マラマロシュシゲティの踊り、アニ・マアミン
今週の番組でかけた曲も、全てはブログで追えませんが、マラマロシュシゲティの踊りとアニ・マアミンだけは入れておきたいと思います。マラマロシュシゲティの踊りは、ムジカーシュ以外の演奏も聞いてみたいものですが、検索すると、ほとんどがマラマロシュ(マラムレシュ)の踊りで出て来てしまいます。とても魅力的な曲ですが、おそらくムジカーシュ以外では見当たらないように思います。
アニ・マアミンは他のユダヤ教祈祷歌と同様に異なる旋律が多い曲で、今回も初めて聞く旋律が幾つかありました。ムジカーシュの次に、少女中心の合唱の演奏を上げておきます。これも、とてもユダヤ的な旋律です。1978年のTVドラマ「ホロコースト」で、ハティクヴァを少女数人が歌っていたシーンを思い出しました。(以下放送原稿を再度)
「ムジカーシュ/トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」(Muzsikás / Maramoros - The Lost Jewish Music of Transylvania)の3曲目のMáramarosszigeti tánc(マラマロシュシゲティの踊り)は、ゾルタン・シモンの採譜で知られていて、ツィンバロム奏者のアルパド・トニをフィーチャーした、これもトランシルヴァニアとハシディックが入り混じった感じの曲です。Máramarosszigetiの地名は、マラマロシュとシゲティに分離できると思いますが、ヴァイオリニストのヨーゼフ・シゲティを思い出す曲名だと思ったら、この国境の町でシゲティは少年時代を過ごしたそうです。因みにハンガリー語のszigetiは「小島」の意味でした。
<3 Máramarosszigeti tánc 3分36秒>
次は1曲飛びまして、5曲目のアニ・マアミンです。アニ・マアミンとは、ヘブライ語で"私は信じる" を意味する一節ですが、それを元とする楽曲でもあります。ここで聞かれるのは、東欧系ユダヤで最も有名なアニ・マアミンの旋律です。Gheorghe Covaciは、アウシュヴィッツから生き残って帰ったユダヤ人たちは、この歌をいつも泣きながら歌っていたと回想しています。出典は中世スペインのユダヤ教徒の哲学者、マイモニデス(モーシェ・ベン=マイモーン)が記した『ミシュネー・トーラー』に出てくるユダヤ教の信仰箇条の中の一節です。歌詞がある曲ですが、ムジカーシュの演奏はインストのみです。
<5 Áni Máámin 2分56秒>
Ani Maamin
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