シェベー・アンサンブル2012
シェベー・アンサンブル(ハンガリー語ではSebő együttes)のTáncházi Muzsika(ダンスハウスの音楽)の映像はなくても、一昨日のハンガリー風アイネ・クライネ・ナハトムジークは最高に面白い演奏で、それだけでも満足してしまいました(笑) このグループの活動は、2013年のベラ・ハルモーシュの没後、相方のフェレンツ・シェベーが70代半ばを過ぎた現在も続いているようですが、ハンガリーの農村音楽だけを追究している訳ではなかったようで、幾つか聞いた限りでは、バルカン音楽やトルコ音楽にまで近づいた音源の方が目立ちました。
ハンガリーの農村音楽は、彼らダンスハウス運動の第一世代にとっては、戦後生まれのヒッピー(あるいはビートニク世代)にとってのユートピアとしてのインド音楽に近いイメージで捉えられていたのではと思います。ダンスハウス運動の始まった70年代当時は、第一次大戦後ルーマニア領に入っていたトランシルヴァニアは、容易に行ける場所ではなかったようです。それでより強い憧れになって行ったのかなと。19世紀以来内外に広まっていた都会のジプシー音楽ではない、本来あるべき、そして帰るべきハンガリー音楽がトランシルヴァニアに残っている!と言うのが原動力になっていたようです。
彼らは日本で言えば団塊世代で、ヘルツク・アーグネシュやサローキ・アーギは団塊ジュニア世代に当たるように思います。彼女らを第二世代とすれば、第一世代と活動方向に大きな違いはないように見受けられます。音楽的にはより多様性と深化を見せた部分もあると思います。第三世代がどういう風に舵を切って行くのか気になりますし、今後の展開が楽しみです。
最近の捜索で、セーク、カロタセグ、マジャールパラトカ、マジャールソヴァート、サースチャーヴァーシュの位置関係が、はっきり分かりました。それぞれルーマニア語のコムーナ(コミューン)名で出てくることがほとんどなので、なかなか分かり難かったです。
今日の映像は、2012年のシェベー・アンサンブルの演奏で、歌はマルタ・セバスチャン、コントラバスはムジカーシュのエーリ・ペーテルです。ベラ・ハルモーシュ最晩年の貴重映像です。
Sebő együttes (Sebestyén Márta) - Mezőségi muzsika (MüPa 2012)
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