言う美貌(退廃的な)と存在感です。実際リリー・マルレーンも歌っていました。Egyszer Csak Mindennekは、ストリーミングで聞けるのと同じ音源です。当時はジャズやタンゴが流行っていた頃で、淡谷のり子の歌にも頻出します。(以下放送原稿を再度)

次にこの同じ2曲をカタリン・カラーディが歌った戦前のオリジナル音源が入ったKarady Katalin - Milliok Kedvenc Enekese: Mid Century Hungarian Musicを見つけましたので、2曲続けておかけします。1910年生まれのカタリン・カラーディは戦前のハンガリーで人気を博しスターに上り詰めましたが、ナチス時代にスパイ容疑で逮捕された上に拷問を受けるなど迫害を受け、更に戦後の共産主義時代にも無視された上に迫害を受け、人々から忘れ去られ、50年代以後は亡命生活を送りました。80年代になって、ようやくハンガリー本国で再発見されましたが、この時は既に最晩年になっていたと言う、歌手としては不遇の後半生を送った人です。
よく知られているエピソードとしては、大勢のハンガリー系ユダヤ人を救出した名誉の受賞者であることとか、小惑星 287787 Karády は、ハンガリーの天文学者(Krisztián Sárneczky と Brigitta Sipőcz )によって 2003 年に発見され、彼女を記念して命名されていることがあげられます。

<Mindig Az a Legszech Perc 3分28秒>
Karády Katalin - Mindig az a perc a legszebb perc

<Egyszer Csak Mindennek 3分34秒>
Egyszer csak mindennek vége lett

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